Angel Beats!-Atonement for you-   作:柑橘類さん

7 / 15
お待たせしました。いよいよギルド降下作戦編です。自分のオリジナルも含めていますので多少おかしいかもしれませんが、そこは、ご了承ください。では、どうぞ。


EPSOUDE7 Traps

朝、目が覚めた。時刻は5時だ。生前の記憶により、俺はこの時間に起きるのが日常であるのが漸く理解した。というわけで、昨日と同じようにランニングへと行くことにした。

 

「おはようございます」

 

ジャージ姿の遊佐が起きた。その顔は既に眠気が飛んでいるようだった。

 

「悪い、起こしたな。まだ寝てていいぞ」

「いえ、私は貴方の監視役なのでついて行きます」

「そっか、じゃあ行くぞ」

「では、制服に着替えるので後ろを向いてください」

「は?それなら先に行ったほうがいいだろ?」

「私が着替えている間の目が届いていない中、何かするかもしれませんのでここにいてください」

「んなことしねーよ。ていうか、お前、羞恥心とかないの?」

「ありますよ。ですから後ろを向いてくださいと申しました」

「いや、こう、布擦れの音とかさ、一緒の空間にいること自体が嫌なものじゃないか?」

「別に構いません。それに、仮に貴方に見られたとしても慣れていますので......」

「.............」

 

そうか、こいつは生前で男に何もかも奪われたんだったな。それはどうしようもない運命。誰か一人との出会いだけでこうも日常が激変してしまうとは、すごいな。

 

「人との出会いは幸せの始まりでもあり不幸の始まりでもあります」

 

制服に着替え終えた遊佐が読心術で返事した。

 

「そうだな。幸せだけならこの世界は存在しないもんな」

 

この世界は理不尽な人生を送ったやつが集まる。何のためにあるのかは未だに不明だ。もしや、ここは第二の人生なのか?俺は、そんなことを考えながら朝のランニングを始めた。

 

それからというもの、朝食を食べ、遊佐の見回りに付き合ったりと昨日と同じ時間を過ごした。そして、

 

夜、体育館にて....

 

 

「皆揃ったわね」

「ゆりっぺ、何をするんだ?」

「あんたたち、昨日の会議で教えたわよね?」

「???何をだ?いつもと同じでみんながトレーニングとかに励んだだけだろ?」

「ギルド降下作戦のことよ!!」

「ぎるど?そんなのあったっけ?」

「アホかー!!お前らが持ってるその銃とかは誰が作ったと思ってんだ!?」

「???.........自分で作ったのか?」

「何で疑問形なんだよ!そこは自信持って言えよ!って、違うわ!お前らアホが作れるわけないだろ!」

「うわ、ここまでアホアホ言われると流石にショックだな」

 

相変わらず、ここのメンバーはどんな時でも賑やかだった。

 

「その銃とかナイフとか色んな武器を作っている場所がギルドのことだろ。何で新参者の俺の方が知ってんだよ」

「本当よ。はぁ、これじゃ先が思いやられるわね.......」

 

ゆりは静かにため息をついた。その後、少し気合を入れて改めて説明をした。

 

「よし!じゃあ、行くわよ」

「「「おぉ!」」」

 

ギルドへの入り口は、体育館の舞台の下にあるパイプ椅子が沢山入っている場所に隠されていた。戦線メンバーでパイプ椅子を出していくと、とある床の一部だけ色が違っていた。そこをゆりがナイフを通してテコの原理で持ち上げると蓋が開き、下に続く梯子が見つかった。

 

「じゃあ、一人一人ゆっくりと降りてきてね」

 

ゆりが下に降りて行き、それに続くよう他の戦線メンバーも降りて行った。そして、俺も降りようと思った時、ふと気になることを告げた。

 

「なぁ、遊佐は降りないのか?」

「あいつは天使が来たときの連絡係だからここに残ることになってんだよ」

「そうか。じゃあ、一時的だが監視の目がないんどな」

「いえ、佐野さんにはこれをつけていただきます」

 

突然、遊佐が俺たちの前に現れた。

 

「うぉっ、ビックリしたって、何だこれ?」

「発信器みたいなものです。それを身につけていればどこで何をしたのかある程度は分かりますので」

「えぇ、結局監視されるのかよ」

「そういう契約ですので」

「はいはい、付けますよ」

 

俺は遊佐からもらったよく分からんスパイグッズ?みたいのを制服の左胸に付けた。

 

