まちカド☆白書   作:伝説の超浪人

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今までありがとうございました。


最終話「それからです!」

那由多を倒してから色々ありました。

 

体に浮かんでいた模様は戦いが終わったら消えてました。それを浦飯さんに話すと「親父のやつ……!」と忌々しそうにしてました。どうやら雷禅さんの手助けだったようです。まぁ私としては助かったからいいや!

 

戦場になり破壊された山々などは桜さんのお友達の魔法少女で、修復が得意な人が元に戻してくれました。戦いの余波で死人が出なかったことが不幸中の幸いだった、とその魔法少女さんは言ってました。破壊されたあまりの規模に涙目でしたが。

 

途中ゲーム対決で負けたミヤの魂ですが、まだミヤの体の周りをうろうろしていたので浦飯さんが体に戻してくれました。

 

「……どうしてミヤを助けたの?」

 

「あの野郎に利用されたまま死ぬなんて、後味悪いじゃねーか。それにテメーのやってきたことなんてオレに比べりゃ大したことねーぜ」

 

「説得力の塊すぎる……」

 

中学生の頃から色々やらかしている浦飯さんが言うと、誰も反論できません。言われたミヤはキョトンとした後大笑いしてました。

 

その後、私たちの街に引っ越してゲーセンでバイトを始めてました。結構学生から評判がいいアルバイトさんとして私のクラスメイトも話してました。

 

 

それから皆はどうしたのか紹介します。

 

 

お父さん。

10年ほど封印されていたのですが、すぐ街に馴染んで仕事を始めました。

 

暗黒区役所は桜さんが作った魔族とかの役所ですが、そこで毎日働いてます。というのも、那由多を倒してから生き残っていた各地の魔族が暮らしやすい我が街にゾロゾロとやってきたのです。

那由多は関係者の記憶を消していましたが、魔族たちは何かおかしくね?と魔族同士のネットワークで情報共有していたらしく、那由多に見つからないよう各地に潜伏していたそうです。だが那由多が倒されたことで、大手を振って表を歩きたいなぁという魔族が増え、この街にやってきたというわけです。

 

「いや、思ったよりやることないんだよ。困ったなぁ」

 

お父さんが言うように、トラブルがないように色々法整備していたのですが、驚くことにトラブルなく皆過ごせてます。やはり平和が一番です。

しかしお父さんとお母さんが新婚のようにイチャついているのは子供目線だと少しきついです。まぁお母さんもずっと大変だったので言えませんが。

 

 

 

ご先祖。

本名はリリスさんと言い、邪神像は浦飯さんが復活するときに粉々に吹き飛ばしてしまったため、イクさんが作った肉体で日々を満喫しています。今は我が家で一緒に暮らしてます。

どこかにふらふら出かけたかと思いきや、1日中家でゴロゴロしたりと自由気ままです。

よく商店街に顔を出しているらしく、何だかアイドルのような孫のような扱いを受けてます。商店街の皆さんはご先祖より年下なのに、子供扱いされて怒らないんですか?と聞いたところ

 

「余をチヤホヤしてくれるのじゃぞ?むしろ望むところじゃ!」

 

クワっと力強く言われてしまいました。ともかく、ご先祖も楽しんでいるようで何よりです。

 

 

 

お母さん。

お父さんが帰ってきてくれていつも嬉しそうです。邪神像が破壊されたことで貧乏な呪いから解放され、しかもお父さんも働いているので我が家の経済状況は著しく改善されました。

 

「今度は電子レンジを新調してしまおうかしら〜」

 

ただ働いてないご先祖のことはたまに凄い目で見ている時があります。那由多より怖い。

 

 

 

妹の良。

良はいつも通りです。元気に学校に行っているし、友達とも遊んでます。

 

「良も霊丸を撃ってみたい」

 

そう教えを請われたことがありますが、今の良は妖気も魔力も感じないので無理だというと落ち込んでました。確かに使えたらカッコいいですもんね!

