Angel Beats!-Atonement for you-   作:柑橘類さん

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EPISOUDE13 Impersonator

 ガルデモの録音関係を終えた俺は、いつものように定例会議に参加した。そして、今回の会議はいつもとは違っていた。

 

 

「さて、いよいよあの日が来るわね」

 

 

 ゆりの重苦しい雰囲気のある話し方で戦線メンバーはごクリと固唾を飲むような仕草を見せた。

 

 

「ま、まさかあれが来るのか?」

 

 

「そうよ。ついにあれの日が来たわ」

 

 

「うわぁぁぁぁ〜!!まさかこの日が来たなんて!」

 

 

 大山がオーバーすぎるだろと言いたくなるリアクションをしたが無視を決め込む。こういう時は大抵どうでも良いことのはず。

 

 

「そう、球技大会よ!!」

 

 

 ゆりの一際強く出た言葉はこの状況になるのが似つかわしいことであるのは明白だと俺は思った。

 

 

「ついに来たか‥‥。で?今回は何に参加するんだ?」

 

 

「今回もゲリラ参加の野球よ!もし、優勝できず負けたら死より恐ろしい罰ゲームを課すから頑張ってねぇ〜」

 

 

「おいおい!あれはマジで地獄だから勘弁してくれよ!今回はゆりっぺも参加してくれよ!!」

 

 

「何言ってるのよ!あたしが参加したら誰が天使を見張るのよ!」

 

 

「そんなの遊佐でいいじゃねーか!何のための通信士なんだよ!」

 

 

「遊佐さんは佐野くんの監視があるから無理よ。そうなったらあたしが適任じゃない」

 

 

「いやいや!だったら俺にやらせてくれ!」

 

 

「あ!ずるいぞ日向!じゃあ、俺も志願する!」

 

 

 何かよく分からんがこの球技大会の罰ゲームというのはとてもヤバイことなのは分かった。だが、そんなに慌てることはないはずだ。

 

 

「なぁ、優勝すれば罰ゲームはないんだよな?」

 

 

「えぇそうよ」

 

 

「だったらさっさとチーム作って作戦練って準備しとこうぜ。備えあれば憂いなしとは言うしな」

 

 

「佐野くんの言う通りよ。あんたたちはいつも考えなさすぎなのよ。あたしが作戦練ってなかったら今頃天使に消されてたのよ?」

 

 

「それは、まぁ‥‥‥」

 

 

 なんだかんだ言ってこの組織はリーダーであるゆりがいなければ簡単に崩壊することが目に見える。この作戦だってゆりなりのなんか目的があるはずだ。もし、仮にゆりが俺たちが苦しんでいる姿を眺めたいだけでやっているのなら、既に何人かは戦線を離脱し、天使に消されているはずだ。だが、この組織の人数を見るにそれは長いことなさそうであるのは分かる。ゆりは信頼できるいいリーダーだ。

 数分後、各々のチームを組んで参加し、天使のチームに勝てという条件に変わり、仮に初戦で当たったチームが勝てば、罰ゲームは無しになることに収まった。これから各チームのドラフト会議が始まるということか。恐らく、幹部のメンバーの殆どは戦力になるから取り合いになるのは間違いない。どう決めるかは分からないが、行動は先に起こすべきだな。その時、俺がどうしようか考えていると日向がいきなり肩を回して囁いてきた。

 

 

「佐野、そして音無、俺にはお前たちが必要だ」

 

 

「日向、やっぱこっちなのか?」

 

 

「ちげーよ!まだそのネタ引っ張るのかよ!俺はそっちじゃねぇ!女が好きだ!」

 

 

「つまり日向は女たらしというわけか」

 

 

「あぁもう!あっちこっち行ってややこしいわ!もういい!簡潔に言うぞ!!俺とチームを組んでくれ!」

 

 

「あぁ、それはいいぞ。音無は?」

 

 

「俺もいいぞ」

 

 

「やったぜ!とりあえず三人だな。後は、どうすっかな」

 

 

 日向が誰をチームに誘うかを考え、最初は松下五段に決めた。確かに、松下五段の身体能力は想像より動けているのは驚いた。妥当な戦力だろう。

 

 

「五段とはマブダチだからな。きっと俺の誘いを断るはずない」

 

 

 どうやら日向は五段との絆は深いらしい。が、いざ誘ってみると五段はあっけらかんと断った。それも、竹山による肉うどんの食券を大量に貰える賄賂で日向との絆を切った。日向との絆<肉うどんか。

 

 

「こいつ、さっきマブダチとか言ってたぞ」

 

 

 音無、お前は日向のライフを0からマイナスにしないであげろ。唯一のマブダチなのはお前だけだ。大切にしろよ。

 今度はTKを誘うことにしたらしい。日向によると、TKも日向との絆が深いから断られないと思っているらしい。あれ?何かデジャブ?

