まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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仙水編の洞窟に入る感じ。
倉庫の先は捏造です。ご注意を


50話「突撃、街の中心です!」

「小倉さんがいない!?」

 

ばんだ壮に戻った私たちは、お母さんたちからそんなことを聞かされました。野暮用で外出する、とだけ言っていたようです。

 

「……小倉なら何か知っていると思っていた」

 

「小倉の連絡先知ってる?」

 

「確かあの子は連絡できるもの、持ってないのよ」

 

「何があったんだい?」

 

私たちの様子を見てなのか、マスターとリコさんがこちらへ顔を出してくれました。

お母さん、良子含めて今までの経緯を説明しました。

 

「洗脳って……しかも2人が攫われたって、そんな」

 

「ど、どうしましょう。110番?」

 

「いやぁ無理やろ。警察なんかじゃ役に立たへん」

 

通報しようとしたお母さんを止めたのはリコさんの言葉。どう考えても警察じゃ那由多を抑えられる力はないでしょう。警察に素直に従うタイプでもなさそうですし、無駄に犠牲者が増えそうです。

 

「……このタイミングだと小倉も攫われた可能性もある」

 

桃はそう言いつつもチラリと良子を見ます。良子の前だから言わないようですが、小倉さんが殺されている可能性もゼロじゃありません。あいつら、好き放題やりやがって!

 

「もう我慢できません!奴らのところに殴り込みです!」

 

拳を思い切り握り込んだ私は部屋を出てこうとします。

 

「やめときよし」

 

「ふぎゃ!?」

 

出て行こうとした瞬間、リコさんに思い切り尻尾を引っ張れてしまって変な声が出ました。尻尾は割とデリケートなんですよ!?

 

「1人で行っても返り討ち間違いなしや。大体場所はわかるん?」

 

「分かりません!でも待ってもいられません!」

 

待ってられない、という言葉に対して桃とミカンさんは頷きます。時間をかけるほど碌なことにはならないでしょう。

 

「あいつは街の中心で待っていると言っていた。ただそれがどこかは……」

 

「そしたらマスターは占いが得意やし、何かのヒントになると思うわぁ。なぁマスター?」

 

桃が場所のヒントを言うと、リコさんは甘い声でマスターに尋ねました。そういえばマスターは昔占いをしていたと言ってましたね。

 

「そうだね。時間がないようだし、できるだけやってみよう」

 

マスターは一度自室に戻り、色々道具を持ってきました。どうも中国っぽい占いのようです。

 

「街の中心、那由多の居場所っと……」

 

占いはさっぱりなので何がどう示しているのかまるで分かりません。ただ段々マスターの眉間に皺が寄っていきました。

 

「街の中心は……ここだね」

 

指し示した場所は枯れないはずの桜があった公園。那由多が欲しがった討伐カードがいっぱい入っている壺が埋まっていた、あの公園です。

 

「でも公園におかしなものとか秘密基地みたいなのってありましたっけ?」

 

「いや、全くないね」

 

桃がはっきり否定します。しかしマスターは唸りを上げます。

 

「それなんだが、どうも地上ではなく地下らしい。割と深めだね」

 

「……穴でも掘ります?」

 

「物理はちょっと時間かかりすぎるし却下ね」

 

私の提案はミカンさんにあっさり却下されました。心なしか桃も肩を落としています。

 

「きっと地下に通じる穴があるはずだよ。入り口は……」

 

マスターが細長い鎖を出して、地図の上に垂らしました。

目を瞑り、マスターの体と鎖が妖気で覆われていきます。しばらくするとある場所でぐるぐると鎖が回転したのです。

 

そしてその位置はミカンさんの元工場跡地でした。

 

「ここ、元ウチの工場ね」

 

「……姉さんが必殺技を撃ったところだね」

 

前回行った時は特に何かおかしなものや扉があったことはなかったはずですが、見逃していたんでしょうか?

