まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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作者の力量が及ばず那由多の洗脳ラッシュでしたが、もうないよ!



58話「シャミ子VS那由多 1です!」

3人が飛ばされてしまった後、対峙する私と那由多。

 

洞窟に来る前に公園で多少手合わせしましたが、那由多は強い。

スピード、パワー、テクニック、魔力

ありとあらゆるものが負けているので、今のままやっても勝ち目はないでしょう。

 

「このままじゃ無理ですね」

 

「?」

 

不思議そうにしている那由多の目の前で、私は両手首のリストバンドを外しました。

 

「光っている……?」

 

那由多の言う通り、リストバンドを外した私の手首はまるで光の手錠をはめているかのように光っています。

 

もう一方のリストバンドを外すと、お互いのリストバンドが手錠のように繋がっています。

 

これは妖力により縛られており、私の動きと妖気を制限している枷なのです。両足も両手と同じく枷を嵌めています。

 

「おお、呪霊錠か!すっかり忘れてたぜ!」

 

「浦飯さん……?」

 

思わず突っ込みたくなる浦飯さんの一言。あんたがやらせたんでしょうと言いたいですが、我慢です。

 

そう、私は今日の今までずーっと、ずーっと!呪霊錠をつけたまま生活し戦っていたのです!

 

以前ミカンさんの中にいた憑の戦いの時に一度外してますが、あの後すぐに浦飯さんに呪霊錠を再度つけられてしまいました。

 

そのため呪霊錠を外すのはその時の戦い以来です。

 

呪霊錠は動きと妖気を大幅に制限する代わりに、長く嵌めていれば嵌めているほど、パワーアップできるのです。

 

そして今回はかつてないほど長くつけていたため、そりゃもう期待できるでしょう。

 

今までこっちを見ているだけで手出ししてこなかった那由多は不愉快そうにしてます。

 

「今までそんなものをつけていたというのかい?あの公園で戦った時も?」

 

「ええ、その通りです!  ───(アンテ)!」

 

呪霊錠を開放するためのキーワードを口にすると、まるで満タンのガソリンに火をつけたかのように妖力が外へ溢れ出ます。

 

自分でもはっきりと分かるほどに何倍にも妖力が膨れ上がったのを感じました。

 

この高揚感は思わず笑みを浮かべたくなるほどのもので、那由多は面白くないようでした。

 

「すごい、今までとは比較にならないほどパワーアップしているよシャミ子ちゃん!」

 

「へへ、ギリギリまでハンデつけるなんてやるじゃねぇかシャミ子!」

 

小倉さんと浦飯さんの少し興奮したかのような声に、那由多は忌々しそうに口を開きます。

 

「なるほど、ハンデをつけて戦っていたのか……呆れたやつだ」

 

「驚いたようですね」

 

「ああ、ビックリしたよ。その呪霊錠とやらをつけて妖力を抑えたままでぼくに勝つつもりだったのかとね」

 

「そーですね。流石に呪霊錠をつけたままじゃ無理でした」

 

正直に話すと、那由多は笑いました。

 

「ぼくを試したつもりか……随分とぼくも舐められたもんだねぇ」

 

那由多は少し腰を落とし、右手を前にして構えをとります。侵食するように魔力が増大していきます。まるで触手が伸びて来るような不気味さです。

 

「来い。試しているのはどっちか教えてあげるよ」

 

私がほんの少しだけ前に出している右足を動かすと、那由多はそれに合わせて右手を少し下げます。

 

以前の手合わせで技術はあちらが上。それ以外では大きな差はなかった。だがそれは呪霊錠をつけている前提での話。

 

呪霊錠を外し妖力がパワーアップしたということは技術以外の基本ステータスが著しく向上したということ。ならば技術以外の優っている点で攻める他ありません。

 

なので攻めて攻めて攻めまくる!つまりはいつも通り!

