まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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地図を見て、だいたい高尾山とか、相模湖より下の山とかが戦いで吹っ飛んでいるのをイメージしてます。なので山中湖へ向かう道志みちとかも粉々ですね。
富士山は霊丸とか那由多の放出技のコースによってはサヨナラするかも
※あとがきの血池さんの階級を修正しました


64話「怪しい雲行き!」

幽助と那由多の激しいぶつかり合いは続いていた。拳は空を裂き、蹴りは地を割る。まさに行動の一つ一つが災害であった。

 

何度目かのクロスカウンターで、両者共に吹き飛んでいく。

 

地面に着地した後、幽助は少し息が乱れていた。だが那由多はどこか余裕だった。

 

「はぁー、はぁー……」

 

「ふっふっふ、少し息が上がってきたね浦飯。お疲れかな?」

 

「ケッ!まだまだ全然余裕だぜ!」

 

その光景を遠目で眺めていた桃たちは、眉を顰めていた。

 

「……どう思う?リコ、ミカン」

 

「そうね。多分だけど那由多は魔力がご先祖から供給され続けているから、消費とか考えずに戦えるわ。

でも浦飯さんはそうじゃない。戦えば戦うほど、浦飯さんのスタミナは減っていく」

 

外付けではあるが、那由多は無限に近い魔力が供給され続ける。

 

車で言えば無限のガソリンで走れるのだ。

もちろん出力の出し過ぎは身を滅ぼす可能性がある。常にフルパワーでいることはできないが、戦い続けているうちに那由多はどんどん魔力制御が上手くなっているので、使える魔力量は上昇しているのだ。

 

対して幽助は自前の妖力のみで戦わないといけない。本人の言う通りであれば戦えば戦うほど強くなっていくはずだが、妖力の消費自体は避けられないのだ。

 

「ウチもそう思うわぁ。むしろほぼ無限に魔力を供給し続ける相手にここまで戦える幽助はんの方がおかしいんやけど」

 

そもそも無限の魔力相手に戦いが成立していること自体がおかしいが、それはそれ。

 

このまま戦いが長引けば、負けるのは幽助だろうと3人は思っていた。

 

「シャミ子には悪いけど、魔力の供給元のご先祖を倒すしか……」

 

魔力の供給元さえ断てば幽助が勝つだろう。ミカンの提案に対し、2人は首を横に振った。

 

「あれだけ溜まった魔力を制御している元を殺したら、その場に魔力がボン!や」

 

街が吹き飛ぶ程度なら御の字やな、と言うリコ。ミカンは忌々しそうに頭を掻いた。

 

「それを分かっているから、那由多はこちらを無視しているんだよ……きっと」

 

「ムカつくやつね本当に……!」

 

ご先祖の方に手は出せず、幽助と一緒に戦うこともできない。3人は唇を噛んで、体力回復に努めた。いずれくるチャンスのために。

 

3人が動かないのを遠目で確認し、やはりシャミ子を殺したことは計画上必要だったと那由多は感じていた。

 

そして目の前のこの男を倒せば、後は赤子の手を捻るようなものである。

 

しかし心のどこかで、もっと浦飯との勝負が続けば良いなとも思っていた。

 

「(もっと今の力を試したい。この男が何をやってくるか見たい……なんて思うのはおかしいはずなんだが……)」

 

那由多がそう考えて、思わずこぼれてしまった笑みに、幽助は反応した。

 

「なーに笑ってんだよ」

 

「何、つまらないことさ」

 

「気になるだろ。教えろよ」

 

「ふふ、恥ずかしいから嫌だね」

 

「恥ずかしいだぁ〜?余計に気になるじゃねーか。やっぱり教えろや」

 

くっくっく、と那由多は笑った。こんなバカみたいな会話はいつぶりだろうか。少なくとも記憶にないくらい昔のことであることは確かだった。

 

「そうだね、ぼくに勝てたら教えてあげるよ」

 

「ケチ!本当は何もねーんじゃねーのか?」

 

「内緒だよ、内緒」

 

ケラケラケラと笑う那由多に、幽助もつられて笑った。

 

「んじゃ、続きといくぜ!」

 

「望むところだよ!」

 

那由多はその場で拳を振るった。拳に乗せた魔力が衝撃波となって幽助に迫る。

 

上か、左右か。もしやダメージ覚悟で突っ込んでくるか。

 

「(さぁ、どうする!?)」

 

衝撃波が当たる直前、幽助の妖気が消える。高速移動するなり、その場で耐えるなり行動を取るならいずれにしても妖気を高める必要があるはず。

 

