執事が大好きなお嬢様は、どうにかして執事に構ってもらいたい。   作:龍宮院奏

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第16話作家は本職がバレて、大騒ぎです。

 日菜(お嬢様)の命により、羽丘女子学園に来て目的のプリントを届け、何故か日菜をおんぶして教室に運ぶことになっていた。日菜の友達にも会えたのだが、やはり最近の女子校は凄いな。

 なんてったって、誰が見ても満場一致のイケメン女子が居るんだから。

「朱那、それって宝○さん?」

日菜には俺の冗談が通じたらしく、首をこくりと傾げていた。

「そう、宝○さん!いや、凄いな最近の高校生……」

自分との時代とは、変わったことを噛みしめる。

「ねぇ、朱那だってそんなに変わらないと思うよ……歳近いし……」

若干、呆れた様子を見せる日菜。

「言うな……、俺の高校時代が酷かったから……。羨ましいだけだ……」

こうやって、友達と教室でくだらない日常の会話をしたり、みんなでお弁当を食べたりするのが……。

 不意に日菜の頭に手を乗せて、そっと頭を優しく撫でましていた。

 

「あ、あの〜。日菜も、すごっく幸せそうな所を邪魔して悪いんだけどさ……」

日菜の友人であろう、ギャルっぽい人、りさちーさんが気まずそうに声を掛けてきた。

 

「りさちー、後三十秒だけ……」

気まずいながらに声を掛けてきた友人に対して、俺の撫でを堪能するために友達を放ったらかしにしていた。

 こうやって、自分の欲望に忠実で、自由気ままな性格だと、何だか猫と戯れているように思えてくる。

 

「ほら、友達をあんまり困らせるなよ。帰ったら、また撫でてやるから」

これ以上は、流石に俺が申し訳ないので一度撫でるの終わりにした。

 

「むぅ……、帰ったら必ず……だよ」

むっとした顔で、遊んでもらえない事を悲しむ子犬のような目で見つめてくる。あぁ……、これは卑怯だよ……。

「わぁったよ……、帰ったらだ」

こんなんだから、甘やかしちゃうんです。

 

「それで、りさちー。何だっけ?」

ようやく話を聞くになったようで、自分の元いた席に戻っていった。少しだけ開放されたので、日菜の席から近い窓際に寄り掛かる。

「いや、だから……。あの人が……、執事さんなの?」

りさちー、何時もより緊張してる。なんか、すっごい顔が赤いし、声が高い。

「そうだよ。朱那、自己紹介してよ」

「何でいきなり……、漆月朱那だ。氷川家の専属執事だ、よろしく」

嫌そう、というか面倒くさそうに自己紹介をしていた。

「あ、私は今井リサです。日菜ちゃんの、友達です」

「瀬田薫と言います。日菜さんは、いつも明るく、とても元気の良い人です」

それから、リサちーと薫くんも自己紹介をした。

 これで二人共仲良く出来たら、さらにるんって来る!かなと思っていると、

「あ、何でアメ食べてるの!ズルい、私も食べる!」

ちょっと目を話したら、棒付きキャンディーを口に含んでいた。

「ん?あぁ、待って……。確か……」

上着の内ポケットを漁っていると、

「何が良いんだ?ブドウ?コーラ?ソーダ?ブルーベリー?」

食べているの以外にも、どんどん出てきた。朱那の上着のポッケとは、ド○エモンのポッケとなのかな?

「朱那は、今何味食べてるの?」

「プリン味」

「そんなのあるの!」

「いや、冗談だ。本当はソーダだ、ほれ」

もう、冗談でもびっくりするって。あ、キャンディー!これは……、朱那と同じソーダ!う〜ん、美味しい!

「二人は何味が良い?」

りさちーと、薫くんにもちゃんとあげようとするんだ。

「え、あ、じゃあコーラで」

「ブドウを頂きます……」

二人も仲良くアメを貰う。

「ねぇねぇ、朱那の本職は何だと思う?」

アメを食べながら、クイズ形式で二人に朱那の本職を当ててもらうことにした。何か、二人から意外な答えが聞けそうだな。

「え、いきなり。そうだねぇ……、サラリーマン?とりあえず、妥当な線で」

悩みながら、最初の答えが出てきた。

「はい!朱那が判定!」

「え、俺?う〜ん……、違うな。まぁ、偶に近い仕事してるよ」

日菜の無謀な判定の押しつけに、やんわりと回答を否定しておくことにした。

「なら、芸能関係じゃないかな?日菜の仕事から考えると」

薫くんが、私の仕事を元に推理してきたが、

 

「うん、全く無いな。芸能関係とか……、人見知り、人混みが嫌いな俺に『地獄でイジメられて来い!』って言ってようなもんだな……」

回答を聞いて、即答で否定をしていた。

 