皆の表情を伺うと、心当たりがないような感じでした。

 

「工場に隠し通路みたいなのってありましたっけ?」

 

「……いや、知らない。姉さんからは聞かされてない」

 

「私もさっぱりだわ。そんな話、一度もお父さんたちから聞いたことがないわ」

 

桃の発言を聞いてミカンさんも肩をすくめて答えました。

 

「よし、早速突撃です!調べれば何かしらあるかも!」

 

「……そうやなぁ。せやけど、メンバーは戦闘できる者に絞った方がええやろ」

 

「……どう考えても罠だしね」

 

本当はもっと調べてからいきたいけど、と桃は呟きます。

敵の人数や能力がほぼ不明のまま攻めに行くのは、はっきり言って無謀でしょう。

しかし時間をかければ囚われている人たちがどうなるか分かりません。

 

「……でもこちら側の能力は杏里からの情報でバレてるでしょう。下手な小細工するより、まとまって攻撃した方がまだ活路はあるはず」

 

「シャミ子はん。もし杏里はんが攻撃してきたら、戦えます?」

 

あまり考えたくないような事をさらりと言ってきたリコさんに、ちょっと!と咎めるミカンさん。

すっごく嫌だし、卑劣な事だけど、那由多ならやってきそうです。

なにで私は一旦息を吐いてしっかりとリコさんを見ます。

 

「ぶっ飛ばして正気に戻します!杏里ちゃんは友達ですから!」

 

私の回答に、リコさんは軽く笑って頷きました。

 

「それでこそ、幽助はんの弟子や」

 

「……よし、それじゃあ突撃のメンバーはシャミ子、私、ミカン、リコ。この4人で行きましょう。他はばんだ荘のシャミ子の家で待機していてください」

 

「ウガルル、あなたはここで皆を守ってね」

 

「分かったゾ、ミカン」

 

桃がメンバーを選定すると皆頷きました。心配そうにお母さん、良が私を見ていますが、私はサムズアップで答えます。今まで話に参加してなかったウガルルさんも、状況は理解しているので頷きます。

 

「大丈夫です!浦飯さんたちを助けて帰ってきます。だから家で待っていてください」

 

「必ず帰ってくるんですよ」

 

「お姉、ファイト!」

 

私は頷いた後お父さんの段ボールをチラリと見ます。何も変わりありませんが、なぜか気になりました。

 

「……行ってきます!」

 

 

☆☆☆

 

 

廃工場に到着して、皆で人の気配、妖気や魔力を頼りに索敵しますが、ちっとも感じられません。

 

「こっちや」

 

1人クンクン辺りを嗅いでいたリコさんが、サクラさんの砲撃の跡の先を指さします。

 

「なんで分かるんですか?全く魔力のカスさえ感じませんよ?」

 

「魔力は消せても、生物の匂いは完全には消せんよ」

 

そう言うと、リコさんは砲撃の跡が残っている隣のプレハブに入っていきます。

 

「……ここだけ埃がないね」

 

プレハブの中に入ると物がごちゃごちゃ置かれていますが、中央だけ何もないです。そしてそこだけ桃の言う通り埃が極端にないのです。

 

「でも入り口っぽいものは何もありませんよ」

 

「……でも音は響くね」

 

桃が地面を拳で軽く叩くと、少し響くような感じでした。どうやらマジで入り口っぽいです。

さて、どうやって入ることができるんでしょう?と考えていると、桃が拳に魔力を集中させて振り上げました。

 

「ちょ、待っ───」

 

爆音。桃の拳で瓦礫になった床の下から、階段が見つかったのです。見つけた張本人は、拳を振り下ろした体勢のままでした。

 

「ちょっと桃!壊すなら何か言ってからにしなさいよ!」

 

「……めんどくさい」

 

「ズボラ魔法少女め!」

 

「まぁでもマスターの言う通り、入り口はあったんやし、問題ないやろ。ふふっ」

 

本当に地下への入り口が現れ、マスターの占いが正しかったことが証明されるとリコさんは誇らしげに胸を張ります。自分のことのように嬉しいようです。

 

私たちは階段を降りていくと、暗闇が続いています。これじゃ全然前が見えません。

 

するとリコさんの葉っぱが光って、辺りを照らしてくれます。

 

「狐火……のような感じの妖気の光や。これでいいやろ?」

 

「バッチリです!ありがとうございます」

 

しばらく道なりに歩いていきます。天然の洞窟のようになっていて、グネグネと曲がり道が多く、今街のどの辺りを歩いているか、よく分からなくなってきました。

 

「てかこの街の地下にこんな洞窟があったって知らなかったわよ」

 

「凄いですよね。この街は色んなもんがあってビックリです」

 

「……姉さんも街のことをもっと教えて欲しかった」

 

「電光掲示板が欲しいわぁ」」

 