 早速誘おうとしていたが、TKは既に高松と握手を交わしていた。既に交渉は済んでいるようだ。このドラフト会議、早い者勝ちもしくは賄賂が飛び交う実力行使の何でもありだな。

 

 

「くっそ〜、想像以上に集まらないな」

 

 

「まだ三人だが当てはあるのか?」

 

 

「ないわけじゃないが、そいつらを入れると天使のチームに勝てるかどうかになると勝てないと言ってもいいほど弱くなるのは明白だ。どうすっかなぁ〜」

 

 

「ふっふっふ、お困りのようですな〜!先輩方!」

 

 

 頭を抱えている日向の前に誰かが現れた。

 

 

「メンバーがいなかったら意味ないぞ?早く決めろよ」

 

 

「わーってるよ。つっても罰ゲームは嫌だしなぁ〜」

 

 

「無視すんなコォぉラァぁぁ!!」

 

 

「グホッッ!!!」

 

 

 俺たちはそいつを無視しようとしたがそいつは日向の後頭部に回し蹴りをお見舞いした。案の定、日向は痛そうに抑えていた。

 

 

「おーユイか。偶然だな」

 

 

「やや!さっちゃん先輩じゃないですか!あれからCDの方はどうですか!?バッチリですか!?」

 

 

 日向との態度とは打って変わってキラキラと目を輝かして迫ってきた。マジでガルデモが好きなんだな。

 

 

「順調だ。もうちょいでCDを発売するからその時のポスターの貼り付け、よろしくな」

 

 

「まっかせてください!学園中に貼りまくりますよ!」

 

 

「頼もしいぞ」

 

 

「なぁ〜に勝手に盛り上がってんだぁぁぁぁーーー!!!」

 

 

「いだだだだだだぁぁぁぁ〜〜!!!」

 

 

 突如、ユイが悶え始めた。それは、日向がユイを卍固めしているからであった。これはアン○ニオ猪木も頷くほど綺麗に決まっていた。

 

 

「てぇんめぇ〜!勝手に先輩を蹴って謝罪もないのか!謝れ!謝れ!」

 

 

「ぎゃぁぁぁ〜!!ごべんなざぃぃぃ!!」

 

 

 暫くは二人のプロレスごっこ?を見ていた。やがて、お互い疲れたのか、ぜーぜーと息を荒くして膝をついていた。

 

 

「でぇ?こいつは誰なんだ?佐野」

 

 

「こいつはユイだ。俺と同じ陽動班の一員で、前に路上ライブしていた時に知り合ったんだ」

 

 

「へぇ、お前ミュージシャンなんだな」

 

 

「そうですよ!そして先輩方は今人数が足りてないんですよね?あたし、戦力になるよぉ〜?」

 

 

 ユイが日向の脇腹を肘で突いておちょくっていた。それに対して日向は口元に指を近づけて考え始めた。

 

 

「見るからにこいつは役に立たなさそうだなぁ〜。いや、待てよ?わざと相手の投手の球を顔面に当たって、危険球扱いにすれば退場させることができる!つまり当たり屋ってことか!よし!採用!!」

 

 

「お前の脳みそ!とろけて鼻からこぼれ落ちてんじゃねぇのかぁー!」

 

 

 ユイは日向の発言にキレて、再び頭を蹴った。

 

 

「グオッ!ってて、お前、俺先輩だからなっ!」

 

「おぉっと、先輩のお脳みそ、おとろけになってお鼻からおこぼれになっておいででは〜?」

 

 

 ユイがまたもや日向をおちょくり始めた。そして日向はそれに対してキレ出した。

 

 

「なるかぁぁ〜!!」

 

 

「グヘッ!‥‥‥先輩、痛いですぅ〜」

 

 

「俺だって痛ぇーよ!」

 

 

「運動神経は悪くなさそうだな」

 

 

「おいおい!音無も何言ってんだよ!こんなアホ入れたら勝てるかどうか分かんねーぞ!」

 

 

「でも、もう頼れる奴がいないんだろ?」

 

 

「見てましたよ!ですからこのユイにゃんが加勢しに来たのです!」

 

 

「あぁ?もういっぺん言ってみろ‥‥‥」

 

