ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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前回の投稿が2022年12月、二年と半年程の間を空けてしまい申し訳ありませんでした。

少しずつ書き進めてたり、投稿こそしてませんが幾つかの小説を書いてたりしてようやくキリのいいところまで書けました。

少し短めですが、更新を待つ感想を送ってくださった読者の方々の応援もあり、少しずつですが投稿しようと思いますので、今後とも本作をよろしくお願いいたします。


77話 決戦

亡国機業の保有する部隊の一つ、トランプに所属するハーレクインは未だに戦闘を繰り広げていた。

 

既に過激派が動き出しているのは知っているし、早くジョーカーへの援護へ向かいたかったが、それを阻むのもまた過激派に属するパイロットだ。

 

ハーレクインの駆るロッソイージスに対するは何処か似通った外見を持つ機体、プロトセイバーである。

 

共にイージスの流れを汲む機体であり、性能も殆ど変わらない、四肢からビームサーベルを発振し蹴り技も交えての格闘戦を仕掛けるハーレクインに対し、プロトセイバーの方は距離を開き射撃戦に徹しようとしている。

 

更に言えばプロトセイバーの方は攻撃に積極性がない、無論無理に突破しようとしたり現在地を迂回しようとすれば仕掛けてくるが、現状は攻め込もうとせず受け身に回っている。

 

明らかな時間稼ぎ、また攻勢に出るということはそれだけエネルギーも消費しており、このまま続けば先にロッソイージスの方が音を上げるのは明らかだ。

 

だか一気に勝負を着けようとするも、それが難しいことはハーレクインにも分かっている、幾度か模擬戦で競い合ったこともあり、互いの力量は把握しているからだ。

 

「くっ……!」

 

それだけにハーレクインに焦りが生まれる、早く突破して紫藤康太の身柄を確保しなければ過激派の戦力強化に繋がり、最悪は紫藤康太の死亡という結果になるからだ。

 

そこには人命を救おうという意思だけでなく、天災の側近を害した場合に天災からどのような報復があるのか分からないという恐怖もあった。

 

彼女等もまた康太の拉致という手段は取ったがあくまで交渉をする為、天災よりは話の通じる康太を通してコネクションが築けたりすれば万々歳、決して康太を害する為のものではなかった。

 

だからこそハーレクインは康太を取り戻すべくロッソイージスを駆る、再び勝負を仕掛けようと四肢からビームサーベルを伸ばし―――

 

「何ッ!?」

 

―――突如として通路の隔壁の一つが大きく歪み、扉が吹き飛ばされた。

 

それにより一瞬だけ動きを止めるハーレクインとプロトセイバー、そんな中で隔壁の向こうから現れたのはデルタカイ、康太だった。

 

「まさか、紫藤康太か!?」

 

「よう、久し振り。会って早々だが、オレもう帰るわ」

 

まさか奪還しようとしていた人物が自力でISを確保しているとは思いもよらず驚愕の声を挙げるハーレクイン、更に言えば康太は既にこの亡国機業の基地からも脱出しようとしていた。

 

「キサマ、クイーンはどうした!?」

 

「短絡的に暴力に訴えることしかしてこなかったからな、斬って捨てた。安心しろ、ソキウス共々生きているさ。思いっきりぶん殴りはしたけどな」

 

その瞬間、プロトセイバーは背部に背負っていたプラズマ収束ビーム砲を康太へと放つ、だが割り込んできた機体がシールドでその攻撃を弾くと、更に二機が康太の前に現れる。

 

「カオス、ガイア、アビス!?」

 

「ISコア共々鹵獲させて貰った。さて、逃げ場の無い通路、全てを埋め尽くす火力をどう避ける?」

 

それは康太が鹵獲したセカンドシリーズの機体であり、プロトセイバーとはある意味で兄弟とも言える機体達だ、それらの機体が数々の武装をプロトセイバーに向け、康太もまた左腕のハイ・メガ・キャノンをチャージしていた。

 

「クソッ!」

 

それを見て一目散に回避へと映るプロトセイバー、一拍置いて通路を埋め尽くす程の火線が放たれるが、プロトセイバーは康太のハイ・メガ・キャノンを回避し、他のセカンドシリーズからの攻撃はシールドで受け、それでも避けきれなかった分を被弾しながらも強引に通路の奥へと逃れていった。

 

