まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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投稿遅い割には短い修行回


5話「修行にバイトに……やること多くないですか?」

こんにちは、シャミ子です。

 

浦飯さんのせいで借金5200円ができたので、週末は杏里ちゃんの紹介でアルバイトをすることになりました。アルバイトなんてしたことがないのでドキドキしています。

 

え?今私が何をしているのかですか?

 

それはですね……修行です。それもただの修行じゃありません。

 

 

「うごごご……もう無理ですぅ……!」

 

「妖力一点に集中しろ、あと1時間」

 

「死ぬぅ……!マジで死ぬぅ……!」

 

 

針みたいな先の尖った置物の上に、右の人差し指1本だけで逆立ちの姿勢を保つ修行です。

 

何でも、これは浦飯さんが会得している霊光波動拳の修行だそうです。当時散々師匠の方に扱かれたそうで、私も何故かやることになりました。

 

これは妖力を針と人差し指が接する一点に集中することで、放出と留める工程を同時に行い、かつ姿勢維持の筋肉も鍛えることができます。

 

理屈は分かります。でも私は普通に逆立ちもこの前までできなかったんですよ?ちょっと順序おかしくないですか!?

 

横で軽々しくやっている浦飯さんがムカつきます!

 

そして本当にこの後1時間やりました。筋肉が死にそうです……。

 

しかもそれで終わりではありません。次は浦飯さんが右手のひらをこちらに向けるのを、私は両手で受け止める構えをとります。

 

 

「相手の霊波動を受け止める訓練だ。気合い入れなきゃ死ぬぜ」

 

「えぇ!?」

 

 

何言ってんですかこの人!修行で死ぬとかアホなんでしょうか。今はスポーツ科学の時代ですよ。だがこの人はマジでやる人です。気合いを入れ衝撃に備えます。

 

 

「はっ!!」

 

 

浦飯さんの右手から凄まじい衝撃が発せられ、耐えきれず私は吹き飛び、意識がなくなりかけました。

 

 

「微動だにせず受け止められるまでやるからな。早く立て!」

 

 

何か言っている気がしますが全く聞こえません。ええ、聞こえませんとも。

 

そんな感じでささやかな抵抗をしますが、そのせいでより内容が厳しくなりました。

 

燃え盛る火の中で座禅もやらされました。さらに本当は寝るときは針の山の上で寝るらしいのですが、この夢の中には針の山はないし寝ることはないので、それはなしになりました。

 

これだけでも、私を殺しにかかっているとしか思えません。

 

しかしその中で一番ひどいのが浦飯さんとの組手です。

 

妖力全開で挑みますが、かすりさえしません。

 

 

「ほらほらどうした!そんなスピードじゃいつまでも追いつけねーぞ!」

 

「うりゃりゃりゃー!」

 

 

両手で殴りに行きますが全部軽く避けられます。次の瞬間、足を掬われました。

 

 

「足元がお留守だぜ」

 

「まだまだー!」

 

 

完全に転びそうになるのを右手で体を支えることで防ぎ、そのまま横になった体勢で足を蹴りに行きます。そして、ぶちかましてやりました。

 

 

「痛ぁー!」

 

 

だがダメージがあったのは私の足です。蹴った私の足が痛いとはどういうことでしょうか。

 

 

「おい、寝てんじゃねーぞ」

 

 

浦飯さんは私の顔を蹴ろうとしましたが、腕でガードすることで防ぎました。その衝撃で後ろに吹き飛びましたが、そのまま私は真っ直ぐ突っ込んで、憎き顔を狙います。

 

 

「くらえー!」

 

「デコピン」

 

カウンターでデコピンを食らいました。その威力は数m吹っ飛ぶレベルです。てゆーか頭が割れるように痛いです。

 

「痛いですー!」

 

「攻撃が単調なんだよ。もっとよく考えろよな」

 

 

呆れた顔で浦飯さんがそう指摘します。戦いなんてしたことないからわかりませんよ。でもそういうとまた何か言われそうですし、今は借金増やした男の顔を殴りに行くのが先決です。

 

 

「うぅぅ!行くぞー!借金の恨みー!」

 

「いいじゃねーかあんくらい。今度まとめて返すからよ」

 

「ダメ亭主みたいなこと言うなー!大体浦飯さんでも、返すのは私の体じゃないですかー!」

 

「……そう言われると、何かエロイな」

 

「違いますー!この変態ー!」

 

 

結局、ボロボロに負けて、目の前が真っ暗になったと思ったら、朝でした。

 

き、きつすぎる……!日中も筋トレしてますが、浦飯さんの修行はその比じゃありません。あんなもん、ただの拷問です。

 

これでは桃と戦う前にダメになってしまいます!こうなれば、やることは一つ!

