全滅の刃   作:秋町海莉

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今回は短めになっていますごお許しください。
スマホとパソコンが不調で投稿が遅れました。すみません。


捌話 暴虐・後編

 夜明け間近の産屋敷邸は、不気味な程に静寂だった。そんな静寂の場に居づらく感じたのか、産屋敷あまねは必死に言葉を探し、耀哉へと尋ねかける。

 

「あ、あの二人で本当によかったのですか?」

 

 珍しく不安を露わとした口調に、耀哉は小さな笑みを漏らした。そして、静寂とも言える冷静さと、静けさを醸し出しながら、言葉を返す。

 

「大丈夫だよ。雷鬼は、絶対にあの二人が抑えるからね」

 

 耀哉の発した言葉に、驚きを隠せないあまねは、狼狽えたような口調でまた、尋ねかけた。

 

「な、何故そう言いきれるのですか? 柱二人でも、抑え切れないというのに」

 

 耀哉は口元に手をあて、優しげな笑みを浮かべた。そのまま指で頬を掻き、言葉を返す。

 

「あの二人。水鬼と炎鬼は」

 

 この後に発せられた言葉に、驚愕しない隊士はいないであろう。事実、あまねもあまりの驚きに言葉を失っている。

 

「上弦の壱をたった二人で追い詰めた」

 

 耀哉の言葉が、あまねの脳裏に響いた。

 

「最強の剣士なんだよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「水の呼吸、漆ノ型」

「霞の呼吸、壱ノ型」

 

 おいおいおいおい。こいつら化け物かよ。体中怪我してるってのに、なんで動けんだよ。

 俺は小さく舌打ちをして、早口で言葉を発した。

 

「鏡ノ呼吸、弐ノ型」

 

 俺はすぐさま刀身を体近くに引き寄せた。歯を食いしばり、目を細める。

 

「雫波紋突き」

「垂天遠霞」

「斬面鏡」

 

 義勇と無一郎の繰り出した突き技を素早く受け流す。一撃一撃が先程よりも重々しい。あまりの重々しさに、刀が折れてしまいそうだ。

 

「鏡ノ呼吸、水ノ型。水流清鏡・参」

 

 軽やかな足取りで駆け、義勇と無一郎の刀を弾き飛ばした。義勇と無一郎の仏頂面が崩れた時、俺は不気味な笑みを浮かべて、言葉を漏らした。

 

「鏡ノ呼吸、拾肆ノ型。轟鏡鋭鏡(ごうきょうえいきょう)

 

 この二人は、ここで仕留めなくてはいけない。俺の筋肉が、内蔵が、細胞が。体中の全てにそう告げられた。

 勢いよく横に斬り流し、義勇と無一郎の首を捉える。

 

「死ネ」

 

 刃が義勇の首に触れた時。

 俺の刀が真っ二つに折れた。

 いや。違う・・・。

 

「首ニ触レル前ニ、刀ガ折レタ?」

 

 感嘆の声を漏らした時、どこからか深い溜め息が聞こえてきた。深い溜め息に混じり、小さな笑い声も聞こえる。

 

「ふふふっ。本当に、雷鬼(きみ)はいつまで経っても愚かね」

 

 背後から聞こえた少女の囁き声に目を見開き、俺は息を呑んだ。

 は、速い。速すぎる。こいつ、一体何者なんだよ。

 

「殺シテヤル!」

 

 すぐさま背後を振り返った時、俺の首に異常なまでの激痛が走った。首の骨が一瞬で粉砕し、意識が飛びそうになる。

 

「全くもって残念だ。柱二人を追い詰めた男が、ここまで弱いとは。」

 

 首に続いて腹、胸、太腿と順に骨が粉砕されていく。一撃一撃が重く、速く、殺意がこもっている。この男は、本気で俺を殺そうとしているのか。

 

「今すぐ地獄に叩き落としてやる。覚悟しろ、雷鬼」

 

 暗闇の為か、うまく男の姿を視界に捉えることができない。動きが尋常なまでに素早いのも原因の一つであろう。

 必死に目で追いかける事しかできない俺に、男は冷たい口調で声を上げた。

 

「地の呼吸、破壊。破断地壊(はだんちかい)

 

 風を切り裂くような轟音が響き、俺の脳天に刀の刃が触れた。漆黒の刃は有り得ない程に重い。人間の頭蓋骨など簡単に割れないはずなのだが。

 

「あらあら、もう終わっちゃったのね」

 

 俺の頭蓋骨は、あっさりと碎け散った。

 意識が朦朧とし、視界も定まらない。千鳥足で男へと歩みを進めていく。骨が砕かれているはずなのに、こうも体が動くのは自分でも気味が悪い。

 

「もう炎鬼、ダメじゃない。一人で勝手に終わらせたら、私がつまらないでしょ」

 

 耳鳴りが酷い所為か少女の声が聞き取れなかった。耳まで狂い始めてきたのか、と一人心中で悔やみの声を上げた。

 そんな時、男が俺の肩へと手を伸ばしてきた。そして、ゆっくりと俺の肩に触れ、耳元で囁く。

 

「雷鬼。鬼舞辻無惨のことなら、俺達に任せろ。絶対に俺達が殺してやる」

 

 俺は、この男を知っている。

 突然、そんな考えが脳裏に過った。確信があるわけでもない、理由があるわけでもない。だけど、これだけはわかる気がする。

 この男は・・・。

 

「兄、貴・・・」

 

 今にも溢れ出してきそうな強い欲望を抑えながら、俺は問いかけた。俺の言葉に男は目を見開き、言葉を発する。

 

「俺達は、お前を知らない」

 

 男の言葉が脳内で反響する。絶望にも近い不思議な感覚が体中を駆け巡り、朦朧とする意識に衝突した。

 頭の中に靄がかかり、俺は不意に膝をつく。そして、小さな溜め息を漏らした後。

 俺は意識を失った。




たったの1話で雷鬼を追い詰めた炎鬼、強すぎました。
そして次回は鬼滅の刃ならではの、過去に関してです。
雷鬼の過去は本当に複雑になっているので、過去の一部といった感じになります。
(PS あまねさんの口調難し過ぎませんかね)
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