完全に撤退に移ったのかその反応は遠くなっていき、康太達は武装を下ろすとそれまで傍観していたハーレクインに向き直る。

 

「で、次はお前か?」

 

「流石に今の戦力でお前とやり合う訳にはいかない。これ以上余計な被害が出るのもマズいし、出ていくのなら勝手にするが良い」

 

「そうか、ならそうさせて貰う。それと、シールドを構えておけ。来るぞ」

 

「待て、何が―――ッ!?」

 

それに対してハーレクインは康太との敵対の意思を見せないことでこの場を乗り切ろうとする、元より戦力差は大きく、これ以上の戦闘で基地内部が破壊されるのも望んでいないからだ。

 

だから基地を出て康太が帰るというのなら邪魔をしない、そのつもりで答えたが、対する康太の言葉を訊き返そうとしたところで基地を揺らす轟音が聞こえてくる。

 

「お前、何をした!?」

 

「オレじゃないよ。外からの砲撃だ」

 

「外からだと?まさか、例の宇宙戦艦か!?」

 

ラビットフット社が建造したというネェル・アーガマの存在は各国の上層部には開示されていた、そこを経由して亡国機業もまた情報を掴んでいたのだが正確なスペックは開示されていない、形状から陸や海を行く船ではなく空と宇宙を航行するのだと推測はされていたが既存の艦船と大きく違う存在にハーレクインは半信半疑だった。

 

だが現実に基地は攻撃を受けており、外と通信をしている康太の言葉で嘘偽りなく真実だと悟った、更には続けての第二波により康太の背後の隔壁が崩壊、外の景色が破孔の向こうに覗いている。

 

「じゃあな亡国機業、また会おう」

 

その抜け道を使って康太は基地から脱出していく、奪われたセカンドシリーズも後に続くがハーレクインにそれを止める力はない。

 

「全く、とんでもない授業料になったものだ……」

 

紫藤康太を拉致し協力を取り付け戦力の強化と他派閥への牽制を行う筈だった今回の計画、しかし結果はISコアを機体ごと奪われた挙げ句基地の破壊だ、加えて世界中がラビットフット社の動向に注目していたであろう事から今まで秘匿されていたこの基地の場所も露見している、世界的にはテロリスト扱いな亡国機業である事から遠くない内に正規軍が踏み込んでくる可能性も高い。

 

得られたのは亡国機業保守派と紫藤康太との僅かな繋がりのみ、他派閥と比べれば比較的マシな印象を抱かれているだけであり、全く割に合わない結果だ。

 

間違いなくこの基地は放棄されるだろう、残っているデータや物資を集められるだけ掻き集めたら母艦であるボズゴロフ級潜水母艦に移動だろう、そう予想を立てたハーレクインは上司であるジョーカーに連絡を取り、自身の仕事を始めるのだった。

 

 

ギアナ高地、ブースターによる大気圏離脱とバリュートによる大気圏突入という前人未到の偉業をついでのように成し遂げ、亡国機業の偽装基地の外に辿り着いたネェル・アーガマのカタパルトよりIS部隊が発艦、その直掩に就いていた。

 

元より火力は戦艦であるネェル・アーガマの方が上、加えて基地という静止目標相手であれば当てる事は容易く、既に動き出している康太の位置も共有されている以上、その脱出路を確保する意味でもメガ粒子砲による砲撃が最適解だ。

 

そんな砲撃により開けられた破孔より一機のISが飛び出す、反応は康太のデルタカイであり、更に三機の未確認機が続くが識別で味方となっている、事前に聞いていた鹵獲した機体という事だろう。

 

「康太、無事だったか!」

 

「おう、久し振り。連中が内ゲバ始めたから帰ってきたぜ」

 

そんな康太を真っ先に出迎えたのはユニコーンを駆る一夏だ、毎日の連絡によって無事なのは分かっていたがやはり自分自身の目で確認すると安心するものだ。

 

「おかえりなさい、康太さん。報告は聞いてましたが、楽しそうでしたね」

 

「他人の金で好き放題研究出来るって最高だな」

 

そこに少し不機嫌そうな響きを滲ませたクロエが問い掛けてくる、当初は自分には何も伝えられず、加えて後から送られてきた報告でも楽しそうな様子が送られてきた上に今の返答である、自分がどれだけ心配したと思っているのか、クロエとしては複雑な感情だった。

 

