Angel Beats!-Atonement for you- 作:柑橘類さん
朝の5時、俺は目が覚めた。なぜ目が覚めたのかは、分からない。もしかすると、生前の記憶による動作か何かなのか?自分らしくないこの感覚、非常に不気味だな。早く記憶を戻したいと思う。
「おはようございます」
遊佐が起きた。その服装はジャージだった。何だかよく分からないがショックを受けている自分がいる。何故だ?異性の寝起きの服装には何か惹かれるところがあるのか?確かに、遊佐自身、かなりの美人であるはずだ。綺麗な黄金の髪、冷たい雪女のように艶やかさがある白い肌、キリッとした目と俺が思う中で1番だと思う。あ、見かけによらず胸もデカいよな。
「佐野さん?何故私を凝視しているのですか?」
「ん?あぁ、悪い悪い。何か見ててたわ。そうだ、おはよう」
「はい、おはようございます。今朝のご気分は如何ですか?」
「ん〜?どうだろうな、俺自身、すっげ〜気持ち悪いんだが」
「ご病気になったのですか?」
「いや、そういうのじゃないんだ。単純に、記憶がないのに自然とこの時間に起きれるのは何だか俺らしくないと思って不気味と感じるんだ」
「なるほど。では、早く記憶を戻してください」
「戻す方法があるのか?」
「自然と戻るのが方法です」
「っだよ!それって運任せみたいなやつじゃねーか!」
あまりのバッサリとした答えに怒ってしまったが、以前にゆりも同じようなことを言ってたのを思い出した。自然に戻るねぇ〜、考えても仕方ねーな。腹減ったし、何か食ってくるか。
「なぁ、ここって飯を食える場所みたいなのはあるか?」
「ありますよ。この寮を出て直ぐそばに大きな食堂がありますので。基本的には、そこで食事を取っています」
「食堂か。ここが死後の世界なのか疑いたくなるな」
「私たちは死にませんし、病みません。しかし、お腹が空いたり睡眠を取りたくなったりと普通の人間らしいところもあります。なので、ある意味では、この世界を天国と呼ぶこともできます」
「なるほどな。都合の悪いことだけは起きず、かといって人間味がないのは可笑しいからある程度は、ということか」
確かに、腹が減っていることは何の不思議にも思わなかったが、俺は死んでいるんだった。死人と聞くと、飲まず食わずで生きていける不老不死に近いものだと思っていた。だが、怪我はする。しかし、昨日椎名にやられた左手は完治している。そこはすごく変と感じた。多少は生前の人間らしいところを表しているからなのか?本当にこの世界は歪だな。
「よし、とりあえず腹減ったからその食堂に案内してくれよ」
「食堂は6時半からなので今は閉まっていますよ」
は?マジか。てことは、後1時間以上待たないといけないのか。
「24時間営業みたいなやつじゃないのか?」
「NPCは私たちと違って生前の記憶がないのが大きいですが、その他は同じような生活をしているのですよ?24時間営業なんて寝不足で倒れるのが目に見えませんか?」
「まぁ、確かにそうだな。作られた世界のなのに現実らしいところがあったりなかったりで益々気味が悪いな」
「なので、この時間は基本的に誰も起きていませんよ。精々6時くらいですね」
といっても、何もしないのは嫌だな。何かするとしてもどうするか......。
ズキッ!!
