目に魔力を集中させることで「幽霊が見える」ということを、オリジナル設定にしようという意味です。
ご指摘の通り、やっていることは念の「凝」です。
誤字脱字報告、毎回ありがとうございます。
えー、映画を見て、最近のバトルにおけるシリアスな雰囲気がリフレッシュしたような気がするシャミ子です。
しかしマジモンの幽霊はマジで怖かったです。まぁ幽霊のお爺さんは話してみると普通の感じの良いお爺さんでしたが。
そのことを杏里ちゃんに話すと驚いてました。
「という感じで、マジモンの幽霊だったんですよ」
「幽霊なんてマジでいるんだねー。それで最近あそこの映画館、ホラー特集やってるんだ」
「え、それ初耳です」
「商魂たくましいな、おい」
この前3人で行った映画館は、ミカンさんの呪いが暴走し、ポルターガイスト現象みたいな感じでかなりの被害が出てました。
幽霊も出たことですし、もうホラー映画はやらないと思ってましたが、まさか利用してくるとは。
「そういえば幽霊相手にもシャミ子の必殺技って効くのかな?ほら、もし憑りついて悪さをする幽霊がいないとも限らないじゃん?」
杏里ちゃんがそんな疑問を口にしました。え、幽霊と戦う日が来るってことですか?
魔族に目覚めてからというもの怖い敵とのバトルをもう2回も経験してしまいましたが、それは想像してませんでした。
「そこんとこどうなんですか、浦飯さん?」
「効くと思うぜ?オレと桑原たちが霊体……幽霊の状態になって、霊界を占拠したテロリストと戦ったときは普通に霊丸とか撃ったり、殴ったりしたしな」レイガンハovaノハナシダガ
「待って、幽霊にもテロリストがいることのほうが気になる!」
「浦飯さんの話って色々ツッコミどころが多いですよね……」
死んだ人が行く霊界なのに、テロとかやる人がいるんですね。理由は仕事がきつくて、とかでしょうか。
「しゃーねーだろ。色々宗教絡みで霊界も面倒らしくてな。巻き込まれた方はいい迷惑だぜ」
「死んでるのに宗教絡みとか、閻魔大王とかが何とかしてくれないんですか?」
「その閻魔大王が色々やらかしてクビになってな。ちょうどそんなときに事件が起こったんだよ」
「閻魔大王にクビとかあるんですか……?」
閻魔大王がクビってすごいパワーワードな気がします。しかし何をやらかせばクビになるんでしょうか?ものすごく気になります。やはり汚職とかでしょうか。
「はー、霊界とかいうのも色々あるんだねぇ……。
そういえばシャミ子の必殺技って霊丸だけでしょ?テロリストって大抵複数じゃん?もしシャミ子に敵が複数同時に襲ってきたらやばくない?」
私としては閻魔大王のことをもう少し聞きたかったのですが、杏里ちゃんが私の技について尋ねてきました。
杏里ちゃん、よくぞ聞いてくれました!実は前から新技が増えたことを言いたかったんです。やっぱり新技ってちょっと自慢したいですよね。
「ふっふっふ……心配ありません!なんとこの前、新しく覚えた散弾式霊丸ともいうべきショットガンがあります!