 

 

 

血池さん。

救援にきてくれた彼女。

 

「また会おう。あ、困ったことがあったら連絡して欲しい」

 

そう言ってどこかに去っていきました。彼女の心はいつ救われるのか分かりませんが、困ったことがあれば助けてあげたいなと思います。

 

 

 

小倉さん。

我が家の屋根裏ではなく、正式にばんだ壮の一室を借りて生活し始めました。

最近はイクさんと一緒に色々開発しており、たまに凄い匂いだったり音が聞こえます。

 

「いいよー!キタキター!」

 

てっきりグシオンのようになるのかなと思ってましたが、本人曰くほぼ別人格だから分けて考えてねとのことでした。今度発明品を見せてもらう約束をしてます。楽しみ半分、不安半分です。

 

 

 

イクさん。

那由多の仲間で色々やらかしてますが、ほぼ那由多からの洗脳教育に近かったと言うことで今はミカンさんとウガルルさんの部屋で一緒に暮らしてます。

最初は桜さんが引き取ると言っていたのですが、イクさんがミカンさんがいいと言ったので今の形になりました。

 

「むふー、またイクの凄い発明品ができた。褒めてミカン」

 

「凄いわ!ゆくゆくはノーベル賞ものね!」

 

どうやら基本褒めて伸ばす教育方針だそうです。たまにやらかしたときは凄い剣幕でミカンさんが怒っているので、変なことにはならないでしょう。たまにご先祖の体のメンテナンスもやってもらってます。

色々な発明品のおかげでお金には困ってない状態です。

もうすぐ我が高校へ編入してくる予定です。きっと大丈夫でしょう。うちの学校、おおらかだし。

 

 

 

ウガルルさん。

最終決戦でほぼ何もしてないのが悔しかったのか、結構鍛えてます。

 

「今度はもっと強くなって活躍スル!」

 

それはそれとして、毎日保育園に通ってます。送り迎えするミカンさんはJKママさんとしてご近所では有名になってしまいました。

あと最近はご先祖とも遊んでいるらしいです。

 

 

ミカンさん。

元々弱体化した桃の援護要員として来たミカンさんですが、高校卒業まではこの街で過ごすことに決めたようです。

 

「この街は居心地がいいのよ。魔法少女でも普通に接してもらえるし」

 

「私もミカンさんに残ってもらえて嬉しいです!」

 

「……ふふ、ありがと!」

 

最近は上記の通りJKママとして有名になりつつあり、そしてイクさんを引き取ったことにより噂は加速しました。本人は違うと否定しているようですが。

それなのにSNSで【子供が1人増えちゃった!パパいねぇけど!】とイクさんとウガルルさんと一緒に写っている写真を投稿して炎上しました。案の定両親と担任から鬼電だったようです。学習しませんね。

 

 

 

杏里ちゃん。

 

「シャミ子、本当にごめんなさい!!」

 

那由多を倒して、お父さんが洗脳が解いてくれたおかげで元に戻った杏里ちゃん。

正気に戻った杏里ちゃんが最初に行ったのは私への謝罪、そして皆への謝罪でした。

那由多が死ぬと記憶を消されたり洗脳された人たちが一気に正気に戻りました。しかし杏里ちゃんのように混乱する人が多数出たのです。

今までの行為を思い出し、一気に青ざめた杏里ちゃんは土下座をする勢いで謝って来ました。

 

「いや、悪いのは那由多だったので、杏里ちゃんが元に戻ってよかったです」

 

「本当にごめんなさいー!」

 

洗脳とは言っても私や桃と仲良くしてくれたのは事実ですし、本人にやましい気持ちがあったわけではないので責める気は全然ありませんでした。

終わりよければ全て良し、と言うことでその後は今まで通り遊んだりしてました。

お詫びということで高級焼肉屋の割引券をもらいました。やったー!

