まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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心残り回収の回とも言う。


66話「色々と皆さん完全復活です!」

復活した私が皆へ挨拶すると、全員が驚いて私を囲みます。だけど一番早く抱きついてきたのはお母さんと良でした。まるでロケットのように抱きついてきたので、思わず呻き声を上げそうになりましたが我慢です。

 

「優子、優子ぉ……」

 

「お姉ぇ……」

 

お母さんと良は泣きながら私に抱きつき、頬とか腕とか頭とか色んなところを触ってきます。生きているか確かめているようです。

 

「大丈夫です。生きてますよ、さっきまで死んでましたけど……」

 

安心させるために言ったら、益々2人は泣いてしまいました。やべ、和ませようとしたのに失敗です。

 

困ったなぁと思いながら周りを見渡すと見慣れない白衣姿の女性もいれば、久し振りな人もいました。

 

「ど、どうして……確実に死んでいたはず……!」

 

小倉さんの驚き方が敵っぽいのが気になりますが、生きていることをアピールするためにジャンプしたり踊ったりしてみます。

 

「あー、色々とありまして……今からサッと説明しますね。こっちも聞きたいことがありますし」

 

どうしてこうなったのか、皆で情報交換することにしました。まぁ時間はないので手短でしたが。

 

凄まじくパワーアップした私に皆驚いてましたが、それ以上に地上で戦っている浦飯さんと那由多の力が私より遥かに凄すぎて、思っていたよりイマイチ驚きが薄かったです。なんか悔しい。

 

というかなんですか上の2人のパワーは!あの近くに行ったらマジでミンチになりそうです。

 

「血池さん、イクさん、皆さん……協力ありがとうございます」

 

「いや、こんな状態だ。皆で助け合わなければ、正義の味方とは言えないよ」

 

血池さんはそう言って肩をすくめました。本当にいい人ですね、この人。あの時は色々拗れましたが、今は那由多を止めることに協力してくれて嬉しい限りです。

 

「……隔世遺伝は黒影に出ていたけど、これほどすごいのは初めて見た。すごくビックリ」

 

「ねー!」

 

今回浦飯さんの復活など色々協力してくれているイクさんは興味深そうに私のことを上から下までジックリネットリ見てきて、それに同意する小倉さん。なんだろう……このタッグは背筋がゾワっとする。

 

気を取り直して状況確認です。今は血液いっぱい使ったけど後一歩で封印が解けないお父さん、洗脳中のご先祖と杏里ちゃんですね。どうにかしなければ……どうしよう?

 

「今のシャミ子君ならご先祖の洗脳を解放できるだろう!頼む!」

 

マスターの言う通り、確かにパワーアップした私なら成功できそうですが、もし失敗したら後がありません。できればお父さんなどがいたら頼もしいのですが……。

 

不安を伝えると、お父さんの解放は難しいようで皆さん悩んでました。

 

「シャミ子ちゃんのパパさんを封印した張本人の桜さんがいれば行けるはずだけどぉ……」

 

そんな中、ポツリと小倉さんがそんなことを言いました。そうです、なんでそのことを忘れていたんでしょうか!

 

「そうです!その前に桜さんを復活させればいいんですよ!」

 

「でもシャミ子ちゃんの内側にいる桜さんをどうやって復活させるのぉ?」

 

「そこは大丈夫です!私はパワーアップしたので!」

 

桜さんはかつて言いました。私がすごく強くなれば桜さんを解放できると。

 

ならば今こそ解放の時!

 

パワーアップしたおかげか、やり方はなんとなくわかります。

 

私は自分の内側に意識を集中すると、魂っぽい何かを感じました。きっとこれが桜さんなのでしょう。それを引っ張り上げるように、私は意識しました。

 

すると私の心臓……今は魔族の核ですが、その位置から桜色のコアが出てきました。

 

「コアだ!」

 

コアは桜の花びらを撒き散らし、その花びらが人の形をとります。

 

そして光り輝き───そこには魔法少女姿の千代田桜さんが立っていました。作戦成功です!

 

「10年のブランクを経て、あなたの町のかけつけ一本おまもり桜!