「ほら、これでいいか?」

「はい、大丈夫です」

「ったく、GPSをつけられた子どもみたいで嫌だな」

「まぁそう言うなよ。ゆりの命令なら仕方ない」

「はぁ.....」

「.........ぷぷっ」

「...........クッ、くく」

「...............だっはっはっは!」

「日向くん!堪えてよ!」

「いや〜無理だって!なんか姉弟みたいですっげーおもしれぇーもん!」

「は、腹いてぇ〜!!」

「.....................」

 

どうもいい気分にはなれない。それより、恥ずかしいの方が上回ってきた。俺って、そんなに弟みたいなのか?いやいや、どちらかというとお兄さんらしいと思う。

 

「いえ、弟です」

「なんでだよ」

「そういうところが弟らしいです」

「は?答えになってなくね?」

「この謎が解ければお兄さんになれるかもしれませんね」

「クッソ、益々嫌になってきた」

「おーい!次は誰が行くんだ!?」

「おっと、そろそろ行かないとな」

「佐野さん」

「ん?何だ?」

「気をつけてくださいね」

「........あぁ」

 

それから、俺はギルドへ入っていった。

 

 

 

 

ギルドにて

 

「ここがギルドか」

「えぇそうよ。かなり広いからあたしについてきてね。あと、ここは対天使用のトラップが沢山あるのよ」

「対天使用のトラップ?どんなものなんだ?」

「さぁ?多すぎて覚えてないわ。ただし、対天使だから落とし穴みたいな優しいもんじゃないわよ。死に直結するトラップばかりなのは覚えてる」

「そんな物騒なものがあって無事に辿り着けるのか?」

「大丈夫よ。事前にトラップを解除してもらうよう伝えといたから」

 

ギルドの中は、暗いが所々電気が通っており、歩けないわけではなかった。しっかし、この道にさっきの物騒な罠がゴロゴロあるのか。一回どんな罠か見てみたいな、とか言ったら俺が実験台にされそう。それは嫌なのでここは諦めて目的地に行くことだけ考えるか。それにしても、とてつもなく道が長いな。この先に武器を製造する所があると思うと運ぶのに苦労しそうだ。

 

 

 

しばらく歩いていると、前方から人影が見えた。あれは誰だ?よく見ると、後ろで大きな武器を構えて立っている姿だと認識できた。野田だった。なぜ俺たちよりも先にここにいるんだ?というか、先に行ってたなら一番に目的地に行けよ。

 

「あれは野田か?何してんだ?」

 

皆が野田の存在に気づいた時、野田はハルバートを切っ先を音無に向けて喋った。

 

「ふん、音無とかいったな。俺はまだお前を認めてないからな!」

 

なぜここでそんなことを今ここで言う?この先は一人じゃいけない何かがあるのか?

 

「態々こんな所で待ち構えている意味がわかんないよな?」

「野田くんはシュチュエーションを重要視するみたいだよ」

「意味不明ね」

「別に認められたくもない」

 

マジかよ。お前、そんな性格してんのかよ。ちょっとめんどーだわ。

 

「貴様、今度は千回死なせてやゴファッ!!」

 

野田が殺害予告と一緒に前に出た瞬間、何とどでかいハンマーで飛ばされた。そして、壁に打ち付けられて、再び叩かれ岩がゴロゴロと落ちて下敷きになってしまった。

 

「!?!?どうなってんだ!?トラップは解除してくれてたんじゃないのか!?」

「そのはずよ!とりあえず、構えて!」

 

ゆりの命令で全員武器を構えるようになった。

 

「なぁ、これって向こうの解除し忘れってわけか?」

「いいえ、そんなはずないわ。これは天使がここに来てるってことね」

「「えぇ!?」」

「ど、どうしようゆりっぺ!?これってピンチだよね!」

「ヤバイぜこりゃ〜二度とお日様を拝めねぇかもな」

「オイ!不吉なこと言うんじゃねぇーよ!」

「落ち着いて!こうなった以上仕方ないわ!皆で協力してトラップを乗り越えるわよ!」

「んな無茶なぁ〜!!」

「なぁ、ここで解除してくれるのを待つってのはどうだ?」

「ダメよ。ここで待ってても意味がないわ」

「わざわざ危険を冒すよりは良くないか!?」

「そうだそうだ!!」

 

確かに状況は最悪だな。俺もここの罠がどんなものか知っていれば簡単に向こうに行くことはできるはずだ。が、今回は全く知らないことだらけだ。おまけに敵も来ている。だったら、あっちに賭けるしかないよな。