「うっ!頭が!いってー!お、おい!これは何なんだ!?」
「それは、記憶が戻る前兆です。我慢してください」
「っち!ぐぁぁ〜!いって〜〜なぁぁぁ〜!!」
突如俺の頭に来た痛み。それはもう、鋼鉄のハンマーで叩かれたようなとにかく痛かった。しばらくその状態が続き、そこでぼんやりとだが何かが見えた。
「(何だ?あれは??)」
「(俺だ。走ってる?)」
**********
『おぉ、よく帰ってきたね』
『あぁ』
『少しは感情を表してみてはどうだい?』
『悪いが、どんなときにどんな感情を出せばいいか知らないんだ。だから無でいる』
『なるほどね。お前は本当に僕にそっくりだ.......』
『何のことだがな』
『お前は..............』
**********
そこで、見えなくなった。あれは、もしかして俺の記憶なのか?だとしたら、ゆりの言った通りきっかけ等で戻るんだな。いつの間にか、激しい頭痛も無くなっていた。
「何か思い出しましたか?」
「あぁ、俺は生前朝早くからランニングをしていたらしい」
「他に思い出したことはありますか?」
「いや、それ以外はサッパリだ」
「なるほど。では、そのランニングをしてみては如何でしょう?」
「あぁ、とりあえず食堂が開くまでは走っとくわ」
「私も行きます」
「お前は関係ねーから寝てろ」
「いえ、貴方の監視もゆりっぺさんから言われていますので」
「そうだった......はぁ、分かった。それじゃ、着替えるからあっち向いてくれ」
「嫌です」
「何故?」
「それでは監視が出来ませんので」
「いや、昨日寝る前と同じことだが、男の裸を見るのは嫌だろ?」
「ご心配無用です」
「はぁ、もういいや。着替えるわ」
どんだけゆりの命令に忠実なんだよ。これはもう、機械みたいだな。
「お前、機械みたいだな」
「........どういう意味ですか?」
おっと、つい声に出たみたいだ。仕方ない、素直に言うか。
「そのまんまだよ。ゆりの命令に忠実で、無表情だし、感情を持たない機械女みたいだと思ったんだよ」
「........佐野さん」
「何だ?」
「私も歴とした人間です。機械女というのはあまりにも失礼ではないかと思いませんか?」
「...........」
何だかよく分からないが、遊佐の雰囲気が変わった。こいつは表情等には出してないが、俺の直感が告げてる。本気で怒ってると。まぁ、誰だって人間を否定されるようなことを言われるのは嫌だよな。これは撤回しないとな。
「すまん、軽率だった。確かにお前はこうしてここにいるもんな。立派な人間だ」
「........はい、気をつけてください」
「あぁ。じゃ、グラウンドに行くぞ」
「はい」
そして、俺たちは外に出て俺はランニングを始め、遊佐はその観察をしていた。
「ハッ!ハァーッ!ハッ!」
自分の持久力が分からないからひたすら感覚で走る。さっきの生前の記憶が戻るみたいな変化は起きなかった。ただ走り続ける。そして、食堂が開く時間まで走り続けた。終えてから俺は意外と持久力があるんだと気づいた。やはり、俺は生前に何か武術に長けていたのかもしれない。昨日の椎名との戦闘、あれは自然と動けた。もしかして、暗殺者とかそういうのか?だとしたら、理解できるな。いや、俺の知らない何かの可能性もある。まぁ、まだ自分の生前が何だったかはもっと思い出してからだな。
************
ランニングを終え、シャワーを浴びたりしてから遊佐と一緒に食堂へ行った。そこは、ものすごい広さだった。
「何だこの広さは」
「この学校は寮で暮らす生徒が殆どを占めていますので、全生徒が入れるくらいの広さになっています」
「ここの生徒は何人くらいなんだ?」
「それは私にも分かりません。少なくとも千は超えているでしょう」
「だろうな。下手したらそこら辺のフードコートより広いな」
俺はとにかく驚いていた。私立の高校でもここまで広いのは見たことない。正にマンモス校という名に相応しいと感じた。
「〜〜なので.......佐野さん?」
「.....ん?あぁ、悪い。何だ?」
「先程私が申し上げたことを聞いていましたか?」
「いや、あまりにここが凄かったから馬耳東風だったわ」
「......仕方ありませんね。もう一度申し上げますよ。ここの食堂は基本的にそこの券売機で自分の食べたい料理を選び、発券します。発券の際には、お金が必要です」
「ん?待てよ。戦線のルールじゃ、金を使うのは禁止じゃなかったのか?」
「それをこれから申します。戦線のメンバーは夜にトルネードというオペレーションを行います」