これがあれば複数の敵もぶっ飛ばせますし、強敵相手も使えます!これでこの前悪い魔族を倒しました!」
「おー、すごいじゃん!どんな感じでぶっ放す技なの?」
「こう、拳に妖力を集中させて、拳みたいな妖力の弾丸を複数同時に発射する技ですね。この前はデカい魔族の体に直接拳をブチ当てて勝ちましたが……」
「直接拳を当てる場合はショットガンじゃねーぞ?」
「え!?」
杏里ちゃんにポーズだけ見せていたら、浦飯さんから突っ込まれました。
「いやいや、浦飯さんが教えてくれた技じゃないですか!?」
「正確に言うと、全身の妖力を高めて敵の体に直接ショットガンの威力を叩き込むのは霊光弾っていう技だ。離れた敵に叩き込むのがショットガンだ。
まぁショットガンていう技の名前は勝手にオレが考えて呼んでるだけで、正式名称は霊光弾なんだけどな」
「ううん?そうするとショットガンて技名は浦飯さんが勝手につけたの?」
「霊光弾とか言うよりわかりやすいしな」
つまりまとめると、距離に関係なく、霊光波動拳としての正式名称は霊光弾。
しかし浦飯さんが勝手に名付けて変えたのが、離れた敵に散弾のように当てるのがショットガン。
全身の妖力を高めて、直接敵の体に当てるのが霊光弾、となるということみたいです。
私はショットガンという名前しか教わってなかったので、霊光弾というのは今日初めて聞きました。
つまり今までの私は正式名称を知らずに使ってました!やっばいです、今まで杏里ちゃんにドヤ顔で説明していたからかなり恥ずかしい。
杏里ちゃんも察してか、すごく優しい表情で私を見てきます。やめて、これは浦飯さんのせいなんです!
私は赤くなる顔を横に振り、浦飯さんを指さしました。
「じゃあ私は八つ手を倒したときは、違う技名を叫んでいたってことですか!?」
「当てた時、全身の妖力を高めてたか?」
「いいえ、拳だけでしたが……」
「じゃあショットガンでいいんじゃねーか?」
「この人いい加減だ……!?」
「……皆何の話をしているの?」
いい加減な浦飯さんの回答を聞いていたら、桃が教室にやってきました。よし、これで話題を逸らすことができる……!
「おーっす、ちよもも!」
「うーっす」
「こんにちは。いや、この前のバトルの話をしてまして……最近この街やばくないかなと思いまして」
「確かに、ここ最近悪い魔族が多い気がするんだ」
私の教室にやってきていた桃は、顎に手を当てて考え込みます。
この街はいつから修羅の街になったんでしょうか。まるで漫画です。杏里ちゃんがニヤニヤとこっちを見てますが無視です無視。
「一体何が原因なんですかね?」
「……それはまだわからない。でも本当に多くなっている気がする。この前の八つ手もこの街の外だったけど、距離が近かったしシャミ子が何とかしてくれたから本当に助かったよ。ありがとう」
桃は私にお礼を言いつつ深くお辞儀をしました。な、何か桃にそういうことされると体がムズムズします。
「そ、そうだろう!もっと私を褒めるといい!」
「調子に乗んなっつーの」
「いいじゃないですか!この前は完全に1人で勝ったんですよ!?」
机の上に置いていた邪神像の浦飯さんからツッコミが入ります。
この前の八つ手は本当に強い相手でしたから、これくらいは言ってもいいと思います。
「まぁ、確かに強くなると世界が変わって見えるのは分かるぜ。今思うと、オレも戸愚呂に勝った時はけっこー調子に乗ってからな」
もっと色々否定してくるかと思いきや、浦飯さんも同意してくれました。
戸愚呂という人の話は聞いてます。途轍もなく強く、一番辛い戦いだったと。そしてその戦いを勝ち抜いた浦飯さんが調子に乗って、その後人間の特殊な能力者に捕まったことも聞いてます。
私は浦飯さんが調子に乗っている場面を想像します。浦飯さんの性格を考えると……。
「すっごく簡単に想像できますね」
「……いつもとあんまり変わらない気がする」
「いつもと同じな気がするよー」
「おいコラ」
桃や杏里ちゃんも簡単に想像できるようで、同意すると浦飯さんがドスを利かせてきました。
夢の中でゲームなどで遊んでいると、勝った時すぐ調子に乗りますし、いつも通りな気がします。
「ところでよ桃。何か用事があって来たのか?」
