ポケットモンスター モノクローム   作:ラフィオル

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第23話 旅立ち

 ノネトはジムへと戻っていった。これから挑戦者とバトルをする準備をする。こうしている間にも少しずつ時は進んでいる。戻らない時間、取り返せないという感覚、少しクオンたちの胸を締め付けていた。

 

「2人はハクタイシティのジムへ行くんだったよね?」

 

 アトリエは話した。クオンはそのつもりだと答えるが、トロナツは少し悩んでいた。

 

 ───3人は化石博物館に戻ってきていた。その近くでコールマがこちらを向いて立っていた。

 

「どうしたの? コールマさん」

 

 どこか不思議に思ったアトリエは声をかける。

 

「──単刀直入に言いますと、もし出会ったのならばですが、2匹を連れて行ってくれませんか?」

「──それは、またどういった意味で」

 

 クオンが言葉を放つ。コールマは少しの間、黙っていた。

 

「───1つ、ありもしないことをを言います。もしこの2匹が前館長を死に追いやったとすれば、どう思いますか?」

 

 どうも思わない、そんな言葉が3人の頭の中で浮かぶ。

 

「実は、この2匹は、前館長が言うには、207番道路で暮らしていたと言うのです。そして前館長は雪崩で亡くなる当日の朝、"化石掘りに行く"と私に伝えておりました」

 

 ──突然関係ないような事を言うが、雪崩が起こる原因は、重力により落下しようとする力、地面との摩擦力、雪粒同士の結合力、これらが強く弱くなり起こる。例えば、急激な気温上昇が起これば、地面との摩擦力、雪粒同士の結合力が弱くなり、雪崩が起きやすくなる。

 

 ロコンの特性は"ひでり"であり、207番道路はテンガン山に近い。察しがいい者はここで分かるだろう。テンガン山まで化石掘りをしに来ていた前館長と2匹、ロコンの特性で辺りの日差しが強くなる。それにより雪崩は起きてしまったのだ。

 

「今、2匹がどこにいるのか、わたくしにも分かりません。ですが、もし見かけたら、広い世界へ連れて行ってくれませんか?」

 

 それがコールマの2匹への想いだとクオンとアトリエは考えていた。

 

「分かった!」

 

 コールマと別れた3人はポケモンセンターへやってくる。部屋に入り、いつでもハクタイシティへ向かえるように支度を整えた。最中、ちらりと窓を見て街中に2匹が歩いていないか眺める。

 

 コールマ、ノネト、3人は、あの日以降2匹と会っていない。

 

「どこで、何をしているのかな」

 

 トロナツはそう言葉を漏らす。

 

「2匹の事か?」

 

 同じ部屋にいたクオンが声をかけていた。続けてクオンは口を開く。

 

「もしかしたら、このまま会えないかもしれないな」

「──そうだね」

 

 ため息が出そうな落ち込んでいる声でトロナツは話していた。

 

 ──遠くにある化石博物館を見て、クオンがあの出来事を思い出していると、ポケモンセンター入口からノネトが現れる。

 

「ここにいたのか!」

 

 ◆ ◇ ◆ ◇

 

 ノネトと3人はジムへと向かっていた。ジムの倉庫にある展示物を、全て博物館の東側に運ぶ為、人手が必要だったとノネトは話していた。

 

「しばらく開けてなかったからな!」

 

 ジムの中へ入り、ノネトは1つの扉の前に立つ。扉を開けると少し焦げ臭い匂いが広がった。皆は少し不快になる。

 

「さて、運ぶか!」

 

 どんよりとした空気の中、ノネトの活のある声が響いた。ジムの関係者と思われる人々も来ていた為、昼過ぎになって最後の1つがジムの倉庫から運び出されていた。

 

「終わったー!!」

 

 ノネトは3人に礼を言うと、試合場の方へと走っていった。──そのまま3人はポケモンセンターへ戻ってくる。この日、この時間帯では珍しく、ポケモンセンターの中にいるトレーナーの数がクオンたちを含めないで2人しかいなかった。どちらもクオンたちと離れた窓近くのテーブルで気を休めている。

 

「──クオン、覚えてる? テンガン杯が始まる前、僕だけ旅の目標というものを決めていなかったこと」

 

 窓をぼんやりと見ていたトロナツがこちらを向き、話していた。

 

「覚えているけど」

「クロガネシティに来て、色々な人たちやポケモンたちを見て、もっとポケモンのことを知りたいって思ったんだ。クオンとはまた違った道を歩むことになると思うけども、僕は、ポケモン博士になってみたい」

「なれるよ、トロナツなら」

 

 クオンとアトリエがそう言葉を放っていた。

 

「───トロナツ、アトリエ、そろそろ向かわないか?」

 

 ──207番道路、3人は今この道路を歩く。目指す場所はハクタイシティ。トロナツとアトリエは、ヒノキア博士に会う為に、クオンはジムリーダーのアールスとバトルをする為に、下がり始める太陽は待ってはくれない。今夜は野宿だろう。

 

 ──そんな3人が知らぬところ、草陰では、じっと見つめる2匹がいた。ポケモントレーナーとして経験する1つ、草むらから野生のポケモンが現れる、今それが起ころうとしていた。

 

 草陰から現れた野生のポケモンはロコンとコジョフー。野生のポケモンはどうしてポケモントレーナーに襲い掛かるのか、いや構ってほしいのか、それは謎である。

 

 ───そして、この日、クオンとトロナツは新しい仲間を加えていた。

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 ───シンオウ地方のどこか。薄暗い建物の中にクウノトリとヒューマが戻ってきていた。

 

「──そう落ち込むな、ヒューマ! これは失敗しても大丈夫だった依頼だったんだから」

 

 1つの部屋にはクウノトリとヒューマと、ある男がいた。

 

「失敗したのに続けて依頼が来るなんて、それほど大切にされているんだな、お前とルカリオは」

 

 手元の資料を見ながら男がヒューマに向かって呟いた。彼の名前は、シラ。彼もまた何かの依頼を頼まれていた。

 

「最初は、逃げ出した団員を連れ戻すのに、ここまで人員を割くのかよって思ったが、この団員を調べてみたら、元幹部だったらしいな」

「そいつはよく知ってる、恐ろしく強い奴だ、念を入れた方がいい」

 

 クウノトリがそう話す。続けてヒューマを見て口を開かせていた。

 

「確かヒューマ、ワバと一緒に依頼へ向かうんだろ、ある意味、良かったじゃないか」

 

 グレイ団であるワバ。年齢不明、子供のような容姿ながらにバトルのセンスは幹部のポケモンを赤子のように扱うくらいの強さを誇る。その実力を持ちながら幹部に上がれないのは依頼の成功率の低さが要因だった。ワバという人物はグレイ団の中では珍しく、実力だけで高い評価を得ている団員の1人だった。

 

 次の依頼で再び失敗しても、ヒューマの評価が大幅に下がることはないだろうとクウノトリは断言する。

 

「──神様からまだ子供だから悪事に働くなって止められている、なんて団員内で変な噂が流れるほどだ、アイツの強さには今でも恐ろしくなるよ。俺でもアイツが悪事に働く姿は絶対に見たくないな」

 

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