不可解な行為に那由多は眉を顰め、後方で変な音がした。

 

那由多が振り向いた瞬間、幽助が拳を振り抜いていた。

 

「(いつの間に!?一体どうやって……!)」

 

那由多は顔を逸らすことで、頬に直撃した拳によるダメージを幾らか受け流した。だがどうやって那由多の後ろを取ったのか。

 

那由多は吹き飛ばされながら幽助の後方を見ると地面に穴が空いていたのを発見した。そして幽助の体には土がくっついている。

 

「(まさか妖気を消して、土に潜ってここまで掘ってきたと言うのか!?)」

 

予想外の攻撃で攻めてくる幽助に、那由多は口角が釣り上がるのを抑えられなかった。

 

那由多が地面に手をついて着地した時にはすでに接近している幽助。那由多はそのまま立ち上がらず蹴りを繰り出し、那由多の蹴りと幽助の拳の応酬となった。

 

さらに那由多は逆立ちで回転蹴りや蹴りの弾幕を繰り返していく。

 

「カポエラみてーな真似しやがって!」

 

「長生きだから色々覚えたのさ!」

 

「だったら───!」

 

幽助は腕の力で無理やり那由多の蹴りを抑えこみ、脇で足を捕まえた。そしてその体勢のまま、幽助は自分自身を中心として回り始める。

 

「こっちはプロレス技だぜ!オラァー!」

 

「うおおぉ!?」

 

ジャイアントスイングである。だが魔界の王となった幽助の実力から繰り出される投げ技は、もはや竜巻だ。辺りの物体は吹き飛んでいく。

 

脳が揺さぶられ、平衡感覚が曖昧になっていくのを感じながら那由多は自身の髪に多量の魔力を通す。

 

魔力が通った長いお下げは伸びて、幽助の股下を通過し背中を伝って幽助の首に巻きついた。

 

「ぐあっ、テメーッ!」

 

「今度はこっちの番だ!」

 

今度は那由多が自分のお下げで幽助の首を持ち上げて、上空へ投げ飛ばした。

 

那由多も跳躍し、両手の指に魔力を集中させる。

 

「魔指弾!」

 

強化した魔指弾をマシンガンのように連射する。吹き飛んでいた幽助は、迫り来る攻撃に対し迎撃を選択した。

 

「ショットガーン!」

 

幽助のショットガンは全ての魔指弾を撃ち落とすことはできなかった。だが代わりに那由多へショットガンが何発か直撃し、幽助も魔指弾が数発ほど直撃する。

 

爆煙に包まれた両者だが、また距離を空けて着地する。

 

「さぁ来い、浦飯!」

 

「いくぞオラァ!」

 

そしてまたお互いの距離をゼロにして接近戦を繰り返す。

 

拳が地面を吹き飛ばし、外した飛び蹴りが山を打ち砕く。

 

道も山も削り、被害を繰り広げる2名であったが、戦いの勢いは益々激しくなっていく。

 

お互いダメージを積み重ねていき、互いに血飛沫が飛んでいた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

幽助と那由多が戦い始めた頃、洞窟内ではシャミ子父ことヨシュアの復活のため全員動いていた。

 

しかし正直言って手詰まりに近かった。

 

「……魔力が足りない」

 

「お父さんを復活させるのに、その血じゃダメなんですか?」

 

イクがポツリとこぼした言葉に、良子は目の前にある大量の血液パックを指差した。しかしイクは首を横に振る。

 

「……これはイクが持っていた魔族の血だから、魔族の封印を解放するにはまるで量が足りない」

 

「???」

 

魔族の封印解放に、なぜ魔族の血では足りないのだろう?良子の頭の中は混乱した。

 

「闇の一族である魔族の封印を解くには、光の一族である魔法少女の魔力がこもった血が必要なの。魔法少女が封印を施したからね」

 

「なるほど。魔族が封印された場合、逆の属性の魔力で解放されるんですね!」

 

小倉の説明によって納得した良子。イクはそこからか、という表情を浮かべていた。どうもイクには相手の理解度に合わせた説明というのが難しいらしい。

 

「でも浦飯さんに使った魔法少女の血はもうゼロだし、ここにはもう魔族の血しかないんだよね、イクちゃん?」

 

イクは小倉の言葉に何度か頷いた。

 

魔法少女は血を取られないように工夫して行動している。なので那由多のアジトであるここに血なんか残っておらず、残っているのは那由多がイクの実験用に狩ってきた魔族しかない。

 

