まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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DBZカカロットやってます。幽白でもこういうゲーム出ないかなぁ。
もちろん演出はカットなしで(笑)


12話 「酔っ払いと勝負です!」

「しかし鍛えさせても、中々戦う相手がいねぇな」

 

「いきなり何言ってるんですか、浦飯さん」

 

 

学校でそろそろ帰る時間になったとき、浦飯さんがポツリと呟きました。いきなり物騒ですねこの人。

 

たしかに修行は毎日行っているが、その相手は桃か浦飯さんの2人しか組手の相手はいないのだ。2人にボコボコにされてメンタルもボコボコです。

 

 

「修行ばかりさせても所詮修行だしよ~、やっぱ戦わねぇとな。同じくらいの実力の奴がいいんだが。オメーもちょっと実力試してーとか思わねーか?」

 

「まぁ思わなくはないですね。いつも修行ばっかりで、自分がどれくらいの実力なのかイマイチ分かりませんし」

 

 

腕鬼や八つ手とは戦いましたが、比較対象が少ないので自分がどんなものかよくわかりません。

 

かといって、実力を確かめるために自分から喧嘩を売るなんてことはできません。それは桃との約束を破ることになってしまいます。

 

そんな私たちの会話をそばで聞いていた杏里ちゃんは首を横に振りました。

 

 

「いやいや、強敵の出現は大事だよ?ちよももを倒すのはこの私の役目だ!とか言うためにも実力アップは必要だと思うし……」

 

 

杏里ちゃんはDBの19号対ベジータのページを指さしながら言いました。何で学校に持ってきてるんですかねぇ。

 

あ、でもそのセリフはかっこいいので今度使ってみましょう。

 

 

「どっかにシャミ子の相手が見つかんねーかなー」

 

「まさか、道場破りみたいなことをする気はないですよね……?」

 

 

私の脳裏には、道着を着た屈強な肉体の男の人たちに勝負を挑む私の姿がイメージされました。嫌です、ぼこぼこにされてしまいそうです……。

 

 

「いや。一番いいのは誰かがケンカ売ってくるのを買うのが一番だな。後腐れなく思いっきりやれんだろ」

 

「そういうこと言っていると、今に来そうです」

 

「まぁ喧嘩売ってくる人なんてそうそういないだろうし、大丈夫じゃない?」

 

「そうだといいんですが……」

 

 

あっけらかんと言う杏里ちゃんの言葉に頷くしかありませんでした。まぁこの街は争わないよう結界が張られてますし……いや待って。

 

 

「この街の結界って大分弱くなってきているから、やばい人来ちゃうんじゃないでしょうか……?」

 

 

この街では、浦飯さんと入れ替わったときに浦飯さんが天狗の悪い奴を倒したし、腕鬼は私が倒しました。

 

八つ手に関しては結界の外の話なので、厳密にはこの街とは違いますが、やばい敵が少しずつ増えてます。これはバトルフラグでは?

 

 

「そーゆー奴をどうにかするのが、オメーとかオレらの役目だろーが」

 

「嫌ー!!?」

 

「シャミ子、私もできることがあったら手伝うからさ。戦い以外で」

 

「うぅ……来ないといいなぁ……」

 

 

そんなことを思いながら、放課後になりました。

 

杏里ちゃんは「そうそう来ることないって」と言い、部活に向かっていきました。私はというと修行のため桃と合流し帰宅します。

 

先ほどまでの話を桃にすると、桃は少し黙ってから話し始めました。

 

 

「……結界が弱くなってきているのは事実だから、来てもおかしくはないと思う」

 

「やっぱり~……」

 

 

予想通りの答えに、涙が流れそうです。

 

でも杏里ちゃんの言う通り、しょっちゅう来るとは考えにくいし、来るとしたらもう修羅の街に改名しましょう。

 

そうです、来た時に考えればいいでしょう。

 

そう自分に言い聞かせていると、夕日を背負うように道の反対側からこちらに向かってくる人影が見えました。

 

―――それは酔っ払いでした。

 

一升瓶を右手で持って飲みながら歩いてました。少しフラフラと足元がおぼつかない様子です。

 

