拙い文章ですが、もしよろしければどうぞご覧くださいませ。
深い、深い、深い、森の中。
純粋で純麗で純潔な、純白に包まれた森の中。
取り残されたのか、忘れ去られたのか、はたまた守られているのか。
白銀の世界の中に、一軒のお家がありました。
決して大くもなく、されど小さくもない。
まるで美しい廃墟の様な、聖堂に似たお家です。
そこには、一人の少女が住んでいました。
とても小さく、可愛らしい女の子。
お外を染め上げる純白に劣らない白いお洋服に、銀糸のように透き通る踝まで伸びる長髪。
そんな彼女の趣味は読書でした。
絵本、小説、戯曲になんでもござれ。
壁一面には本棚が敷き詰められ、様々な本が、すべての指を折り曲げて数えても、足りない程並んでいます。
彼女自身も、自ら執筆し、描き、時には小さな、時には壮大な世界を創りした。
そんな少女が今ご執心なのは、十二色のお話です。
時には喜劇、時には歌劇、時には話劇。
千変万化な素敵で、可憐で、華麗な、常にページが増え続ける魔法の絵本。
小さな冒険者はその十二譚に、泣いたり、笑ったり、驚いたりと百面相をしながら、毎日毎日読んでいました。
「いずれ私も、こんな物語を紡ぎたいな、ひつじさん」
少女から漏れた夢に、彼女の近くに浮いているふわふわした毛玉の様なモノが、ふわりふわりと小さく揺れました。
その毛玉は彼女から離れると、本棚の中にある一つの本の前で止まりました。
不思議に思った彼女は、こてんと首を傾げて、座っていた椅子から降り、とてとてとひつじさんの元へ向かいます。
そこには、彼女の知らない本が一冊挿さっていました。
初めて見るのに、まるで最初からそこに存在した感覚。
少女は驚きました。
偶に、少女に本を届けてくれる、密かに憧れているシスターは、勝手に新しい本を置いて帰ったりはしません。
少女が不在でも、帰宅するまで待っていてくれで、必ず手渡ししてくます。
ならば、この本は何でしょう。
好奇心旺盛な少女は、嬉々としてその本を手に取りました。
一体どんな物語が、一体どんな素敵な物が書いてあるのだろう!!
そう思いながら表紙を見ると、そこにはタイトルはなく、お馬さんとイルカさんの可愛らしい絵がありました。
興奮を隠せない女の子は、しかし落ち着きながら、ゆっくりと本を開きます。
そして彼女は、大きなエメラルドの様な目がポロリと落ちてしまうのではないかと、心配になるくらい驚きました。
そこにあるのは、ただ一文。
ー 親愛なるメリーミルクさん。ようこそ、私達の世界へ。 ー
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。