まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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冨樫先生ってゲーム系の話好きですよね。
あんまり分かりづらくないように書いたつもりです。


51話「領域で真!ゲー魔王です!」

「よく来たねー。あんた達が那由多さんの邪魔する奴らでしょー?」

 

敵意というより、なんだか小馬鹿にされているような言い方です。良はムッとしていますが、お母さんが頭を撫でて宥めてます。

 

「御託はいい。ルールは?」

 

「えーつまんなーい。もっとミヤに構ってよー」

 

ミヤと名乗った女性は椅子に座りながら足をバタつかせます。

その様子に桃の眉がピクリと上がります。ベタベタした喋り方は好きじゃないようですし、状況が状況だけに緊張感のない相手の態度に苛ついているようです。

 

「優子、どうすればいいの?お母さん、ゲームはさっぱりだわ」

 

「ウガウガ」

 

お母さんの疑問も尤もで、ウガルルさんもさっぱりのようです。なので簡単に説明します。

 

「今回やるゲームは【真!ゲームバトラー】という多ジャンルゲームですね。

真ゲー魔王があそこにあるスロットマシーンを回します。それでゲームの種類とレベルが決まるんです。ゲームの種類は幅広く、レベルは1から10まであります」

 

私はミヤと名乗る女性の横にあるスロットマシーンを指さします。完全にランダムですから運が良いと優しいレベルが連続して出ます。その逆もあるので、プレイが安定しないのも特徴ですね。

 

「7戦の内、先に4勝した方が勝ちです。ルールも同じでいいんですよね?」

 

「うん、その通り。私の能力は【立体体験】って言う『体験させる』能力だから、難易度は本物のゲームと同じだよ!頑張っていこー♪」

 

【真!ゲームバトラー】は浦飯さんともやっているし、ゲーム内容としては問題ないです。

 

ただ『体験させる』能力……と言うのは聞いたことがありません。

ゲームを体験させるだけなら怖くないかも……と考えましたが、内容次第だなと思います。

ゲーム内ではこちらの能力が使えず、ゲームキャラに忠実な能力でやるのであれば、死にゲーの場合間違いなく全滅します。

 

いやですよ、ダーク⚪︎ウルを一度も死なないでクリアしなきゃいけない能力者相手とか。

 

ある意味真!ゲー魔王で良かったです。

 

「分かりました。こちらが3勝するまでは真ゲー魔王の部下であるゲー魔人が相手になります。だからそこはミスなしで行きたいです」

 

8人しかいなくて、ウガルルさんとお母さんはほぼゲーム経験なし。そうすると実質6人で戦わないといけませんから、部下相手は1つも取りこぼせない状況です。

 

「ところでこのゲームやったことがあるのは私と……」

 

見渡すとミカンさん、リコさん、マスター、良子が手を挙げてました。良は部下は倒せますがゲー魔王は1回倒しただけ。残りの人たちは……

 

「何度かシャミ子とやったから、弱い部下なら何とか……」

 

「ウチは真ゲー魔王なら大体勝てますわぁ」

 

「僕は真ゲー魔王は勝ったり負けたり。勝つ方が多いかな」

 

ミカンさん、リコさん、マスターの順で答えてくれました。

ミカンさんは一緒にゲームやる仲なので実力は把握できていますから、部下を相手にしてもらいましょう。

リコさんとマスターは思ってた通りゲームが上手いようです。心強いですね。

 

「(封印空間の中で)浦飯さんと一緒にやっていたので、私も真ゲー魔王なら大体勝てます。しかし実際の真ゲー魔王よりあの人は強いでしょうから、私とリコさんがあの人の相手ですね」

 

「そうやな。自信があるからこのゲームにしたんやろうし、それでええよ」

 

ミヤと名乗った人をチラリと見ると爪を見てました。こちらの視線に気づくと「早くして〜」と不満の声を上げます。

しかし何か緊張感のない人です。とてもあの那由多の仲間には思えません。

 

何で那由多に協力しているのか分かりませんが、この勝負に勝たないと前には進めないでしょう。故に勝てるメンバーで組む必要があります。

 

「もー時間切れでーす!スロット回すねー!」

 

「よし。まず3戦のメンバーはミカンさん、良、マスター、内容によっては桃で頼みます」

 

「分かったよ、お姉」

 

「レースゲームとかスポーツ系ならいけるわ!」

 

「任せてくれたまえ」

 

「……え、私?」

 