 

「ユイにゃん♪♪」

 

 

「そういうのが一番ムカつくんだよ!!」

 

 

「あいだだだだ!ギブギブ!!タップタップ!!」

 

 

 今度は日向がユイを卍固めし出した。そのユイのあざとさがうざかったのか、今まで以上にキツく絞めていた。紆余曲折あったが、ユイもチームに加わることになった。

 

 

*****

 

 

 メンバーに悪戦苦闘を強いられている日向は悩んだ末、ある人物に交渉をすることにした。そこは、グラウンドにある体育倉庫みたいな場所で薄暗く、およそ長居はしたくないと思う場所であるのは明確だ。そんな中、日向はそこの住人の名前を呼んだ。

 

 

「椎名っち、いるんだろ?出てこいよ」

 

 

 日向の呼びかけで椎名は登場した。彼女は忍の経験があるのか知らないが、戦線一の身体能力を保持している。だが、欠点として頭の回転は悪いことでその身体能力を生かした戦闘の手数が少ない。さらに、可愛いものには目がなく、犬の人形が激流の川に流されていても助けようとするほどだ。正しく、長所と短所が分かりやすい奴だ。

 

 

「何用だ」

 

 

「今度ゆりっぺの命令で野球やるからチーム組んでくれよ」

 

 

「‥‥‥‥私はその二人に不覚を取られて負けた」

 

 

 突然椎名が何か言ってきた。そして、指をこちらに向けて何か覚悟を決めたような言葉を発していた。

 

 

「何言ってんだよ。ミスは誰だってあるんだからそんな重く考えんなよ」

 

 

「いや、私が足りなかったのは集中力だ。だから、私はあれからこの竹箒を指先一つで支えている。この集中力を手に入れた今の私ならお前たちでも倒せるはずだ。いつでも来い」

 

 

「‥‥‥‥‥」

 

 

 暫く沈黙が続いた。そして、そこからユイが小さく俺たちに呟いた。

 

 

「先輩、もしかしてこの人はアホなんですか?」

 

 

「アホだが戦力にはなるぞ?」

 

 

 言ってることはかっこいいかもしれないが、椎名は指の上に竹箒を立てて乗せていた。まぁ、そう言われるのも無理はない。ハッキリ言ってアホだ。例えば、漫画で覚悟を決めた人が

『俺は、このために命をかけたんだ!だから、必ず見つけてやる!』

みたいな描写があったとする。こういうシーンというのは、大抵何か大切な物を探しているという雰囲気を感じると思うが、実際は

『自販機の下に落ちているお金を拾うためにプライドを捨てた男』

というオチだとすれば、かっこいいことを言ってるけど、やってることはダサいということになる。正に椎名はそれを体現している。

 とまぁ、竹箒を立てて維持するのってかなり神経使うよな。それをいとも簡単にできているのはやはり使い方によってはこいつは最強の戦士になれるだろう。アホなのが痛すぎる弱点だが。

 

 

「なぁ、椎名っち。そういう拳のぶつけ合うのはまた個人的にやってくれ。今は協力して欲しいんだ。野球で勝負しようぜ!例えば‥‥‥そうだ!ホームランが多い方が強いってことにしようぜ!それでどうだ?」

 

 

「‥‥‥いいだろう、私の集中力の凄さをお前たちに見せてやる」

 

 

「もう俺は負けでいいよ」

 

 

「おいおい音無、そんなこと言うと椎名っちが協力してくれないんだから頼む!」

 

 

「はぁ、分かったよ。佐野は?」

 

 

「ホームランが多かった方が好きな食券を貰えるという条件を加えてもいいか?もちろん、これは俺と椎名だけだ。音無には関係ないことにする」

 

 

「いいだろう」

 

 

「決まりだな」

 

 

「アホが増えましたね!」

 

 

「お前は余計なこと言うな!」

 

 

 なんやかんやで椎名がチームに加わった。これで5人、後4人もいるのか。俺が知ってる戦線幹部は全員各チームに所属していると思う。下っ端のメンバーじゃ、実力も分からないから戦力かどうかは難しい。ここは古参である日向に任せておくとしよう。

 次に俺たちが向かったのは学園から少し離れた橋の下にある川に来ていた。そこで日向はもう一人重要な戦力がいると告げていたのが、俺には誰か分からなかった。一瞬、ギルドにいるチャーのことかと思ったが、あいつが地上に来たことは一回も見ていない。恐らく、ギルドの頭だから現場を離れることができないんだろう。とすると、日向にしか知らない戦線メンバーの可能性が高い気がする。が、そこにいたのは今ままで忘れていた人物であった。

