サクリと掘り起こした砂場の一角で、地球の裏側まで続くトンネルを掘ろうと画策する。
すぐにさらさらとした白い砂は避けられて、湿って黒くなった砂にスコップが突き刺さった。
人類がまだ成し遂げていない偉業に功を焦り、スコップ容量一杯の砂を両手で持ち上げ、横に垂れ流す。
このペースでは順調に事が運んでも、死ぬまで掘り続けたとしてもまだまだ到底足りはしない。
だがそんな事構うものかと、一心不乱と地面にスコップを突き立て続ける。
何が楽しくて一体全体こんなことをするのだろうか。
誰に指示されたわけでもなく、ただただ熱中したように砂を退け続ける。
掘ったその先にブラジルがあるとただ信じて。
何度か掘り進めるうち、気付けば傍らには大きな山ができていた。
いつもならここで疲れてしまい掘る手を止め、トンネルを建設したり棒を突き刺したり削ったりして遊ぶのだが、今日の砂遊びは一味違う。
ここからは未知の領域だ、こっから先は何が起こるのか考えすら及ばない。
この大きな山も、手を進めるうちにとんでもなく大きな山になるかもしれない。
そんなの構やしないと息を整えると、覚悟を決めて腕を穴に突っ込み掘り進める。
先程よりスコップに乗る砂の量が目に見えて減る。
それでも気にせずに、高く積み上がって行く自分の山に高揚感を覚えながら、またと手に力を込める。
今度はもっと砂をすくおう、今度はもっと深く掘ろう、今度はもっと高く積もう。
穴に力の限り突入していった手は、次の瞬間にはガツンと、振動を最後にびくともしなくなった。
石にでも当たったのだろうか?
少しだけ掘る場所を違えて、再び掘り起こそうとスコップを沈み込ませるが、またしてもガツンと止まる。
流石におかしく思ったのか、両手両膝をついて覗き込むと、陽の光を受けてキラリと輝いた銀色のアミアミが姿を現した。
スコップで突こうと、岩石のようにびくともしないアミアミは、これ以上地下を探るのを禁じた。
そんな筈ないと、焦ったように新しい穴を作って懸命に掘り出す。
だが結果は同じ。
さっきと同様に小高い山と、ポッカリと夢を潰された穴が鎮座するだけだった。
熱が一挙に引き潮となる。
ショックだった。
今まで底を拝んだ事がなかっただけに、砂場の地下には無限の可能性が広がっているとばかり思っていた。
でも現実はたった数十センチ、その僅かな世界を空想で補っているだけに過ぎなかった。
世界に溢れる挫折の内の、小さくて些細で、今では呆れ返るほどつまらない失敗であった。