ここで浦飯さんが話題を変えてきました。桃はそれに対して頷きます。
「そうなんです。シャミ子……よければなんだけど、シャミ子のお母さんに私の姉の話を聞いてもいいかな?」
「桃のお姉さんですか?確か……千代田桜さんですよね。浦飯さんから聞いてます」
「え、ちよももって、お姉さんいたの?」
前任の魔法少女は、桃の姉である千代田桜さんであるらしいです。以前ミカンさんが来て浦飯さんと入れ替わった後に、浦飯さんから聞いたことを思い出しました。
「うん、義理だけどね。でもここ10年会ってなくて……」
「……あー、ごめん」
桃が杏里ちゃんに答えた通り、ここ10年ほど行方不明なんだそうです。なので桃は今現在桜さんがどこにいるのか全く知らない状態です。それを聞いた杏里ちゃんは謝りました。
「気にしないでいいよ。シャミ子のお母さんは10年以上前からこの街にいるし、ぜひ話を聞きたいんだ」
手掛かりを知っていそうな、この街の古い魔族などに桃が聞けなかった理由も聞いてます。
古い魔族の家には魔法少女の様な光の一族の侵入を阻む結界が敷かれているため、接触できないそうです。
しかし桃なら家に侵入とまでは言いませんが、魔族の外出時に接触するとか、結構ぐいぐい魔族の方にも聞きに行きそうなイメージですけど、実際はそうでもないみたいです。
「古い魔族には光の一族……つまり魔法少女への結界が敷かれてて、その結界に入るにはそこの住人から入ってもいいという許可がないとダメなんだ。
それでシャミ子とシャミ子の家族の許可が欲しいんだ。今の私にとっては、姉への唯一の手掛かりだから……。
それに最近この街の結界も弱くなってきているし、姉さんの力で元に戻せればと考えている」
「いいですよ。ただし!変なことはしちゃダメです!」
「しないよ……シャミ子は私のこと何だと思ってるのかな……」
筋トレ大好き魔法少女……とか言ったら滅茶苦茶怒られそうなので黙っておきましょう。
しかしお母さんは千代田桜さんのことは知っているんでしょうか?一度も聞いたことがないのでわかりません。
「オレも前に清子さんに千代田桜について聞いたんだけどよー。
『もう少し待ってくれ』っつってはぐらかされたんだよ。
いい機会だし、洗いざらい知ってることは話してもらおうぜ」
いつの間にか浦飯さんが尋ねてくれたみたいですが、どうやら答えは知らないようです。確かにこれを機に気になることはいっぱい聞いてたほうがいいでしょう。
ゲームとかでも、知っているキャラがさっさと話さないで黙っていて、事態が大きくなってから喋るパターンとかありますからね。大作RPGとかであるあるです。
そう言った事態を避けるためには情報の共有が必要です。
「そうですね。そしたら放課後より、明日の休みのほうがいいですかね?時間がとれますし」
「うん。頼んだよ、シャミ子」
「うし、早速帰って許可もらおうぜ」
そういうことで帰宅後お母さんにそのことを話すと、OKをもらいました。お母さんは来たるべき日が来たと言ってました。そして桃に許可が下りたことを電話で伝えました。
そ、そんなに重大な秘密が隠されているのでしょうか?何かドキドキしてきました。
「何でオメーがそわそわしてんだよ」
「イベントの前日はワクワクするタイプなので……」
まぁ今回はバトルでもないですし、そこまで身構えることもないでしょう。
☆
そして翌日。午前中に桃が来ました。菓子折りを持ってきて、何かいつもよりおしゃれです。
「本日はこちらのお願いを聞いていただきありがとうございます。これはつまらないものですが……」
「あら、ご丁寧にありがとうございます」
2人はお辞儀を返しあってました。挨拶もそこそこに、席に着きます。
今日は良も参加するので、いつものテーブル代わりの段ボールの周りに人がひしめき合ってます。というかこの狭いところに4人+邪神像って結構ギチギチです。
「なぁ清子さん、狭くねーか?もっと広げよーぜ」
「いえ、今日はこの段ボールも話に関係あるので……」
「へー」
浦飯さんの言うことももっともなので、テーブルを追加で持ってこようとしましたが、お母さんに制されました。
いつも色んな事に使ってきた段ボールが魔法少女と関係あるそうです。何ででしょうか?