 

 

マスター。

喫茶あすらを今まで通り経営してます。リコさんの料理が評判を呼び、繁盛してます。

最近はマスターが占いも始めたようで、よく当たると評判です。

 

「ただ最近、寝ていると非常に寒気がするんだよね……何故か分かるかい?」

 

それはきっと、同居人の魔族がマスターのアレやコレやを狙っているせいでは?と口に出そうとしましたが、やめておきました。言ったところで時間の問題な気がするからです。

 

「なんでそんな『この豚は明日肉屋に並ぶのね!』みたいな感じで見てくるの!?」

 

その通りだからだと思います。すいません、私には止められません。

 

 

リコさん。

マスターとともに喫茶あすらを支える料理人。

料理に魔力を入れなくなりましたが、それでも美味しいのでリピーター続出。私もアルバイトしながらリコさんに料理を教わっています。

バトルジャンキーなのは変わりませんが、今はそれより狙っていることがあるそうで、そっちに力を注いでいるようです。

 

「バクって精力つけるためにはどんな料理がええと思う?」

 

種族間的にいけるのか、合意は大事ですよとか色々脳裏に浮かびましたが、私はそれらを飲み込んでこう言いました。

 

「ま、マスターの好きなものなら好感度上がって良い感じになるんじゃないでしょうか……?」

 

「せやな!」

 

その夜、マスターの悲鳴が上がったとか何とか。

 

 

 

桜さん。

街に魔族の移住者が増えたことで大忙し。しかも那由多が荒らしてくれた後始末もしなくてはならず、しばらくドタバタが続いてました。

お手伝いすると、疲れた笑顔を向けて来ました。

 

「本当にありがとうシャミ子ちゃん!いやー、あの呪いのせいとは言え病弱だったシャミ子ちゃんがこんなに逞しくなるなんてビックリだよ!」

 

「桜さんには私の命を支えてもらって、本当に感謝してます。桜さんのおかげで生きられました!」

 

「でも私じゃあ、那由多は止められなかっただろうし……」

 

桜さんは言いました。前々から那由多はどこか危ないと気づいていたと。でも中々行動に移せなかった。那由多が怖かったことを明かしました。それでお父さんと2人がかりでも遅れをとってしまって申し訳ないと言いました。

 

「私があの時倒しておけば、シャミ子ちゃんたちに苦労かけなくて済んだのにね……」

 

「フルパワーの那由多は普通じゃ無理です。それに桜さんがこの街を作ってくれたから解決できたんですよ」

 

もしこの街が魔族に優しくない街だったら……何か一つ違えば全滅もあり得たでしょう。それを伝えると、桜さんは困ったように……でも嬉しそうに笑いました。

 

「それじゃ、過ごしやすい街にするためにますます頑張らなきゃね!」

 

 

 

学校のクラスメイトと先生

那由多との戦いの影響で窓ガラスが結構割れたりヒビが入ったので大変でした。

流石に誰が何と戦っていたかというのは言いませんでしたが、この街のせいか何となく皆さん察しがついているようでした。

 

「シャミ子ちゃんたち、怪我大丈夫ー?」

「困ったことがあったら言ってね!できる範囲なら手伝うよ!」

 

クラスメイトの言葉は優しく、良い学校だなと強く感じます。

 

「吉田さん。体育の成績は上がりましたが、理数系をもう少し頑張りましょうね?」

 

ただ先生がいつも通りなのはマジで厳しい。ガッデム!

 

 

 

桃。

桃は一軒家に戻って行きました。桜さんと2人暮らしを再開するそうです。

しかし桜さんは出かける用事が多く、やはり桃は1人で食事をとることが多いので、週何回かは私が夕飯などを作りに行きます。

 

「……シャミ子、作るのが大変だったら来なくても……」

 

「ええい!そう言ってポテチとコーラで夕飯終わりとか抜かすだろ貴様!