 

「俺はゆりに賛成だ。ここで待ってても天使にやられるのがオチだ。それならここのトラップを乗り越えて道は開けた方がいいだろ?かなり危ない賭けだが、まぁ、0%じゃねぇからまだマシだ」

「佐野くん......」

「ゆり、俺はお前の勘を頼りにしてるぜ」

「.....えぇ!任せて頂戴!」

「............何かここは行くしか選択肢がねーな!わかったわかった!行ってやる!死ぬのは嫌だけどな!」

「既に死んでいます。ですが、皆さんとなら何とかなりそうですね!行きましょう!」

 

それから、皆が一つになって行くことに決まった。

 

****************

 

作戦メンバーが行ってきてから約1時間が経過した。私は体育館の入り口付近で監視をしていた。そこで小型のモニターを取り出し、電源をつけて画面を映し出した。そこには、作戦メンバーが映っていた。ただ一人除いて。それは、彼の制服の左胸につけた特殊カメラである。これは私もどのようにできているのかは知らない。つければカメラはもちろん、音声も聞き取ることができ、録画等もできる。また、これはGPS機能もある。ただし、こちらから向こうに連絡をすることはできない。現在位置は地下一階にいるようだ。私はただ画面を見ていた。しばらくすると、画面で何かが大きく動いた。それは、ギルドの罠に引っかかっていた。それは、野田さんが巨大ハンマーで吹き飛ばされ、再びハンマーで叩かれていた。どうやら解除をしていないようであった。私はもしやと思い、画面から離れて一度ギルドの入り口付近に戻ってきた。そこには、誰もいなかった。ということは、天使が他の入り口から侵入したと考える。こうなってしまった以上、私にはどうすることもできない。無事に皆が戻ってこれることを祈るくらいだ。私はもう一度画面を見ることにした。

 

****************

 

地下を進んでいくこと数十分、各々の集中力が切れたせいか何かと喋るようになった。

 

「これから大丈夫かな?」

「さぁ?何とかするしかないだろ」

「僕、痛い思いしたくないな〜」

「んなもん、みんなそうだって」

 

やはりまだ不安を募っているのが多い。が、こういうときはどうしようもない。だから俺も音無に話しかけた。

 

「音無、記憶は戻ったか?」

「いや、さっぱりだ」

「そうか」

「佐野はどうだ?」

「俺はある程度は思い出せたが、肝心なことが分からん」

「なるほど」

 

そんな他愛無い話を続けていたら、

 

「静かに!何か聞こえる」

「え?何も聞こえないぜ?」

「この音、何かが転がっているような感じだ」

「!?後ろだ!走れ!!」

 

椎名はその一言を発した直後、凄まじいスピードで駆け抜けた。一同は何だ何だと疑問だらけだったが、俺もすぐに分かった。

 

「何か転がってくるみたいだぞ!早く椎名の所についていけ!」

「そうね!全員、全速力!」

 

それからメンバー全員一斉に走った。そして、後ろからこれまたハンマーと同じようにどでかい鉄球が転がっていた。こんな狭い道で転がってちゃ一瞬で潰されるな。

 

「こっちだ!」

 

椎名が呼んでいる。とにかく全速力で行く。ある程度は間に合ったが、後ろの方が微妙であったため、

 

「グワァァァァァァーーー!!!」

 

高松の雄叫びがよく聞こえた。

 

「くっ!やられたか!」

「ちっ!行くわよ!」

 

一同はそのまま突き進む。ゴールは目前というわけでは無い。まだまだありそうだった。

 

そろそろ次のフロアかと思った矢先に、やたらと洞窟に不釣り合いな扉があった。そこに入ると狭いが奥に扉があった。皆でそこを目指すと、いきなり扉が閉まった。

 

「「!?!?」」

「何だよこれ!?」

「しまった!ここは閉じ込められる罠だったのを忘れてたよ!」

「何でそんな大事なことを忘れてんだ!」

 

何やら大山と音無がいい感じにボケとツッコミをしていた。とまあ、そんなことはどうでも良いが、ここのトラップ、閉じ込めるだけなら不自然だ。何かあるに違いない。と、考えていると、何やら奥から赤い線が出てきた。

 

「お、おいあれってまさか例の切れ味抜群じゃないだろうな?」

「その通りだよ!あれはヤバイやつだよ!」

 

どうやらレーザーカッターのようなものらしい。これはまずい。避けないといけない。そして、レーザーはこっちに向かってきた。

 

「きたよ!」

「皆んな、タイミングよくジャンプよ!」

 

レーザーが来てから順番にジャンプをしていった。

 

「第二射くるぞ!」

「形は!?」

「上だ!頭を下げろ!」

 

今度は頭上に来るタイプだった。これも避けるのは簡単だろう。

 

「第三射くるぞ!」

「第三射って何だっけ!?」

「エックスだ!」

「「エックスーー!?」」

「どう避けるんだ!?」

「それぞれなんとかして!」

 

エックス、これは壁を使って避けた方が良さそうだな。俺は右の壁に向かって飛んでその反動を使って反射するように飛んだ。こりゃあ、誰かやられるんじゃね?