魔法少女★千代田桜 ただいま復活っ!!」

 

ビシッとポーズを決めた桜さんが目をこちらに向けると、私に抱きついてきました。背丈の関係で桜さんの胸に私の顔が埋まります。ぬぐぉ!

 

「ありがとうシャミ子ちゃーん!頑張ったねぇー!!」

 

テンションがやばいくらい高く、めっちゃ頭を撫でられてます。撫でるスピードが早すぎて頭が熱くなってきたような気がします。息も苦しくなってきた。

 

「桜さん……」

 

「桜くん、復活おめでとう」

 

「清子さん、マスターありがとうございます。ずっとシャミ子ちゃんの中で見ていたから状況は分かっているよ。皆さんもありがとう」

 

桜さんは周りを見渡し、分かっているとアピールしました。そして右手を上に掲げ、何かを引き寄せました。

 

桜さんが引き寄せた物体は大きな壺でした。その壺に私は見覚えがあります。そう、桜の木の下に埋まっているお父さんを封印した際に大量に生まれた討伐カードが入った壺です。

 

かつて那由多を撃退するため一枚だけ使用したのですが、それを知っているのか桜さんは私を見て頷きます。

 

「シャミ子ちゃんの中で全て見ていたよ。桃ちゃんがかつて那由多を撃退するために一枚使ったことを。

だけどヨシュアさんの封印は魔力入りの血液のおかげでかなり弱まっている。だからこの討伐カードを全て戻せば……!」

 

壺に入っていた討伐カードが全て輝き、お父さんの段ボールを光が包み込んでいく。すると段ボール自体も発光し始めます。

 

光が段ボールから人の形をとり始め、私より少し大きいくらいのツノの生えた人の形に変化していきます。

 

そして光が収まると、1人の魔族が立っていました。

 

「あれ、ここは一体……?」

 

「あなたぁ!!」

 

お父さんがポツリと呟いた瞬間、ロケットのようにお母さんが抱きつきました。

 

「清子さん!?そうか、僕は復活できたのか……」

 

見た目は昔の記憶で見たお父さんのままでした。私のツノにそっくりなツノをお父さんも持っており、身長も似たようなものでした。やはり私はお父さん似なのでしょう。

 

「お父さん、お帰りなさい!」

 

「ゆ、優子なのか……?なんかこう、すっごく強くなったね」

 

私を見て驚くお父さん。ああそうか、魔族の方が魔族の妖気を感じやすいんだっけ?だから私の妖気に気圧されているようです。少し妖気を緩めると、お父さんはホッとしてました。

 

「あなた、この子が良子よ」

 

お母さんが恥ずかしがっていた良子をお父さんの傍へ近寄らせると、お父さんは少し目を丸くして、その後納得していました。お父さんは良子がお母さんのお腹にいる時に封印されてしまったので、良子と会うのは初めてなのです。

 

「お父さん……?」

 

「おいで、良子」

 

お父さんが手を広げると、おっかなビックリ近寄った良はお父さんに抱き上げられ、また泣いてしまいました。

 

初めての親子対面に、何人かは涙ぐんでいました。

 

「ごめんなさいヨシュアさん。実は時間がなくて……」

 

この流れを切ったのは桜さんでした。私と一緒に先祖を救出してほしいと頼まれたお父さんは、胸を叩いて了承しました。

 

「任せてください!そのための能力です。あ、でもあの杖無くしちゃって……」

 

「ここにありますよ」

 

私がポケットから我が家のなんとかの杖を渡すと、お父さんはこれこれ、と言いながら受け取りました。やはりこの杖はお父さんが持っていた方が似合いますね。

 

「優子、準備はいいかい?」

 

「お任せあれ!」

 

お父さんは左手で私と手を繋ぎ、右手で杖をご先祖に向かって振ります。すると私たちの意識がご先祖に飲み込まれて行ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご先祖の中は荒れ狂う海のようで、まるで通れる道がありません。もうザッパンザッパン波が来て、水飛沫で私たちはすでに結構濡れてます。

 

「あの光の向こうにご先祖様がいるようだ」

 

お父さんが示す方向には、ほんのわずかな光が津波の向こうから見えました。消えてしまいそうな光がなんとか生きているような印象でした。

 

「あそこに到達すればいいんですよね?」

 

