ぼっちのヒーローアカデミア   作:江波界司

8 / 18
いよいよ新章、USJ襲撃編スタート!
そんで比企谷の個性の全貌が明らかになるぞ!
CVプレゼントマイク


USJ襲撃編
やはり俺の個性はまちがっている。


 我らが担任の相澤先生に続き、どデカいドームへと俺たちは足を踏み入れる。

 

「比企谷、大丈夫か?」

 

 大通りかとツッコミたくなる通路で俺に声をかけたのは、切島だった。

 

「おう。……いや、何が?」

「さっき、結構キツめに言われてたろ?」

「あぁ……」

 

 さっき、というのはバスでのことか。恐らくあのヤンキーとの会話に関して、こいつなりに気を遣っているのだろう。

 安心しろ、こういうのは慣れてる。もう慣れすぎて世間話として応えるまである。なにそれ悲しい。

 

「別に、なんともねぇよ」

「おお、そか。あいつ、爆豪勝己(ばくごうかつき)ってんだけどさ。あいつも悪気があるわけじゃねーと思うんだ。許してやってくれよ」

「おう、気にしてねぇよ」

 

「あァ?なんでオレが許してもらわなきゃならねんだッ!?」

 

 なんか向こうでBOOM!とか音がした気がするが、気のせいだな。

 

「あれでも入試一位なんだよ」

「マジかよ。うちのクラス大丈夫か」

 

 言いようのない顔で言う切島。うん、本当に大丈夫か?あいつクラスで二番目くらいにヴィランくさいぞ。

 ちなみに一位は俺。おっとクラス一位を超えてしまったぜ!良くない意味で。

 そんなこんなで階段の前まで行くと、宇宙服姿の恐らく先生が待っていた。

 その人は13号というヒーロー名で、個性は『ブラックホール』。簡単な自己紹介でそう言っていた。ちなみにこの施設はUSJというらしい。どうでもいいけど、いいのそれ?

 今日はオールマイトが諸事情で来れないらしく、相澤先生と二人で授業を請け負うという。

 13号先生が災害救助に関するあれこれを説明し終えた辺りで、異変が起きた。

 USJの中央広間に、突如として黒い靄が発生したのだ。

 壁のように広がった靄からは、誰とも知らぬ者たちが次から次へと出てくる。

 

「な、なんだあれ……?」

「入試ん時みたく、もう始まってるパターンか?」

 

「お前ら下がってろ!あれはヴィランだ!」

 

 クラスメイトが不安を口にする中、相澤先生が怒鳴る。

 ヴィラン、だと?

 ここは雄英の施設で、ヒーローの巣窟と言ってもいい。そんな場所に、なぜヴィランがいる。

 

「は……?オールマイトが、いない?……ったくさ、予定変更までされてイラついてるってのに、いないとか、なんだよそれ……」

 

 遠くてよく聞こえなかったが、リーダーらしい全身に大量の()を着けた男がこちらを睨んでいる。

 

「子供達を殺せば、来るのかな……?」

 

 なぜなんて言ってる場合じゃない。こいつらの狙いは、少なくとも穏便なものじゃないはずだ。

 警報機は鳴らず、通信機器も使用不能。俺のスマホも電波が遮断されている。

 混乱が大きいこの場面で、相澤先生がアイマスクを装着した。

 

「13号、生徒を頼む」

 

 相手は大軍、それを一人でやる気か……?

 そう思ったのは俺だけでなく、緑谷も抗議している。が、すぐに相澤先生、もといイレイザーヘッドは飛び出した。

 そこからは圧巻だった。

 一対多数の中で、イレイザーは敵の個性を消すことで連携を崩し、苦手であるはずの異形型にすら近接戦闘で立ち向かっていた。

 強え。個性を消せない相手にも引かない近接戦闘術。それは、俺にも欲しいスキルだ……。

 なんて、考えてる場合じゃない。

 先生の指示通り、俺たちは逃げ道を目指して走り出す。

 

 ──が、その前にあの黒い靄が立ちはだかった。

 

「初めまして。私達はヴィラン連合。オールマイトを始末したく、ここにお邪魔させて頂きました」

 

 驚愕の目的を告げる靄に13号先生だけでなく、生徒全員が臨戦態勢をとる。

 

「本来であればオールマイトがここにいるはずですが、何か事情があるのでしょうか?」

 

 そんな問に応えるわけがない。

 ひとまず、俺は身を守る為に息を吸う。

 そして止めようとしたのとほぼ同時。

 

「「うらァァァッ!」」

 

 吠える二人──切島と爆豪が飛び出した。

 爆破と剛拳が霧へと突き刺さる。

 