 

「まだ開かないの!?」

「待て!すぐ開ける!!」

 

一番前のやつがロックを解除して漸く抜け出せた。しかし、少し遅かったため、

 

「ウォォォォォーーーー!!!」

 

松下五段の絶叫が響いた。そして、大山と俺はその光景を直で見てしまった。うわぁーすげー切れてるところ見えてる。初めてだわ。

 

「ウゥッッ!!!」

 

大山はあまりの光景で吐いてしまった。まあ、無理もないな。うん。

 

「五段がやられたか」

「ちったぁー痩せろよな」

「行くわよ」

 

その後も歩き続けて次の罠にかかった。それは天井が落ちてくる罠だった。

 

「しまった!ここは天井が落ちてくるのを忘れてたよ!」

「だからそんな大事なこと忘れるなよ!」

 

こんな時でも大山と音無はボケとツッコミをしてくれるのか。

絶体絶命と思われたが、突然天井が止まった。何と、TKが一人で抑えていた。

 

「Hurry up!! イマナラマニアウ!Oh....トンデイッテダキシメテヤレー!!」

「ありがとう」

「じゃあな」

「達者でな」

「.....sorry」

「.....thank you」

 

TKに対する言葉があまりにも軽い。やはり、死なない世界だからか?一応、俺と音無は心を込めて言ったつもりだ。そして、天井が下についた。

 

「くっ!TKまで犠牲に....」

「したんだろ。お前らが」

「いや、大丈夫だって!そのうち元に戻るから!」

「いや、少しは思いやりを持てと音無は言ったんだろ」

 

何だこの漫才をしているような感覚は。俺、ここに入って良かったのか?

 

それからまた歩く。そして罠に引っかかる。

 

「しまった!ここは床が抜ける場所だったのを忘れてたよぉぉぉぉ〜〜〜!!」

「だからそんな大事なことを忘れるなってば!!」

 

ここでは、床が抜けて落ちるようになっていた。幸い、椎名と藤巻、俺は落ちなかったが、ゆりと日向、音無がかろうじてつながっていた。

 

「どうする!?このまま俺と音無も落ちるか!?」

「冗談じゃねぇ!俺は落ちたくねぇーぞ!」

「ここで戦力を大幅に失ってはダメだ!何とかしないと!」

「お、重いぃぃぃー!」

「仕方ない。ここは頑張ってのぼってもらうしかない」

「音無!お前からのぼれ!」

「無茶言うな!できるか!」

「んなこと言ってる暇はない!何とかしてのぼれ!」

「くそ!ええい!行くぞ!!」

 

 

音無が慎重に日向の身体を使って登っていく。そして、ゆりのところに来て少し止まった。どうやら彼は紳士のようだ。女性の身体に触れるのはちょっと躊躇うのか。今はそんなこと考えてる暇はないんだがな。とまあ、紆余曲折あったが何とか音無がゆりの身体を伝って登ってきた。俺は手を出してそのまま引っ張り上げた。次に日向が来る番だが、

 

「キャァァーー!そんなとこ持てるわけないでしょ!」

ゲシッ!

 

「って!ばかぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜」

日向がゆりの胸を触って蹴られて落ちた。いや、ゆりが落としただな。そして、残るはゆりだけなので難なく引っ張れた。

 

「あれ?日向は?」

「尊い犠牲だったわ」

「え?そうなのか?」

「聞くな。そして知ろうとするな」

「あ、あぁ」

 

そして、次に向けて歩こうとしたら、藤巻が挑発をしてきた。

 

「けっ、よくもまぁ新入り二人が生き残れたもんだ」

「何とかな」

「思いの外、簡単な気がしてきた」

 

何か、こういうのってあれだよな。フラグとかいうやつだよな。案の定、次のトラップは、

 

「水攻めか」

「こいつ、金槌だったのか」

 