ちゃんと食事は食え!健康の基本だぞ!」

 

「魔族に健康を指摘された……」

 

こんな感じで以前とあんまり変わりません。前より修行を多くして栄養を気にしなきゃいけないのに、食事に関しては無頓着のままです。

那由多も倒したのに修行を多くしている理由を夕飯を一緒に食べている時に聞くと

 

「ライバルには負けられないからね。すぐ追いついてやる」

 

私の目をまっすぐ見て、そう答えてくれました。

私は嬉しくて舞い上がりそうになりました。初めての時は全く相手にされないレベルの差があったのに、今はこうして認めてくれている。にやける顔を堪えて宣言します。

 

「そう簡単に負ける私ではない!せいぜい鍛えるが良いですよ!」

 

「もちろん、そのつもり」

 

フッと笑った桃の笑顔は、しばらく私の脳裏に焼きついて離れませんでした。

 

 

 

雷禅さん。

雷禅さんが住んでいるのは誰もいない山の奥深くの廃墟となった集落のうちの一軒でした。

那由多の戦いから怪我が治ってすぐ浦飯さんと2人で向かったところ、家の中で胡座をかいて座っていました。

 

「よォ幽助……それにシャミ子」

 

「お久しぶりです雷禅さん。あの時は助かりました」

 

「おう。無事勝ったみてーだな」

 

「はい!」

 

雷禅さんの魔族大隔世のおかげで勝てたのだ。お礼を言うと心なしか嬉しそうでした。

 

「マジで生きてやがっとはよー。連絡くらいしろよな」

 

「気づかねぇテメェは間抜けなんだよ、ケケケ」

 

「あ?」

 

一触即発。あまりに喧嘩腰の2人に囲まれて私は生きている心地がしませんでした。だがこちらを見た2人はすぐに軽く笑い合いました。

 

「あー、からかったんですね!?」

 

「悪いなシャミ子、ついな。親父、酒は飲めるだろ?」

 

「おう、もらうぜ。あとコップ一つ貸しな」

 

浦飯さんが買ってきたとっておきの日本酒と、コップを3つ用意しました。私は飲めないのでジュースです。

じゃあ残りの1つのコップは?というと、家の裏にあった墓に雷禅さんは酒を入れたコップを持ってきてお供えしました。

 

「これがお袋の?」

 

雷禅さんが生まれ変わりになっても会いたかった女性。そして生まれ変わりの女性で奥さん、私たちのご先祖様です。

 

「ああ、そうだ。生まれ変わっても良い女だった……」

 

名前のところは雨で削られて読めなくなっていました。しゃがんでコップをお供えしている雷禅さんの表情は見えません。だけどきっと優しい表情なのでしょう。

 

それから2人は今までのことを語り合っていました。雷禅さんが死んでからの魔界の変化や、こちらの人間界の変化など。

私の知らない2人の歴史は、聞いているだけで面白く、ついつい時間を忘れてしまいました。

 

「これからどうするんだ幽助。こっちで暮らすのか?」

 

「帰れればあっちに帰るさ。それまでは時々顔出すよ」

 

やはり浦飯さんは帰るのだ。手段は今のところ見つかってないが、時間の問題だろうと私は何となく確信してしました。

 

「それよりも親父、戦わねぇか?前の時は死ぬ寸前だったろ?」

 

「ケッ、テメェはいつまでも戦闘バカだな」

 

しんみりした空気から一変し、突然バトルモードになっていた2人。慌てて止めようとしますが、どうやって止めればいいか分かりません。

 

浦飯さんの妖気もすごいですが、雷禅さんはそれ以上です。近くにいるだけでめっちゃ怖いんですけど!?

 

「何呆けてんだシャミ子。あとでテメェもオレと戦うぞ?まだ妖気も上手くコントロールできない赤子同然なんだからよ」

 

何と雷禅さんから死刑宣告です。こんな妖気の持ち主に勝てるわけないだろ、良い加減にしろ!

 

「もうオレとの戦いの後のこと考えてんのかよ?舐めんじゃねーぞコラァ!」

 

「遊んでやるよ、バカ息子」

 

「お墓から離れたところでやれー!」

 

私の言葉が聞いたのか、離れたところで2人はぶつかりました。

2人の勝負の結果ですか?実はその後ボコされたせいで記憶が飛んで忘れちゃいました。もういや!

