まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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引っ越しと新生活とウマ娘で更新が止まっておりました、申し訳ありません。今後もよろしくお願いします。
焼肉回?幽白のクロスだから描写なし!……テニプリの焼肉回すき


35話「亜空間!?小倉さんが行方不明です!」

「シャミ子の家の扉に小倉が消えただ~?ホントーかよ良」

 

「うん……急にお姉さんが消えちゃって……」

 

ある日、学校から帰ると我が吉田家の玄関先で泣いている妹の良がいました。

 

普段大人しく冷静な良が泣いているとはタダ事ではない!

 

ということで、ゆっくりと落ち着かせながら話を聞くと、先ほど浦飯さんが言ったような内容が飛び出してきたのです。えらいこっちゃです!

 

「一体全体どうしてそんなことになったんです?」

 

「なんかね、お姉さんがうちの家のドアに張ってある『結界』の紙が破れてて不味いって言ってて、紙を弄ってたの。

そしたらドアが光ってお姉さんだけ消えちゃって……眼鏡だけ落ちてたの」

 

そう言って良は眼鏡を差し出しました。見覚えのある眼鏡であり───小倉さんのものでしょう。

 

ド近眼の小倉さんが眼鏡なしでどっかに行ってしまったとなればえらいことです!

 

しかしこの話が出るまで我が家に結界があったことすら忘れてました。

 

あんだけ戦ってれば、結界?何それ状態ですし。

 

「この魔族の頭脳をもってしても原因が全く分かりません!どう思います2人とも?」

 

私には原因がさっぱり分からないので一緒にいる浦飯さんと桃に尋ねてみました。しかし2人も困ったように首を傾げてます。

 

「多分結界のせいじゃないと思う。この結界のタイプは、この家の住民に対して害を及ぼす人物を到達させない・惑わすようなものだしね。

空間に作用して、どっかに行ってしまうなんてことは早々ないと思う」

 

桃は小倉さん消失は結界のせいではないと言ってくれました。3人で「ほー」と感心します。

 

なるほど、我が家の結界はそんな機能があったようです。なんだかよく分かりませんがセールスお断りみたいな効果なんでしょう。

 

「亜空間に繋がったとかそーゆーわけじゃねぇってことか」

 

「そうなりますね。亜空間や別の空間に繋げる場合は、準備と時間とパワーが必要になりますから。こんな偶発的に飲み込まれる可能性は低いでしょう」

 

以前浦飯さんから聞いた話では、人間界と魔界を行き来するには亜空間という見た目が薄暗い場所を通らなければならなかったとか。

 

亜空間に行くためには空間に対しての能力が使える人が必要で、浦飯さんでも自力で自由に行き来したりするのはできないと言ってました。

 

偶発的に亜空間への入り口が発生する可能性はゼロではないようですが、まさかこんなピンポイントで発生するとは考えにくいし、良が無事なので偶発的ではないでしょう。

 

「じゃあ違うとなると、今回の仕業は妖怪とかですかね?」

 

とは言ってみたものの、妖怪が小倉さんを何らかの能力で攫ったのであれば、妖気が残ってもおかしくありません。

 

私は僅かな妖気も感じませんし、浦飯さんをチラリと見ますが、浦飯さんも「ダメだー」と声を上げました。

 

「全然妖気のカスも感じねーんだよなァ。妖怪じゃねーなこりゃ」

 

「シャミ子も感じてないようなら、妖怪じゃないでしょう。

となると魔力なしで空間に作用できる能力者ということになりますが……」

 

「そんなんどうやって見つければいいんでしょうか……」

 

姿の見えない敵と言うのはかなり嫌らしいというか、ずるい感じがして嫌です。

 

私はため息をつきながら自分の家のドアに張ってある、ほとんど破れている紙に触れようとしました。

 

「触っちゃダメだよシャミ子!」

 

「ひょい!?」

 

突然の桃の大声に私はビクンと跳ねてしまいました。自分の家のドアなのに……!

 

「アホかオメーは。ただでさえ原因分かんねーのにオメーまでどっかに行ったらヤベェだろうが」

 

「そんな~、そしたら今日はどこで寝ればいいんですか?」

 

「桃の家で寝ろ」

 

「意図せずお泊り会……!」

 

思わぬ形でライバルの家に泊まることになってしまいました。何か手土産はいるのでしょうか……?