 

「シッ!」

 

方針を決めた私は一気に飛び込みました。那由多はしっかりこっちを睨みつけています。

 

「オラァ!」

 

右拳を繰り出し、那由多は捌くのではなく左腕で受け止めました。

 

「む!」

 

拳の威力を殺しきれなかったのか、地面に引きずった足跡を作りながら後退する那由多。

 

懐に飛び込んで私は今度は右、左と拳を連続でマシンガンのように繰り出します。

 

今度は捌いて避ける那由多。何度か繰り返すと、捌ききれずに那由多の左頬を拳が掠め血が僅かに出ます。

 

「フッ!」

 

イラついたように表情を変えた那由多は右ストレートで反撃。つい攻め気を出しすぎた私は、ギリギリのところで受け止め後退しました。

 

受け止めた左手は少し痺れますが、すぐ治ります。それよりも那由多の表情の変化の方が嬉しかったです。

 

ようやく少し余裕のない苛立ちを引き出すことが出来たのですから。

 

「ふふん」

 

那由多は左頬の傷を触って、手についた血を少し見てました。

 

「随分得意気じゃないか。ほんの少し傷つけたのがそんなに嬉しいかい?」

 

「すっごい嬉しいですね!散々イライラさせられたから、なおのことです!」

 

「父親とは桁違いの戦闘能力だね。師匠が違うとこれほどとは」

 

チラリと邪神像の方を見る那由多。私の師匠が浦飯さんだということは知っているようです。

そして何気にお父さんのバトルスタイルは初めて聞きます。どうやら接近戦タイプではないようですが……。

 

「父親の方は杖を振り回して桜ちゃんの後ろでチマチマ援護してた鬱陶しい魔族だったよ。まぁ能力以外は大したことないやつだったが」

 

なるほど、お父さんは援護タイプだったようです。しかし杖とは私が持っている、我が家に受け継がれる名称不明の杖のことでしょうか?

 

どうやらお父さんは那由多の戦いの時に落として紛失していたようです。

 

「そーゆー割には親父さんの方も仕留め損なってんじゃねーか。えぇ?」

 

「桜ちゃんはそれはもう強かったからね。正直タイマンでやりたかったくらいさ……楽しい時間だったよ。だから余計にあの魔族が鬱陶しくてね」

 

浦飯さんが煽っても意に介さず、懐かしさを感じているにしてはやけにねっとりとした言い方をする那由多。なんかこう、桜さんに関しては普通じゃないような態度です。

 

「だからお前を殺して桜ちゃんを解放してあげるのさ。ふふっ」

 

ドキリとしました。私たちでさえ私の中に入り込まなければ分からなかった桜さんの居場所をなぜ知っているのか?思わず尋ねてしまいました。

 

「知ってたんですか、私の中に桜さんがいるってことを!?」

 

「いや、カマをかけただけさ。……本当にお前の中にいるとはね」

 

「うぬぬ……」

 

「バカシャミ子!余計なこと言ってんじゃねー!」

 

つい桜さんの居場所を答えてしまい、浦飯さんに怒鳴られてしまいました。だって戦っている時に知っているよムーブかましてくるんですもん、まさか引っ掛けてくるなんて思わないじゃないですか。

 

「素直すぎるな。扱いやすくて困る……ふふふ」

 

那由多は私の反応を見て笑ってました。今までの笑い方ではなく、素直に笑っている感じです。でもバレてしまったのは誤算でした。

 

「内側から桜ちゃんが支えている状態とくれば……理由は死にそうだったお前を生かすためかい?」

 

当たりだろう?と言ってくる那由多の問いに頷きました。

 

「……その通りです。一族の呪いで死にそうだった私を生かすために桜さんが内側で支えてます」

 

私の答えに那由多は額に手を当てて思い切りため息を吐きました。心底理解できない……そんな態度でした。

 

「……しかし理解できないね、こんな魔族を生かすために自分を犠牲にするなんて。

まぁ確かにお前たちの能力は上手く使えば支配には困らないがね」

 

「人を道具のように言うな!」

 

「だが事実だろう?この先祖の魔族は権力者に利用され、お前の父親も桜ちゃんに協力という形でこの街の桜ちゃんの支配に手を貸していた。

知っているんじゃないか?桃ちゃんのかつての記憶を消したのはお前の父親だってことを」

 

この街の管理をしていたのは桜さんです。そういう意味ではご先祖もお父さんも支配に手を貸していた魔族となるのでしょう。

 

そして桃の記憶から桜さんの思い出をお父さんが消していたことも知ってます。

 

しかしそれは桜さんがいなくなっても桃が寂しくないように考えたからこその記憶消去であって、悪意があってやったわけではありません。

 

「それは……」

 

「だがボクは桜ちゃんみたいにこんな街……狭い飼育小屋で満足する気はない。

先祖の能力を使えば全てを手にすることができる。

分かるかい?もっとスケールの大きい話さ」

 

桃のためにやったことだ、と反論する前に那由多は畳み掛けてきた。

 

違うと言いたかった。桜さんはあくまで桃のことを考えて記憶をいじったのだと。お前のように全てを1つにするようなものじゃないと。

 

口を挟もうとしても、那由多は挟ませず喋り続けました。

 

「道具は使いようだよ……そして使い手たるこのボクは全てを救うのさ」

 

言いたいことを言って、人の話を聞こうともしない。挙句の果てには全てを救う?