 

 

 

 

───そして現在、街で一番高い丘に咲いている桜の木の下で皆で花見をしてました。

 

もうすぐ私も高校2年生になります。魔族になってからほぼ1年が経ったと言うことです。

大人たちも子供たちも料理やら飲み物やらでワイワイ楽しみ、誰かが始めた一発芸で喜んでました。

今は桃のコインマジックをやってました。いわゆる右手か左手か、どっちにコインがある?というやつです。

ただしコインを上げた後の交差し続ける両手が速すぎて、目を強化しないと見えないレベルでした。あれ、普通の人無理でしょ。

 

「案外1年早かったなー」

 

よいしょ、と私の横に座った浦飯幽助さん。お酒を飲んでいるのか、顔が少し赤いです。

 

「浦飯さんが邪神像に入ってなかったら、私どっかで死んでましたよ」

 

「一回死んでるけどな」

 

「確かに!」

 

あはは、と笑い合います。ここは1回魔族大隔世した者しか分からないブラックジョークです。

 

「魔族になってからの1年は色んなことがありましたね〜……」

 

最初は夢の空間で出会って、それから人の体を借りてきて色々されたり、鍛えるという名の地獄を見たり。

色んなやつとも戦いました。けれどそれがなければ、今の私はここにいないでしょう。

 

「何だ急に?まぁ確かにこの1年、面白かったな。大半動けなかったのがきつかったが」

 

浦飯さんは邪神像で動けませんでしたからね。性格からして我慢できなかったでしょう。

 

「封印解放ができたという意味じゃ、那由多に感謝ですかね?」

 

「だな……那由多の奴、最後の方は楽しそうに戦ってたし、小難しいこと考えずにやりゃ良かったのによ。強かったのに、もったいねぇぜ」

 

そう言って浦飯さんはお酒を飲みます。

思い返すと最初に那由多と戦っている時は嫌味を言われるし手加減されるし最悪な相手でした。でも浦飯さんと戦った後の那由多はなんか爽やかになっていたというか、純粋にバトルを楽しむようになってました。

だから浦飯さんがもったいないと言われるほど那由多が変わったのは、きっと……。

 

「もったいない……と思えるほど那由多が変わったのは、きっと浦飯さんのおかげですよ」

 

「オレの?」

 

「私も桃もミカンさんもリコさんも……浦飯さんと戦った後って『もう一度戦いたい』っていう気持ちにさせてくれるんですよ。

なんていうか、爽やかな気分なんですよね。

きっと那由多も、戦っているうちに計画云々より戦いが楽しくなったんじゃないんですかね?」

 

これは浦飯さんと戦った皆さんが感じていることでしょう。不思議な気分にさせてくれる。そんな人であると、私は思っています。

そう伝えると、浦飯さんは少し恥ずかしそうに頭を掻いてました。

 

「別にそんな気分にさせるために戦ってる訳じゃねーんだけどな……喧嘩が楽しくて、オレは自分がやりてーようにやってるだけだ」

 

「それが良いんですよ、きっと」

 

難しいことを考えず、ただ純粋に楽しむ。それが物事を楽しめる一番のコツなんじゃないかと私は思います。

だってこの1年、浦飯さんと一緒に行動するのは楽しかったから。ゲームも、遊びも、喧嘩もです。

 

私が褒めるとどこか恥ずかしそうにしている浦飯さん。

 

───だが突然空間が切れました。

 

「な、何だぁ!?」

 

突然の出来事に戦闘ができる者は全員構えます。すると、切れた空間の穴から3人出てきました。

 

茶髪のリーゼント男と、赤髪の中性的な美人さん、目つきの悪いツンツン髪の黒い男の3人組です。

 

いずれも凄まじい実力の持ち主です。というか、リーゼント男以外は浦飯さん並の妖気を感じます。

 