 

そんな私の表情を見て桃はため息を吐きます。

 

「いや、それよりも原因究明の方が先だから」

 

「そうでした!小倉さんを救出しなければ!」

 

「こいつアホだ……」

 

浦飯さんの心底呆れた声が終わった瞬間でした。我が家のドアが強く輝きだしたのです。

 

「何ィ!?」

 

「今まで何も感じなかったのに!?」

 

そう、突然前触れもなく光った扉に私は飲み込まれていきました。脱出する暇もなく、ただただ底に落ちていく感覚。

 

そして私の意識も闇に堕ちていきました。

 

 

 

「ぐぇ!!」

 

───意識が飛んだと思ったら、次の瞬間には私は地面にお尻から着地していました。痛い!

 

「くっそー、まんまとしてやられたぜ……!」

 

「痛いです~!おお、浦飯さんも一緒ですね!」

 

「桃の奴は良と一緒に離脱できたみてーだな」

 

「おお、さすが桃!」

 

突如、何の力も感じさせず私と浦飯さんを飲み込んだ光。不測の事態にいち早く対応したの桃だったようで、良を抱えて光の範囲から離脱したようです。早業です!

 

「しかしあの光は一体何だったんでしょう。偶然光ったにしてはタイミング良すぎでは?」

 

「……しかしあの感じは偶然じゃねーな。誰かの能力か?くそ、目に見えない敵はムカつくぜ!」

 

浦飯さんはイラつきながら舌打ちをしてました。

 

浦飯さんは以前も敵に仲間が囚われた際、【領域(テリトリー)】の能力者たちに苦戦したようです。今回も似たような相手なのでしょうか?もしそうだったらそういった相手はほぼ経験がないのでドキドキです。

 

「しかし変なとこだな。頭がおかしくなりそーだぜ」

 

「本当ですね。重力とかどうなっているんでしょうか?」

 

私はは辺りをぐるりと見渡します。一見して、どうにも普通の空間ではないことは明らかでした。

 

上下左右に我が家であるばんだ荘があります。

 

しかもそこから見慣れないデカい木が逆さまにあったり、知らない墓があったりと意味不明な空間です。

 

普段見慣れているばんだ荘にプラスして変なものがそこらへんにあるので、余計に違和感が強い場所です。

 

「何かめまいしてきました~」

 

「ったく、ここの能力者は趣味わりーぜ」

 

「誰が作ったというわけでなく、ここは結界が防いだ危険な運命の残骸を溜め込んだ場所なんだ~」

 

「!?」

 

かつん、と後方から聞こえた靴の音とともに聞き慣れた声が聞こえ、私は後ろを振り返りました。

 

目線の先に立っていたのは行方不明のはずの小倉さんでした。

 

服装に乱れはなくいつも通りの元気なう小倉さんが軽い足取りでこちらにやってきました。

 

まさかこんなヘンテコな場所で再会するなんて!見つかって良かったです!

 

「小倉さーん!無事だったんですねー!」

 

「うん、ちょっとここを探索してたんだ。ここって不思議な景色だからね」

 

「……こんなとこに来て、敵がどこにいるか分からねぇのにか?」

 

───なーんかなぁ、と言わんばかりの浦飯さんの口調でした。

 

言葉に警戒心というか、疑惑の念を感じさせるような口調です。

 

「でもホラ、良が小倉さんを見たのはついさっきって言いますし。誰か見つけようとして歩くのなんて普通ですよフツー」

 

私だったらジッとしないで捜索しますね!と伝えました。

 

確かに小倉さんはいつも飄々としていて、頭の方はかなり切れる人物。しかし霊気・妖気もなく特殊な能力も持っていない、ごく普通とは言えないが戦闘能力はない女子高生のはずです。

 

でも色んなものを作ったり、解決の糸口を見つけたりと頭がすごくいい人です。私でさえ動いてしまう状況なら、小倉さんなら興味津々で動くに違いありません。

 

そうですよね、と私が小倉さんに話しかけると、小倉さんはニコリと笑いました。

 

「そうだね。それより知的好奇心の方が優先しちゃったんだ~」

 

「へぇ、まぁ小倉らしくはあるわな」

 

当初の予定であった小倉さんの発見はできたのでひとまず安心です。ここからはこのおかしな空間から脱出しなければ!