トルネード、オペレーション、名前だけだと天使を吹き飛ばす方法か何かなのかと思う。しかし、今までの話だと、食事に関する内容にそのトルネードとやらは関わっているらしい。
「このトルネードというのは、簡単に申しますと『生徒から食券を巻き上げる』です」
「なんだそりゃ。ただの嫌がらせじゃねーか」
「この伝え方だとそう感じます。しかし、私たちは食券を貰う代わりにライブを行っています」
「ライブ?もしかして、あの赤髪の岩沢とかいう奴がやってるライブのことか?」
「はい。岩沢さんはバンドを結成しています。その名も『Girls Dead Monster』通称ガルデモです」
「Girls Dead Monsterか。カッコいい名前だな」
「ガルデモの魅力と活躍はここで説明しても良いのですが、説明よりも直接見てもらった方が分かりやすいので、敢えて教えません」
「まぁ、別にいいけど」
「はい。ご自分の目で見てください」
「分かったよ.....ていうか、話が逸れているな」
「そうですね。ここの説明でしたね」
「あぁ、待てよ?おれはトルネードの時に食券を手に入れていない。ということは、次のトルネードまでは何も食べれないということか?ここって餓死はするのか?」
「します。ご心配いりません。貴方はここに来たばかりなので次のトルネードまでは私の食券を譲ります」
「助かる。自給自足でも良かったが、あれは色々と準備しないといけないよな」
「生前にその経験があるのですか?」
「ん?あーそうだな。まだ俺が小学生の頃だったな。あの頃は............待て、これ、記憶が戻ってるな」
いつの間にか、新しい生前の記憶が戻っていた。今度は、戻る前兆みたいなのは無かった。寧ろ、元から知っていたようであった。何だこの違和感。俺は、何故ここに来たのか自問自答したくなる。しかし、それは記憶が戻ってからでないと意味がない。なので、忘れることにする。
「遊佐、記憶の戻り方はこんな感じなのか?」
「私は最初から記憶があったので戻るというのがどんな感じなのか分かりません」
そうだった。記憶がないのって、俺と音無だったな。あいつも何か思い出したかどうか訊いてみるか。それよりも、
「腹が減ったな。というわけで、何かくれないか?」
「普通に渡しても面白くないので、ゲーム感覚にしてみませんか?」
「いいだろう。具体的にはどうするんだ?」
そう言って遊佐は4枚の食券を裏返して机の上に置いた。
「この中には、朝食セットA、カツ丼、卵かけご飯、ミックスグリルの4種類の食券があります。それを裏返して選んでもらいます」
「つまり、当たり外れのあるゲームか。朝食セットAと卵かけご飯は朝にピッタリだが、カツ丼とミックスグリルは胃がもたれるな」
「因みに、私はこのブレックファーストAにしますので」
「お前は参加自体しないのね」
「さぁ、選んでください」
「しゃーない、これにするか」
そうして、俺が選んだ食券を名前を見るとミックスグリルと書いてあった。やっちまった。
「はいよ。朝からこんなもの食べるなんて凄いわね。やっぱり若いからなのかしら。羨ましいわ〜。これは、おばちゃんからのサービスね。たくさん食べて今日も頑張りなさい」
食堂のおばちゃんがミックスグリルのライスを大盛りとソーセージを2本追加してくれた。これが、昼もしくは夜なら最高だと思ったが、朝だとここまで嫌になるとは。
「(これ、胃がもたれるの間違いなしだな)」
「お!佐野と遊佐じゃねーか!こっち空いてるから一緒に食べようぜ!」
元気な声が聞こえた。誰なのか振り返ると日向と音無が一緒に食べていた。偶々席が空いていたからか、俺たちにも声をかけてくれた。特に断る理由もなかった為、一緒に食べることにした。勿論、遊佐もついてきている。
「お前、朝からミックスグリルなのかよ。しかもやたらと量が多いな」
「あぁ、俺は食券が無かったから遊佐のを貰ったんだ。そしたら、遊佐がゲームを提案してまんまと外れたというわけさ」
「何か意外だな。遊佐がゆりっぺ以外のやつに自分から何かしたりするのは」
「そうなのか?」
「おー遊佐はマジで謎が多いぞ。伝達の時にはいつの間にか俺たちの部屋にいたりするし、感情が表情に出てこないとキリがないくらい謎だ。だから、珍しいなぁと思ってんだ」
「それは、喜んでいいことなのか?」
「いいんじゃねーの?遊佐がお前のどこかに惹かれるようなところがあったんだろ。自惚れてもいいぞ〜」
「........そうなのか。だが、俺も感情を上手く表せないんだ。だから、自惚れるというのが正直言ってよく分からん」
「ヘぇー何だかお前ら似たもの同士だな」
「そう見えるのか?」