「すみませんが、さっそく姉……といっても義理なのですが、千代田桜の件をお願いしてもよろしいでしょうか……?」
「分かりました。私が知っていることを順を追って話しますね……」
そうしてお母さんは語りました。
私の病弱だった理由、一族の封印、それに干渉した千代田桜さん、そしてお父さんの真の行方など。様々なことが分かりました。
簡単に言うと
私こと吉田優子は生まれつき体も運もとても悪く、入退院を繰り返すほどであったと。
それは一族の封印による呪いが強く出た上に、妹の良子の呪いまで請け負ってしまったせいかもしれないと。
呪いが強すぎるせいで、当時5歳の私は衰弱していく一方で、そのまま死ぬ可能性が高かったそうです。
そんな状態を救うべく、父である吉田太郎……は偽名で、本当の名前はヨシュア(横文字!)が千代田桜に相談して、千代田桜が呪いに干渉した。
千代田桜さんは魔力操作に長けていたらしいです。しかしそれでも古代の呪いに介入することは難しかったそうだ。
呪いに対抗するために、金運の一部を健康運をに変換することでなんとか生きていられる程度に呪いを調整した。
それで発生したのが「1ヶ月4万円生活の呪い」なんだそうです。ここだけ現代チックなのはそのせいだったそうです。
しかしこの呪いは強力であり、呪いをいじった行為により千代田桜の魔力が大きく減少したため、それを補うようためヨシュアが街を守るために協力することとなった。
しばらくして良子の出産のため入院していたお母さんと、一応ギリギリ生きられるレベルで元気になった私が退院して帰宅すると、皆で今囲っているこの段ボールが玄関先に置いてあったそうだ。
段ボールとともにあった書置きには
――ごめんなさい。街を守る際、ヨシュアさんまで封印してしまいました――
そう書かれてあったそうです。
それ以降、今日まで千代田桜の姿は見てないと、お母さんは語りました。
「これが私が知っている千代田桜さんの情報です」
「……つまり私たちはこのお父さんin段ボールの上で鉄板とか乗せたり、高いところのものを取っていたということですか!?」
「良はお父さんの上で勉強してた……」
「おいおい、今語るのはそこじゃねーだろ」
いやいや浦飯さん、父親の上で食事とか勉強していたとか、結構衝撃なことですよ?絵面は最悪です。
言うなれば、お父さんを土下座させて、その背中の上で勉強とか作業していたようなものです。
「お父さんの段ボールは魔法のコーティングで覆われているから、とっても頑丈なんです!だから何でも使えます!」
「まぁこの家は家具少ねぇしなー……」
浦飯さん、それは家具が揃えられないほどの貧乏が悪いのです……。
でも1ヶ月4万円生活は解かれているので、冷蔵庫も買い換えましたし、これから増えるんですから!
まぁ家具は一旦置いておいて、昔からお母さんにお父さんの話を聞くと、出稼ぎに行っていると言ってましたが、これが本当の理由だったんですね。
「つーか大体、今まで親父さんはどこにいたのか聞いてなかったのか?オレは聞かねーほうがいいと思って聞かなかったけどよ」
「お母さんが言うには、お父さんは少し前まで原子力潜水空母でイカ釣り漁をし、今は宇宙戦艦に乗って空気清浄機の買い付けに行っていると聞いてました。でも、それは嘘で、真実は違ったんですね……」
私がそう語ると、場が静かになりました。
あ、あれ?何で桃とお母さんは頭を抑えているんですか?良は何故目をそらすんです?
「……こいつ、詐欺にあったら尻の毛まで毟り取られるタイプだわ。いいカモだぜ」
「そんな簡単に騙されませんよ!!お母さんの言うことを信じていただけですからね!」
全く失礼な話です。そんな簡単に騙されるチョロ魔族ではないのです。純粋にお母さんの言うことを信じていただけです、本当ですよ?
「優子……いつか嘘と気づくと思っていたのですが……」
「お母さん!?」
騙していたお母さんが落ち込んでました。それはちょっとひどくないですか!?
