まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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山「まだ戦うんですか!?もうやめてくれー!」


68話「シャミ子VS那由多 その5です!」

地下の穴から出てきた私は、さらに跳躍し浦飯さんたちのところへ向かいました。

 

驚くべきことに、浦飯さんの妖力が地下で感じた時よりさらに落ちているではありませんか!こりゃ急がなきゃまずいということで、急ぎます。

 

自分でジャンプしておいてなんですけど、今の私……スッゴイ跳んでます!下手なビルだったら地上から屋上まで簡単に行けちゃいます!

 

なんて喜びましたが、そんな場合ではないと気を引き締めて、山があったような更地を飛び越えます。

 

「いた!」

 

何か大技を撃とうとしていた那由多と、傷ついていた浦飯さんたちの間に着地します。

 

「ちょーっと待ったー!」

 

那由多が皆へトドメを刺す瞬間だったようで、ギリギリセーフでした!那由多の前に立ちはだかると、那由多は目を大きく見開いて驚いてました。

 

「シャミ子……?」

 

「え、嘘。本当に……?」

 

桃が震えてました。いや、桃だけでなくミカンさんもです。リコさんは大きく驚いており、浦飯さんは好戦的な笑みを浮かべていました。

 

「ふふ、シャドウミストレス優子。ただいま戻ってきました!

てか随分皆さんパワーアップしてますね。結構修行した後みたいですよ?」

 

「え、は?いやいやいや、シャミ子あの時心臓止まっていたんだよ!?」

 

「そーなんですよ。というか今も心臓止まってまして。代わりに核っていう魔族の心臓が動いているって聞きました」

 

桃があり得ないと否定してきますが、今の状況を伝えるとキョトンとしてます。自分で言っておいてアレですけど、やっぱりあり得ないですよねこれ。

 

「全く、本当に……本当にシャミ子は人を驚かせるんだから……」

 

「ってうお!桃ってば泣いてる!?」

 

桃は笑いながら泣いてました。そして私を抱きしめてきます。いや、力強すぎて苦しいんですけど……!

 

「本当よ、生きてて良かったわ……!」

 

「ミカンさんも無事で……って苦しい……!?」

 

ミカンさんも私の後ろから抱きしめてきました。身長差の関係もあり非常に苦しい!かと言ってやめてとも言えず非常にピンチです。

 

「あの地下の方から発していた巨大な妖気はやっぱりシャミ子はんのもんやったやな。

しかし見たところあんまり変わってないなぁ」

 

リコさんは納得したよう表情を浮かべてました。どうやらこっち見ながら私の妖気も察知していたようです。そして私を上から下までじっくり確認してました。

 

「……どうやら、魔族大隔世でS級妖怪クラスになれたみてーだな」

 

そして浦飯さんがそう言ってきました。まさか元の肉体を取り戻した浦飯さんをここまでボロボロにするなんて、相当やばい状況だったようです。

 

ご先祖の洗脳を解かずに那由多のパワーがそのままでこっちにきてたら、間違いなく全滅だったでしょう。

 

「はい!おかげさまで!あ、浦飯さんに伝言があります」

 

「伝言だ?」

 

「雷禅さんが今度会いに来いって。私と一緒に」

 

その言葉を伝えると、浦飯さんは大きく目を見開きました。そしてなんだか照れくさそうに鼻の下を擦ります。

 

「やっぱあの妖気はそうだったか……あのクソ親父め。テメーから来いってんだよ」

 

「あはは……」

 

照れくさそうにしながらも言葉が悪い浦飯さんの態度に、私は雷禅さんと浦飯さんは悪態のつき方がそっくりだなぁと感じました。

 

「シャミ子……君は確かに殺したはずだが?それに魔族大隔世だと?」

 

魔力弾を撃とうとしていた那由多はいつの間にか右手を下ろしてこちらをじっと見ていました。桃やミカンさんが抱きついてきた時なんてまたとない攻撃チャンスだったと思うのですが、見逃してくれたらしいです。

 

私は2人からぬるっと脱出して、那由多に向き直ります。

 

「魔族大隔世はいわゆる隔世遺伝のすごい長いやつというか……あなたの仲間の黒影さんとやらの超すごい版らしいです」

 

「なるほど、魔族大隔世……いわゆる大隔世遺伝とは。ふふふ……あははははは!」

 

いきなり大笑いし始めた那由多。腹を抱えて笑う姿は、あまりに隙だらけ。しばらく笑い続けると目の端に涙を浮かべて、私に話しかけてきます。

 

「ふっふっふ………君たちは師弟で面白いね。君たちの先祖に、ぼくが洗脳した先祖の魔族以外の強力な魔族がいたのは予想外だったよ。そんな偶然があるとはね」

 

それはそうです。そんな都合の良い偶然があることに復活した私自身がビックリですよ。

 

「ところが偶然じゃないらしいんですよ。こうなった要因の一つに那由多、お前も関わっていると聞きました」

 