 

 

「だから今日はお休みします!!」

 

「何言ってるんですか優子?」

 

 

お母さんの呆れ顔も、今は無視!今日こそじっくり休みます。

 

そう考えていた、時期もありました……。

 

 

 

 

5話「修行にバイトに……やること多くないですか?」

 

 

 

 

えー、ただいま放課後です。私は休む予定でしたが、何故か体操服に着替えて、多魔川の河川敷にいます。

 

その原因は横にいる人物のせいですね。

 

 

「何で桃が私の修行を監視するんですか?」

 

「浦飯さんからシャミ子の修行の手伝いをしてくれって頼まれたから」

 

 

桃もトレーニングの格好をしてました。なんかカジュアルです。よくランニングしている人とかがしている格好です。しかも準備体操してます。これは桃ってばやる気満々ですよ。

 

 

「何で!?いつ!?」

 

「浦飯さんがシャミ子の体に入って、勝負で負けた後『シャミ子のやつ多分夢の中で扱いてるから、起きてるときは普通の筋トレぐらいで済まそうとする。だから扱いてやってくれ』って頼まれた」

 

「浦飯さーん!!」

 

 

あの人は敵である魔法少女に何頼んでるんですか!いや、待ってください。そうなるとまさかここであの修行をするということでしょうか。

 

いやいや、ここであんな修行をやったらご近所さんに通報されそうな修行です。そして私がやりたくない!

 

 

「桃。あの人の言うことを聞く必要はありません。さぁ、今日はゆっくり休みましょう」

 

「こうも言ってた。『夢の中じゃ戦い方や妖力の使い方は学べても、身体能力を鍛えられないから、どっちにしろやらなきゃいけねー』って。筋トレならまかせて」

 

 

そう言った桃の目は輝いてました。そう、力強く輝いてます。しかもうずうずしています。

 

 

「何でそんなに嬉しそうなんですか!?ちょっと楽しんでません!?」

 

「そんなことないよ。大丈夫。メニューは浦飯さんから口頭だけど聞いているから」

 

「あのメニューは何一つ大丈夫じゃないですー!」

 

 

私は全身を妖力で強化し、家の方向に走り出しました。今日は休むって決めたんです!

 

 

「逃がさないよ」

 

「早い!」

 

 

いつの間にか変身し、目の前に回り込んだ桃が私の肩を抑え込みました。私はその拘束を振りほどこうと力を入れます。

 

―――動かない!

 

その時、私の脳裏に浮かんだのは、工事現場のクレーンです。それほど、桃と私の力は圧倒的な差がありました。

 

 

「大丈夫。怪我しないようにするから。一緒に頑張ろう」

 

「うわーん!」

 

 

結局、今日夢の中でやったメニューを現実でもやる羽目になりました。

 

まず指一本での姿勢制御。

 

 

「う、腕が……!」

 

「少し妖力使い過ぎだね。もう少し抑えて」

 

「これ以上、はちょっとぉ……!」

 

 

桃の魔力を受け止めたりもしました。

 

 

「ぶへぇ!」

 

「シャミ子は受け止める手に妖力を集中しすぎて、踏ん張るときの足に対しての妖力の配分が足りてないね。次はそこを気を付けようか」

 

「………」

 

 

正直意識が飛ぶ寸前でした。ほとんど聞こえませんでしたが、もっとできないとやばいということだけは理解できました。

 

さすがに火あぶりはなかったので安心です。その代わり、今の私の目の前に置かれているのは大きな岩でした。大体私くらいの岩です。

 

 

「さ、これを持ち上げてスクワットだよ」

 

「こんな大きな岩持てるわけないでしょう!第一どっから持ってきたんですか!」

 

「細かいことは気にしないで。さ、やろう」

 

「人の話を聞けー!」

 

 

何度か説得しようとしましたが、、全く改善ならず、言われるがまま修行しました。

 

そうして、辺りが暗くなって夕飯の時間になるまで修行をやり切りました。

 

 

「今日はお疲れ。ここまでにして、また明日頑張ろう」

 

「………」

 

「シャミ子……生きてる?」

 

 

返事がない。ただの屍のようだ。

 

いや、真面目にそのレベルで動けません。昼も夜もこんなことやっていたら死ぬわ!