分かれ道も多く、ミカンさんがボウガンの矢を地面に突き刺して目印にしておかなければ、何度道に迷っているか分かりません。

 

「しかしリコさん、よく道が分かりますね」

 

「言ったやろ?生き物である以上、匂いは消せへんよ。それに最近歩いた後も見えるしなぁ」

 

「……なるほど。確かに埃が多い方と少ない方があるしね」

 

リコさんと桃の言葉に、この人たちは探偵とかやったほうが儲かるんじゃないでしょうかと思いました。

 

「随分長い道ね」

 

1時間以上歩き続けて、ミカンさんがポツリと呟きます。

 

「……敵が罠を張ってる可能性もあるから走って行くのはリスキーだしね。思ったより時間がかかるかも」

 

「それが敵はんの狙いやろな」

 

「……あ、見てください!」

 

私が指し示す方向には巨大な鉄の扉がありました。大きな扉は中央にGと書かれています。

 

『デビルカントリーへようこそ!君たち7人は選ばれた戦士だ!!

これから君たちは国の平和を取り戻すため悪の大統領である真ゲー魔王を倒さねばならない!!』

 

衝撃が走りました。このゲーム音声、そしてこのフレーズ。私はリコさんと顔を見合わせて頷きました。

 

「え、なにこれは」

 

「……一体何の」

 

「「真!ゲームバトラーのオープニングです(や)!」」

 

「何それ?」

 

「TVゲームですよ!」

 

真!ゲームバトラーは昔流行ったゲームバトラーの続編です。

 

前作からボリュームアップしましたが、基本的なコンセプトは同じ。

真ゲー魔王とクイズ、スポーツ、シューティングなどあらゆるジャンルのゲームを競い合い、7戦のうち4勝以上しなければならない。

 

『ミヤの領域にようこそ。ミヤの領域はゲームの通り進行してもらう必要があるよ!

なので7人必要で、7人以下はこの扉を進むことができないよー』

 

「……ふざけてる」

 

桃は力一杯扉を押しますがビクともしません。

さらに変身して刀を扉に振いますが、甲高い金属音を響かせるだけに終わりました。傷一つありません。

 

「領域の能力によっては暴力NGですよ桃。ダメージなしです」

 

前に戦った能力者も暴力NGでした。領域にもよりますが、直接の暴力が通じない相手はかなりやりにくいです。

 

「面倒臭い……」

 

「どうする?今は4人だし、残りの3人必要よね?」

 

「3人ですか……」

 

事情を知っているのは現在お母さん、良、マスター、ウガルルさんで4人です。ウガルルさんはともかく、戦う場所に他の3人を連れてくるのは気が引けます。そのことをここにいるメンバーに伝えます。

 

「確かに気が進まない。しかし事情を知らない人をここに連れてくるのは……」

 

「せやなぁ……それが狙いやろ。事情を知らない人間を呼んだら不和が起こる。かといってマスター達では人質をとられたようなもんや」

 

うーん、と全員悩みます。そしてこうして悩んでいる時間も本来であれば無駄なものです。イチイチいやらしい手を打ってきますねあいつら……!

 

「でも考えようによったらゲームが得意なマスターや良なら力になってくれるかもしれません」

 

「……巻き込むのは気が引けるけど、仕方ないか」

 

「どうする?誰か1人呼びにいく?」

 

「いや、よした方がええ。単独行動して狙われた方が危険や。全員で行こか」

 

リコさんの言う通り、単独行動で個別の撃破を避けるため道を戻ってばんだ壮に戻って事情を説明し、4人にきてもらいました。

随分時間を食ってしまいましたが、ようやくこれで8人です。

 

『ようこそデビルカントリーへ 君たちは選ばれた戦士だ』

 

8人揃ってから扉を触ると、アナウンスと共に扉が開きました。どうやら8人でも大丈夫のようです。

 

「やっほー。よくきたね」

 

扉の向こうで待っていたのは、肩まである黒髪の内側をピンクに染めており、黒とピンクのフリフリの格好をした私より少し大きな女の人でした。大学生くらいに見えます。いわゆる地雷系ファッションというやつでしょうか。

 

「待ってたよー?じゃ、ゲームやろ!」

 

底抜けに明るい声が、逆になんだか不気味でした。

 

つづく




天沼戦のオマージュ。女の子のイメージは歌舞伎町のトー横近くとかにいる子のイメージ。
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