 

「歩いた結果、何か発見はあったんですか小倉さん?」

 

「……そうだねぇ。ここは並行世界のばんだ荘が重なり合ってこう見えるの。例えば……ほら」

 

小倉さんが指をさした方向にあるのは吉田家の前にあるはずの洗濯機。浦飯さんには違いが判らなかったのか、少し唸ってました。

 

しかし家事をしている私には分かります!あれはもしや───!

 

「洗濯機を指さしてどーしたんだよシャミ子。アレが欲しいのか?」

 

「はい、欲しいです!何故ならアレは最新型の洗濯機なんです!

 

呪いが緩和したとはいえ、まだまだ我が家の資金難は継続中です。冷蔵庫を新しくしてから、新たに購入した家電はありません!

 

なので今の我が家の経済状況であんな最新型の洗濯機を手に入れるなど夢のまた夢なのです!

 

「んで小倉、あの最新型の洗濯機を持って帰れってことでいーのか?」

 

「色んな意味で違いまーす」

 

「え、ダメなんですか!?」

 

「まぁデカいし、持ってくのは面倒だしなぁ」

 

「シャミ子ちゃんもキミも冗談じゃなくて本気で思ってるね~」

 

「まぁな。コイツはともかく、オレの考えてることが分かってるじゃねーか」

 

「……まぁね」

 

「むむ?今言外に馬鹿にしませんでした?」

 

「いや、思いっきり馬鹿にしてるぜ」

 

「なんですとー!?」

 

小倉さんは苦笑いを浮かべました。ええい、私は浦飯さんほど考えは読みやすくないはずです!バカにしおって!

 

ちょっぴり起こった後、私は再度洗濯機を見ました。

 

実際にあんなに良い洗濯機があるのに見ているだけなんてなんともったいない。

 

格安で譲ってくれたりしないんでしょうか?魔族の値切り術を見せてやりましょう!

 

なんて顎に手を置いて考えていると、苦笑いで小倉さんが話しかけてきました。

 

「値切ってもダメなんだ。こういうのを魔力で破壊してほしいんだよ~」

 

「なんと!……あれ?私、口に出してました?」

 

「顔で分かるよ~」

 

「………」

 

小倉さんが言うには、この最新型の洗濯機は何らかの理由で洗濯機を買い替えた世界のかけらだそうで、ここの空間は色んな並行世界のばんだ荘が重なり合った場所なんだそうです。

 

要するにありそうでない物を見つける必要があるそうな。

 

「君たちのいたばんだ荘にないものを探して破壊してほしいんだ~。ほら、あそことか」

 

小倉さんは洗濯機を指さした後、両手を大きく広げ空間を示した。確かに元の世界には見慣れないものがちょくちょくある。

 

例としては妙にデカいミカンの木だったり、庭にある変な墓だったりです。

 

普段ばんだ荘で暮らしていれば、さほど違いを見つけること自体は難しくはないでしょう。

 

「でもなんで破壊するんです?」

 

「間違えている場所を全て破壊すると元の世界に戻れるからだよー」

 

「なるほど!それで万事解決というわけですね!」

 

普段住んでいるから間違い探しはいけるはずです。しかし凄いですね小倉さんは。こんな短時間で見つけてしまうとは!

 

よぅし、気合いを入れよう!私は自身の体を妖力で覆いました。

 

「よし!やりますよー!」

 

「……へぇ。これは思った以上に……」

 

全身を妖力で強化した私を見て、小倉さんは少し感心したような声を上げました。なんかとても観察されているので、少し恥ずかしいです。

 

「この洗濯機を殴ればいいんですね?」

 

「うん、やってみて?」

 

「わかりました!えい!」

 

妖気を纏った右のジャブで軽く殴ると洗濯機はまるで最初からなかったかのようにパッと消滅しました。なるほど、この調子で間違ったものを消していけばいいんですね?

