試験者の狙撃仕様機の一体が敵を発見するや狙撃体勢を取り、霧の奥にいる敵に狙撃を試みる様子を目に背後から俺達は衝撃を受けた
以前の大規模作戦でもその活躍する様子を見てきたが、すぐ近くで見たのは初めてだった
「やったか?」
《否、敵の主兵装らしき大型銃器に軽度の損傷を与えたのみ、また別勢力の狙撃により、狙撃ポイントを変えたと推測》
試験者の一体が答えるとアラマキ隊長はすぐに判断を下した
「了解、M686とパイソンは先行し、狙撃手を探れ!!」
「分かったわ」
「残りはワシと共に、試験者と同行しつつ、伏兵を排除しつつ!!」
「はい、了解しました」
「じゃあ、私達は一足先に行かせてもらうわ」
俺達が頷くとM686さんとパイソンさんは一足先に進むのを見送ってから俺も迫撃砲陣地へ急行することになった
その道中でポーンモドキどもと交戦になるも試験者の掩護もあって、大規模作戦のような一方的に守勢に回らざる得ない状況になることもなく、互角に渡り合っていた
それでもこちら側も主に弾薬の消費はこちら側の想定よりも激しくなってきた
「まずいぞ、このままだと目的地に到着する前に弾がなくなるぞ」
「ソレは分かりますけど、この敵を無視することもできませんよ!!」
ワカさんとM3さんの悲鳴を後ろから耳に入りながら、俺は接近してきたポーンの一体の装甲の隙間に銃剣を突き刺すと同時に銃弾を叩き込む
そして、敵が動けなくなったのを確認してから銃剣を引き抜いた瞬間、協力者であるS13地区の支援AIであるLAFIさんから通信から緊急通信が入った
「S13、LAFIより参加全部隊に緊急通達!!直ちに迫撃砲部隊への偵察及び攻撃を中止、撤退してください!!こちらの切り札が暴走しています!!」
「なんじゃと!?」
「え!?」
「みょん!?」
「それって、ここで使うの!?」
その言葉に俺達S07合同チームは衝撃を受けた
S13地区の前線基地でヤバイモノが作られているとは聞いているが……ここでソレが出てくるのは想定外だった。
通信と同時に支援者がそれぞれの兵装を乱れ撃ち同然に乱射しはじめ、目の前のポーンモドキを牽制し始めていた
(切り札が暴走って……どんなヤバイ兵器ですか!?)
突然の事に驚く俺達……いや、SDMRだけが期待するように目を輝かせていた
「もしかして、衛生砲とかでてくるのかな!?」
「バカな事を言っている暇があるなら、試験者が援護射撃をしている間にたいひするぞ!!」
「俺も援護する……急げ!!!」
ワカさんが試験者に混ざってM2重機関銃を斉射しするのと同時に俺達は先行していたM686さん達と途中で合流しつつ、出来る限り遠くまで撤退する
そして、撤退してから数分後に嵐のごとき轟音が響いた後に俺が見た物は竜巻が吹き荒れたかと錯覚するほどの荒地となった光景だった
その光景に目に俺達は背筋がゾッとした
「うわぁぁぁ……」
「これは……ちょっと想定外だったよ」
俺達が言葉を失っている側でM686さんとワカさんは渋い顔をしていた
「S13地区の指揮官は任務の目的をちゃんと理解しているのかしら?」
「少なくともこんなオーバースペック兵器を用意していたのは結果的にこちらにとって得にはなったな」
「確かに……これで万能者の救助を妨げる奴らは一気にくたばったな」
ワカさんが皮肉げに言い捨てるのを聞ききながら、反対側をむくと目の前惨状に青ざめるM3さんとP228さんの後ろで周囲を異常に警戒するアラマキ隊長の姿が目に映った
「奴はどこにいる……どこだ?」
「隊長?どうしました」
「M16A4、いや総員、例の狙撃手や自動砲台を警戒しつつ先を進むぞ」
「狙撃手って、さきほど試験者が迎撃した?」
アラマキ隊長が頷くとP228さんがこう切り出した
「待ってください、自動砲台はともかく、試験者さんの情報からしてその狙撃手の移動方向と距離からして、あの攻撃から逃げきれるはずがありませんよ!!」
「そうだぞ……アラマキ、いくらなんでも警戒しすぎだぞ」
P228さんの反論にワカさんも同調するがアラマキ隊長ははっきりと言い切った
「アブノーマルを相手にズルや不正(チート)が必ず通用するとは限らない……急ぐぞ」
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M16A4達が退避してから数分後
周囲の木々を薙ぎ払い、弾道上のあらゆるモノを蹂躙しつくす砲撃がハウンドハンターに迫る中でソレは一切の恐怖を感じていなかった
それどころか好機と言わんばかりに不気味に笑っていた
「迎撃に回したターレット・ビースト三機とも撃破か……ツールでは逃れるのは難しいか」
ハウンドハンターは小さく呟くとソレの身体が一瞬で下に沈むと同時に、次元から一時的に姿を消した
その直後、竜巻がごとし破壊の権化でハウンドハンターが立っていた場所を蹂躙する……しかし、その場にハウンドハンターの存在はその次元からズレタ場所に立っていた
そこはある種の黒い水が流れている水路か河川の水底を連想させる場所でハウンドハンターが顔を上に向けるとさきほどまで立っていた場所が一瞬で荒地と化す光景が揺れる水面のように写っていた
そこは本来の時空とアブノーマル達発祥の場所、深淵の水脈との狭間の場所であった
「ふむ、奇妙な気配を感じたが……あれは異界の技術の産物か、道理で潜航が容易なはずだ」
ハウンドハンターがそう言って、手元に持っていた大型ライフルに目にやるとさきほどの試験者の被弾で破損したスコープは直っておいた
そして、甲羅に目を移すと被弾した杭はすでに抜け落ちて小さなヒビだけが残っていた
『傷は残っているか……むう?」
小さく呟くとハウンドハンターは歩き始めた
残り二体のターレット・ビーストが万能者が潜伏しているであろう場所に到達した事とそれと同時にグリフィンの部隊も接近している事を告げたのだ
それを聞いたハウンドハンターは小さく呟いた
「よし、各自……4番はそのまま万能者を探せ、5番は万能者の探索しつつ、敵対勢力を発見次第、けん制せよ」
そして、ハウンドビーストはそのまま、水中のごとし次元の狭間をライフルを担ぎながら駆け出した
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S13の切り札の超兵器によって、敵対勢力が一掃された事で進軍を進めた俺達S07合同チーム
だが、目的地周辺に到着して、俺達が目にしたのは元々中規模工場群と採石所と言われても信じられない程にまで変貌した瓦礫の山と煮えたぎるマグマを覗かせる火口らしき大穴だった
「これは一体……どういうことだ?」
「そもそもこんな惨状で……万能者は生きているのでしょうか?」
ワカさんとP228さんが呆然とするなかで、M686さんが落ち着かせようと口を開いた
「生きているに決まっているんでしょう……少なくとも救援信号を出した前後は」
「じゃろうな……さて、急いで万能者を探すとしようか」
アラマキ隊長の号令と共に俺達は廃墟と火口が見えるここにいるはずの万能者を探し始めた
だが、この時俺達は知らなかった
切り札と称される超兵器に巻き込まれた
告知
残り二体
とりあえず、ハウンドハンターが無事だった理由ですが……
ぶっちゃけアブノーマル相手にチートは悪手だったとしか言いようがありません
そして、作中であるようにすでにハウンドハンターも残り二体のターレット・ビーストもすでに中規模工場跡地に集結して、グリフィンを相手にしつつ万能者を探しています