 

それを聞いて私の怒りは頂点を超え───プチっと血管が切れる音がしました。気づいた時には私は那由多の左に回り込んで殴り飛ばしていました。

 

「(速い!)」

 

転がる那由多。土煙が上がる中、私は唾を吐き捨てました。

 

「色んな人間や魔族を不幸にしといて何が救うですか。

寝言は寝て言えってんですよ!」

 

「よっしゃ、クリーンヒットだぜ!いいぞシャミ子!」

 

「気づいたら那由多が吹っ飛んでた……」

 

浦飯さんと小倉さんの言葉をバックに、ゆらりと立ち上がる那由多。殴られた割にはどこか嬉しそうでした。

 

「桜さんやお父さんは桃の将来を気にして記憶をいじった!お前のようにただ奪って糧にしているのとは訳が違う!人の話を聞けー!」

 

ビシリ、と指を向けると、那由多はゆらりと立ち上がりました。

 

「……お前は感情でガラリと戦闘能力が変わるタイプみたいだね。嫌いなタイプだよ。

喋っている内容もね」

 

だが目の奥は凄まじい殺気。思わずブルリとするレベルです。

 

真っ直ぐ立った那由多は、右拳を作り、親指を指の中へ隠しました。一体何をやっているのか───

 

「がっ!?」

 

おでこへの衝撃。吹っ飛んだ私は地面を転がって数mで止まります。そしてすぐさま立ち上がりました。

 

「(今、何をされた!? 那由多は親指を弾いたようにしか見えませんでしたが……)」

 

だが魔力が飛んできたわけではない。右拳が伸びてきたわけでもない。未経験の攻撃だった。

 

いや待て。この攻撃は以前見たことがある。桃がかつて那由多と対峙した時、腕を失った時の攻撃と同じだ!

 

あの時も指を弾いて木や地面に穴を開けていた。魔力弾ではないのにだ。

 

あの時は何をやっているかよく分かりませんでしたが、パワーアップした今であれば分かります!

 

「指弾……指を弾くことでできる空気の塊を弾丸みたいに飛ばしてるんだな!そうだろう!」

 

「ご名答。ならどんどんいくよ」

 

「くそ!」

 

私は妖気を両拳に集中させます。それにより拳は赤く光って、やつの指弾に対抗できるようにします。

 

正解を導き出した途端、やつは絶えず右親指を弾く。指が残像を作るほどあまりに速くて見えないほどでした。

 

絶えず発射される指弾はまるでマシンガン。それを両拳で弾く私。多少正確ではない照準は逆に弾く手間を増やしてくる。

 

「あの野郎、戸愚呂みてーな真似しやがって!」

 

「(一発一発が重い!これじゃ受けてるだけで体力が減っていきますよ!)」

 

「よく弾く……それじゃ左手も追加だ」

 

「ちょっ、ふざけっ!?」

 

左手の親指も追加してきて、さながら那由多の両手はマシンガン状態。本当に捌くので精一杯です。

 

「まともに受けるなシャミ子!体力切れになっちまうぞ!」

 

「クソッタレ!」

 

浦飯さんの言う通り、受けに回ったままでは体力切れで負ける。そう感じ取った私は弾きつつ横に移動し、間合いを詰める。

 

「くらえー!」

 

弾幕を潜り抜け、右ストレートを繰り出す。

 

パン、と軽い音と共に那由多の左腕で右拳が逸らされる。

 

「がぁ……!」

 

そしてほぼ同時に、那由多の膝が私の腹に直撃しました。

腹を蹴られ息が強制的に吐き出されてしまう私を、さらに蹴飛ばす那由多。そこへ追撃の指弾が襲う。

 

「うわぁー!?」

 

「「シャミ子」ちゃん!」

 

土煙が上がり、その土煙が晴れる頃ようやく私は立ち上がりました。

 