ちょーっと憤りを感じていると、桃がいきなり謝罪しました。ごめんなさい、と。
「うちの姉が……この家のお父さんを10年奪ってしまって、ごめんなさい。わたしはそれにずっと気づけなくて……」
「いえ……桜さんは本当に縁もない私たち一家のために尽力してくれて……」
「でも、家族を引き裂いてしまったことは事実です」
桃は悲痛な表情をしていました。今にも泣きそうな、そんな表情でした。
「でも桜さんのおかげで私はこうして元気になりました。それにお父さんは生きてます……段ボールですけど」
「お父さんが近くにいることが分かって、良は嬉しいです。お父さんはプリズンに居ると思ってたから」
「良の奴、シャミ子より頭いいんじゃねーか?」
「うるさいですね……」
桜さんが呪いをいじらなければ、私はとうに死んでいたでしょう。それだけでも知れて嬉しいです。
良は生まれて一度もお父さんに会ったことがないから、お父さんが近くにいるとわかってとても嬉しそうです。今もお父さん段ボールを撫でています。
そう説明しても、桃の表情は良くなるどころか、増々落ち込んできました。
「ちょっと、整理する時間をください……今日は、帰ります」
「あ、桃!?ちょっと待ってください!」
桃のその様子にお母さんも悩んだ表情をしてますし、良はあたふたとしています。
桃がドアノブに手をかけた時、浦飯さんの大きなため息が聞こえました。
「まーったく……桃よー。何でオメーがそんなに思い詰めてんだよ」
「……何でって、浦飯さん……話を聞いていなかったんですか?」
桃がかなり怒った表情で浦飯さんに答えます。
浦飯さんのその言葉に、私も少し腹が立ちました。本気で落ち込んでいる人間に対して、その言葉はデリカシーがないと思います。
しかし浦飯さんは別段気にした様子もなく続けます。
「大体よー。今回の話は桜ってヤツと、この家族の話で、テメーには関係ねー話だろーが」
「それでも、私の姉さんがこの家族の……一緒にいられたはずの10年間を奪い取ったんです。
姉さんの家族である私がその責任を取る必要があります……けど、その時間を取り戻す方法がない」
その言葉を聞いて、浦飯さんは思い切りため息をつきました。
「オメー真面目過ぎんぞ。大体桜って奴がシャミ子の呪いをどうにかしなきゃ、シャミ子はそのまま死んでたんだろ?だよな清子さん」
「はい。あのままでは長く持たないだろうというお医者様の意見でした。だから桜さんには本当に感謝しているんです」
その頃の私はずっと入院してて、病院にいたことだけは覚えてます。その頃の記憶は意識が朦朧としていた感じでしたから、細かいことはあんまり覚えてないです。
だからその当時の話を聞いても、他人事のようにしか思えませんでした。
「全然関係ねー魔族のガキを、貴重な魔力を減らしてまで助けるような奴が、理由もなく親父さんを封印して、そのままほったらかしにしてとんずらするか?」
「それは……でも、家族がバラバラになってしまって……」
「親父さんだって、そいつが信用できるから協力してたんだろ?わざわざ騙し討ちするにしたって、もっと楽な手でやるだろフツー」
「それは、そうですが……」
魔法少女は魔族を討伐することでポイントがもらえるそうで、ポイントに応じて願いがかなえられるそうです。
でも浦飯さんの言う通り、わざわざ魔力を減らすくらいでしたら、直接戦ったほうが早いでしょう。
「……シャミ子や桃には前に1回話してあるけどよ、オレは中二の頃ガキを庇って交通事故で死んだ後、霊体……幽霊になって自分の葬式を見たんだよ」
いきなり浦飯さんがそう話始め、私たちは頷きました。
浦飯さんが霊界探偵になる前、子供を庇って車に引かれて一度死んだ話は聞いてます。生き返る代わりに霊界探偵になったことも。
「葬式のときよ、普段ロクなことしねーお袋がよ……泣いてんだよ。あんなにバツのワリーもんはねーぜ」
「………」
「だからよ、子供が親より先に死にそうなのが分かったら、何とかしようとすんじゃねーか?それでいいかな、清子さん?」