「そうだね。だがこの海に見えるこれは魔力だ。この膨大な魔力に飛び込んで、流されてしまったらどうなってしまうか分からない……」

 

なるほど。ご先祖が集めている魔力が荒れている海のように見え、これに流されたら死にそうです。ここら辺は現実の海と大差ないかもです。

 

とはいえ光の場所へ辿り着かなきゃいけないので、ここは手っ取り早く向かいましょう。

 

「お父さん、下がっていてください」

 

「どうするんだい優子?どこかいい道でも見つけたのかい?」

 

そんな訳ありません。浦飯さんや桃たちから教わったことを実践するだけです。

 

「いえ、波を吹き飛ばします」

 

「は?」

 

何言ってんの?と言わんばかりのお父さんの表情を横目にし、私は妖気を高めて、高めた妖気を右拳に集中させます。

 

「オラァ!」

 

思いっきり振りかぶったアッパーを行うことで、妖気が衝撃波となり波を吹き飛ばしました。

 

波が吹き飛ぶと、道ができました。どうやら海が荒れてなければ、通れる道はあるみたいです。

 

「お父さん、行きますよ!」

 

「えぇ……?」

 

私はお父さんを横で抱えて、跳躍しました。やはり魔族大隔世で復活した後は遥かにパワーアップしているらしく、先ほどのアッパーといい、今の跳躍と以前とは桁違いです。

 

「のえぇー!?」

 

跳躍したスピードに驚いているのか、お父さんはやたら驚いてました。

 

波が収まるところに着地し、またアッパーを繰り出して跳躍。これを繰り返すことで、光が発している場所へ着くことができました。

 

「この方がご先祖ですか……」

 

半径50mほどの円形状に何も無い空間があり、そこの中央で仰向けに静かに寝ている魔族を発見しました。近づいて見ると木に埋め込まれていた魔族と瓜二つだったことから、この方がご先祖で間違い無いでしょう。

 

「そのようだね……オエップ」

 

急いできたせいか、お父さんは吐きそうでした。謝ると気にしなくていいとジェスチャーで返してくれます。喋ると吐きそうな顔をしてました。

 

どうすればご先祖を起こせるのか?と悩んでいると、お父さんは簡単だ、と言いました。

 

「見てごらん。ご先祖様の頭の周りに嫌な感じの魔力が纏わりついているだろう?これを引き剥がす」

 

「我が家の杖で取り除くんですね!」

 

お父さんは頷いて、杖をご先祖の頭に向けます。今まで解決してきた時も、この杖で嫌な感情とか余計な魔力を集めてポイしてきましたからね。

 

「だけど僕だけの妖気じゃ無理だ。だから優子、力を貸してくれるかい?」

 

お父さんは申し訳なさそうに提案してきました。そんな表情なんかしなくてもいいのにと思いますが、確かにお父さんから感じられる妖気ではご先祖を縛っている魔力を処理するのはちょっと足りないかもです。

 

「もちろんです!杖に妖気を込めるのは私、杖の操作はお父さんでお願いします!」

 

「分かった!」

 

2人で杖を握り、私が妖気を込める。するとお父さんは笑いました。

 

「強くなったね優子……本当に強くなった」

 

「皆のおかげです。浦飯さん……私の師匠にも後で紹介しますよ」

 

「優子の師匠か……ぜひお礼をしなくてはね」

 

そう言いながら、お父さんは杖を操作し始めました。

 

杖から伸びる私の妖気はご先祖の周りの魔力と絡みつき、まるで食い破るようにして魔力を消滅させていきます。

 

そして纏わりついていた魔力をスッキリ消滅させると、ご先祖がゆっくり目を開けました。

 

「んん……?ここどこぉ……?余は何してたんだっけ……?」

 

おお!ご先祖が目覚めたようです。作戦成功です!

