Angel Beats!-Atonement for you-   作:柑橘類さん

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EPISOUDE10 Introduction

 

 朝、目が覚めていつものように起き上がると、そこにはこれまたいつものように遊佐が制服に着替えている途中だった。

 

「あれま‥‥」

 

「‥‥‥‥」

 

「‥‥‥‥」

 

 両者ともに無言。俺は誰でもわかると思うが、まぁエロいことを考えていた。しかも上下共に白だ。さらに、白といっても純白で柄とかもないシンプルなやつだ。俺的に遊佐はちょっと大人びた色気がある黒とか紫とかの下着だと思っていたが、これはこれでものすごく眼福だ。さて、これ以上見てたら怒られるので目を離すとするか。

 一方、遊佐はしばらくは俺を見ていたが、やがてどうでもよくなったか、普通に着替えを再開した。

 

〜食堂にて〜

 

食堂に行くと既に人が沢山いて各々の朝食を取っていた。そして、俺も遊佐から食券を貰おうとしたが、

 

「今日はこちらです」

 

「サンキュって、これ納豆だけじゃん」

 

「何かご不満でも?」

 

「いや、せめてご飯欲しいなぁ〜と」

 

「すみません、ご飯はもう切らしてます」

 

「えぇ、じゃあパンとかはある?」

 

「それでしたらこちらをどうぞ」

 

 そう言って遊佐が渡してきたのは‥‥

 

「‥‥まさかのナン」

 

「納豆を乗せて食べると美味しいかもしれませんね」

 

「あ、あぁそうかもな‥‥」

 

「では、行きましょう」

 

「‥‥‥やっぱ見たこと怒ってるな」

 

 うん、今後は遊佐が着替え終えてから起きるようにしよう。そうしないとこの、何とも嫌がらせとは断言できないことをされるのは嫌だな。

 

 やがて、朝食を終えた後は昨日ゆりに陽動班に移ることになったため、改めてガルデモに会いに行こうと決めた。

 

「うぇっ、流石に納豆をそのままナンに乗せて食うのはマズかった」

 

「災難でしたね」

 

「お前から貰った食券なんだけど‥‥」

 

「私は貴方がナンに納豆をかけて食べたそうだと思ったのでその意思を尊重したまでです。寧ろ、私は優しいことをしました。」

 

「いや、お前さっきの俺を見て災難とか言ってだろうが」

 

「何のことでしょう?」

 

「ナンだけか?」

 

「全く笑えません。余程つまらない人生を送った芸人みたいです」

 

「お前、今日はいつもより辛辣だな」

 

「なぜでしょう?」

 

「悪かったよ。勝手に着替えを見て」

 

「それだけではありません。貴方は私を下卑た目で下衆な輩が考えそうなことを想像してましたよね。私はそういった所が男性で1番嫌いです」

 

 ここまで怒っている遊佐は久々に見た。確かにあいつの生前を聞いたくせにこんなことをするのは最低だ。本当に遊佐は男が憎いんだと改めて実感した、すまない。

 

「でしたら、今後はそういったことをしないと誓えますか?」

 

「あぁ、いいだろ。誓ってやる」

 

「では、少し待ってください」

 

 そう言って遊佐はポケットから小さな手帳を取り出し、ペンで書いてこちらに見せてきた。それは、誓約書だった。内容はさっき言われたことで、右下に印と書かれたところに遊佐は

 

「こちらに拇印でお願いします」

 

「朱肉は俺の血でいいか?」

 

「構いません」

 

「よし、任せろ」

 

 俺は自分の右手の親指をたまたま近くに落ちていた針で刺して少し血を出した。そして、遊佐の手帳に強く押し込んだ。

 

「これでいいか?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「いや、俺こそありがとう」

 

「では、ガルデモの所に行きましょう」

 

「あぁ」

 

 俺たちは再び歩き始めた。

 

〜とある空き教室〜

 

 ガルデモが練習しているという空き教室が見えてくると徐々にギターやドラムといった音が聴こえてきた。

 

「思った以上に音漏れしてないんだな」

 

「ここの教室は特別仕様になっています。なので、彼女たちは自由に練習ができるようになっています」

 

「へぇそいつはすげーな」

 

 どこか遊佐は誇らしげに語っているように感じる。

 

ガラガラッ!

 

「おーっす、入るぞー」

 

「失礼します」

 

「お?誰だお前?」

 

「あぁ、こいつは確か‥‥えっと‥‥‥そうだ!記憶無し男2だ!!」

 

「何だそのグループ分けした人のあだ名みたいなのは。俺は佐野だ。佐野龍也」

 

「佐野?聞いたことないな」

 

「マジか。ちょっとショックかも」

 

「貴方は岩沢さん以外の方とは面識がありません。なのであの反応は普通かと」

 

「そうだ佐野だ!佐野!」

 

「おい岩沢、ちゃんとあたしたちにも教えとけよ」

 

「悪い悪い、忘れてた」

 

「まぁ、いいけど。あたしはひさ子だ。よろしく」

 

「よろしく」

 

「ほら、お前たちも挨拶しな」

 

「はいはーい!あたしは関根しおりです!こっちの引っ込み思案ですが儚くプリティーな女の子がみゆきちこと入江みゆきです!よろしくお願いします!」

 

「しおり〜ん、変なこと言わないでよ〜!あ、入江みゆきです。ど、どうぞよろしくお願いします」

 

