MALE DOLLS外伝集   作:ガンアーク弐式

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今回は白黒モンブランさんのDevils front line(https://syosetu.org/novel/191561/)のコラボ企画「|Memories of a summer」に参加しました

尚、時系列は「万能者緊急捜索作戦」よりも後です


番外編時空:日常編
休暇日和:1


その晩、彼女は久しぶりにあの夢を見ていた……懐かしい彼女が指揮官としてS07前線基地に着任したばかりの頃の夢を

 

「指揮官、ツクモじゃなかったM16A4がまた……」

「すでにP228から報告を受けている……ずいぶんと派手にスプラッタショーをやらかしたな」

 

彼女が力なく語るM14を見て、ため息をつくと夢の中の彼女は手元の端末に目にやった

端末に写っていたのは廃墟の壁を背に作業着や防塵マスク、そして両手が鉄血の人工血液で染まった愛銃を提げたM16A4の姿であった

彼の足元には首を引き抜かれ、ズタボロにされた鉄血ハイエンドの残骸が転がり、右手には識別が困難な程にぐしゃぐしゃに潰れて内部フレームが露出し、白髪のツインテールが人工血液で赤く染まったハイエンドの首を持っていた

彼女が端末を操作すると動画が再生される

端末は首を横に振る彼の姿とリーの恐怖に震えた声を再生し始めた

 

「くそ、また外れか……見た目通りのアホだったか」

『M16A4、どうしてこんなこと……』

『尋問ですよ……拠点を管理するハイエンドだから知っていると思ったが、はずれでしたよ』

 

彼がドスを効かせた声で吐き捨てると右手に持った首を放り投げると無言で立ち去る所で彼女は動画を止めた

 

「M14,彼の様子は?」

「ペルシカさんからの厳重注意を行い反省はしているようです」

「それは命令無視した事だろうな」

 

彼女はため息をつくと目の前のM14は悲し気に話した

 

「指揮官、皆は彼の事がわからなくなりそうです」

「まぁ、奴の地雷を鉄血が踏んだ……身に覚えがあるだろう」

「G01基地襲撃と故郷の事ですよね」

 

M14の質問に彼女は黙って頷く

そして、それを見たM14が無言になった所で彼女……サクラの意識は現実へ戻った

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

私が目を覚ますといつも通りのS07前線基地宿舎の天井が視界に写っていた

そして、視界を右にそらすとアサヒがカーテンの隙間から差し込んでいるのが、より私の意識を覚醒させた

 

「朝か……」

 

私は小さく呟きながら体を起こし、つい先ほど見た夢について、思いをはせていた

 

「昨日の夢は最近見た中では一番マシな夢だったな」

 

最近――正確には、万能者救出任務以降昔の出来事を思い出させるように過去の夢を見るようになった

正直、どれもこれも悪夢と言っても差しつかない酷い夢で、昨日の夢――M16A4が仇討ちに燃えていた頃がマシだった程だ

それを考えると今のアイツは嫌悪感こそ隠していないが、昔みたいに鉄血相手なラ問答無用で徹底的に追い詰め、破壊すると言った報復に走る事は殆どなくなった

少なくとも鹵獲したり、投降したりしている鉄血を後方から撃つという事は絶対しないはずだ

 

そう考えていると私の部屋に一体の人形が入ってきた

迷彩柄のチャイナ服を着た目つきの鋭い黒髪の人形――03式が私の服を持ってくる

 

「指揮官様、今日の着替えを持ってまいりました」

「すまんな、03式」

「いえ、その様子だとまた悪夢を見られたのですか?」

 

彼女の質問を無言で頷くと彼女は悲痛な顔をする

 

「なんとおいたわしや……数日後のバカンスでリフレッシュできればいいですが」

「たしかに……シーナからの誘いを受けて正解だったな」

私は03式から着替えを受けり、着替えながら数日後のバカスの事を考えていた

それは1週間ほど前にS09前線基地のシーナ指揮官から無人島調査の任務への参加を誘われたのだ

 

正確には調査という名目で休暇が与えられたらしい……日本人はどうも働き過ぎるきらいがある者のようだ

ついでと言う形で知り合いの基地も誘ったらしく、私も内容を知らされてから断ろうとしたが、マギーとM14からの進言で今回のバカンスに参加する事になったのだ

 

