まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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那由多の攻撃、能力に対してオリ設定ありです。ご注意を。
嘘だろ……アニメだと桜さんの胸が削られている……!?


40話「見えない攻撃!です」

「アナタは───!?」

 

衝撃的な一言を放った那由多誰何に対し、桃は一瞬で激昂する。

 

しかしその後の言葉は続かなかった。那由多誰何は伸ばした右手の人差し指をデコピンのように弾いた瞬間、桃のいた場所は爆発した。

 

「ぐうっ……!?」

 

リビングは吹き飛び、爆発の衝撃で外に吹き飛んだ桃の左腕は肘から先がなくなってました。苦悶の表情を浮かべる桃の様子から、ダメージの大きさがわかります。

 

「おや、確実に捉えたと思ったんだけど……思ったより反応がいい」

 

「桃!?お前!」

 

あまりの物言いに私の怒りはあっという間に頂点に達し、思わず那由多誰何の頭に対し拳を振るいました。

 

「あ、あれ!?」

 

しかし拳は彼女に当たることはなく、まるで何もなかったかのように通り抜けてしまいました。それは何度振るっても結果は変わりませんでした。

 

「落ち着けって。どーやら人には触れねーみてーだな」

 

そう言う浦飯さんも、オラオラ言いながら那由多誰何の後ろに回り込んで何度か頭を殴ろうとしてます。しかしやはり私と同じく拳はすり抜けていきました。

 

やはり物は触れても、過去を変えるような行動はできないようです。

 

「ウルトラムカつきますよこいつ!吐き気がします!」

 

「全くだ。でも今の攻撃を見ると、この時も桃じゃ倒せそうもねーが、どうやったんだ?」

 

変えられないと思っても、ムカつくものはムカつきます。思いの丈をぶちまけると、浦飯さんも同意しつつ疑問を口にします。

 

逃げる桃に対して先ほどのような攻撃が続いており、いやらしい笑顔を浮かべながら桃を追って行ってます。

 

 

 

───そして次の瞬間、空間が入れ替わる

 

先ほどまで家の近くだったのに、目の前には丘の上の桜が現れました。

 

「何で一気に場面が……!?」

 

「記憶が飛んでんのか……?わかんねーことが多いな、クソ」

 

桃は無くなった左腕から滴る血を右手で押さえつけ、桜の裏へ那由多誰何から隠れるように座っています。

 

「桃!腕は……!?」

 

「……致命傷じゃないから大丈夫」

 

桃のそばによって治療しようとしますが、桃は拒否しました。

 

そして腕を吹き飛ばした那由多誰何は埃ひとつ付いていないまま、ゆったりと桃に歩を進めます。

 

しかしふと立ち止まった彼女は、そこからゆっくり右手を伸ばしました。

 

その瞬間、強烈な衝撃と光が彼女の右手を拒みました。目に見えない結界と接触したようです。

 

「……なるほど、これ以上は無理か」

 

彼女の手は少し爛れ、じっと見つめた後その傷を舐めてました。そして桃に視線を戻します。

 

「なまじ君が中途半端に強いから一発で仕留めきれなかったよ。痛かったでしょう?」

 

「なんで……みんなを……!」

 

「そうだね……誤解されないように伝えるね」

 

「ぼくの願いはこの世全ての【かわいそう】を根絶すること。そのために見かけた魔族(エサ)は食べてます」

 

「……!?」

 

浦飯さん曰く人間を喰べた匂いではないと言ってましたが、やはり魔族だったようです。しかし魔族が人間を喰べるのは見てきましたが、逆のパターンは初めてです。

 

「……単なる食事じゃなくて、パワーアップのために喰ってるみてーだな」

 

「食べるのがパワーアップですか……?」

 

「単に願いを叶えるんなら魔族を封印するなりぶっ殺せば討伐カードは溜まるだろ?わざわざ喰う意味はねーはずだ」

 

「あ、確かに……」

 

那由多誰何の目は、濁りが全くなく、しっかりと桃を見つめてました。

 

「……何もかも間違ってる。お姉ちゃんはそんなことのために街を作ったんじゃない!」

 

「どうせ魔族なんて放っておいても勝手に増えるんだ。好きなだけ食べればいい。

ぼくの願い……この世の不幸がなくなるために使われるなら本望じゃないかな?」

 

いきなり胡散臭いというか、なんかスケールのでかいことを口走ってます。しかも魔族がゴキブリみたいな扱いです。魔族だって一生懸命生きてるんですよ!