私の妖力が上がっているおかげか、防御面でもパワーアップしているため指弾のダメージはあまり大きくなかったです。しかし弾幕を潜り抜けた先であれほど完璧に捌かれた精神的ダメージの方が大きかったのです。

 

「へへん、指弾も大したことないですね!」

 

動揺を悟られないように煽るようなセリフを吐きます。だが那由多は意に介さず、指を向けてきました。

 

「ふふ、中々タフだな。だがお前にはいくつか欠点がある」

 

「何ぃ!?」

 

「まず……お前の攻撃は非常に直線的だ。と言うより、対人技術が低い」

 

「それがなんだって言うんですか!」

 

「酷く攻撃を予測しやすいと言うことさ。だから攻撃を捌くのは簡単だ。

確かに呪霊錠とやらを開放して妖力は遥かに上昇したが、技術的なところは何も変わってない。

単純に実戦経験が少ないと見た」

 

「その割にはシャミ子から何発かもらってんじゃねーかコラ!」

 

実戦経験が少ないと言われドキリとしましたが、その不安を打ち消すように浦飯さんがフォローしてくれました。

そうです。全く通用してないわけじゃない!

 

「確かに、そこはボクのミスだな。反省しよう」

 

言い方が本当にムカつく奴ですね。普段生徒に対してネチネチ説教してくるのに、授業中生徒にミスを指摘されると「チッ、こいつイチイチウッセーな」と内心思いながら修正してる嫌味な先生にしか聞こえません。

 

「なので指弾をパワーアップさせよう」

 

「なぬ?」

 

那由多の両手が光る。魔力を集中させている証拠だ。那由多は先ほどのように両拳を作り、親指を隠すようにする。

 

だが今までと違うのは、親指の前に小さい魔力弾が作られていることだった。

 

「避けろシャミ子ー!」

 

「トォ!」

 

浦飯さんの声に咄嗟に反応。横っとびで避けた私の横を通り過ぎた魔力弾は指弾以上の威力で爆発したのです。

 

これはさっきみたいに受けてはいけない類です。しかも連射できるのであれば尚更危険!

 

「魔指弾とでも名付けようかな?さ、どんどんいくよ」

 

「くそー!」

 

マシンガンのように繰り出される魔指弾。その威力は指弾より上で、立ったまま弾く選択をしていればあっという間に爆発に飲まれてしまうことでしょう。

 

回避を最優先。先ほどと同様、接近戦に持ち込むしかない。

 

「そう、お前にはその選択肢しかない」

 

「このぉ!」

 

右をフェイントにして左拳での攻撃。それも右手で捌かれ那由多の掌底が顎に入る。

 

「魔指弾を避けた後では体勢は不十分」

 

ぐらりときましたが、私は腹に右回し蹴りを出す

 

「故に次の行動が読みやすい」

 

掬い上げるように逸らされた足。そのせいで胴体がガラ空きになり、やつのストレートがまともに入った。

 

転がる私。魔指弾の追撃はなく、那由多は私を見下ろしているだけ。

 

咳き込んで反応を返せない。あれだけ魔力を連射したはずなのに、那由多の魔力はほんの少ししか減ってない。

 

「妖力が上がろうとも、差は縮まらないと言うことさ」

 

忌々しいまでに、那由多は自信たっぷりでした。

 

つづく




那由多はいわゆる射撃で格闘拒否できるのに、本人の接近戦が強いというキャラ。格ゲーだったら間違いなくクソキャラ。
でもゲームじゃないからしょうがないね。

ちなみに先祖と杏里はずっと意識がない状態。小倉はもうほとんど目で追えないのでツッコミすらできない状態。

呪霊錠ありシャミ子 B級下位ー中位妖怪

呪霊錠開放後シャミ子 B級上位妖怪 

戦闘経験は高校生になってから戦い始めたので1年未満……どころか8ヶ月くらいなのでかなり低い(これは百戦錬磨の相手から見ての感想、普通だったら問題ないレベル)
師匠も喧嘩殺法なので技術が足りんのです。

那由多誰何 
今の戦っている実力はA級下位妖怪くらい。
戦闘経験豊富だが、割と侮ったり爪が甘い。
原作でも小さな桃にせっかく集めた魔力を霧散させられてしまっているし、街であんな違和感しか抱けない行動を取るのは自分が負けないと信じているから。
この作品では洗脳ばっかりするキャラになってしまった。しかし戦えば大体のキャラに正面で勝てる性能にしているつもり。
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