 

さて、この調子でガンガン間違ったものを壊していくぞー!……と、そこで今まで大人しかった浦飯さんが口を開きました。

 

「───ふざけやがって」

 

───ゾクリ、と背筋が凍るような声でした。

 

普段の浦飯さんではない、本気の浦飯さんの声に私の足は止まりました。

 

怒気を発する浦飯さんに私は少しビビっちゃいました。でも小倉さんは全く表情を変えず首を傾げます。

 

「……なんか怖いよ~?」

 

「ナメてんのかテメー。こんなんでオレらを騙そうとしやがって、ムカつくぜ」

 

浦飯さんはまるで地面に唾を吐くように悪態をつきました。しかし小倉さんはニコニコと笑みを浮かべたままです。とても余裕そうに見えました。

 

「騙す?随分と人聞きの悪い言い方だね」

 

「そーですよ!小倉さんは何も騙してません!現に今、洗濯機が無くなったのは見てたでしょう!」

 

突如喧嘩腰に言い寄って来た浦飯さんに対し、私も反論します。しかし浦飯さんは舌打ちを返してきました。

 

「よく考えろバカ。その小倉の言ってることは明らかにおかしいだろーが!」

 

「何がです?ちゃんと小倉さんが言った通りだったじゃないですか」

 

「じゃあ言うがな、なんで魔力もねー小倉が壊し方を知ってんだよ。自分で試すこともできねーじゃねーか」

 

「……あ!?」

 

言われてからようやく気づきました。何故魔力を持ってない小倉さんが消滅できると知っていたのか。

 

いつもなら【小倉さんだし】で済ませるところですが、今回はもう答えを知ってました。

 

ウガルルさんの時は千代田桜さんの日記からヒントを得てましたが、今回は全く違います。小倉さん的には偶然迷い込んでしまった空間で、何故解決方法を知っていたのか。

 

「第一先に来てたテメーが一人でウロウロ歩いて、しかも帰る方法まで探し当ててんのにここにオレらを誘き寄せたやつがなんで何も行動起こさねーんだよ。普通は殺すか捕らえるだろ」

 

「……あー!そーです!まだ敵の姿を見てません!どこに潜んでいるのか……」

 

「このおバカシャミ子め!こうなったら答えは一つしかねーだろーが!」

 

「答えは一つって……まさか……!?」

 

私は小倉さんを見た。いつもと変りないはずの姿。しかし浦飯さんの怒気を直接受けてもまったく笑みを崩さなかった小倉さん。

 

「うーん。私を疑っているみたいだけど、キミは他にも自信のある証拠を持ってるんじゃない?」

 

何故か小倉さんの会話の仕方が気になりました。もちろん喋り方が変とか言うわけではないです。なんかこう、会話がスムーズにいきすぎているというか……そんな違和感です。

 

「なぁ、この空間には間違いがあるって言ったよな?」

 

「そうだね。それを片付ける作業に戻ってほしいな~」

 

「なら間違えならテメーもあるぜ」

 

「んん?一体どこら辺がです?」

 

小倉さんを良く見ますがいつも通りの小倉さんです。いつもと身に着けているものが違う?いや、そりゃ服くらいは違いますしねぇ。

 

「どこからどう見ても、いつもの私だと思うけど~」

 

ジロジロ見ても分からない私の視線を気にせず、小倉さんはいつも通り笑って答えました。

 

「───じゃあなんでテメーは落としたはずの眼鏡をかけてんだよ?」

 

「……あ!?」

 

「───」

 

指摘された小倉さんは眼鏡を少し触りました。眼鏡が角度を変え、光が反射したことで私からは小倉さんの瞳を見ることが出来なくなりました。

 

そうです。来る前に良が言ってました。良の目の前で飲み込まれた小倉さんは眼鏡を落として消えたと。

 

しかし目の前にいる小倉さん眼鏡をかけている!

 

「それにテメーはさっきからオレやシャミ子の考えを読んで喋ってる感じだぜ。室田の奴と似てやがる」

 

「……そうか、だから話してて違和感あったんですね!?」

 

 

 

『シャミ子ちゃんもキミも冗談じゃなくて本気で思ってるね~』

 

『まぁな。コイツはともかく、オレの考えてることが分かってるじゃねーか』

 

 

 

『値切ってもダメなんだ。こういうのを魔力で破壊してほしいんだよ~』

 

『なんと!……あれ?私、口に出してました?』

 

『顔で分かるよ~』

 

 

そう言えば何度か先読みされたかのような会話がありました。私の場合はついうっかり口に出してしまったかなと思ってましたが……。

 

浦飯さんは以前心を読む相手と出会ったことがあると言ってました。一度経験があるから浦飯さんは早く気づいたんだ!