 

「ある国では餓死で死んでいくしかない子供。その子の隣の国では無能なクズが全てを持っている。おかしいとは思わないかい?」

 

「一体何の話……?」

 

那由多誰何は突然何か語り始めました。桃はキョロキョロと反撃の糸口を探しているようで。自身の足元にある討伐カードを1枚手に取りました。

 

「魔族に襲われた人間を救うため魔族を殺した。そのことを感謝する人間もいれば、魔族以上の脅威として排除しようと攻撃してくる人間もいる。

ある日飢えて死にそうな人間を救ったこともあった。ひどく感謝されてね、とてもいい気分だった」

 

「……それで?」

 

「次の日に、私が助けた人間が金欲しさに人を殺していたこともあったよ。───そんな光景を何度も何度も繰り返して見てくれば、愚かしさに気づくと言うものさ。

この世はあまりに不平等で、欲が出過ぎて醜いよ」

 

───じゃあ平和になるにはどうすればいいと思う?

 

そう投げかけられた桃の答えは沈黙でした。そして私も。

 

そんな光景は見たことがないし、考えもしてません。短い人生の中で、普通は出会うことがないから。

だけど那由多誰何は長い時間を生きてきて何度も経験したのでしょう。それ故の言葉の重さを感じます。

 

「私はその答えを見つけたよ。人間……いや、生き物は多種多様に存在しているから戦うんだって。

殺す理由なんて些細なものさ。あれが欲しい、持ってるやつがムカつく、自分の物にならないなら……なんてね。

 

だったら個体を無くすような形に変えればいい。全ての生命がひとつの生命体に……なればいい。まぁ言うなれば単一の生命体……海のようなものになれば争いも起こらないだろう?」

 

「あー!聞きたくない!聞きたくない!聞きたくない!!」

 

那由多誰何の言葉を聞いた桃は叫びました。

 

姉の友人と思っていた人物が魔族を喰ってパワーアップし意味のわからないことを延々と喋り殺そうとまでしてくる。

 

当時小学生だった桃には辛い状況であることは誰の目にも明らかでした。

 

「とゆーか言っている意味がさっぱりわかりません!頭おかしいんですかこの人!?」

 

「イカれてんだよ。全くやることが極端というかよー。誰もテメーにやってくれなんて頼んでねぇっての」

 

「全くです!」

 

勝手に自分で絶望して、勝手に魔族を喰って回って平和にしようとか、迷惑極まりないです!桃に理解して貰えないと分かったのか、悲しげな表情を浮かべます。

 

「でもほとんどは目先の結果に囚われる。魔族を喰ったら泣いてる人もいてね。

だからぼくは身につけたのさ……【喰った魔族に関する記憶も喰べる】【喰べた魔力を我が物とする】という能力もね」

 

「……! だからいなくなった……喰われた魔族の記憶が消えているのはそのせい!?」

 

「その通り。ただし【魔族以外の他の食べ物を一切食べない】という【誓約】がある。まぁお腹が空いたら魔族を喰べてお腹も満たし力もつけるから問題ないけどね。

記憶がなくなれば悲しい気持ちにもなりようがないから、良い能力だと思わない?」

 

何でもないかのように言い放つ那由多誰何は、口元に持ってきた自分の指を少し舐めます。

 

魔族を喰うということが食欲だけでなく、支配欲も満たしているのではないか……と思ってしまうほど気持ち悪さが足元から這いずってくるような気分でした。

 

「さて、そろそろ桜ちゃんの残したカードを渡してほしいな」

 

那由多誰何は右手を桃に向けて、人差し指だけ弾きました。

 

突然の爆音。爆音後には弾け飛んだ木の一部と、後ろに隠れていた桃の脇腹の一部がえぐられてました。

 

「がっ!?」

 

「ふむ、中には入れないが攻撃は通れるようだね。と言うより、設定した人物だけを弾く結界かな?」

 

突然の攻撃に桃は全く反応できていません。抉られた脇腹を苦悶の表情で抑えてました。やつはそんな桃を見ておらず、淡々と結界について考察していました。

 

「え!?またいきなり吹き飛びましたよ!?」

 

那由多誰何の最初の攻撃もそうですが、今回の攻撃も魔力が感じられませんでした。まさか指を弾いた衝撃波だけであそこまでの威力を出せたというのでしょうか。

 

「……突然だと?おい、オメーまさか見えてねーのか?」

 

浦飯さんが訝しげに私を見ますが、私は空気の弾丸なんて見えません。見えない、と答えると浦飯さんは頭を掻いて困ったような表情を浮かべました。

 

「見えてねーってことは思ったより力の差があるみてーだな……」

 

「一体何の話……桃!?」

 

言葉の意味を聞こうとした矢先、またも爆音が響き桃は地面に倒れ込みます。もう一撃飛んできているようです。

 

魔力で強化している様子も見せない那由多誰何ですが、今の桃では反撃どころかまともな回避すらできていません。

 