「……はい。あの頃入退院を繰り返して、ずっと苦しんでいる優子を見ていて、私たちはなんとかしてやりたいとずっと思ってました。
だからお父さんと相談して、桜さんに話を持ち掛けるときは覚悟をしてました」
「何の覚悟ですか……?」
「お父さんの封印と引き換えに、優子を生かしてもらうことをです」
「……!?」
桃は心底驚いたという顔をしてました。今までの話では、普通に桜さんに頼りにいったかのような感じで話していたのに、実際はそこまでの覚悟をしていたということに。
「お父さんはたとえ自分が封印されるのと引き換えにしてでも、優子を助けたかったのです。
お父さんが封印されれば、魔法少女にとってはポイントになりますから。
しかし桜さんは無償で協力してくれました……桜さんは我が家の恩人です。桃さんが気にされることはないのです」
「……でも」
「それにあなたは覚醒したての優子を助けてくれました。あなた方姉妹は、我が家の恩人です」
「………」
桃はその言葉を聞いて下を向いてしまいました。
確かに、桜さんがいなかったら私は死んでいたでしょう。
しかし、桃は私の恩人ではない!そう、宿敵なのです!
だから宿敵がいつまでも下を向いているなんて、させません!私は桃を指さしました。
「おい桃!今にお前より強くなって、お父さんの封印も解いて、私が桜さんを見つけ出してやる!そうすれば貴様は私に完全敗北だ!」
「……シャミ子」
「そしたら貴様を我が配下にしてやる!そうすれば気になることもなくなるだろう!
ハーハッハッハッハゴフ、オェ!」
「お姉、大丈夫?」
カッコつけて高笑いしていたらむせました。むせた私の背中を良がさすってくれます。いい子です……。
桃はそんな私を呆然と見ていました。
「終わっちまったことはもうどうしようもねーんだ。シャミ子の言う通り、シャミ子が強くなって親父さんを解放して、その親父さんから桜のことが聞ければ、結界のこととかも丸々全部解決じゃねーのか?」
「……そう、ですかね?」
「それによ、魔族の結界が通れないならシャミ子が行けばいい話じゃねーか」
いや待ってください浦飯さん。それだと私のやること多くないですか?桃以上に強くならないといけないのに捜索も私ですか?
ちょっと私の容量オーバーな気が……。
「……そうですね。シャミ子、私は配下にならないけど、探してくれたらお礼にシャミ子を鍛えるよ。配下になるより、私はそっちのほうがいい。いい取引じゃないかな?」
「え、それいつもと変わらなくないですか?」
「けど、桃より強くなりたいんだろ?」
「そりゃ、そうですけど……分かりました!今に見てろ桃!貴様より強くなって、昔のことなんか考えられないくらいぶっ飛ばしてやります!!」
そう言われてしまっては断れません。だから私は打倒桃を宣言しました。
すると桃はうっすらとでしたが、笑いました。
そう、桃が笑ったのです。ほとんど表情を変えない桃が、少しだけ嬉しそうにしたのです。
「……期待しているよ、未来の大魔族さん。清子さん、良子ちゃん。これからよろしくお願いします」
そう言って、桃は2人に頭を下げ、お母さんと良は了承しました。
「じゃあ早速厳しく修行といくか!」
早速やばいことを言う男が1人いました。いや、今日はここで終わりでしょう、話的に!
「え!?き、今日は色んな事があったので、明日からがいいです!」
「情けねーこと言ってんじゃねーぞ。ビシバシ行くからな!」
「ひー!!?」
そんな私たちを3人は楽しそうに見つめながら、私は修行をさせられるのでした。
今日くらい休みをくださーい!
頑張れシャミ子!魔法少女より強くなって、父親を解放するのだ!
つづく
悩んで書いた割には、原作と変えるところがほとんどない話です。しかし変えてはいけない部分もあるので今回はこんな感じです。
皆さん的に魔法少女のオリキャラってありですかね?
あ、もちろん敵としてです。レギュラーじゃないですよ?