「あぁ、よろしく」

 

 それぞれの印象だが、ひさ子はまんま姉御肌といった感じだ。また、ゆりとは違ったカリスマ性がありそうだ。

 関根は元気溌剌な女の子だな。色々と面倒な気がするけど、まぁ気にしなければいいか。

 入江は漫画とかでよく見られる可愛い女の子といった感じだな。守ってあげたい!この笑顔!といった台詞を言われるヒロインとかに当てはまりそうだ。

 

「佐野さんと言えば、前の作戦ですごい活躍された人ですよね!いやぁ〜そんなすごい人がこんなところに何のようですか?」

 

「佐野さんは本日から作戦メンバーから陽動班に移動が決まり、ガルデモの護衛を勤めていただくことになりました。なので、本日はこうしてご挨拶をです」

 

「へぇ、あんた護衛なのか。じゃあ、雑用とかにも使っていいのか?」

 

「内容によるが、まぁいいだろう。その前に、俺はあんたたちの実力を知らない。だから一曲だけでいいから聴かせてくれよ。ガルデモの凄さをさ」

 

 俺がそう言うと、メンバー全員顔を見合わせて頷き、こっちを向いて笑顔で

 

「いいぜ!あたしたちの音楽を知ってくれ!!」

 

 岩沢がそう告げて曲が始まった。

 

****************

 

 曲が終わり、再び教室が静かになった。

 

「どうだ?あたしたちの曲は」

 

「‥‥‥‥」

 

「ん?おーい?聞いてるかー?」

 

「.........んぁ、悪い。あまりの凄さで思わず呆けてたわ」

 

「なるほど、それほど良かったんだな」

 

「あぁそうだな、言葉に表すことができないな」

 

「そりゃ良かった。あんたもあたしたちと同じ魂を持った人間の証拠だ」

 

「どいうわけだ?」

 

「あたしたちの曲は、自分自身を目覚めさせる力があるんだ」

 

「???」

 

 訳が分からない、という感想しか出てこない。もっと、魂そのものを呼び起こすとかそういったスピリチュアルなことだと思ったが、これには何と反応すれば良いか全く分からない。

 

 

「人間は、感動した時は無になることがあるだろ?それをNPCは一切ない。奴らはすぐに面に出すんだよ。何でもかんでもすげーときゃーとか騒ぐだけしかないのはあたしは嫌いだ。本当の感動は、自分にしか分からないもんだから」

 

岩沢の話を聞いて理解ができたかと言えばできてない。だが、何となくだがさっき俺が感じたことがそういうことなんだなと思うと薄らと理解できた気もする。俺自身も意味分からんな。

 

暫く自己紹介等をして、ある程時間が過ぎた頃、時刻はお昼に回っていた。

 

「そうだ、お前たち昼飯一緒に食べないか?」

 

「ん?あぁ、別に構わないぞ」

 

「私も大丈夫です」

 

「じゃ、行くとするか」

 

俺たちはガルデモメンバーと一緒に食堂に向かった。

 

食堂で自分の料理を持ってきて大きな机に6人が座った。俺が先に座るとその隣に遊佐がすぐに座った。そして、もう一つの隣では、関根が座ってきた。

 

「それで、旦那ぁ〜?どの子が好みなんだい?」

 

「あ?いきなりなんだ。キャバクラごっこか何かか?」

 

「ちっげーよ!恋バナだよ!こ・い・ば・な!あたしたち戦線は、常に血みどろ臭い日々を過ごしています!ですから、そのストレスを解消するために色恋の一つや二つあってもいいじゃねぇーかと考えているんです!佐野さんはそういったことに興味はないんですか!?」

 

恋バナ、ねぇ。考えたこともないな。自分の生前の中にそんな経験は一切ないとは言い切れないか。まだ全部思い出せているわけじゃないしな。恋愛とかそういったことはマジで分からん。誰かを好きになるってどんな気分になるんだろうか。

 

「そういうことは一切ないな」

 

「えぇーマジかよ〜。つまんない人ですねぇ〜」

 

「だが、興味はある」

 

「おっ!ですよね!じゃあ、あえてひさ子先輩に聞きますね!ずばり!この戦線の中で好きな人はいますか!?」

 

「何であたしなんだよ。まぁ、いいか。いねぇーよ」

 

「えぇー!?嘘ですよね!だってその姉御感に戦線一の巨乳をお持ちなのに!あたし、ひさ子先輩に好意を抱いている男ならめっちゃ知ってますよ!ほら!あそこ見てください!!」

 

関根が指した方に顔を向けると、そこには制服のボタンもきちっと止めている男たちがいた。彼らは俺たちが見る前からずっとこっちを見ており、ひさ子と目が合うと途端に顔をニヤつかせボソボソと話し合い始めた。俺は、聞き耳を立てた。

 

 

「えへへ、ひさ子様が俺のことを見てくれた」

 

「違うよ。僕を見ていたんだよ」

 

「何を言う!ひさ子たんは我のものだぞ!」

 

俺はすぐに聞くのをやめた。その光景は想像してはならないと感じた。と言うか、逃げ出したくなった。

 

「何て言ってたんだ?」

 

「聞かなくていいことはある。それだけは分かった」

 

「??意味が分からないぞ?」

 

「知るな。そして知ろうとするな」

 

その後も、俺たちは談笑していった。

 

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