Angel Beats!-Atonement for you-   作:柑橘類さん

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EPISOUDE11 Transaction

 

 

 ガルデモメンバーと自己紹介等をしてから数日が過ぎた。いよいよゆりが言っていた天使の秘密を暴く作戦が決行しようとしていた。その方法は、今までゲリラライブを繰り返していたガルデモが告知ライブをすることで生徒だけでなく教師も止めに来ることが予想される。そして、そこには当然天使も止めに来ることも考えられる。その囮となっている間、ゆり率いる秘密を暴くメンバーが行動を起こす手筈になっている。そして、俺はガルデモの護衛ということで、何とかしなければならない。ゆりからも期待されてるし、プレッシャーで胃がどうにかなりそうだ。

 

 

「はぁ、肝心のゆりたちがちゃんとやらないと意味がないからな?」

 

 

 俺は、舞台袖で一つ愚痴を零した。そこに誰かの足音が聞こえ、俺の愚痴に返答した。

 

 

「ゆりっぺさんたちは大丈夫ですよ。それより、自分の心配をなさってはいかがでしょう」

 

 

「あぁ遊佐か。ライブの阻止を阻止しろ、だろ?意味が分かんねぇわ。まぁ、なんとかするわ」

 

 

「期待していますよ」

 

 

「おう」

 

 

 少し会話をしてから俺たちは持ち場に向かった。遊佐は全体が見える場所に移動。俺は舞台袖の階段近くで門番みたいなことをしていた。

 そして、ライブが始まった。そういえば、俺はガルデモのライブを見たことが無かった。練習で聴いた曲は思わず無我夢中となっていた。あれとどう違うのか楽しみでもある。

 

 

*****

 

 

 暫く歌が続いた頃、遊佐から通信が来た。

 

 

「どうした?」

 

 

「告知ライブにしては少なすぎます」

 

 

「そうなのか?俺はいつものゲリラを見てないから分かんねーぞ」

 

 

「これではゆりっぺさんたちの時間稼ぎになりません。一度、ゆりっぺさんに報告します。何かあればその時は貴方が時間稼ぎしてください」

 

 

「了解」

 

 

 遊佐が通信を切ってから俺は立ち上がった。その時、突如舞台の入り口の扉が勢いよく開いた。そこから天使とガタイのいい教師三人が現れた。見るからに指導係的な奴だろう。

 

 

「お前らぁ〜!もう消灯は過ぎてるぞ!早く自分の寮に戻りなさい!」

 

 

「えぇ〜!今いいとこなんだ!今回は見逃してくれよ!」

 

 

「そうだそうだ〜!!」

 

 

「お願い先生!!」

 

 

 教師の怒号に対してNPCは反抗していた。しかし、人数が少なく教師と生徒という立場の影響かいとも簡単に岩沢たちの前に来ていた。そして、舞台袖に教師と天使が現れた。そのまま俺を睨みつけて先程と同じような怒号を浴びせた。

 

 

「おいお前!この音楽を止めろ!」

 

 

「まぁまぁ先生方、いい曲なので一緒に聴きましょ?彼女たちの将来に繋がることですから」

 

 

「ふざけるな!やってもいいことと悪いことぐらい判断できないといけないだろ!第一、お前たちはいつも秩序を乱す行為ばかりして、恥ずかしくないのか!」

 

 

 予想通り、教師たちは俺たちのことを問題児と見ており、今回は度が過ぎたことだと捉えているようであった。まぁ、確かに学園の場所を勝手にライブ会場にしてるし、ましてやゲリラライブじゃなくて告知ライブだもんな。そりゃあ、黙ってられないのが普通だ。とりあえず、問題は起きているとしても、暴力事件にはならないよう気をつけないといけない。上手く俺の話に乗っかってくれるようにしないと。その鍵を握っているのはお前だ、天使。

 

 

「じゃあ、取引しましょうよ」

 

 

「取引だぁ〜?ふざけるのも大概にしろ!」

 