容姿は癖のある青色の腰まである長い髪に、ジーパンとノースリーブのシャツを着てました。遠くからでもわかるほど、バストが大きい人です。

 

真っ直ぐ、というには少々ふらつきながらこちらに向かってきました。

 

そしてその体からは魔力が洩れてました。桃は既に臨戦態勢に入ってます。私も妖気を全身に巡らせます。

 

目の前までその人が来ると、高い身長で目つきの鋭い美人でした。

 

綺麗な顔立ちに、いわゆるボンキュッボンなスタイル。そう、容姿だけで見れば憧れの女性と多くの人に言われるであろう容姿です。しかしそれ以上に特徴的なのが……。

 

―――この人、めっちゃ酒臭い!

 

そう、酒臭いのです。全てのプラス要素を台無しにするくらい、酒臭いのです。あ、今ゲップした……ってこれも酒臭!

 

思わず鼻を抑えようとしましたが、初対面の人にそれは失礼なので我慢します。

 

 

「すげー酒の臭いだな。酎によく似てやがる」

 

 

酎という人は浦飯さんと同じバトルマニアだそうで、喧嘩友達みたいなものらしいです。その人は酔拳使いと言いますが、この人みたいに酒臭いのでしょうか?肝臓大丈夫でしょうか?

 

 

「お?喋る像とは面白いね……それで、そっちの2人がシャミ子と千代田桃でいいのかい?」

 

 

そう言うと女の人はお酒を一口飲んで、息を吐き出しました。ぬぉ、酒臭い!

 

 

「…………はい、そうです。あなたは?」

 

 

桃は物凄いしかめっ面で答えました。あ、やっぱり桃も臭いがきついんですね。

 

相手の女の人はそんな表情を気にもせず話を進めます。

 

 

「私は燗。この街には2つ用事があって来たのさ。まず1つはこの街限定の『大吟醸 たまさくらちゃん』を飲みに来たこと」

 

 

燗という人は、右手に持っていたお酒を掲げました。確かによく見ると『大吟醸 たまさくらちゃん』とラベルがあり、絵もたまさくらちゃんです。

 

 

「あ、あれは!この街の限定品である『大吟醸 たまさくらちゃん』!

しかもそのイラストは『大吟醸 たまさくらちゃん』限定だから、18歳未満には入手困難な一品!

その口当たりは桃を思わせるみずみずしい香りでかつ上品なもので繊細な料理などに相性がいいお酒と雑誌に紹介されるほど、近年人気が高まってきて、入手困難になりつつあると言われる……!!」

 

「桃が突然早口に!」

 

「こいつ、たまさくらのことになると早口になるな」

 

 

突然解説し始めた桃に思わず反応してしまいました。

 

桃ってばたまさくらちゃん大好きすぎですね。手に入れられないのが悔しいのか、たまさくらちゃんのイラストから目を離しません。

 

そんな状況が可笑しいのか、燗さんはケラケラ笑ってました。

 

 

「よっぽど好きなんだねあんた!よかったらこのラベルあげるよ」

 

「い、いいんですか……ち、違う。その前に聞きたい。別の用事はなんですか?」

 

 

たまさくらちゃんのグッズの魔力に打ち勝ち、桃は要件を尋ねました。よく欲望を退けましたね、桃。

 

 

「ああ、それ?最近変わった魔族が腕鬼、名前忘れたけど天狗とか、八つ手を倒したって聞いてね。手合わせしに来たのさ。どうだいシャミ子、私といっちょ勝負しないかい?」

 

「え、私とですか!?」

 

 

まさか本当に今日挑戦者が来るとは。燗さんは頷きます。しかしその言葉に桃が一歩前へ出ました。

 

 

「この街は平穏に暮らすための街で、戦いはご法度です。お引き取りを」

 

「え~、別に殺し合いとかじゃなくて力比べしたいだけなんだけどなー。そうだ、私の勝負を承諾してくれたら、ラベルと言わず、たまさくらのグッズも買ってやるさ」

 

「む、むぅ……そ、それでもダメです!」

 

「すげー揺らいでるなこいつ」

 

「揺れ揺れですね……」

 

 

たまさくらちゃんの何がそんなに桃を駆り立てるのでしょうか。というか、桃すごい隙だらけです。燗さんも生暖かい目で見守ってます。

 