魔族の血だけでは封印を解くことは限りなく不可能だった。封印という巨大な岩にせっせと集めた魔力という水を流して削り切るようなものだ。とてもじゃないが量が圧倒的に足りない。

 

しかし無理とわかっていたも、ここにあるもので封印を解くしかないのだ。

 

「……それなら私が魔法少女になって、その血でお父さんを助けるのは?」

 

良子のあり得ない提案に、全員がギョっとした。それを聞いた母である清子は、良子の目の前で膝をつき、彼女の肩を掴んだ。

 

「ダメです良子!あなたまで、あなたまで居なくなったら……!」

 

「お母さん……」

 

清子は泣いていた。先ほど長女のシャミ子が殺されたのだ。

街を救うためとは言え、血を捧げるなどという良子の消滅の危険性があることを娘にやらせるなど、母として認めるわけにはいかなかった。

 

「それはボクも反対だ。第一、1人程度の血でこの封印は解放できないだろう」

 

マスターはシャミ子父にかけられた封印は強力であることを理解していた。なので魔法少女になりたての子供の血を全部使ったところで封印解放とはいかないだろう。

 

「なるほど、中々大変なことになっているようだね」

 

聞いたことのない声が聞こえ、全員は洞窟の入り口の方の通路を見ると、容姿は赤い髪でショートボブ、赤い瞳で身長は160㎝ほどの女が立っていた。

 

「誰ダ!?」

 

気配を感じなかったことに、ウガルルは戦闘体勢になる。しかし赤髪の女は静止するよう手を向けてきた。

 

「ボクは血池真理。こういう者です」

 

彼女は財布から名刺をマスターたちに渡した。名刺には探偵と書いてあり、それを見たメンバーは一様に頭に疑問符を思い浮かべた。

 

「何故探偵さんがここに……?」

 

「シャミ子君の知り合いさ……こんなことになっているのは、些か予想外だが」

 

チラリとシャミ子の遺体を見て、彼女は手を合わせた。

 

そして懐から、幾つもの輸血パックを小倉に手渡した。

 

「ボクが狩ってきた魔法少女たちの魔力入り血液だ。使うと良い」

 

「どうしてここに……いや、なぜこれを私たちに?」

 

小倉の疑問ももっともである。血池はうーんと唸ってから答えた。

 

「各地で住んでいる形跡のあった家から突然住民が居なくなるケースがあってね、しかもその住民のことを近所の誰も覚えてないんだ。

それはおかしいってことで探偵のボクに調査が依頼されたんだが、どうにもかなり強力な魔法少女が関わっていると分かってね。

その犯人らしき人物がこの近辺に来ていることがわかってから、急いでやってきたのさ」

 

「なるほど。もしかしてこの血は、事件解決のために報酬として浦飯さんに持ちかけるつもりだったと?」

 

「話が早くて助かる」

 

小倉が答えると、血池はにこやかに肯定した。

 

血池個人としては浦飯幽助に悪感情はないし、以前接した時に封印解除しても問題ないだろうと判断しての行動だった。血池は良くも悪くも自分の正義で動く女である。

 

その会話に何人かはポカンとしていた。あまりにも小倉が早く答えに辿り着いたため、過程の話が不足していたからだ。

 

「どーゆーこと?」

 

「……悔しいがこれほどの魔力が強い相手ではボクじゃどうしようもないからね。だが浦飯幽助なら倒せるかもしれない。なので報酬として封印を解除する代わりに戦ってもらおうかなと考えていたのさ。

まぁボクがそうしなくても、今戦っているみたいだけどね」

 

洞窟の上で凄まじい力がぶつかり合っていることを血池は知覚出来ていた。あの現場に自分が行ってもミンチになるだけだろう。ならば出来ることに手を貸す、という方針に切り替えたに過ぎない。

 

「事件解決と……シャミ子君のためにも協力するさ」

 

血池はウインクした。

 

これでシャミ子父が復活できるかもしれない。急いで皆で準備に取り掛かった。

 

だから皆気づいてなかった。シャミ子の指が僅かに動いたのを。

 

つづく




那由多はドラゴンボールの17号みたいにスタミナ切れがない状態。幽助はベジータ的な。今回だと神コロ様かな?

血池さんは17−19話に出演したオリキャラ。
戦っても勝てそうにないな、と判断してこちらにきた。お父さんの封印解除の血が足りないのでゲストに持って来させるという流れ。

血池さんはB級下位くらいなので、戦いの場に行ったらマジで幽助の妖気の余波もしくは攻撃の衝撃波で溶けます
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