 

 

「ハイ!とぉりゃ!ハィぃぃ〜〜!!」

 

 

 長い獲物を豪快に振りまわし、時々汗か川の水が付着してそれが飛び散っているのかどうかは知らないが、野田は武者修行中であった。ずん、すっかり忘れてたわ。

 

 

「フッ、何のようだ?」

 

 

「今度の球技大会で野球をやるのは知ってるだろ?俺たちのチームに加わってくれよ。野田」

 

 

「断る。貴様のチームにはそこの音無がいるんだろ?俺はそいつが嫌いだ。新人のくせにゆりっぺに気に入れられているのが不愉快だ。さっさとここを去れ」

 

 

「ちょっと先輩、断られてますよ?どうするんですか?」

 

 

「マジか、ここまで嫌われてるとは思わなかった。お前、何したんだ?」

 

 

「いや、何もしてないけど」

 

 

「くっそー、あいつは脳筋だから簡単に引き受けてくれると思ってたが、ここまで嫌われているとは誤算だったぜ」

 

 

 日向が頭を悩ませている中、俺はある策を思いついた。そして、それを野田以外の全員に伝えた。それを聞いたユイは不満を抱き、無理だと思ったが、日向は名案だと思い、早速実行していた。

 

 

「おい野田!今度の球技大会で結果を多く残してくれたら金輪際、音無がゆりっぺに近づかせないようにする!これならどうだ?」

 

 

「‥‥‥フンっ!」

 

 

「そういえば、ゆりは野球で一番活躍した奴にご褒美をあけまるそうだぜ?何だろうな〜?もしかして、一日デート的なやつかもしれないな。音無、お前はどうだ?」

 

 

「え?あ、あぁそうだな。ソレハウレシイナー。ユリトデートトカガンバレルゾー」

 

 

 あからさまな棒読みな音無。しかし、野田はそのことを聞いて時が止まったように動かなくなった。そして、少しワナワナと震え出し、日向の方を見て告げた。

 

 

「フッ!いいだろう!貴様のチームに加わってやる!ただし!ゆりっぺとデートするのはこの俺様だぁぁぁ〜〜!!」

 

 

 野田は歓喜のあまり、空に向かって叫んだ。そして、最後まで見ていたユイがこの状況を一言で表した。

 

 

「アホだ」

 

 

 こうして、野田もチームに加わった。

 

 

*****

 

 

 野田も加わった後、残りのメンバー探しに歩いたが、人数は6人と変わらなかった。すると、ユイが任せろと言い、暫く任せていると、俺たちのもとに3人の女の子がやってきた。

 

 

「この子たちはあたしのファンです!どう?凄いでしょっ!」

 

 

「えっと、私たち、ユイにゃんさんが困ってると聞いたから助けにきましたけど‥‥正直言うと運動は苦手の方です。それでも、いいですか?」

 

 

「う〜ん、NPCかー。これだと戦力がなぁ〜」

 

 

「日向、この際戦力は俺たちがどうにかするとしよう。今は、人数の方が優先だ。人数足りません=試合に出れませんはマジでゆりの怒りが収まらないと思う。な?」

 

 

「俺もそれがいいと思う。幸い、こっちには強力な選手が勢揃いなんだからな」

 

 

 俺が後ろにいる椎名と野田のことを指すと二人は当然だなと言わんばかりドヤ顔をしていた。こいつら、単純だなぁ〜。

 

 

「分かった分かった!とりあえずこのメンバーで行くか!」

 

 

 日向も覚悟を決めてユイのファン(NPC)をメンバーに加えた。その後、ひたすら球技大会前日まで練習をし、最後の練習が終わってからは解散となり、俺は遊佐と一緒に屋上に来ていた。

 

 

「お前、これまでどこ行ってたんだ?」

 

 

「私はずっと皆さんの後ろにいましたよ」

 

 

「マジ?気配も何も感じなかったから気がつかなかった。で?何で皆んなの前に現れなかったんだ?」

 

 

「私はあまり人と群れるのが好きではないので」

 

 

「いやいや、俺と一緒にいるのも群れているもんだろ」

 

 

「佐野さんは監視対象ですので。問題ありません」

 

 

「お前の判断基準は謎だな」

 

 

「そうですね。それと、あなただけにゆりっぺさんから命令が届いています。こちらをどうぞ」

 

 