残念ながらお母さんとウガルルさんは戦力外ですので、消去法で桃も加えてこのメンバーにしました。

お母さんはどこかホッとしてました。いまだにゲームのことをピコピコって言いますし、触ったことすらないですからね。ウガルルさんに至っては未だに内容を理解できていないのでゲーム以前の問題です。

 

「んじゃー行くよ。まず最初は……えい♪」

 

カラフルな爪だらけの手でスロットのスイッチを回すミヤ。くるくるとスロットが回り、ゆっくりと止まります。

まず1回目のゲームは【スポーツ・テニス・レベル4】となりました。

 

「つまんないのー、簡単なの出ちゃった。まぁいいや、部下のゲー魔人の強さは実際のゲームと同じだから安心してね」

 

「ミカンさん、頼みます」

 

「シャミ子いいの?良子ちゃんじゃなくて」

 

この中で最年少は良子です。故にミカンさんは良子に先に譲ろうとしましたが、良子はミカンさんに向かってピースサインをしました。

 

「大丈夫。私、部下のゲー魔人ならレベル10でも倒せる」

 

「そ、そう。頼もしいわね」

 

なのでゲー魔人相手なら良子は問題なしです。なのでレベルが低い敵はミカンさんで勝ちを拾いましょう。

 

『シングル対戦。3セット先取で勝利。選手を選んでください』

 

「いつものレンドラで!」

 

ミカンさんが選んだのはバランスに優れているキャラで、ミカンさんの持ちキャラです。

下手に強力なキャラを選ぶより、使い慣れているキャラのほうがやりやすいし、キャラ対策も出来ているから無難でしょう。

 

「あー、言い忘れてたけどぉ……私の能力はちょっと特殊だから」

 

始まる直前、ミヤが突然そんなことを言いました。この直前でルール変更でもあるっていうんですか!?

 

「そーゆーことは先に言ってくださーい!」

 

「言うタイミングが遅れただけだもーん」

 

私が抗議の声を上げますが、ミヤは爪をイジりながら何でもないかのように言ってきます。どうなるのか戦々恐々としている私たちをよそに、ゲームは開始していきます。

 

「ちょっと何よこれー!?」

 

空間が歪み、現れたのはまるで本物にしか見えないテニスコート。私たちはいつの間にか観客席にいて、コートに立っているミカンさんから悲鳴のような声が聞こえます。

 

「これは、ミカンさんがキャラとして実体化している!?」

 

「まぁ簡単に言うとVR的なやつー?

わざわざ高い料金払わなくても楽しめるんだー、私の【立体体験】!」

 

何でもないかのように言うミヤ。コントローラーで動かすのではなく、自分の体を動かすようにゲームをするのが奴の【立体体験】という能力のようです。

 

肉体を動かさなきゃいけないと言うのであれば、ゲームが得意でも運動が苦手な人だったらほぼ封殺できる能力!

 

「自分自身の肉体でやらなきゃいけないってことやな。内容によっては有利不利がハッキリ出そうな能力やね」

 

「だね。そしてこれに関しては陽夏木君には有利なようだ」

 

「いけるわ!体動かすのなら、むしろゲームよりも得意よ!」

 

リコさんとマスターの言う通り、ミカンさんは能力が発動する前よりも自信ありげです。

 

確かにこの前の授業でミカンさんは漫画ばりのプレーをやってましたからね。とはいえ五感を奪ったりなどのトンデモはやってませんが。せいぜい初期のドライブBくらいです。

 

そしてゲームを始まります。ミカンさんボールで始まると、すかさずサービスエースを連続で決めて、点を積み重ねていきます。

いつものミカンさんのゲームの動きより遥かにキレがいいです。自分で体を動かしているからでしょう。

 

「……なるほど、ミカンさんはゲームより運動の方が得意だから、実際体を動かしたほうが有利になるんだね!」

 

「その通りや良子はん。逆に体を動かすのが苦手な人は、不利になりやすいゲームが多いちゅーことや。ものによるけどな」

 

ミヤの能力はただ大きい画面でゲームをやるのではなく、体験型ゲームに変えてくる能力ということですね。

この能力はゲームが苦手ならルールが分からず負ける可能性が高く、体を動かすのが苦手な人ではそもそも勝負として成立しないほどボコボコにされる可能性のある凶悪な能力です。

 

「ふーん、結構やるじゃん。でも緊張しないでできるようになったんだー。今まで暴走して迷惑かけた子がさぁ」

 

「いけませんよそんな悪口は!ダメでしょう!」

 

お母さんが突然罵倒し始めたミヤに対し、叱りつけるような言葉を放ちます。だがミヤは完全無視でした。

 