 

そう思いながら、私は意識を手放しました。

 

目が覚めたら、家の前にいました。どうやってここまで来たかわかりませんが、どうやら帰ってこれたらしいです。

 

妹の良子やお母さんに大層心配されつつ、私は床に就きました。明日になれば、また元気に……。

 

 

「よし、組手から今日はやんぞ」

 

「殺す気かー!!」

 

 

寝ても起きても地獄ですよ!このままじゃ戦う前に死にます!

 

私は浦飯を説得しました。このままでは魔法少女の生き血をとる前に修行で死ぬと。そう話すと浦飯さんは頭を掻いてました。

 

 

「今のオメーは無茶苦茶弱ぇーから、もっと鍛えないと桃以外に襲われたら殺られんぞ?」

 

「両方同じ修行していたら死ぬんですよ!」

 

「つってもオレがやってた時より時間は全然短いしな……よし」

 

 

説得のおかげか、桃の時は筋トレと霊光波動拳の修行を。浦飯さんとはひたすら組手することになりました。

 

これでやっと楽になれる。この時はそう思ってました。

 

え?違うのかですって?

 

簡単に言えば……寝てる間中、浦飯さんと組手ですよ?しかも昼間の修行は妖力使う修行だから温存する必要があります。

 

したがって浦飯さんとの組手はほぼ生身の肉弾戦のみになります。そうなると、結果は……わかりますね?

 

結局、楽になると思ってた少し前の自分を思い切り殴り飛ばしたい結果になりました。まぁぶっ飛ばされているのは私なんですけどね。

 

ここから毎日毎日修行の日々でした。正直修行で殺されそうです。

 

週末になり、バイトに出向くと、杏里ちゃんのお母さんの指示のもとウインナーの試食販売をすることになりました。何か杏里ちゃんのお母さんにやたらと心配されました。そんなに顔色悪いですかね?

 

いっぱい売れたら売れた分だけバイト代は弾むということで、気合い入れて通行人に声をかけまくります。

 

以前でしたら知らない人に声をかけるなんてちょっと恥ずかしかったですが、なんだか最近度胸がついた気がします。

 

何故かたまたまいた桃がいっぱい買っていってくれたので、売り切れてバイト代は弾みました。買っていく直前、私が倒した試食のウインナーを、桃は全て爪楊枝を刺した状態で拾うという超スピードを会得して帰っていきました。

 

しかし変身って早いんですねー。あんな複雑な服装が一瞬で全部装着されるんじゃなくて、部分ごとに分けて装着されていくとは……中々魔法少女も奥が深いです。

 

バイト代を次の日桃に返しても、いくらか残りました。

 

そんなこんなで修行の日々を続けていると、桃の顔色がなんか変でした。明らかに桃ってば体調が悪そうですが、大丈夫でしょうか?

 

……待て待て、敵の心配をしてどうする?それに魔法少女が風邪なんて引くんでしょうか?

 

ということで浦飯さんに聞いてみたところ

 

 

「オレは風邪ひいたのはガキの頃だけで、魔族になってからはねーな。魔法少女のことなんてわかんねーよ」

 

 

とのことでした。案外使えないですねこの人。

 

心配した次の日の学校の登校途中、桃がふらふらになっているのを発見しました。

 

 

「大丈夫ですか桃?顔色悪いですよ?」

 

「そうかな。昨日くらいから風邪っぽいかも」

 

 

明らかに顔色が変ですし、フラフラだし、髪の毛がぼさぼさでした。いつものキリっといた感じとは大違いです。

 

 

「……やっぱり、調子悪い……」

 

「桃!?」

 

 

そのまま倒れそうになるのを私は支えて防ぎました。額に手を当てると明らかに熱いです。これは学校に行ける体調ではありません。

 

私は公衆電話から学校に桃が欠席することと、私は遅刻することを伝えると、そのまま桃の家まで桃を担いでいきました。

 

 

「(今なら隙だらけですね……)」

 

 

でも、そんなんで勝っても嬉しくないです。何のためにあんな頭のねじが飛んでいるような修行しているのか。

 