しかしこちらからは触ることができない以上、見ていることしかできず話は進んでいきます。

 

「桃ちゃんの手に持っている討伐カードなんだけど、貴重だから無駄に使わないでほしいんだよね。どれくらいため込んでいるかも分からないしさ……」

 

「これは、このカードを使えば助かる方法がある。でも何でこんな大量にカードがあったのか当時は分からなかった」

 

「桃、何言ってんですかこんなピンチの時に!」

 

「これはシャミ子のお父さんのヨシュアさんのカードだよ。私は知らずに使ってしまったことを今まで謝れなかった……ごめん」

 

自分が殺されるというときに、桃は私に謝ってきました。

 

私は心底怒り、そして焦りました。状況を考えて謝れ!と。

 

「ごちゃごちゃ悩んでないで早く使っとけーい!!そんなちっさいことで私もお父さんも怒りませんよ!!」

 

早よせいや!!と怒鳴りつけると、桃は軽く笑い始めました。

 

「そっか、ちっさいことか。私の悩みは……はは」

 

「言ってる場合か!」

 

「小さい頃からうじうじ悩むやつだなーこいつ」

 

ようやく納得したのか、桃はカードを那由多誰何にかざし、カードが光り始めます。那由多誰何は余裕を持って見つめてます。

 

「あいつを殺……」

 

その言葉を発しようとした瞬間の那由多誰何の表情はまるで勝ち誇ったようなもので。誰がどう見てもダメな願いであることは明白でした。おそらく対抗策があるのでしょう。

 

「桃、それは───」

 

「あいつが喰った魔力を剥がして」

 

その言葉を聞いた瞬間、那由多誰何の表情は崩れました。

 

否、表情だけではありません。やつの体からガラスが割れるような音がしました。

 

その瞬間、那由多誰何の表情は憤怒を浮かべてました。今まで涼しい表情しか浮かべなかった彼女が、ここにきて激しい表情を見せます。

 

「やってくれたね───!」

 

「ザマァみろです」

 

桃は一歩踏み込んで間髪入れず杖を横なぎに振るいました。動揺した瞬間を狙ったのです。そして首に接触しようとして───

 

「ようやく結界の外に出てくれたね」

 

空を切った杖。桃の頭を鷲掴みにしたやつは、桃の頭を地面に叩きつけました。

 

「ボクが何千年もどれだけ頑張ったか、今まで喰った魔力を全部剥がすなんて、努力を無駄にして……本当にひどい子だ」

 

「桃!?」

 

「でもボクは諦めないよ。願いを叶えるまでね。───あと」

 

ピクリとも動かなくなった桃ですが、魔力は感じられるので生きてはいるようです。

 

立ち上がった那由多誰何はジロリと濁った目でこちらを見てきました。

 

「最初からずっと見てるツノの魔族と頭悪そーな魔族。お前たちはいつか殺す」

 

「え!?私ですか!?」

 

記憶の世界で認識去れないはずの私たちに向かって宣言したやつは、そのまま姿が消えていきました。

 

「おい!頭悪そーってなんだコラァ!ぶっ殺すぞ!!」

 

「おそらくその言動だと思うんですけど……」

 

おまけでしかも罵倒されたのがムカついたのか、消えた方向にやじを飛ばしまくっている魔族が一名いました。うん、チンピラにしか見えませんね!

 

「うるせーぞバカ魔族!」

 

「なんですとー!?ってこんなことしてる場合じゃないです、桃は?」

 

桃に駆け寄ると、桃は呻き声を出しながら目を開きました。よかった、無事ではないですがやばい状態ではないようです。

 

「ごめん、気絶してた……」

 

「ごめんなさい、私たち何もできなくて……」

 

「いいよ。これでやつの目的がわかったでしょう?」

 

「あんまり理解したくないですけどね……」

 

詳しくはよくわからなかったが人類を1つにする……つまり人類の抹殺が目的なのでしょう。何か急に壮大な話になってきました。

 

「あれの様子からすると、今もどこかで魔族喰ってそーだな。で、シャミ子とオレを狙いに来るってところか?」

 

「恐らくは……」

 

「面白れェ、返り討ちにしてやんぜ!」

 

拳を合わせて意気込む浦飯さん。確かにあのまま放っておくわけにはいきません。

 

「私も戦います!黙ってやられるのは嫌です!」

 

見えない攻撃、不気味な行動、壮大な……でも理解したくない夢。

 

今までにない敵に、私は不安を感じてました。

 

つづく




那由多誰何に仙水と王のセリフを言わせたかった。王の貧困の格差に対する台詞は好き。
仙水も王も樹やコムギとか近くの人の影響受けすぎてる気がする。
那由多誰何の願いは人類補完計画ですね、間違いない。
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