 

「じゃあ、ライブを止めることはできませんね。俺なら簡単に止めることができるけどなぁ〜」

 

 

 こんなアホみたいな演技で引っ掛かってくれたらいいなと俺はひたすら祈っていた。すると、天使が口を開いた。

 

 

「貴方ならこの行為を止めれるの?」

 

 

 ビンゴだ。

 

 

「あぁ、しかも平和的にだ。どうだ?」

 

 

「じゃあ、取引に応じるわ。何かしら?」

 

 

「簡単だ。お前の大事なものを俺にくれ」

 

 

 天使の大事なもの。つまりは神に通じる何かに違いない。俺はそう睨んでいた。それを聞いた天使は学生服のポケットを漁って数枚の食券を渡してきた。

 

 

「これが私の大事なものよ」

 

 

「‥‥‥この食券がか?」

 

 

「そうよ」

 

 

「しかも全部麻婆豆腐かよ‥‥‥」

 

 

「ここの麻婆豆腐はとても美味しいわ」

 

 

「何か期待してたのと違ってた」

 

 

「??何を期待してたの?」

 

 

「もっとこう、天使なんだから神に通じる道具的な物かと思ってたわ」

 

 

「あたしは天使なんかじゃないわ。ただの生徒会長よ。SSS(すりーえす)の人たちが勝手にあたしをそう呼んでいるだけよ」

 

 

 何だ?こいつが言ってることが嘘とは思えず信じる俺がいる。それに、こいつの話し方は特徴的だが、別に人間とはかけ離れた話し方でもない。たまに見る珍しいタイプだ。天使じゃない、仮にそうだとしてもあの力は間違いなく人間を遥かに凌駕するものであるのは確かだ。何だか疑心暗鬼になってきた。

 

 

「分かった。今回はこれで手を打とう。次、同じような機会があればまたよろしく」

 

 

「分かったわ。そういうことだから先生、ここは任せましょ」

 

 

「立華!それでいいのか!?お前は生徒会長なんだぞ!」

 

 

「彼なら暴力等の問題を起こさずこの騒ぎを止めれると言ってるから大丈夫よ」

 

 

 そう言って天使もとい立華は会場を去った。その後ろ姿を見ていた教師たちも驚いていたが、やがて渋々去っていった。

 

 

「想像以上の反応だな。まぁ、やってやりますか」

 

 

 その時、俺の前に遊佐が現れた。

 

 

「待ってください。佐野さんは裏切るのですか?」

 

 

「んなことしねぇって。お、丁度いいや、ゆりに通信してくれよ」

 

 

「‥‥‥分かりました。ゆりっぺさん、遊佐です。佐野さんがゆりっぺさんにお話があるそうです。‥‥‥どうぞ」

 

 

 遊佐からインカムを借りて、そのまま耳に付けた。

 

 

「おぉゆりか。ちょっと聞いてくれよ」

 

 

『なに?こっちも暇じゃないから手短にお願い』

 

 

「じゃあ、簡単に言うぞ。後5分あれば作戦は成功するか?」

 

 

 俺が言ったことにゆりは少し間を空けてからOKと答えた。じゃあ、始めるとするか。

 

 

 ライブは未だに盛り上がっていた。そこに俺は舞台に上がっていく。遊佐は止めようと袖を掴んだ。しかし、俺が遊佐の方を見てゆっくり頷くと信じてくれたのか離した。それから、俺はそのまま舞台に上がった。そして、歌い続けている岩沢の前に来てマイクを取り上げた。その瞬間、岩沢の歌声が聴こえなくなり、次第にひさ子や関根、入江たちも楽器を奏でるのを止めた。すると、岩沢がものすごい形相で俺を睨んだ。

 

 

「おい!そのマイクを返せ!」

 

 

「てめぇ、あたしらの邪魔をする気か!」

 

 

「あああ、あの人何やってんだよ!殺されるぞ!みゆきち!止めてきて!」

 