「ンなもん知るか」

「先に俺らにやられるとは考えなかったのか!?」

 

「──危ない危ない」

 

 しかし靄にダメージはないらしく、平然と続ける。

 

「私達の目的は、貴方達を散り散りにしてなぶり殺すこと!」

 

 最中、黒い靄が奴の中央に収束していく。

 まずい。何が起こるか分からんが、まず間違いなく攻撃が来る。

 そうなると、切島はともかく個性が爆発系の爆豪に防御の手段はない。

 どうする?奴の攻撃から守る手段は……。

 答えを出すより先に、俺は走り出していた。

 息は止めている。あの靄からは察知されていないはず。

 俺の個性じゃ盾にもならない。

 なら、爆豪の位置をずらす。予備動作すらない移動なら、相手の照準も合わなくなるはずだ。

 

「──お前ッ!?」

 

 俺は手榴弾らしき装備をしていない爆豪の左腕を掴むと、力の限り後ろに引いた。

 集まっていた霧は周囲に広がり、クラスメイト全員を包むまでになっている。

 まさか、範囲攻撃か……?だとしたら躱すとか関係ねぇじゃねぇか。

 後悔は先に立たず、俺は何かに吸い寄せられるように視界を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 目を開けたそこは、廃墟のようだった。ということは、あいつの個性はワープゲートみたいなものか。

 

「いい加減、離せッ!」

 

 舌打ちとともに爆豪が俺の手を払った。どうやらこいつと一緒に飛ばされたらしい。ワープは座標移動なのか?

 

「おお、爆豪……と比企谷。無事か?」

 

 そんで、俺の左隣にいたのは切島。他のクラスメイトの姿はなく、ここにいるのは俺たち三人だけのようだ。

 と、なぜか俺は爆豪に胸ぐらを掴まれる。

 

「おいてめェ!何庇おうとしてんだァ?オレはお前に助けてなんて言ってねェぞ!」

「……いや、もしあの時攻撃されてたらお前、防御手段なかっただろ」

「あァ?あるわ!つーかてめェが邪魔しなけりゃ普通に避けてたわッ!」

 

 さいで。

 いやこの人怖い、マジで怖い。俺別に悪いことはしてなくないか?ヒーロー志望ならもうちょい気の利いたこと言ってくれよ。あと怖い。

 

「まぁまぁ、今揉めても意味ねーだろ?」

 

 場を和ませようと切島が割って入る。

 だが和んでいる場合じゃなさそうだ。

 既に壊れているドアの無い入口から、何人もヴィランらしき人達が入ってくる。団体様のお着きだ。

 

「随分な歓迎ムードだなおい」

「はッ、の割には汚ェ面ばっかだな」

「比企谷、爆豪、んなこと言ってる場合かよ……」

 

「やっちまえ!!!」

 

 誰が言ったのか、そんな声が響いた。

 その数秒後、爆発音と打撃音が鳴ることで部屋は静まる。

 

「お前ら、戦闘向き過ぎるだろ……」

 

 爆豪と切島が飛び出したヴィラン二人を瞬殺した。殺してないけど。

 羨ましい限りだ。俺もこういう個性欲しかったよちくしょう。

 一瞬怯みこそしたが、数はあちらの方が上だ。ヴィランの団体様は再び襲いかかって来る。

 

「おい転校生。自分の身くらい自分で守れや」

「分かった、もう助けねぇよ」

「そういうこったッ!」

 

 走り出す爆豪に対し、俺は息を止めて姿を隠す。ぶっちゃけ戦闘とかやってられないんだよなぁ。

 爆豪の後に続くように、切島も前に出た。二人は打ち合わせもなく背中合わせに戦っている。

 なんつーか、かっけぇな。これこそヒーローの戦いって感じだ。ヴィランに全然勝ててるし。

 だが、いくら二人が強くても敵は多い。持久戦になるのはまず俺が嫌だ。消え続けるとかできないし。

 というわけで、微力ながら手伝わせてもらおう。助けるわけじゃない、あいつらが勝手に助かるだけだ。

 近くのヴィランに、思い切りハイキックを食らわせる。

 後頭部を強打したヴィランは、一瞬で気絶した。

 

「ふぅ……」

 

 見えない相手からいきなり襲われたのだ。そりゃ倒れるだろ。

 うん、やり口が完全にヴィランだなこれ。

 

「あ?なんだテメェ!?」

 