 

「シャミ子、修行の成果を試すいい機会だ。同じくれーの実力に見えるし、ちょうどいいだろ」

 

「うーん……分かりました。殺し合いじゃないのなら、修行の成果も試してみたいです。燗さん、勝負しましょう」

 

 

この燗さんは今まで戦ってきた連中と違って、邪悪な感じはしません。本当に純粋に戦いたいように見えます。なんかタイプ的に浦飯さんに似てますね。

 

浦飯さんが私たちの実力が似ているとも言いますし、実力を試す相手に良いかもしれません。

 

今こそ新生シャミ子のパワーを見せてやる……!

 

 

「お、話せるね」

 

「本当に殺し合いはなしでお願いします!」

 

「もちろんさ。殺しに興味はないね、ただ戦いたいだけさ」

 

 

何かこんなにスムーズに話が進むと感動します。前の戦いはほとんど問答無用でしたから……。

 

話ができる人、と感動していると、桃が待ったをかけます。

 

 

「ちょっと浦飯さん、シャミ子、勝手に……!」

 

「まぁヤバくなったら桃が止めればいいんだしよ。それでいいか?」

 

「私としては2人がかりでもいいくらいさ、異論はないよ。で、場所はどうする?」

 

「うーん……近くに誰も寄らない廃工場があります、そこで2人ともいい?」

 

 

私と燗さんは桃の提案を受け入れ、3人と像は以前霊丸を撃った廃工場へ移動しました。

 

私と燗さんはそれぞれ距離を取ります。お互い準備万端です。

 

 

「ところで燗さん、かなり酔ってますけど大丈夫なんですか?」

 

「心配ないよ」

 

 

ユラリ、と燗さんが動きました。動くというより、まるで滑るように移動しています。浦飯さんとも桃とも違う動きです。

 

 

「私が得意としているのは酔拳……酔えば酔うほど強くなるからね。さ、楽しんでこうか」

 

 

燗さんの体の周りに魔力が満ちていくのが分かります。完全に戦闘態勢に入ったということでしょう。私も同じように妖気で体を覆います。

 

睨み合って数秒。仕掛けてきたのは燗さんでした。

 

まるで滑るような動きで、私の周りを回りこむように動きます。その滑らかさは何人もいるように見えるほどです。

 

まるで分身しているように見える動きは、ただ速いものとは違って目が回りそうです。

 

こちら攻撃しようにも捉えどころがなく、こちらから仕掛けようにも、仕掛けるタイミングが分かりません。

 

迷っている私の思考を読んだかのように、一瞬で目の前に滑り込んだ燗さんは私の顔面へ右手の手刀を繰り出してきました。

 

 

「(はやい!)」

 

 

咄嗟に左腕で防御しますが、それと同時にお腹に衝撃が走りました。

 

複数回入れられたであろう攻撃の衝撃で、後方に吹き飛ぶ私。その吹き飛んでいる私に燗さんが真横に追いつき、左腕を振り上げてました。

 

考える間もなく、咄嗟に腕をクロスするように防御する私ですが、燗さんはお構いなく左腕を振り下ろし、私を地面に叩きつけました。

 

肺の中の空気が、地面に叩きつけられた衝撃で一気に吐き出されます。

 

しかしこんな状況は修行で何度もありました。だからこのまま倒れない!

 

 

「おぉ?」

 

 

私はすぐ起き上がって、驚く燗さんの声を無視し、その顔面へ右拳を連発で繰り出します。

 

―――が、それも揺らめくような動きで軽々と避けられます。感覚として言うのならば、空中のティッシュペーパーに攻撃を繰り出すようなものでしょうか。

 

そして、その攻撃の中で燗さんは一瞬笑い、姿がブレました。

 

 

「!!」

 

 

潜り込まれたと感じた瞬間、私はすさまじい衝撃で吹っ飛んでいきました。

 

壊れた建物に突っ込み、余計に建物を壊し、瓦礫の山にしました。

 

 

「シャミ子!」

 

「良い蹴りだな。だが……間に合ったな。つーかマジで酎そっくりだなアイツ」

 

 