 

「……替えの眼鏡を持っていたとは思わないの?」

 

「そうだったとしてもだ。テメーが偽物なら妖力を籠めてぶん殴れば解決なんだろ?本物だったら殴っても特に問題はねー。

───やれ、シャミ子」

 

「え!?私!?」

 

「たりめーだろーが!いいか、こういう相手のやり方は前に教えたろ?」

 

「えぇ~!アレをやるんですかぁ~!?」

 

心を読む能力者【盗聴(タッピング)】室田さんという方に対して浦飯さんはごり押しのやり方で勝ったと聞いてます。

 

でもこの小倉さん(推定)は身体能力的に普通の人かどうかわかりません。同じやり方は些か不安を覚えます。

 

「(でも心を読むとしたら、下手な小細工をしたところで読まれるだけです!)」

 

ならばごり押しが正解なのも確か。というよりゴチャゴチャ考えて戦うのは苦手です!

 

偽物なら許せません。もし本物の小倉さんなら死なない程度に加減して攻撃すれば大丈夫なはずです!

 

気合いを入れた私は一歩踏み出します。それに対して小倉さん(推定)は何も構えを取りませんでした。舐められているんでしょうか?

 

「今からあなたを右ストレートでぶっとばす。まっすぐ行くから覚悟しろ!」

 

「……そんなハッタリを───!?」

 

こうなったら当たって砕けろです!

 

 

 

 

幽助の予想は半ば当たっていた。小倉(推定)はある程度思考を読むことが出来る。

 

完全に思考を読むわけではないが、高い推理力から状況や表情などといった様々な情報を元に精度を上げているため、心を完全に読んでいると相手に思わせるほどである。

 

しかも幽助とシャミ子は思考回路は単純一途。ハッキリ言ってかなり読みやすい部類に入る。

 

だから今回も容易く思考を読むことが出来た。

 

右ストレートで ぶっとばす  真っすぐいって ぶっとばす

右ストレートで ぶっとばす  真っすぐいって ぶっとばす

右ストレートで ぶっとばす  真っすぐいって ぶっとばす

 

「(この子、本気でそう思っている!本当に真正面から飛び込んでくるつもり?そんな馬鹿なこと───)」

 

「行きます!」

 

あり得ない、と思考した瞬間には、既に小倉(推定)の目の前にシャミ子がいた。

 

「(はや───)」

 

───衝撃。首から上が吹き飛ぶかのような一撃は小倉(推定)の体を大きく後退させた。

 

だがここで体が無意識のうちに魔力で肉体を強化し、完全に倒れてしまうのを回避してしまった。

 

10数m体が後退したが、何とか踏みとどまり顔をシャミ子へと向ける。

 

およそシャミ子たちが知っている小倉では留まるどころか耐えきれず完全に意識を吹き飛ばす一撃を耐えてみせた。いや耐えてしまったことに小倉(推定)は笑う。

 

「(予想を超えてきたせいで体が勝手に反応してしまったか……)」

 

演技するという思考よりも早く体が攻撃に対し反応し耐えてしまった。まさしく失敗であった。

 

「あなた、誰ですか?」

 

今までと異なる有無を言わせないシャミ子の迫力に、小倉(推定)は少しだけ口角を上げた。

 

「―――君のお父さんから聞いてた話と全然違うね」

 

「何ィ?」

 

楽しそうに笑う小倉(推定)に対し、シャミ子は増々妖力を高める。

 

異空間での戦いはまだ始まったばかりだ。

 

つづく




はい、長らく更新停止しててすみませんでした。どうやって展開をいじくりまわすか時間かかりました。あと同じ伝説の超浪人でウマ娘もプレイ中です。

今回は原作6巻のお話。亜空間トンネルとかって学生の時に聞くとワクワクする単語です。オレは未だに好き。
原作の桃がやっていた儀式はめんどいので飛ばしました。やっぱ桑原が便利すぎる。多分桑原がいたらこの話はすぐ終わります。樹でも可。

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