「何?」

 

私は簡単に雷禅さんから聞いたことを話しました。雷禅さんが子供を作り、その子孫が私と浦飯さんだった。

 

那由多がご先祖を邪神像から抜いたことで代わりに浦飯さんが入り、今に至る。そう話すと那由多は顔に手を当てて天を仰ぎました。

 

「そんな偶然、読めるわけないだろう……」

 

「そりゃそうよ」

 

那由多の呟きに、思わずミカンさんも同意してました。浦飯さんも「親父のやつ……」と呟いています。でも雷禅さんがいなかったら私は死んでいたのでセーフです、セーフ。

 

「……そして大幅パワーアップしたというわけか。確かに君がパワーアップすれば先祖の洗脳を解除して、私への魔力供給をカットできたことにも納得できる。

……君を殺したのは失敗だったかな?」

 

「殺されて良いわけあるか!とりあえず、これであなたの野望は潰えたわけです!」

 

指差して宣言すると、那由多は肩を竦めて「確かに」と認めました。

 

那由多は私たちの街の方向を見ると、どこか眩しそうに目を細めてました。そろそろ夜が明けそうな時間だからでしょうか。

 

「……そしてシャミ子の内側にいた桜ちゃんも解放され、街の結界が戻り桜が咲いた訳か」

 

地下に残った桜さんの魔力を感じ取っていた那由多。確かに目を細めて街の方へ視線を移すと壊れていた街の結界がドーム状に修復されていくのが見えます。どうやら桜さんは街の防衛を固めてくれたようです。結界に関しては桜さん以外は分かりませんからね。

 

「……なんだって?姉さんが解放された?」

 

ため息すら感じられる那由多の言葉に、激しく反応したのは桃でした。

 

そして私にズイッと近寄る桃。め、目が怖い……。

 

「ねぇシャミ子。どうして姉さんが復活したことをシャミ子は言わなかったのかな!」

 

「ヒギィ!言う暇が無かったんですよ!尻尾を引っ張らないで!」

 

確かに桜さんの復活は重要なことですけど、言うタイミングが全くなかったじゃないですかと言っても桃はますます詰め寄ってきます。てか顔が近すぎる!

 

「ちょっと桃、せっかく復活したシャミ子の尻尾がとれるわよ!」

 

「心配ばかりかける魔族には必要なことだよ」

 

「力を込めるんじゃない!助けてー!」

 

言い訳も通用せず、結構な力で尻尾を引っ張ってくる桃が怖くて助けを呼びますが、リコさんと浦飯さんはゲラゲラ笑うだけでした。この悪魔どもめ!

 

ワイワイ騒ぐ私たちの行動を止めたのは、那由多の一言でした。

 

「これでぼくを倒せばハッピーエンドだな。倒せれば、だけど」

 

この状況でまだ勝ちを諦めてない那由多に対して、全員那由多へ向き直ります。

 

そうです。私や桜さん、お父さんが復活したとはいえ現状やばいことは変わってません。

 

那由多への無限の魔力の供給が停止し弱体化したとはいえ、那由多の現在の魔力は私とほぼ互角。消耗した浦飯さんや、桃たちより強いことを肌で感じられます。

 

「シャミ子。君を倒した後、浦飯を倒せば敵はいない。それはわかるだろう?」

 

他では勝負にならないと口にする那由多。その言葉に桃たちは那由多を睨みますが、言い返せませんでした。お互い実力に差があることを察していたからです。

 

「なら、私があなたを倒せば問題ないってことですね!」

 

そう、話は簡単です。私が勝てば全部終わり!難しいことは考えなくて良いのです。

 

「じゃあ始めましょうか、最後の勝負を!」

 

そう宣言して指さすと、那由多は薄く笑いました。

 

「……待った。1人で戦う気?」

 

「え、そのつもりですけど?」

 

桃の質問にそう返すと、思い切りため息をつかれました。そしてミカンさんに肩を掴まれ揺らされます。

 

「ちょっと!タイマンにこだわらなくてもいいでしょうが!」

 

「あわわわ、でもこれは元から私の勝負です!」

 

「そうだな。元はシャミ子と那由多のタイマンだ。やらせてやれ」

 

キッパリと宣言すると、浦飯さんも賛同してくれました。それを聞いた桃とミカンさんはため息を吐き、リコさんはどこか納得し、那由多は軽く笑ってました。

 

「あーもー、好きにしなさいよ。シャミ子ってば、浦飯さんに似てきたわね」

 

「気張りや、シャミ子はん」

 

ミカンさんとリコさんはそう言ってくれました。そして桃の方を見ると拳を差し出してきました。

 

「……必ず勝って」

 

「はい!」

 

桃と拳を合わせ、浦飯さんの方へ向きます。

 

「任せたぜ」

 

「はい!」

 

浦飯さんが任せてくれた。そう思うと何か込み上げるものがあります。私は妖気が体に満ちるのを感じながら皆へ頷いて、那由多へ向き直ります。

 