私は瓦礫の中からジャンプして、燗さんの数m手前に着地しました。う、腕がかなりしびれてます。

 

 

「ガードしなきゃ命の危険が危ない一撃でしたよ今の!」

 

「よく間に合ったじゃないか。言ってるセリフは変だけど」

 

 

単にテンパってセリフが可笑しくなっただけです。

 

先ほどの蹴りの威力を物語るかのように、燗さんの軸足の地面がかなりえぐれてますね。あんなもん普通の人が受けたら粉々ですよ。

 

もし左腕で蹴りをガードしてなければ、下手するとあの世行きの一撃でした。少し背筋がぞっとします。

 

やり返したいので反撃したいところですが、どうしましょうか。

 

まだこちらは一撃も入れていない状況です。普通に攻撃しても、あの足捌きで避けられるでしょう。

 

とりあえず、色々試してみますか。

 

 

「さて、どうする?まさかこんなんで終わりじゃないだろうね?」

 

「当たり前だ!この私の恐ろしさを見せてやる!行くぞー!」

 

 

真っ直ぐ行って右拳に力を籠めます。その様子を見て、燗さんは笑いました。

 

 

「考えなしの突撃じゃ当たらないよ?」

 

「そんなの知りません!くらえー!」

 

 

燗さんは動きに無駄がなく、見切りもかなり上手いです。つまりただの攻撃じゃ簡単に捌かれるということです。

 

3発右拳を繰り出します。先ほどの通り燗さんは避けてくれました。

 

私は4発目の右拳を繰り出す前に拳を少し引くことで威力を上げると同時に、右拳に注意を集めます。

 

恐らく燗さんはここで攻撃を入れてくるでしょう……そう予想していると、燗さんの左手に魔力が若干集中してるのが分かりました。

 

――――これを待ってた!

 

燗さんの頭を左から薙ぎ払うように、妖力で強化した尻尾の一撃を繰り出す!

 

 

「がっ……!?」

 

 

クリーンヒット!燗さんの右側頭部に、尻尾の一撃が綺麗に入りました!

 

拳の決まりきったように見えた攻撃に完全に油断してましたから、上手く入ってくれました。しかも右拳に集中していて、カウンターを入れようとしたから余計です。

 

 

「上手い!」

 

「おお、尻尾か」

 

 

そしてほぼ同時に妖気で威力を高めた右拳をお腹へ叩き込む!

 

 

「が!?」

 

 

完全に入った一撃は10m以上燗さんを吹き飛ばし、数回転がっていきました。

 

これはさすがに効いてくれないと、ちょっと困るくらいのクリーンヒットです。

 

 

「……やるじゃないか」

 

 

何事もなかったかのように、燗さんは立ち上がりました。

 

口から少量の血を横に吐き出し、口元の血を手の甲で拭います。え、全然効いて無くないですか?

 

 

「さっきのふざけた言動もわざとなら中々のクセ者だね。面白くなってきたよ」

 

「あ、別に言ってたことは真面目だったんですけど」

 

「プッ!いいねあんた。じゃあこっちもそろそろ本気でやろうかな」

 

 

そう言うと、燗さんの体を纏う魔力の密度が上がっていきます。そしてその高めた魔力は、頭の高さまで掲げた右手に集中していきます。

 

そして黄色く光り輝く球体の魔力を生み出しました。大きさはハンドボールに似ています。

 

 

「変幻自在の魔力を操る酔拳士・燗!その技をもってお相手しよう!」

 

「か、カッコイイ……!」

 

「あらら」

 

 

思わず呟いた私の一言に、燗さんだけじゃなく、桃もずっこけてました。

 

何というカッコイイ異名なんでしょうか!

 

しかも技を出し、魔力が満ちている状態で宣言するとは……戦う前に名乗るよりも、個人的に好きです!