 俺に気付いたヴィランが襲いかかって来る。やべぇ、敵多すぎ。迂闊に息吐けないんだけど。

 どうにか息を止める。俺を見失ったヴィランは辺りを見回しながら立ち止まった。

 動かない相手くらいなら、流石に当てられる。

 見様見真似独学我流のハイキック。動画サイトで見ながら覚えたサバット式の蹴りを頭に打ち込んだ。

 靴の爪先──ヒーローコスチュームとして微妙に改造された戦闘用シューズは、特別製で金属を仕込んでいる。俺の筋力が弱くてもダメージはバカにならないはずだ。

 案の定ヴィランは倒れ、まさかの二人撃破である。どうやら俺の個性は乱戦に使えるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 その後、爆発に巻き込まれないように逃げながら、ヴィラン五人程を死角から襲撃した。マジでヒーローらしくない戦法だが、見逃してくれ。

 爆豪と切島が大凡の敵を倒してくれたおかげで、あっさりとこの場の全員を戦闘不能にできた。

 

「やるなー、比企谷」

「お前らの方がはるかにやってるけど」

「…………」

 

 ヴィランの大軍は退けた。この先はどうするかだが、気になるのはやけに静かな爆豪だ。

 

「なんだよ」

「おい腐り目。お前の個性は何だ」

「何って、単に自分を認識されなくさせるもんだが。あと自分が持ってる物も」

 

 やけに不機嫌そうな爆豪。

 俺何かしたか?ご注文通りあいつの戦闘に割って入ったりとかはしてないんだが。ご注文はうさぎだったのかな?

 

「例えば、お前が個性を発動した状態で誰かに触れたらどうなる?」

「どうって……そうだな、触れられていることにすら気付かないはずだ。相当強く握ったり殴ったりしたら痛みとかは伝わるだろうけど」

「ンで、お前さっき、あのクソ靄からオレを庇おうとした時、個性は使ってたのか?」

「おう……」

 

 だから何だ。

 そう問うより先に、爆豪は行った。

 

「もう一回個性を使え。あン時みたいに、オレを掴みながら」

「は?」

「いいからさっとしやがれぶッ殺すぞッ!」

 

 語尾が怖ぇよ。なんでそれだけで殺されなきゃならんの?

 渋々、俺は息を止めて、あの時みたく爆豪の左腕を掴む。

 しばらく無音が続き、爆豪はずっと俺の目を見ていた。

 

 …………は?

 

 思わず息が漏れ、個性は解除される。

 

「はァ……やっぱりなッ」

 

 何かを確信したように爆豪は呟いた。

 俺らのやり取りを黙って聞いていた切島は、ここでようやく口を開く。

 

「爆豪、どういうことだよ?」

「おいお前、今俺とこの腐り目は見えてたか?」

「いや、見えなくなってたけど……」

「が、オレには見えてた」

「え?」

「つまりそういうことだ」

 

 切島はまだ分かっていないらしい。

 だが俺は、この事実を飲み込みつつあった。

 さっき、個性を使っていにも関わらず爆豪は俺を見ていた。これはつまり、俺を認識できているということだ。

 なぜ?爆豪には通じないということだろうか。

 いや、それはない。さっきの戦いの中で、爆豪は消えている俺を認識できていなかった。

 でなければ、いくら自分で守れと言っても、あそこまで俺を気にせず個性は使わないはず。多分、恐らく、そうじゃないかと思う、思いたい。

 まして今爆豪は条件付けしてまで確認を取った。

 ということは……。

 

「さっきの説明、お前の個性に他人は含まれてなかったなァ?」

「ああ、俺も初めて知ったよ」

「なぁ、だからどういうことだよ?」

 

 爆豪勝己、雄英高校1年A組首席。個性や実力だけでなく頭もいいらしい。

 こいつはたった二回の発動で、俺すら知らなかった俺の個性の性質を見抜きやがった。

 

「俺の個性は、触れた者もステルスにできる──」

「みてェだな」

「マジかよ……」

 

 切島、俺も同じ気持ちだ。まさかこんな使い方があるとは思ってなかった。まぁ、試す相手がいなかったんだけどね。

 

「で、なんでわざわざ教えてくれたんだ?」

 

 こいつは俺をよく思っていないはず。

 俺の問いに、爆豪は顔も向けずに答える。

 

「はッ……自分の個性も使いこなせねェ雑魚はデクだけで足りてんだよ」

 

 どうやら、こいつはツンデレらしい。

 

 




はい、更新遅くてすみません。

比企谷の個性の元ネタであるところの『神の共犯者』です。
あくまでも個性である『ステルス』の性質の一つとカウントします。
ネタバレしちゃってるんで早々に出すことにしました。

爆豪が比企谷に個性のことを話した理由は、ライバルになり得ると判断したからです。
弱いままの比企谷と比べても意味はない、と考えたため個性を自覚させたとお考え下さい。

感想頂けると励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。