こんな弱っているときに勝っても、意味がないし嫌でした。倒すなら真正面からです。

 

近くのスーパーで色々食材と薬を(桃のお金で)買って、桃の自宅に到着しました。

 

前回来ましたがでかいです。しかもあの時、家族はいないと言ってましたから、今は桃1人です。

 

ちょっと学校ある日に人の家に行くのってドキドキします。

 

玄関のセキュリティーも前回教わっているので問題なし。56562。つまりごろごろにゃーちゃん。

 

 

中に入ると猫が迎えに来ました。喋る猫……桃曰ナビゲーターのメタ子はエサを与えて大人しくさせます。しかし猫に喋られる意味はあるのでしょうか?

 

桃は居間でなくベッドに寝かせて、買ってきた食材で簡単に料理を作ります。といっても私もそんなに料理スキルはないので、うどんと夕飯のおかゆくらいです。明日の朝はパンですね。

 

しかし全然食材もないし、お菓子のゴミが多いですね。これじゃ体を壊します。

 

一通り家事を終わらせて、学校に向かいたいと思いましたが、一回桃の顔を見ておきます。

 

ベッドの周りには散乱とまでは言いませんが、物がいくつか落ちています。片付けようかと思いましたが、家主が認識してないときに片付けると、どこにあるか分からなくなりそうなので止めておきました。

 

 

「桃ー、寝ましたか?」

 

「起きてる……」

 

「私はもう帰りますけど、冷蔵庫にお昼と夜のごはん作ってるので食べてくださいね。お休みなさい……」

 

「あ、待ってシャミ子……痛っ」

 

 

ドアを閉めようとしたとき、桃は何故かベッドから立ち上がって引き留めようとしてきました。でも体制が悪くふらついて、地面に倒れてしまいました。

 

 

「桃、危ないですよ。大丈夫ですか?」

 

 

桃に駆け寄ると、開いていた私のカバンから邪神像が落ちてしまいました。どうやらしっかりファスナーを閉めてなかったようです。

 

落ちた邪神像はそのまま転がって、桃の手の横にくっつきました。

 

 

「……シャミ子、落ちたよ」

 

「ありがとうございま……!!」

 

 

桃が邪神像を持った瞬間、光りだしました。こ、これは一体!?

 

 

「何の光ぃ!?」

 

「これは、魔力が吸われている!?……手の怪我!?」

 

 

桃が触った手の方には、傷がありました。この部屋の床に落ちていたもののせいで、転んだ拍子に傷ができてしまったのでしょう。

 

つまり、意図せず邪神像に魔法少女の生き血を捧げてしまったことになりました。つまり、封印の解放です。

 

光が収まり、辺りを見回しても、何も変わってません。封印が解かれているのであれば、浦飯さんがいるはずですが……。

 

 

「いやー、何か喋れるようになったわ」

 

「この声、浦飯さん?」

 

 

邪神像から浦飯さんの声がスピーカーを通したみたいに聞こえます。何か不気味ですね。

 

 

「おう、まだ出れねぇが喋れるようになったわ。これで修行とか色々口に出せるな」

 

 

その発言を聞いて、桃は悪かった顔色がより悪くなってきました。

 

 

「私、浦飯さんが喋れるようになったためだけに、大量の魔力を取られたの……?」

 

 

少し起き上がった桃が、またふらついてました。慌てて私は桃を支えてベッドに戻しました。

 

せ、せっかくあんなに修行したのに、こんなで封印が一部解けるなんて……!

 

 

「何か納得いきませーん!!」

 

「いいじゃねーか、一応封印は解けたんだしよ」

 

「私の修行の苦労を返してくださーい!」

 

 

この後調べて、1ヶ月4万円生活の呪いも解除されていて家族は喜んでましたが、どうにも納得できませんでした。

 

私の修行の成果はいつ発揮されるんですかー!!?

 

 

頑張れシャミ子!辛い辛い修行を続けて、S級とまでは無理にしろ、一人前の魔族になるのだ!

 

 

つづく。




危機管理フォームと夢の中に入る能力はいったんお預け。今回はシャミ子の修行回。

作品違いですが夢の中に入る能力って特質系になるんでしょうか?性格だとシャミ子は完全に強化系ですが。

ついでに描写はないですが妹の良子はパソコンとカメラ持つことができました。かわいい
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