「奥さん奥さん、実際のゲームのキャラもああいう悪口を言って邪魔してくるんですよ」

 

「マスターさん、それはそれ!実際に悪口を言うのとは別問題です!」

 

「あのミヤって人、何でミカンの呪いのことを知って……そうか!那由多か」

 

桃は目つきを鋭くしてミヤを見ます。どうやら私たちの情報を那由多から事前に聞いているようです。

 

しかしミカンさんはそれを無視してゲームをどんどん進めており、すでに1セット先取してました。

 

「自分が悪くないのにさぁ、呪いでいっぱい酷い目にあってきたんでしょ?周りから白い目で見られたんでしょ?

色んなものぶっ壊したいと思わないの?こんなところで戦ったって誰も感謝しないよ?」

 

「イチイチうっさいですよー!」

 

「知ってるよ。呪いって親のせいなんでしょ?じゃあ魔法少女の力で親をぶっ飛ばしてやろーよ。スッキリするよ?」

 

私が叫んでも辞めない罵倒。しかしミカンさんは全く相手にすることをありませんでした。

 

ゲーム開始から30分後。ミカンさんは3セットを先取して勝利しました。

 

「やったー!ミカンさんの勝ちです!」

 

「よくやったよ陽夏木君!」

 

競技場から普通の空間に戻り、ミカンさんがこちらに戻ってきます。ミカンさんはこちらに笑顔で手を振った後、ミヤに振り返りました。

 

「……確かに呪いですごく苦労したわ。でも呪いのおかげでこんなに良い仲間ができたのよ。

だから、私は今がいい」

 

怒るでもなく、諭すように話しかけるミカンさんの言葉にミヤは鼻を鳴らした。

 

「ふん、つまんないの。んじゃ次いきましょ!」

 

面白くなさそうなミヤがスロットを回して、次の内容が表示されました。

 

【シューティング・戦闘機・レベル7】

 

「これなら良ができるよ。任せて」

 

次のゲームの難易度が出た瞬間、ずいっと前に出て名乗りを上げる良。しかし先ほどの空間のせいで、お母さんが不安な声を上げます。

 

「だ、大丈夫かしら?良、無理しなくて良いのよ?」

 

「大丈夫だよお母さん。ね、お姉?」

 

確かにいつもの良ならこのレベルなら余裕です。だがVR方式だと操作方法が変わるかもしれません。

 

けれどここで安全策をとって他の人に回したとしても、ミヤと戦う時の人数が足りないとなったら意味がありません。

妹の実力を信頼して、ここは送り出します。

 

「頼みますよ、良!」

 

私がサムズアップすると、嬉しそうな表情を浮かべた後、良もサムズアップで返してきました。

 

「任せて!」

 

良が前に歩いていくと、光に包まれいつのまにか戦闘機に乗ってました。

操作がコントローラーではなく、本物っぽいスティックタイプのコントローラーになっていて、やはり実際の戦闘機のコックピットに似た感じで操縦するようです。

私たちは管制室のような場所で観戦することになりました。

 

『持ち機体は3機まで。ゲー魔人より先にステージクリアすれば勝利です』

 

「やっぱり操作方法まで変わるのはずるいと思います!」

 

操作方法が変わるだろうなと思ってましたけど、こうも変わるとミヤにツッコミをしたくもなります。

だって本来は縦シューティングだったのにいきなりリアル仕様なんですもん。

 

「だってそういう能力だもん」

 

「ぐぬぬ」

 

抗議しましたが、バッサリでした。

 

そう言われてしまえば反論できないので、良が勝つようにと私たちは祈るしかできません。

 

ゲームが開始され、最初は操作方法の違いが多くありました。

 

何せリアル仕様ですから、縦シューティングなら分かりやすい後ろからの攻撃も非常に認識しづらくなっており、360度警戒しなくてはならないのです。

 

いつもより神経を使うせいか、結構ハラハラするような場面が多く、皆で応援しまくってました。

 

「うわ!」

 

そして中盤に入る手前くらいで、挟み撃ちになった攻撃を避けきれず落とされてしまいました。

 

「ああ、これで残り2機!」

 

「深呼吸ですよ良!まだ後2機ありますからねー!」

 

「大丈夫だよお姉。何となく分かったから」

 

「へー、おチビちゃんてば結構強気じゃん」

 

1機失ってからはコツを掴んだのか、余裕を持って先に進んでいきます。

 

「ふふ、小学生に手伝ってもらうなんてあんたら恥ずかしくないのー?負けたらやばいんだよぉ?」

 

「上手い人に年なんて関係ないんですよ!良、頑張れー!」

 

ヤジにも負けず、良は突き進みます。

いつもならもっと早くクリアできる難易度ですが、より安全にプレイすることで1機ミスのみでクリアすることができました。

 

「やったー!すごかったですよ良!」

 

「よくできましたね良」

 

「いえい」

 

私たちのところに戻ってピースサインをする良子。やはり頼りになる妹です!