その人たちを見て、浦飯さんは叫びました。

 

「あー!オメーら何で!?」

 

「浦飯!テメーようやく見つけたぜ!」

 

「やぁ幽助。元気そうで良かった」

 

「……ふん。生きていたようだな」

 

大声で指さしたのはリーゼント男、胸を撫で下ろした感じの美人さん、ツンツンした人は態度もツンツンな感じでした。

 

「浦飯さん、お知り合いの方ですか……?」

 

「そうだな、皆に紹介するぜ!」

 

3人は浦飯さんと一緒に戦ってきた仲間で、リーゼント男は桑原さん、美人さんは蔵馬さん、ツンツン男は飛影さんだそうです。

 

「ねぇねぇシャミ子。あの蔵馬って人、凄い美人ね。紅一点って感じ」

 

すると隣に来たミカンさんが小声でそんなことを言ってました。美人なのは同意しますが、一応訂正します。

 

「……確か浦飯さんから蔵馬さんは男性だって聞いてますよ」

 

「えー嘘!?勘違いしちゃったわ!?」

 

コソコソしながらも驚くミカンさんは器用だなと思いながら視線を移すと、蔵馬さんの耳がぴくりとしていました。もしかしたら聞こえているかもしれないと、私は冷や汗を流しました。

 

「探しにきてくれたのか。サンキューな!」

 

「苦労したんだぞ!」

 

「でもどうやってオレの場所見つけたんだよ?」

 

「ああ、それなんだが……」

 

浦飯さんの疑問に、蔵馬さんが答えました。

 

魔界統一トーナメントの優勝者である浦飯さんが酔っ払って、躯さんという方が所有していた空間転移装置をうっかり弄ってしまったため飛ばされてしまったそうなんです。

 

「あれ?そうだっけか?」

 

「あの時、幽助は大分酔っていたからね……」

 

「バカめ」

 

「何だと飛影!もう一度言ってみろ!」

 

「バカめ」

 

「このやろー……!」

 

蔵馬さんが補足すると、飛影さんがバッサリこき下ろしました。浦飯さんは殴ろうとしてましたが、話が進まないので宥めました。

 

空間転移装置を酔って弄ったせいで座標が滅茶苦茶で、魔界の進んだ技術でも特定するのが非常に困難だったとか。

 

ところが最近になって浦飯さんの妖気が何度か確認されたため特定できたそうな。

 

それはきっと浦飯さんが雷禅さんと何度も戦っていたせいでしょう。私も付き合わされて死にかけましたが。

 

けれど座標が並行世界と分かったため今度は行く方法が難しい。

 

そこで桑原さんの能力である次元刀と魔界の技術とコエンマさんの一存で霊界の技術も応用して遂に来ることができたんだそうです。

 

「マジで助かったぜ。じゃあいつまでこっちにいられるんだ?」

 

「……オレたちがやってきた穴は桑原くんの次元刀で穴を開いて、魔界と霊界の力で固定している状態だ。

だから1時間も持たないかもしれない」

 

ドクン、と私の心臓……核が跳ね上がりました。

 

いつか浦飯さんが帰ってしまうだろうというのは覚悟してました。ただこんなに急にやってくるのは予想してなくて、非常にモヤモヤしました。

 

「そっか、じゃあ帰るか。オレたちの人間界によ」

 

でも浦飯さんはいつも通りで。あっさりとそう宣言しました。

 

とんとん拍子に進む話に、全員困惑してました。

 

ただ引き留めてはいけないことは皆分かっている。でも私は何て声をかけていいか、私は迷ってしまいました。そしてフッと思いついたのが一つありました。

 

「しゃ、写真!」

 

「あん?どうしたシャミ子?」

 

「写真!皆で撮りませんか!?