しかし何よりも無事に戻ってきてくれたことへの安堵が湧き上がったことで、今は笑みが溢れた。

 

他の仲間たちもまたそれぞれに康太に対して言葉を述べていく、それらが一通り終わり落ち着いたところで、既に用も無くなったことでこの場を立ち去ろうかとした時だった、砲撃を受けた後、沈黙していた亡国機業の偽装基地、そちらを勢い良く康太が振り返った。

 

「康太?どうかしたのか?」

 

その様子に何かがあると感じた一夏が訊ねるが、康太は武装を展開して戦闘に備えると一言だけ呟く。

 

「邪気が来たか」

 

次の瞬間、大地が揺れた。

 

空中に浮かぶネェル・アーガマと飛行するISである、その揺れを実際に体感する事はなかったが、実際に目の前の亡国機業の基地の外壁から岩石が転がり落ち、砂埃を上げている様を見れば分かる。

 

そして基地周辺の地面を突き破り巨大な蛇のような何かが飛び出した。

 

「何だアレは!?」

 

その姿を見て叫ぶ一夏、しかしそんなことはお構い無しに地中から現れた存在はその全容を表しつつ、上部より先に覗かせていた巨大なアーム部分が稼働、鎌首をもたげるようにして先端をネェル・アーガマへと向ける。

 

「高熱源反応!」

 

「回避!」

 

ネェル・アーガマのセンサーがそのアームより膨大なエネルギーを捉え、それに反応して咄嗟に操舵を担っていたミネッサが舵を切り横倒しのような形になってでも針路を変更した。

 

その次の瞬間、ネェル・アーガマがそれまで存在していた場所を巨大なビームが通り抜けた。

 

「地面が、割れた……!?」

 

ネェル・アーガマを狙い空へと放たれ、回避した後は地面へとアームが向けられた、照射を続けるビームが空から地面へと、そして射線上にあった山を真っ二つにする。

 

誰が言ったか定かではないが、まさに地面が割れたとしか表現出来ないような光景を見て全員が息を呑む。

 

そして、作られた地面の割れ目を更に押しのけるように、それは全身を見せる。

 

「何なんだよ、この巨大な化け物は!?」

 

ネェル・アーガマにも匹敵する程の巨体、それを一本の足で支えているという見るからに異形の存在がそこには居た。

 

「―――グロムリン」

 

その場の誰もが言葉を失う中、康太だけがその名を口にする。

 

しかし誰もその意味を理解することは出来なかった、そもそもがロシア語にて雷鳴を意味する『グロム』にクレムリン宮殿を組み合わせた造語であるが故に。

 

そんなグロムリンはゲームGジェネレーションシリーズの中でギャザービート系列と呼ばれるシリーズにて登場したジオンの決戦用重モビルアーマーである。

 

あらゆる機動兵器を圧倒するだけの能力を持った兵器ではあるが、本来であれば濃緑色の装甲は白を基調としたものになっており、加えて一本足には追加ユニットが装備されていた。

 

だからこそ康太は自身が告げたその名に付け加え、その真の名を続けるのだった、その名は―――

 

「―――グロムリン・フォズィル」




グロムリン……本文中の通り初代ギャザービートのラスボス、ゲームオリジナルかと思いきや名前だけはトミノメモに存在していたりする。

KATANAにも登場するのだが正史かは怪しい、と思いきやガンダムF90FFにてRFグロムリンⅡが登場、少なくともグロムリンという存在は宇宙世紀の正史に組み込まれることになった。



グロムリン・フォズィル……ギャザービート系列のGジェネレーション・アドバンスにてラスボスを飾る機体、その名の通りグロムリンの強化型。

詳細は次回以降に描写する予定だが、グロムリン共々アルティメット細胞を搭載している、本来ならデビルガンダムをラスボスに据える予定だったが書いてる途中で思いつき登場することにした。



Gジェネレーション・アドバンス……ゲームボーイアドバンスで発売されたギャザービート系列の作品、SEEDの放送と同時期だった為、冒頭部分はともかく後半はSEEDとは離れてオリジナル展開が多い。

プレイした感想としてはファンネルが強い、ククルス・ドアンが東方不敗に弟子入りした結果ハイパーモード会得してザクが金色になっていたりする。


このゲームに出会えたからこそ私はガノタになれた、私というガノタにとって原点とも言えるゲームである。
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