 

「ええええ!!?無理だよぉ〜!私が殺されちゃうよ〜!!」

 

 

 各々が混乱して先ほどのライブの騒がしさとは違ってざわざわと一人一人が騒ぐようになってきた。まぁ、当然のことだな。

 

 

「まぁまぁ落ち着けって。今から重大な発表をするから」

 

 

「重大な発表だと?何のことだ」

 

 

 俺がそれを言おうとした時に、観客であるNPCが怒りを露わにしていた。

 

 

「おいおい!せっかくいい雰囲気だったのに止めるなよ!」

 

 

「そうよそうよ!先生たちも帰ってくれたんだから最後まで聴かせてよ!」

 

 

 この瞬間を待ってた。俺だって岩沢たちの曲を最後まで聴きたかった。けど、あのままじゃ天使たちは退けてもゆりたちが作戦を成功させるかどうかは微妙だった。だからこそ、これはただの時間稼ぎ。そして、今後の戦線のためにもなる方法を考えた。それが‥‥‥‥

 

 

「お前ら、最後まで聴きたいよな?そうだよな。これほど最高の曲をいつまでも聴きたいよな?そんな時、どうすればいいと思う?」

 

 

「「「????」」」

 

 

 周囲は何言ってんだあいつ?というような視線を向けている。ここからが面白いんだよ。

 

 

「この曲の続きが聴きたければ、食券5枚でガルデモのCDを交換してくれ」

 

 

「はぁ?CDなんかあるわけないじゃん」

 

 

「何言ってんだよ。これからCDを作るんだよ。俺がな」

 

 

「「「え?」」」

 

 

 周りが戸惑っている中、一人だけ反応が違った。

 

 

「ホントか!?佐野!」

 

 

「うぉっ、びっくりしたわ」

 

 

「本当にCDを作ってくれるのか!?」

 

 

「あぁ、こんだけの前で宣言したんだ。やるに決まってんだろ」

 

 

 岩沢は、俺の発言に一喜一憂していた。そんなにCDになるのが嬉しいのか。マジで音楽キチなんだな。関根は嘘ついてなかったのか‥‥。

 

 

「というわけで、近いうちにガルデモのCDを発売しま〜す。どうぞよろしくです」

 

 

 俺がペコリとお辞儀すると一瞬の静寂の間から一気に喧騒へと変わった。あるNPCは近くのNPCに手を繋いではしゃいでいたり、またあるNPCは雄叫びをあげたりと様々であった。

 

 

「はい、じゃあ本日のライブは終了します。さっ、自分の部屋に帰りましょう」

 

 

 この宣言から多くのNPCが会場から出て行った。残っているのはガルデモと遊佐、俺の陽動班だけだった。

 

 

「ひさ子!あたしたちの曲がCDになるぞ!なんかもう本物のバンドみたいだな!」

 

 

「本物のバンドというか現にあたしらは本物のバンドだぜ?」

 

 

「みゆきち!あたしらも有名人だぞ!その内スキャンダルみたいなのも来るかもしれない!!」

 

 

「しおりん、そこまでのことはないと思うよ。でも、今まで練習とライブの時しか聴けなかったんだよね。いつでも聴くことができるのはすごく嬉しいね!」

 

 

 ガルデモメンバーは各々の喜びを表していた。スゲー期待されてんな。

 

 

「当たり前ですよ。貴方はこの世界で前代未聞なことを宣言したのですから」

 

 

「俺は音楽といえばいつでも聴くことができる、つまりCDの存在を考えて、ここには無いから作ろうと思っただけだがなぁ〜」

 

 

「‥‥‥もしかすると、佐野さんは何かを変える力を持っているかもしれませんね」

 

 

「何だそのラノベにありそうな物は」

 

 

「ふふっ、物の例えですよ」

 

 

 この時、俺は初めて遊佐が笑っているのを目撃した。こいつ、笑顔も可愛いじゃねぇーか。

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