ほら、お花見してるし、浦飯さん帰っちゃうし、何か残せれば良いなって思って……!」

 

「お、いいね!皆で撮るか!」

 

「……カメラはバッチリ」

 

それから、イクさんが作ったカメラを使って記念撮影することになりました。このカメラはすぐ現像できてデータとしてもPCなどにすぐ送れるものだそうです。

 

「……浦飯の仲間の皆さんも一緒にどうぞ」

 

「いや、オレたちは……」

 

「まぁそっちが良いなら一緒に写るぜ!」

 

桃がそう声をかけると、蔵馬さんと桑原さんは一瞬遠慮しましたがすぐ皆と一緒に並びました。

 

「おい飛影、逃げんな!」

 

「ちっ……」

 

飛影さんは逃げようとしましたが、浦飯さんに首を掴まれて強制参加です。

 

カメラをセットして、何枚か撮りました。データを確認すると、中々の出来栄えです。

 

「……浦飯さん、今までありがとう」

 

「浦飯さんいなかったら、私たちマジでやばかったわね……」

 

「いや、世界だと思いますわぁ」

 

カメラを撮り終わると、皆さん浦飯さんに話しかけました。1年という短い間でしたが、浦飯さんがいたからここまで来れたんだと、そう思わせる光景でした。

 

ひと段落するのを見て、私は浦飯さんに近づき、現像した写真を4枚を渡します。

 

「浦飯さん、私……もっと強くなります」

 

もっと色々言いたいことがある。でも、しんみりした別れはこの人に合わないから。

 

「おう」

 

「また会ったら、勝負してくれますか?」

 

そう聞くと、浦飯さんは嬉しそうに笑いました。

 

「当たり前だ。オメーはオレの一番弟子なんだぜ?」

 

ぐしゃぐしゃと頭を撫でられる。そして浦飯さんは親父を頼む、と言ってきました。

そうか、雷禅さんに会う時間がないのか。

 

そう思った私は、目を瞑り呼びかけます。

 

ざわっと私の髪が持ち上がると、体に模様が出ます。雷禅さんの魔族の証です。

それを見て、浦飯さんだけでなく桑原さんたちも驚いてました。

 

「【あばよバカ息子。達者でな】……ちゃんと挨拶、できましたよ」

 

浦飯さんは笑いました。一言を言うためだけに雷禅さんを呼び寄せた私になのか、雷禅さんの最後までブレない態度か。もしくはその両方か。

 

「オメーはすげーなシャミ子!

……じゃあなシャミ子。今度会ったら、戦おうぜ!」

 

「はい!」

 

「じゃーなー皆!」

 

バイバーイ、と言って浦飯さんは桑原さんたちと共に穴へ消えていきました。

 

そして穴は閉じられ、何事もなかったかのように静かになりました。

 

「……行っちゃったね」

 

「最後まで嵐みたいな人だったわ」

 

「……でも晴れやかな気分にさせてくれる」

 

桃とミカンさんは浦飯さんをそう表現しました。私も頷き、空へ目線を移しました。

 

右手首に左手を添える。右の人差し指を空へ向ける。何度も教わって、何度も助けられたこの技。

 

「浦飯さんの並行世界まで届くように───!」

 

右人差し指に妖気をフルパワーで集中させる。浦飯さんに教わった必殺技!

 

「霊丸ー!」

 

赤い小山のような妖気の一撃が空へ飛んでいきました。僅かにあった雲を吹き飛ばし、やがて見えなくなりました。

 

「私、強くなります。だから、それまで───」

 

───さようなら。そして、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、シャミ子の家には一枚の写真が飾られた。それは色褪せることなく、皆の記憶に残ったのだった。

 

終わり




今回で最終回です。長くこの作品に付き合っていただき、皆さんありがとうございました。

正直見切り発車で始まったこのクロス作品ですが、書いているうちに「なんかこの2作品、結構親和性高くない?」と思うようになり、ここまで来れました。

多少駆け足になりましたが、正直那由多を倒した後だとダラダラ続くだけになるかなぁと思いここで終わりとしました。

もしこんな感じの話が読みたい、とか思っていることがあれば感想いただけると嬉しいです。

それでは、誠にありがとうございました。
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