「あぁ、お互い辛い生前だったんだな........」
「遊佐はその気持ちが分かるだろうが、俺は記憶がないから分からんぞ?」
「そうだったな。お前と音無は記憶がない同士だもんな」
「そうだ。音無に訊きたいことがあったんだ」
「何だ?」
俺は、今朝の内容を音無に伝えた。すると音無は
「俺はトルネードの時に名字だけを思い出したことならあるな。それ以降は何もない」
「そうか。記憶が戻るのには、何らかの仕組みがあるわけじゃないんだな」
「すまない。力になれず.....」
「気にしないでくれ。これからも、記憶無し同士、よろしくな」
「あ、あぁ」
俺と音無は握手をした。そこから、何故か日向が俺たちに向かって嫉妬?なのかどうかは分からなかったが、ものすごく熱く語ってきた。もしかすると、日向はこれなのだろうか?だとすると、今後は気をつけないとな。この後も4人で朝食を食べていた。どうでもいいことだが、朝からミックスグリル(ライス大盛りとソーセージ2本サービス付き)は味が絶品で割と簡単に完食できだが、食後の凄まじい胃もたれが辛かった。
****************
朝食を終え、俺がこの後は何をするか遊佐に訊くと
「17時にある定例会議まではご自由にお過ごし下さい。私は日頃の偵察がありますので屋上に行きます」
「了解。俺はのんびりとこの学校を観光してくるわ」
「何を言っているのですか?貴方は私の側にいなければならないのですよ?」
「.........は?お前、さっき言ったことと矛盾してるぞ。好きにしていいんだよな?何で俺はお前と一緒じゃなければならないんだよ」
「ゆりっぺさんからの命令です。詳しくは、こちらの資料をご覧ください」
遊佐は1枚の紙を渡してくれた。そこには、ゆりが直筆で書いたであろう内容が書いてあった。
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遊佐さんへ
貴方には佐野くんのパートナー兼監視をお願いするわね。
期限は、彼の記憶が全て戻るまでの間。パートナーということだから、彼にこの世界のことを教えてあげて。あと、四六時中彼の側にいること。
監視の方は、彼の行動、言動などあらゆる情報全てを1日の終わりにあたしに報告すること。どんな些細なことでもいいから彼の特徴を事細かく報告して。以上!
そうだ。佐野くんにこの紙を見せて最後の文を読ませてあげてね。あと、名前を書かせてあげてね。
佐野龍也は今後戦線リーダーの命令に従うことを誓う。
※ゆりからの約束(ここすっごく大事だからね!)
1.戦線メンバーとの喧嘩等は禁止!
2.NPCに危害を加えないこと!
3.遊佐さんの側にいること!
4.戦線メンバーとの喧嘩等は禁止!
5.日々鍛錬をして自分を磨くこと!
6.戦線メンバーと仲良くなること!
7.戦線メンバーとの喧嘩等は禁止!
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こんなものがあったのか。というか、1と4と7の約束は全く同じじゃないか。そんなに喧嘩等はダメなのか?なんだ?この戦線は喧嘩に何か強い恨みみたいなのがあるのか?まぁ、特に断る理由もないからさっさと書くか。
俺は、そのまま名前を書いた。そして、屋上に行くことになった。そして、俺は思った。何かやることないかと。暇だから戦線メンバーの顔と名前を覚えるようにするか。屋上に行く前に、本部へ寄った。
「カミモホトケモテンシモナシ」
扉が開き、中にはゆりがいた。
「あら佐野くん?何のようかしら?」
「ここに戦線メンバーの名簿みたいなのはあるか?」
「名簿?あるにはあるけど、何でそんなものがいるのよ?」
「この紙に誓ったからだ」
「あぁ、あたしが書いたやつね。もうサインしてくれたんだ」
「で、遊佐と一緒にいることになるんだが、暇になるからこうして何かやることがないか探してたんだ」
「なるほど。それで名簿ね。いいわ、ちょっと待っててね」
ゆりが校長席の引き出しから探してくれている。しばらくして分厚いファイルが来た。
「はい、これが名簿よ。名前と顔写真に所属をつけてるから覚えやすいわよ」
「助かる。しっかしかなりの量だな」
「当然よ。今じゃ戦線は大規模な組織なんだから」
「ははは、お前のリーダーシップに皆、期待と信頼しているんだな」
「.........あなた、普通にいい人ね」
「ひでーな。普通にいい人はねーだろ」
「それもそうね。じゃ、遊佐さんをよろしくね」
「??何故俺に任せるんだ?」
「勘よ勘。あたしの勘、結構当たるんだから」
「そうか。よく分からんが、任された」
「えぇ」