 

わーいわーいと喜ぶと、お父さんはご先祖に跪きました。

 

「おはようございますご先祖様。あなたの子孫のヨシュアと申します。あなたは魔法少女に洗脳されていたのです」

 

「えぇ……余って洗脳されていたの? ってなんかすごい妖気の魔族が後ろにいるー!?」

 

どうやら洗脳されていたことは覚えてないようです。と思いきや、ご先祖は私を指差して後ろに思いっきり下がってしまいました。

 

どうやらパワーアップした私に驚いたようです。ふふ、なんか嬉しい。

 

「あー、この子は私の娘で優子と申します。ほら優子、ドヤ顔してないで自己紹介しなさい」

 

「私は吉田優子と申します!またの名をシャドウミストレス優子、略してシャミ子とお呼びください、ご先祖!」

 

「こやつも余の子孫なの?強すぎじゃね?」

 

「色々ありまして……」

 

説明すると長くなるので、そこは今回省きます。お父さんが世界各地から集めている魔力の流れを止めて、魔法少女に流すのをやめてほしいと頼むと、ご先祖はゆっくり頷きました。

 

「うむ分かった。確かにこれは過ぎた力じゃろう……ムン!」

 

ご先祖が体から妖気を立ち昇らせて、腕を振いました。すると大荒れだった海のような魔力はだんだんと鎮まり、静かな海のようになっていきました。

 

そして海が引くように魔力が綺麗さっぱりなくなり、ただ何も無い空間が地平の彼方まで現れました。

 

「すごいです……!」

 

「流石です、ご先祖様!」

 

「そーじゃろうそーじゃろう!

……まぁ操られていたのに全然気づかなかった訳じゃが」

 

褒められて鼻が高くなったかと思いきや、ズゥゥンと落ち込んでしまいました。なんだろう、どことなく親近感を覚えます。

 

「悪いのは操った那由多ってやつです!さぁ、脱出しましょう!」

 

「ではご先祖様。目覚めてください」

 

「うむ。礼を言うぞ我が子孫たちよ」

 

そう言うとご先祖は発光し、空間から飛ばされるような感覚を覚えました。やはり封印されていたのは伊達じゃ無いくらい、すごい能力者だったようです。

 

 

 

 

 

元の空間に戻ってくると、ご先祖が埋まっていた木からずるっと落ちてきました。

 

「ぶへ!?」

 

あ、と誰かが呟いた時にはもう遅く、ご先祖はお尻から地面へ着地してました。痛そうです。

 

「だ、大丈夫ですかご先祖?」

 

「めっちゃ痛い……」

 

なんか泣きそうでしたが、あえて触れないようにしました。なんか触れるとさらに泣きそうな予感がしたからです。

 

「作戦成功みたいね。那由多の魔力がグンと下がったわ!」

 

桜さんが地上へ見上げて言いました。探ってみると確かに那由多の魔力がグンと落ちてます。それでも私と互角かそれ以上ですが。

 

そして近くにいる浦飯さんの妖気はさらに落ちてました。だいぶギリギリじゃないですかこれ!?

 

「すみません皆さん、浦飯さんがやばいかもしれません!行ってきていいですか!?」

 

あまりに妖気が落ちている今の浦飯さんでは、今の那由多の相手は危険です。

 

もし浦飯さんに万が一があれば後悔どころじゃありません。那由多さえ倒せば、後は全部なんとかなるし、早く行きたくて大声を出してしまいました。

 

「行ってきてシャミ子ちゃん!結界はこのメンバーで大丈夫のはずだから!」

 

小倉さんはサムズアップで返してくれました。そして私は寝ている杏里ちゃんお見て、お父さんに視線を移します。

 

「お父さん、杏里ちゃんの洗脳を解くのお願いできますか!?」

 

本当なら私が杏里ちゃんの洗脳を解きたいのですが、今浦飯さんたちのところへ行かないとヤバイです!

 

「お友達は任せてくれ。本当はそっちに行きたいんだけどね……」

 

流石にお父さんで今の那由多の前に出たら危険なんてレベルじゃないです。それを堪えて、それでも大丈夫と言ってくれました。

 

「任せて、シャミ子ちゃん!」

 

「無事に帰ってくるのですよ、優子」

 

そして小倉さんだけでなく、皆応援してくれました。気合を入れて妖気を高めます。

 

「それじゃ、行ってきます!!」

 

私は地上に向かって跳躍しました。間に合ってください!

 

つづく




色々皆さん復活回。杏里ちゃんはお父さんに任せて先に行きました。

ちなみにお父さんと一緒じゃないとご先祖救済はかなり難しかった。なので実は今回が一番早い手順だったと言う感じ。
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