藤巻がプカプカと浮いていた。思いっきり水を吸って呼吸が出来なくなり、窒息死といったところか。

 

「浮いてるから失行方不明にはならず、墓に入れてくれそうだ。良かったな」

「お前、結構怖いこと言うな」

「ゆり!こっちに出口がある!」

 

椎名が泳いで出口を探してくれていた。そして、俺たちはその後に続いた。外に出ると、そこは先ほどより暗かったが、中は広くなっていた。何だか本物の滝の洞窟のようだ。

 

そのまま歩き続けていると、今度は何かが流れてきた。あれは一体何なのか目を凝らすとダンボールに子犬が乗っていた。オモチャのだが。

 

「あぁ!子犬がさらわれてる!助けなくてはー!!」

「椎名さん!それは罠よ!行っちゃダメ!」

 

ゆりの言葉は一足遅かった。椎名はオモチャの子犬を大事そうに抱えて、

 

「不覚!偽物だったぁぁぁぁぁ〜〜〜」

「椎名さーーん!!」

「なぁ、あれも対天使用なのか?」

「さあな。俺から見ると対椎名用にしか感じなかった」

 

ギルドは漫才をするために生まれたのかもしれないな。うん、キットソウダロウ。俺は考えるのをやめた。

 

暫くして、ゆりが一度休憩を取ると提案をして、休んでいたが、その表情は暗かった。

 

「笑っちゃうわね。たった3人しかいないなんて」

「まあ、俺は運が良かっただけだけど、佐野はさすがだな」

「正直、ここの仕掛けは凄かったが、何か抜けてると思った」

 

なるべく明るくしようとしたが、ゆりの顔は晴れない。そこで、音無がゆりのことを訊いた。

 

なぜ神に抗う?

なぜここにきた?

どうやってこれほどの人を集めたのか?

 

様々なことを訊いた。そんな中、ゆりは俺たちに生前を話してくれた。

 

****************

 

あたしには、3人の妹弟がいた。みんな可愛かった。いつもは家族と一緒に出かけたりみんなと遊んだりと毎日が幸せだった。でも、その幸せは突如無くなった。両親が留守の間に強盗が入ってきた。全部で4人いた。4人のうち3人はものすごい剣幕であたしたちに言い寄ったの。

 

「お前ら!動くなよ!もし、一歩でも動けばこれで殺すからな!」

 

脅しだった。強盗は部屋中を探していた。あたしたちはただ怯えていた。やがて痺れを切らした強盗たちがあたしに近づいてこんなことを言った。

 

「お嬢ちゃん、あんたはこの家で一番だ。もし、パパやママに困ったときに何かを渡せとかそういうものがあるだろ?それを見つけてくれないかい?」

「し、知らない!あたしそんなもの知らない!!」

「嘘をつくな。もし、持って来なかったら10分おきにお前の妹たちをこいつで殺す!」

 

あたしは無我夢中に探した。そこで見つけたのは、大きな壺だった。これなら高く売れると思って持っていった。しかし、壺は重かったため、途中で壊してしまい、そのまま気絶してしまった。目が覚めたときは、既に30分が過ぎていた。そこには、血だらけの弟や妹がいた。あたしは絶句した。罪悪感を抱いた。あたしのせいだ、あたしのせいだ、あたしのせいだ、何度も同じことを考えた。しかし、ここで違和感を感じた。それは、強盗たちが寝ているのだ。大きなイビキをかいてぐっすりと眠っていた。また、強盗は3人しかいなくて、1人がどこかへ行った。その顔等は見てないから全く分からなかった。そして、暫くすると、警察が来て、強盗たちを捕まえてくれた。

 

****************

 

「というわけよ」

「そんなことがあったのか」

「................」

 

ゆりの話、どう考えても俺の生前と合致する。恐らく、何も分からなかった強盗というのは俺のことだろう。何しろ、奴らに睡眠薬入りチョコをあげたのを覚えている。ということは、俺はゆりに理不尽な人生にさせた張本人というわけか。何ということだ。俺が原因だった。

 

「(何て最低な人間なんだ、俺は。)」




最後まで読んでくださり、ありがとうございました。今回はギルドへ行くまでの道のりを書いてみました。自分の記憶を辿って書いたため、セリフ等は違うかもしれませんが、基本的な所は一緒と思います。次回は、VS天使です。佐野君が初めて天使と対面します。次回にて、ギルド降下作戦は終わる予定です。では、また次回でお会いしましょう。

もし、よろしければご感想を書いてくださいますと幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。