こうして、俺は本部を出て遊佐と一緒に屋上へと行った。屋上までの間、遊佐は何を話していたのかだけ聞いて俺は「お前を任された」と答えると「そうですか」と無表情のまま返答された。やっぱ、機械みたいだな。
「誰が機械女なのですか?」
「うぉ、お前、俺の心を読んだのか?」
「私は日々偵察をしていますので大抵の感情を読み取ることなら出来ます」
「なるほど。読心術か。便利なもんだ」
「話を逸らさないでください。誰が機械女なのですか?」
この後、俺はしばらくの間遊佐に説教された。感情は出ていなかったが、どこか怒っているような雰囲気があった。俺は初めて知った。女は怒ると怖い。今後は気をつけよう。
****************
遊佐と一緒に屋上に行き、偵察を始めて時間が過ぎていく。俺は、ゆりから借りた名簿を見て顔と名前を覚えようと努めていた。想像以上に人数がいて驚きもあるが、それよりも所属がかなりあることで裏方にいるやつと事細かく記載されていた。
「(もはや、ゲームみたいに遊び感覚じゃなくて本物の軍隊だな)」
「その通りです。戦線は、ゆりっぺさんから初め、日向さん、大山さん、チャーさん、野田さん、椎名さんの6名から現在の大きさになったのです」
「勝手に心を読むな。だが、なるほど。戦線メンバーがゆりを頼っている理由が何となく分かった気がする」
始めにゆりが抗ったことでそれに感化された連中がゆりの言動や行動を見て信頼に足ると判断したんだろう。あいつ、とんでもないカリスマを持ってやがるな。あいつに逆らうということは必然的にこの戦線全員が敵になるようなものだ。それも、武器や武芸に長けているやつが揃っていると思うと勝ち目がない。しかし、それでも天使を倒すことは出来ないんだよな。まだ見たことはないがこの組織が全員でかかっても勝てた試しがないんだった。俺も、1度は手合わせを願いたい。
「自ら天使に挑むのは危険すぎます。やるならもっと下衆で卑劣な悪役のようにするといいです」
「そうだな。精神攻撃が効くのかどうかも分からんしな。あらゆる手を使って陥れるのもありだな」
「または、天使の懐に入り込んで隙を見せるようにさせるというのもいいですね」
「それもいいな.......て、お前また読心術使ったな?」
「私はただ独り言を喋っていただけですが?」
「いやいや、明らかに俺と会話ができていたじゃねーか」
「貴方が勝手に私の独り言に関わっただけでは?」
「はぁ、もういい。全くお前、俺を翻弄するのを楽しんでるだろ」
「いい暇つぶしにはなりますね」
「嬉しくねーな」
「では、『しりとり』でもしましょう」
「あ?しりとり?別にいいが、ルールは?」
「ルールは有名ではない言葉と最後に『ん』で終えてしまえば負けということで」
「いいだろう」
「では、私から始めます。最初は好きな言葉からで、レソト」
「いきなりすごい変化球だ。トリニダード・トバゴ」
「強談威迫」
「倶会一処」
「揚威耀武」
「お前ら、何してんだ?」
「見りゃ分かんだろ。しりとりだ。ブルキナファソ」
「いやいや!何でそんな分かりにくい言葉ばっかなんだ!」
「そういうルールだからです。ソマリア」
「おい、ソマリアは割と有名じゃないか?」
「音無さんと日向さんに訊いてみましょう」
「ソマリア?何だそりゃ??」
「日向さんには訊いていません」
「はぁ!?さっき『音無さんと日向さんに訊いてみましょう』と言ったじゃねーか!何で俺だけそんな扱いが酷いんだよ!ワッツ!?ホワーイ!?」
「それ流行らせたいのか?ぜんっぜん面白くないぞ」
「佐野もひでぇなー!てか、単なる口癖ですからー!」
「で、音無はどうだ?」
「え?あぁ、ソマリアか?えーっと、まぁ、知ってる人がいてもおかしくないと思うぞ?」
「だってよ。お前の負けだな」
「全て、日向さんが来たからですね」
「何で俺が悪いんだよ!ワッツ!?ホワーイ!?」
しりとりをしていたはずが音無と日向の来訪により、遊佐の負けとなった。2人は俺に戦線の幹部たちの様子を見に行こうと誘ってくれた。俺は遊佐に目線で許可を貰おうとすると、自分もついていくと言った。ほんと、ゆりの命令に忠実だな。
「それが、私の任務ですから」
「だから勝手に心を読むな」
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今回は遊佐さんと一緒に過ごしていくのをメインにしていました。そして、佐野くんの記憶が少しだけ戻るということで彼の生前が分かるようにもしました。これから、どう変化していくか次回もお楽しみにしてください。
あと、感想等を書いてくださると嬉しいです。