ぼっちのヒーローアカデミア   作:江波界司

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テンションPlus ultra!!で連日更新です。
昨日評価バーがオレンジに染まりました。
軽くフィーバー状態です。
このまま赤くなって欲しいな(強欲な笑顔)。


体育祭編
やはり俺の体育祭はまちがっている。


 やって来ました体育祭。

 一週間という準備期間はキング・クリムゾンしたように終わってしまった。

 会場は見渡す限りの人、人、人。見ろ人がゴミのようだ。今すぐバルスしたい。ヴィランかよ。

 残念ながら滅びの呪文はなんの意味もなく、俺達雄英一年生は開会式を迎える。

 なんかうちのクラスの学年トップが訳分からん選手宣誓してた気がするが、どうでもいいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一種目は障害物競走。

 一年生全クラス同時に行うレースは、雄英が用意した文字通りの障害物を超えねばゴールできないものらしい。

 障害1──仮想ヴィランロボット。

 巨大なロボが生徒達に襲いかかる。誰もが個性を使っての攻撃や防御、移動法を使って抜きにかかる。

 俺は普通に息を止めて素通りした。

 障害2──切り立った崖の綱渡り。

 ある者は飛び越え、ある者はロープの上を滑り、ある者は慎重に一歩ずつ進んでいく。

 俺も落ちて死にたくないので慎重に進んだ。

 障害3──地雷原。

 爆発は体を傷付けない程度のものだが、当たれば確実に順位が落ちるサバイバルコース。

 ちなみにステルス中の俺には起爆しないようだった。本物の地雷と違い、踏んだことすら感知できないらしい。

 

 そんなこんな色々あって、激しい一位争いを制したのは緑谷だった。

 俺はほとんど中間の順位でゴール。上位60名が第二種目に参加できるらしい。

 ちなみにA組の中で、1人だけ第二種目にいけなかった奴がいたけど、触れないでやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第二種目は騎馬戦。

 四人一機の騎馬となり、順位に応じたポイントの記されたハチマキを取り合う。

 二位から下は妥当なのだが、一位だけはクレイジーな桁違いの点数が送られていた。こりゃ、いかに緑谷を潰すかのゲームになりそうだ。

 さて、審判を務めるR18ヒーロー(ヒロイン?)の掛け声のもと、チーム決めの時間が始まった。

 そして、溢れた。対ぼっち専用の罰ゲームタイムの始まりだ。

 しかしよくよく考えれば、俺がハブられるのもわかる。俺の個性はこういう場面では使いにくいだろう。

 逃げるにしても時間制限付きの個性。ステルスでハチマキを盗むにしても、騎馬全体を消せるほど俺のキャパはデカくない。

 多分一度にステルスを共有できるのは二人までだ。それ以上は気絶覚悟の大技になる。

 しかもステルス共有をまともに知っているのはごく一部のクラスメイトのみ。

 その知っている爆豪や切島は早々に勝つための布陣をつくり、緑谷達からのお誘いもない。

 これ、詰んだ。バイバイ、俺の雄英生活。バイバイ、俺の未来設計。

 

「なあ、あんた」

 

 果てしない空を眺めていると、後ろから声をかけられた。

 聞き知らぬ声だ。他のクラスの奴だろうか。

 

「空いてるなら、俺たちと組まないか?」

 

 振り向いた先には、薄紫の髪をかき上げた男がいた。やはり別のクラスだ。少なくともA組にはいなかったはず。

 渡りに船だ。あちらからすれば余り物を引いて不運だとは思うが、俺にも事情がある。精々頑張らさせて頂こう。

 

「おう」

 

 そこから先、記憶が無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がついたら騎馬戦が終わっていた。

 んで勝ってた。

 何を言っているかわからねぇと思うが俺も何言っているかわからなねぇ。恐ろしい何かの片鱗を味わった気分だ。

 まぁ恐らくどっかの誰かが上手く個性を使ってのどうにかしてくれたんだろう。何もわかんねぇし本当に怖ぇけど。

 そんなこんなで、上位4チーム16人によるタイマンのトーナメント戦が始まる。

 途中、クラスメイトの尾白が棄権したりして一部メンバーチェンジもあったが、プログラムは順調に進んだ。

 第一試合は緑谷と俺を誘ってくれた余り物ハンター。

 クラスごとに割り当てられた席で、尾白から『洗脳』という個性の話を聞いた。

 なるほど、俺は洗脳されて騎馬戦に挑んでいたのか。

 そんな洗脳VS超パワーの試合は、洗脳を超パワーでねじ伏せた緑谷の勝ちだった。脳筋かよ。

 

 

 第二試合へと移行し、緑谷が観戦スペースに戻って来た。

 それから、なんかめっちゃブツブツ言いながら何かをノートに書いていた。オタクか。

 

「デクくん、すごいね」

 

 麗日に同意だわ。

 なんかクラスメイトのものまでまとめてるらしい。オタクすごい。オタク怖い。

 

 続々と一回戦のスケジュールを消化して行き、俺の出番まで回って来た。

 やだなー、やりたくないなー。

 

 第五試合目。

 プレゼントマイクのパフォーマンスボイスが入る。

 

『立て続けに行くぜ第5試合!クールな割に、やる事なす事えぐい奴!比企谷八幡!!』

 

 それ、褒めてないよね。

 

『VS!!あの角から何か出んの?出んの!?芦戸三奈!!』

 

 選手紹介ならもうちょい真面目にやれよ先生。

 にしてもやりにくいな。女子と殴り合いやれとか無茶ぶりにもほどがある。ほら、俺紳士だから。

 

「負けないよヒッキー!」

「できれば負けて欲しいし、あとヒッキーはやめろ」

 