 

「やるねおチビちゃん。そんな上手い子をここで使っていいのかな?」

 

「お姉たちがいれば大丈夫」

 

「ふーん。じゃあ次のゲームね」

 

スロットが回ると、今度は結構変わり種のゲームになりました。

 

【スポーツ・居合・レベル10】

 

「これはまた珍しいのがきたね」

 

「居合?何が珍しいのですか?」

 

お母さんの疑問にマスターが反応します。

 

「これは出現確率が低くて、ボクも数回しかやったことがないゲームなんです。

キャラ自体は数体あるんですが、実際はキャラの優位差がないのですよ。

合図と同時に切り掛かって、相手より早く切り捨てることができるかっていう……まぁ反応速度が全てのゲームです」

 

「カー⚪︎ィでありましたね、それ」

 

マスターの解説に、皆でへーっと感心します。私も居合は初めて見ました。

 

「そこのぬいぐるみさん、中々詳しいね。結構ゲーム好き?」

 

「自慢じゃないが、結構好きさ。あとボクはバクだ」

 

ゲームに詳しいマスターは意外とミヤからは好感触のようです。なんかリコさんからミヤへ殺気が漏れてますが、無視しましょう。怖すぎる。

 

「しかし体験型となるとマスターよりも適任なのは……」

 

「せやな。桃はんの出番や」

 

リコさんに指名された桃はえ、と声を漏らしてました。

 

「いや、本当にゲームは疎いんだけど……」

 

「ただのゲームならそうだが、今は体験型ゲーム。つまり実際の居合と同じようにやればいいのさ」

 

不安そうな桃に対し、問題ないことをマスターは伝えます。

 

「要するにいつも通りの桃で行けば勝てるってことね」

 

ミカンさんの言う通り、普通のゲームならともかく今回は居合の体験型。明らかに戦闘力の低いマスターが戦うより、剣を使える桃で挑んだほうが勝率は高いでしょう。

 

「……分かった。次は私がやるよ」

 

「なんか思ったより魔法少女って物騒だよね。居合経験があるとか。夢ぶち壊しじゃない?」

 

「言ってはならんことを……!?」

 

『1回1本で決着とします。プレイヤーは5人抜きすればクリアです。ライフは3回とします』

 

アナウンスが終わった瞬間、満月が浮かぶ草原のフィールドに変化します。

桃は道着と袴姿に変身させられ、持っていた日本刀を抜き、何度か振って確かめて頷きました。

 

「……これならいけそうかも」

 

敵の1人目は日本刀を上段に構えた坊主の侍です。

 

草原が風で揺れる中、2人は対峙します。音が重要ですから、誰も音を立てず、じっと見守ります。

 

───ぱんっ、と音がなった。

 

そしてどさりとゆっくり倒れたのは侍。桃は侍の後方で刀を振り抜いた姿で止まってました。刀を納め、こちらに振り返った桃には傷ひとつありませんでした。

 

「嘘ぉ、全然見えなかったんだけど!マジやば!?」

 

ミヤもあまりの速さに驚いているようです。ふっふっふ、これならいけそうですね!

 

ゲームはほぼやらない桃でしたが、所詮はゲーム相手。その後もあっという間にノーミスで5人抜きをし、勝利を収めました。

 

「やったー!これで3勝です!あと1勝で私たちの勝利です!」

 

「ふふ、ようやくミヤの出番だね」

 

席を立ったミヤは余裕たっぷりで自信に溢れてました。さぁ、ここからが本番です!

 

つづく




要するに等身大で体験できるぜ!と言う能力。

原作だと幽助の活躍は天沼戦はゼロだったのを、アニメは格ゲーにして出番増やしてくれた様子。尺も取れるし、結構良い改変だと思う。
もしシャミ子たちがこのメンバーではなく、ゲーム得意な人たちを集めてミヤの元に来ていたら自分の体を使わなきゃいけないので敗北していたと言う罠。
TVゲームだと思って参加してきたら、バッティングセンターで高得点出してねと言われた感じ。
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