(最近は色々な件で戦い続けていたような物だ……)

「指揮官一つ質問してもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

 

03式の問いかけに私が首を傾げると彼女は言葉を続けた

 

「今回のバカンスに同行するメンバーに私以外はBS小隊のMk48とアヤトルズの3バカ、BB小隊のM14とパラですが」

「それはどうした?」

 

私の言葉に03式は顔に手を当てると不安げに口を開いた

 

「Mk48と3バカも連れていくのは正直不安なのです」

(03式……お前もそいつらと別の意味で同類だぞ)

 

私は彼女に対して一言言いたいのを我慢しつつ、言葉を続けた

 

「まぁ、アヤトルズは西行号の搭乗員として大規模任務につき合わせたから、その慰安として」

「Mk48は?」

「まぁ……アイツも今回のバカンスに以前出会った知り合いがらしいから連れて行こうと思ったからだ」

 

私の答えに03式は若干納得したのかしないのかはっきりさせずに一礼をしてから部屋を出ていく

それを見ながら、私も朝食を取る為に食堂へ向かうと部屋を後にした

 

 

――――――――――――――――――――――------------------

 

 

数日後、集合地点である港へ向かった私達が見たのは豪華客船と言ってもいいほどのリッパな船だった

 

「なんじゃありゃ!?」

「あんな立派な客船どこかチャーターしてきたのかしら?」

「立派なふねだね」

 

アロハシャツに短パンといういで立ちのジン達が驚くも私は対して興味はなかった

見かけは新品でも機関部は整備不良ぎりぎりの中古品の老朽船舶も少なくないご時世だ

PMCグリフィンとはいえ、見た目と同様に整備できる設備を所持しているのかいささか疑問だった

 

(まぁ、ポンコツなボロ船でも無事に航海できればいいものだが……今回の主催はどこにいるのやら)

 

豪華客船に部下達が好奇心を示しているの後ろ目に私は私達を誘った彼女の姿をみつけるべく顔を左右に振る

そして、港の隅で白いワンピースと麦わら帽子という夏らしいいでたちの少女……シーナ・ナギサを見つけた

彼女を見る度に、本当に指揮官にしては若すぎる……

そう考えながら、私は彼女に挨拶する

 

「シーナ指揮官、バカンスに招待してくれてありがとう」

「いえ、今日はよく来てくれました……ひどいクマですね」

 

彼女は私の顔にでたクマに不安を感じているのを見て、私は小さく微笑んだ

 

「最近、疲れているんだ……だから、楽しませてもらおう」




冒頭でS07前線基地が始動したばかりのM16A4が回想として出てきました
本編時空で宿敵となるハイエンド「ネームレス」が番外編時空には存在しない、蝶事件時にはまだ民間人形であった時の差異として、戦術人形としての彼のスタンスに大きな変化が産まれています

番外編時空初期の彼のスタンスを一言で言うなら、「鉄血人形はすべて抹殺、慈悲も和解も奴らには不要」です
そんなんですから、番外編時空での彼がBB小隊に組み込まれるのは本編時空と比べて後の方になります


後、今回ひとつおまけがあります
とある老人が遭遇した面倒ごとの様子です

おまけ
同時刻、某所にて

「……なんじゃと」
「ここがアラマキさんのご自宅ですね?」

アラマキは自身の居住区に現れた一体のメイド人形を見て絶句した
銀髪のショートヘア―と怪しげな微笑、白いメイド服が印象的な彼女は微笑を崩さずに口を開いた

「任務に出撃中の漢陽さんの代理として派遣されたメイド人形のベッキーです」
「お前はアンジェの所の……どういうつもりだ?」
「どういうつもりと言われてもただ、漢陽さんの代理として来たのですが?」

ベッキーと名乗るメイド人形は彼の質問を受け流すのを見て、ため息をついた

「まぁいい、話は後で聞くから入りなさい」
「では……失礼します」

アラマキは部屋に入るベッキーを見ながら、彼は肩を落とした

「まったく漢陽が異常案件で出かけたかと思いきや、ワシの方で予想外の事態に巻き込まれるとは……」
「ずいぶんとお疲れの様子ですね……マッサージでもしてあげましょうか?」
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