 準備運動からやる気に満ち溢れている芦戸。やっぱそうだよな。

 ここにいるほぼ全員が、この大会に自らの夢、希望、未来を賭けている。諦める気などあるはずもない。

 

『第5試合、スタ──ート!』

 

 マイクから広がる声をゴングにし、互いに構える。

 芦戸は両手を開いて脇を締めた。個性を考慮すると、溶解液の投擲ってところか。

 俺とやり合うなら長距離戦こそあっちの領分だ。

 もちろん、俺は持ち前のステルス機能で対応する。

 

『比企谷は個性で姿を消した!対する芦戸は──』

「逃がさないよ!」

『消化液の雨で襲いかかるぅ!』

 

 範囲攻撃というにはそこまで広くない。恐らく遠くまで飛ばすことはできないのだろう。

 それでも、酸の水滴を飛ばすのは十分に効く。

 ガードなんつー選択肢はない。とにかく横移動で攻撃範囲から離れる。

 一方的な毒の雨を避け、限界を感じて息を吐く。

 芦戸は、攻撃の手を休めない。

 サイドスローから放たれる液体を、ステルスしつつ斜め前方に転がりながら回避。

 直ぐに立ち上がり、脱いだ靴を握る。

 そんで、ぶん投げる。

 

「痛っ……靴!?」

『どっから飛んできた!?なんかシューズが芦戸にヒットしたぞ!』

 

 誠に申し訳ないが、顔面にヒットした。怯んだ程度なのは、芦戸自身の身体能力の高さ故か。

 それでも怯んでいる。攻撃は止み、一瞬の隙が生まれている。

 あとは、前と同じだ。

 タックルで芦戸の腹を押し飛ばし、場外まで突っ走る。

 

『恐らく比企谷だ!芦戸が透明な何かに押されているぞ!このまま場外かぁ!?』

「まだ、だぁ!」

 

 俺のことは認識できていない。だが力が加わっている以上、俺が押していることは自覚できる。

 芦戸は浮きかけた体のバランスを整え、踏ん張る。どんな運動神経してんだこいつ。

 俺の場所自体は既に割れている。この至近距離では芦戸の攻撃を避けるのは無理だ。

 芦戸の両手にはリングの石も溶かせる液体が輝く。

 

『堪えた芦戸。今度はこっちのターンか!?』

「くらえ!」

 

 ゼロ距離から芦戸の攻撃が来る。

 あんまり女子に触れたくなかったし、できればやりたくないんだが。

 

 体育祭を報告されてからの一週間。

 相澤先生から個性の質を教えられた俺は、それ以外の部分を鍛えるために使った。

 その一つは、実践的な近接格闘術。

 一週間という短期間で身につく程度の技だが、ステルス込なら応用も利くし実用性も高い。

 例えば、ナイフを持った相手への対応術とかな。

 

 大凡の場所しか把握できていない芦戸は、必ず目の前を狙って手を突き出す。

 その右手首を左手で掴み、反対の手の平で芦戸の肘を曲げる。

 そのまま、芦戸の手首を掴んだままの左手を押し込み、溶解液の着いた手の平を芦戸の首下まで近付ける。

 息が続かないため、ここでステルスを解除した。

 芦戸は動かない。

 

『と、止まった──?芦戸と比企谷、至近距離で沈黙しやがったぞおい!』

 

 手の平から溢れた酸が、たらりと落ちて芦戸のジャージの一部を溶かした。

 

「寸止め……?なんで……」

「いや、流石に顔にぶつけるのはどうかと思ったんでな」

「一応、気遣ってる?」

「まぁ、一応な」

「ちなみにだけど、手加減されるのは凄く嫌なんだよね」

「俺も大勢の前で同級生の手首と肘をへし折るのは嫌なんだよ」

 

 あははと、気まずそうな笑みを見せる芦戸。そりゃ引くわな。

 俺の個性はそもそもの火力がゼロだ。だからもし対人戦闘をするとなれば、それなりに際どい攻撃をしなければならない。

 

「参考程度に言っておくとな。ダメージ覚悟で突っ込んで関節技ってプランもあったんだが、捨て身過ぎて最悪ダブルノックアウトだから諦めた」

「ヒーローらしからぬ攻撃方法だねそれ」

 

 ごめんね、ヒーローらしくなくて。まぁ、諦めた本当の理由はブーイングが嫌だったからなんだけど。

 かなり酷い攻撃プランを聞いた芦戸は一度俯くと、すぐに満面の笑みでこちらを見た。

 

「そんだけ手加減されて手も足も出ないんじゃ、ちょっとキツイかな」

「できれば降参してくれると助かる」

「ん、そうしとく。こーさん!わたしの負け!」

『お、おぉぉぉ!?よく分からんが、芦戸が降参したぞ!』

「第5試合、比企谷くんの勝利!二回戦進出!!」

 

 プレゼントマイクが騒ぎ、ミッドナイトが役目を果たす。

 観客は今一乗り切れない流れをテンションだけで吹き飛ばしていた。

 俺は拘束を解いてすぐに芦戸から離れる。

 

「すまんな」

「別に〜、比企谷があたしの事舐めてた訳じゃないってのが分かったし、これだけ完封されたらね」

 

 完封というにはあまりにお粗末だが、それでも勝ちは勝ちだ。ありがたく受け取っておく。

 これで俺は二回戦に進む。相手は、常闇か八百万。どっちにしても強敵だなこりゃ。

 

 




軽く流すと言いましたが、やはり書きたい所はあるんです。
というわけで体育祭編、盛り上げていこうと思います。

感想や高評価ありがとうございます。
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