 

 

「何でそこを拾うのかな!?」

 

「だってあんな異名がついているんですよ!?めっちゃカッコイイじゃないですか!」

 

 

桃が叱ってきますが、反論します。私もいつかあんなカッコイイ異名で噂になりたいです。シャミ子って言うとどうしてもこう、威厳というかそういうのがないので……。

 

燗さんはそんな私たちの様子を見て笑ってました。

 

 

「ハハハ、お前さん、中々愉快な性格してるね。そんなこと初めて言われたよ」

 

「そうですか?」

 

 

あんなにかっこよく決めたのならば、他に行ってきそうな人が居そうですが。どうやら私の見る目があるということですね。

 

 

「そうさ……さ、こっからは手加減なしだ。あんたも隠している技を出しな」

 

「分かるんですか?」

 

「分かるさ……さ、来な」

 

「分かりました!」

 

 

その声に答える様に、私は右手の人差し指に妖気を集中させます。霊丸の出番です。

 

その様子を見て、燗さんは不敵に笑いました。恐らくこっちの技も放出系と見抜いたのでしょう。

 

 

「力比べだ!行くぞ!」

 

「来い!」

 

 

燗さんの掛け声とともに、お互い平行に走りだしました。燗さんは右手に魔力球を、私は霊丸を準備しながら。

 

 

「くらいな!」

 

「霊丸!」

 

 

燗さんはサイドスローで魔力球を投げ、それに合わせるように私は霊丸を放ちました。

 

ぶつかり合った2つの弾はその場でスパークしながら拮抗します。

 

 

「弾の押し合い!どっちだ!?」

 

 

桃の言葉と同時に、2つともはじけ飛んで消滅しました。全くの互角。残りの霊丸は3発。

 

 

「互角!」

 

 

ここで突っ込んで殴り合いに持ち込むという選択肢もありましたが、接近戦の上手さはあちらが上です。ならば数を多くして捉えてみせます!

 

私は恐らく燗さんは得意の接近戦に持ち込んでくることを予想し、右拳に妖力を集めます。

 

そしてその予想通り、滑るように接近する燗さん。さぁ、これを全部防げますか!?

 

 

「ショットガン!」

 

「しまっ!?」

 

 

散弾銃のように襲い掛かるショットガンの攻撃を、燗さんはもろに受けました。

 

普通の攻撃が避けられるのならば、避けられないほどの攻撃を当てればいいんじゃないか作戦成功です!

 

土煙で燗さんの姿が一瞬見えなくなりました。出てきたところを霊丸で仕留めましょう。

 

右手の人差し指に霊丸を集めようとしたその時、もろに食らったはずの燗さんが土煙から姿を現し、そのまま突っ込んできました。

 

 

「なっ……!?」

 

「一発一発は軽いねぇ!」

 

 

まさか、ショットガンの威力に耐えて突っ込んできたんですか!?

 

先ほどの食らった位置から真っ直ぐ突っ込んできた燗さんの行動に、私は動揺しました。まさかダメージ覚悟でそのまま突っ込んでくるとは予想外だったからです。

 

そのまま接近戦に持ち込まれ、応戦します。

 

しかし勢いがある燗さんと、動揺した私ではあっという間に押し負けて、燗さんの右ストレートが私の頬に突き刺さり、吹き飛ばされました。

 

吹き飛ばされ手と足で勢いを殺そうとしますが、地面を削るように後ろに下がってしまいます。

 

ようやく勢いが止まり、体勢を立て直そうとした私の目に映ったのは、バランスボール大に大きく魔力球を創った燗さんでした。

 

 

「とどめー!」

 

「(デカい!)」

 

 

そのまま、燗さんはその魔力球を放ちました。先ほどとは桁違いにデカい一発です。真っ直ぐこちらへ向かってきます。

 

 

「ここで決める気だな」

 

「シャミ子の体勢が悪い!あれじゃ避けられない!」

 

 

こちらは体勢が悪く避けられない状態。霊丸一発じゃ相殺できないほどの威力が来る!

 

どうする!?このままじゃ負ける!

 

そのとき私の脳裏に、浦飯さんから聞いた酎さんとの戦いのことを思い出しました。こうなったらイチかバチかです!

 

私は霊丸の発射体勢を整えます。これでダメならもう無理です!

 

 

「無駄だ!さっきの霊丸では相殺できないさね!」

 

 

一発霊丸を撃ちます。そして、自身の最速で同じように妖力を指先に集中させます。

 

 

「連射ぁー!!」

 

「何だと!?」

 

 

一発で相殺できないなら、2発連射です!前の一発が切り開いた道を、もう一発が後ろから押して進ませる。突き進め、霊丸!