 遊佐は、制服の内ポケットに入れていた紙を取り出し、俺に渡した。

 

 

「なになに?球技大会では、遊佐さんの指示をこなしなさい。もし、命令に従わなかったから、あんたの食券を全部あたしが貰って、金輪際、食事を取ることを禁ずることとするわ。じゃっ、遊佐さんよろしく!‥‥‥だってよ」

 

 

「はい、ですから当日はこのインカムをつけてください」

 

 

 遊佐が渡してきたインカムは本人が付けているやつと全く同じタイプであった。

 

 

「ちなみに、何で俺だけ?」

 

 

「私は当日参加しませんので、その暇つぶしにゆりっぺさんに提案しただけです」

 

 

「俺はお前のオモチャじゃねぇーよ!」

 

 

「いいじゃないですか。佐野さんもただ野球をするだけではつまらないですよね?私はいいことをしたと思います」

 

 

「あーはいはいそうですね。俺のためにありがとな」

 

 

 暫く会話を続けていた俺たち。やがて、夕食の時間になると食堂に行き、飯を食べ、今度は風呂に入ることにした。風呂に入るとそこには日向と音無と大山がいた。

 

 

「おぉ!佐野か!お疲れ様だぜ」

 

 

「あぁ、最近はお前たちと練習ばかりだったから良く会うな」

 

 

「だな、まぁ同じチーム同士、頑張ろうぜ!」

 

 

「あぁ」

 

 

「佐野くんは日向くんのチームに入ってたんだね」

 

 

「あぁ、大山はどこなんだ?」

 

 

「僕は高松くんのチームだよ」

 

 

「高松の方か。そういえば、前に日向がTKを誘おうとしてたんだがな‥‥‥」

 

 

「おいおい佐野!そのことは言うなって!やめてくれよ!」

 

 

 暫くは裸で最近の出来事を語り合っていた。

 やがて、風呂から出て部屋に戻ると遊佐が読書していた。しかも眼鏡をかけていた。

 

 

「何読んでんだ?」

 

 

「生前に好きだった恋愛小説です」

 

 

「へぇ、タイトルは?」

 

 

「『君に恋した』です」

 

 

「ほぉ、分かりやすいタイトルだな。で?どう面白いんだ?」

 

 

「そうですね、ヒロインの女性が私と似ていてどこか共感してしまう所があるからでしょうか」

 

 

「なるほど。俺も読んでみようかな」

 

 

「明日には読み終わりますのでその後ならお貸ししますよ」

 

 

「頼む」

 

 

 俺は本を借りる約束をしてベッドに寝転んで、眠りについた。一方、遊佐は部屋の電気は消してスタンドライトをつけて読書を続けていた。そして、俺と話す時は外していた眼鏡を再びつけた。読書の邪魔をするのは良くないと思い、俺は目を閉じた。

 翌朝、今日は球技大会当日。俺は日向たちと合流し、グラウンドに集まっていた。既に野球は始まっており、俺たちはゲリラ参加をしようとしている。試合中にも構わず、両チームの代表を呼び、勝った方が俺たちと試合することにした。

 試合が始まる前、遊佐が現れ喋り出した。

 

 

「皆さん、ゆりっぺさんから伝言です」

 

 

「うぉっ、びっくりした〜」

 

 

「いつの間に来てたんだよ」

 

 

「そんなことより、伝言って何だよ?」

 

 

「それでは、コホン‥‥‥、ルールは変えるわ。負けたら罰ゲーム。死んでも勝ちなさい!あら、既に死んでたわねぇ!そりゃ滑稽ね!あーっはっはっは!‥‥‥とのことです」

 

 

「なんのこっちゃ‥‥」

 

 

「うぇぇぇ〜!負けたら罰ゲームなの!?前まで天使に負けたらだったのに〜!!」

 

 

「とにかく!全力でやるしかない!皆んな!頑張ろうぜ!!」

 

 

「「「オォーー!!!」」」

 

 

 ゆりの無茶振りにも冷静になれるのは長年の経験によるものだろう。すごい奴らだ。それにしても、

 

 

「お前、ゆりの真似上手いな」

 

 

「ありがとうございます。嬉しいです」

 

 

「特に煽るところとか瓜二つだったわ」

 

 

「声真似は役に立つと思いますので教えましょうか?」

 

 

「あぁ、役に立つ時がくればな」

 

 

「はい」

 

 

「じゃ、行ってくるわ」

 

 

「お気をつけて」

 

 

「おう」

 

 

 俺は、グラウンドに向かった。

 

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