「お待たせしました」

 

「中々待ったよ。さぁ……決着をつけよう」

 

溢れ出る那由多の魔力。私も対抗して強くなった赤い妖気を放出します。

 

お互いに力を吹き出し、気だけで押し合いをします。

 

「ぬうぅぅ!」

 

「はあぁぁ!」

 

赤い妖気と那由多の魔力が押し合いになり、お互い吹き飛ばされないようにその場に力を入れて堪えます。

 

「凄い、シャミ子の妖気が桁違いに上がっている!」

 

「凄い押し合いだわ!」

 

「互角くらいに見えるんやけど……」

 

「始まったばっかだからな」

 

押し合いをしているエネルギーはスパークし、お互い譲りません。

 

しかし那由多は突然やめました。私もそれを奇妙に思い、罠かと思ってやめます。

 

「どうして急にやめるんです?」

 

「いや……なんかこういう押し合いみたいなのは趣味じゃなくてね」

 

「……まぁ確かに、楽しくはないですね」

 

言われてみれば押し合いはなんかこう、気だけで決定するからあんまり駆け引きもないし面白みはないと感じます。すると那由多は笑いました。

 

「やはり戦いは拳を合わせないとね」

 

那由多は半身にし左手を前にして構えを取ります。ならばと私も構えます。

 

「じゃあこっからですね」

 

「そういうことだ」

 

那由多から感じるのは、私を殺した時と同じ凄まじい魔力。それでいて魔力は美しいほど綺麗に体を覆っており、魔力制御の技術が高いことがわかります。

 

ぶるり、と体が震えそうになります。しかし私だって強くなったのだ。

 

「いくぞぉー!」

 

気合いを入れて、駆け出しました。すると那由多もほぼ同時に駆け出しており、お互い示し合わせたように相手に向かって走り出していたのです。

 

那由多の左斜め前に滑り込むように回り、アッパーを振り上げます。拳自体は外れたものの、衝撃波が那由多を襲い、奴を後退させます。

 

私はジャンプし、那由多は巻き上がった岩などを足場にしてこちらに向かってきます。

 

左ストレートを繰り出すと那由多は右腕で逸らしますが、逸らしている間に右ストレートと隙間なく攻撃を加えます。

 

「空手の夫婦手か!いい技だ!」

 

右ストレートも抑えられますが、抑えられた状態のまま腕を折りたたんで肘鉄を繰り出します。両手をセットのように攻防で使っていたらそんなことを言われました。

 

「なんですかそれ!自分で考えてやっているだけです!」

 

「ははは!自分で思いついたのか!」

 

那由多は笑って自身の手を槍のように突き出してきました。ギリギリで避けると、私の防御を突き抜けて腕に僅かに刀で切り付けられたような傷跡ができます。

 

「貫手、手刀、足刀!」

 

「おわ!?」

 

私が避けた後、外れた那由多の攻撃は岩や木をまるで熱したナイフで切られるバターのように切り裂いていきます。なまじの防御など歯が立たないと判断し、私は避けつつしゃがんで蹴りを繰り出します。

 

「地獄回転投げ!」

 

「のわぁ!」

 

なんと私の足の指を捉え、捻るように投げ技を繰り出してきました。私の体が横回転しますが、私は防御を考えず回転のエネルギーを利用して回し蹴りを繰り出します。

 

「がっ!?」

 

「ごふ!?」

 

私の蹴りが那由多の顎に決まった瞬間、那由多の正拳突きが回転中の私の鳩尾に直撃。お互いに吹っ飛び、またすぐ接近して殴り始めました。

 

「はあぁぁ!」

 

「おりゃあぁ!」

 

那由多は色んな技を駆使してきますが、私はそれに全て対応しようなんて思いませんでした。

なぜなら私はまだ鍛え始めて1年も経ってません。4月から鍛え始めて、ようやく年末になったところなのですから、実質8ヶ月そこらでしょうか?初心者もいいところです。

 

だから技術で勝負しようなんて烏滸がましいのです。

 

今まで皆に鍛えてもらい、戦ってきたことを活かす。それしか考えてませんでした。

 

───それはゴリ押し!喧嘩殺法!それしかありません!

 

那由多の拳が私の頬を殴ったとしても、同時に私が膝蹴りを出して奴の鳩尾に叩き込めばダメージは互角です。

 

お互い距離が開き、また構えました。その時唇の端から血が流れ出てましたが、私は舌で舐め取りました。

 

「ふふん、今度は負けませんよ」

 

「ならまた返り討ちにしてあげるさ」

 

お互いに気力を漲らせながら、戦いを続けました。

 

つづく




雷禅、観戦中。

今の2人の実力は魔族大隔世後の幽助VS仙水と同じくらい。
幽助VS那由多との戦いから比べると結構スケールダウンしている状態。

作中の季節はだいたいクリスマスくらい
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