 

 

「突き抜けた!」

 

「だが燗の弾のパワーも死んでねぇ!」

 

 

その2人の言葉通り、霊丸は突き抜けましたが、燗さんの弾もそのままで、お互いもろに食らってしまいました。

 

凄まじい衝撃に意識が飛びそうになりますが、ここで気絶したら負ける!

 

その一心で、私は燗さんに突っ込みました。もう先ほどのミスは繰り返しません。これで決める!

 

燗さんも同じ考えだったようで、お互い拳を繰り出します。

 

 

「ぐふっ……」

 

「がぁ……」

 

 

私の拳はお腹に、燗さんの拳は私の頬にめり込みました。こ、これが身長差というやつですか……。

 

そのままお互い前のめりに倒れこみました。だ、ダメです……霊丸4発分撃ったから、もう妖力はすっからかんです。

 

 

「……なぁ、シャミ子。あんた、動けるかい?」

 

 

お互い地面に倒れこんだまま、燗さんが尋ねてきました。燗さんの声が震えています。

 

 

「……もう動けないです、すっからかんです……」

 

「……実は、私も魔力すっからかんさ……」

 

 

正直に答えると、燗さんも納得したようで、どうやら燗さんもすっからかんなようです。さっきの一撃はお互いラストだったようです。

 

 

「どうやら2人とも、もう無理みてーだな」

 

「そうみたいですね。2人とも魔力が残ってません」

 

 

浦飯さんを連れた桃が私たちを見て、そう呟きました。私も立てませんが、燗さんも立てそうにないです。ということはこの勝負……。

 

 

「この勝負、引き分け!」

 

 

桃の宣言とともに、勝負が終わりました。か、勝てませんでした……。何でしょう、めっちゃ悔しいです。

 

そこからしばらく休憩していると、2人とも何とか動けるレベルにはなりました。燗さんは地面に座って、お酒を一口飲みました。

 

 

「いや~、今日はマジで楽しかった!久しぶりに良い喧嘩ができたよ!」

 

「私も、何だか楽しかったです」

 

 

知らない人と競い合うって、何だか未知のものを攻略する感覚で戦えるのですごくワクワクしました。体中が滅茶苦茶痛いですが。

 

 

「良い勝負だったぜ。あんなの見たら、オレも喧嘩したくなってきたぜ!」

 

「像に封印されてるのにかい?あんたも面白いねぇ」

 

 

げらげらと2人は笑い合っていて、私もつられて笑いました。

 

 

「シャミ子、今度は負けないよ。またやろうじゃないか」

 

「はい、また!」

 

 

燗さんが右手を差し出してきて、その握手に私は応じました。

 

何か良いですね、このバトル後の友情的なこの行為!なんかカッコイイです!

 

 

燗さんは怪我も何のその、そのまま帰っていきました。困ったことがあったら声をかけてほしいと言ってました。

 

ついでといってはアレですが、結界や千代田桜のことについて聞いてみましたが全く何も知らないそうです。まぁこの街の人じゃないですし、しょうがないですね。

 

 

「さ、帰ろうか。シャミ子、歩ける?」

 

「大丈夫です、何とか歩けます」

 

「まぁ大きな怪我もないし、今日は問題ないだろ」

 

 

正直言うとタクシーとかで帰りたいくらい動きたくないですが、そんなお金はないので徒歩で帰宅です。体中が痛い……!

 

そういえば、一つ燗さんにもらい忘れたものがありました。

 

 

「桃、たまさくらちゃんのイラストもらわなくてよかったんですか?」

 

 

桃にそう言うと、桃はしばらく考えて、顔が青ざめました。あ、すっかり忘れてたみたいですね。

 

 

「………しまったー!!!」

 

 

ちょっとだけ悲しい桃の絶叫が響きました。うーん、締まらない最後です。

 

 

つづく




酎そっくりなバトル編。原作通り進めると、3巻はほとんど戦闘ないのでテコ入れ……!
ラスト部分迷いましたが、桃には犠牲になってもらった……!

ちなみに熱燗の燗から命名。呑子だとジャンプに現在いらっしゃるので……!
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