 さすがの薫くんも、この即答の否定にはショックを受けていた。

「あ、そういえば日菜の仕事って何だ?芸能関係なのか?」

仕事でって、前に言っていたけど。その内容に関しては全く聞いていなかった。

「そうだよ。私、アイドルやってるんだよ」

「へぇ……、アイドルな。何だ?ご当地の?」

「違うよ、全国ネットの。聞いたこと無い?『Pastel✽Palettes』って?」

日菜がアイドルな……、それに『Pastel✽Palettes』……。

 少し頭の中の記憶の棚を、ひっくり返しにひっくり返してみるが……。

「すまん……、アイドル関係は全くわからん……。テレビを見ても、最近はアニメしか見てなかったから……」

記憶の中には、『Pastel✽Palettes』の『P』一文字も出てこなかった。

 

 でも、日菜がアイドルか……。

「何か、日菜が輝いてそうで良いな」

 

「「「え!」」」

 

「日菜なら、アイドルっていう仕事で『誰かを笑顔』にしたり、『誰かの支え』になれそうだし。良いんじゃないか?」

どうも日菜の笑顔を見ると、気持ちが楽になるというか、少し頑張ろうってなると云うか、不思議な感覚がして来る。

「ちょっと朱那……、それは言い過ぎ……」

褒められたのが、嬉しかったのか、それとも恥ずかしかったのか。またはその両者なのか、顔が茹でだこのように真っ赤に染まっていた。

「そうか?まぁ、この歳で芸能界とか……、頑張ってんだな……」

すっと、自然と手が伸び、日菜の頭をもう一度撫でる。こんどは、優しくそっと。

「う……、うぅ……」

猫のようなうめき声を出すので、やっぱり日菜のことが猫にしか見えなかった。

 

「俺も、18で出版業界入ったからな……。同期で入ったやつなんか、三、四人は消えた……」

あいつら、今何してるんだろうな?

 

「え、漆月さんって、出版業界で働いているんですか?」

やばい、思わず自分のこと言ってしまった。それを聞いて、あざとく聞いてくる今井。

「うんと……、そうだね。出版業界だね……」

これ、当たるんじゃね。俺の本職、バレるんじゃね。

 額から、冷や汗がダラダラと出始めてきた。何とか、冷静さを保とうと、新たにアメを取り出そうとした瞬間。

 

「なら、意外と編集部の人だったりして」

 

「ごほっ、ごっほ……」

あまりにも的確な所をきたので、思わず噎せてしまった。

 こ、この宝○め!貴様!その甘いマスクをしていながら、人をヒヤヒヤさせるんじゃないよ。

「あれ?これは……、意外と近いのでは……」

今井が俺の反応をみて、日菜と同じくらい悪戯な笑みを浮かべる。

「じゃあ、編集部じゃないなら……。編集されている方?」

コイツ……、『答えが出てきそうだけど、確証が持てないから。なら、周りの条件を探っていこう!』って魂胆だな。くっ、なんて奴だ。

「となると、記者や作家と謂うことかい?」

お前もかい!お前も急所を外しながら、良い所狙うな!お前ら、狙撃手なら良い腕してるぞ!

 

「二人共、もうほぼ正解してるよ」

お嬢様!いきなりの裏切りは酷くないですか!ねぇ、酷くないですか!

「日菜……、お前今日の晩ごはんのおかず一品抜きな……」

突然に裏切り行為をしたお嬢様に、もの凄く小さな罰を与えることにした。

「えぇ〜、何でよ。別に、正解を言ったわけじゃないじゃん」

服を掴んで、引っ張ってくる。それも、裾の辺りをちょっとだけ掴む感じで……。

 

「日菜、私わかったかもしれない」

「確かに、わかったよ。まさか……、君の執事は凄いよ……」

回答権を持つ二人が、答えに行き着いてしまったようだ。

「え、本当に?じゃあ、せ〜のでいくよ。せ〜の」

日菜の掛け声と共に、発せられた答えは……。

 

「「作家!」」

 

「おぉ、神よ……。俺は一体どこで、人生を間違えたんでしょうか……」

本気で悲しくなってきたので、その場で本日二回目のその場にしゃがみこんでしまった。

「大丈夫だよ、朱那……」

日菜が優しく慰めてくれ……、

 

「だって、朱那はワタシの元に来る運命だったんだから」

無いですよね……。現実に対して若干諦めと、天から光が降りてくるような幻覚が見えてきた。

 

「何で、作家だと思ったの……?」

俺の本職を見事に当てた二人に、理由を聞く。

 まず、今井の理由はこうだった。

「何となくってのと……、人混みが嫌いなら記者は違うかなと……」

俺の性格と、職業の内容で答えを出してきた。

 瀬田の理由はこうだった。

「記者なら、何時もどこかに駆け回っているイメージが有ったので」

二人共、以外にちゃんとした理由から、俺の仕事を見破っていた。

「はぁ……、そうだよ……。本職は作家だよ……」

渋々ながらに認める。

 

「やった!日菜〜、当てちゃったよ」

「それにしても、作家を執事にするだなんて。君はまた、発想が違うね」

日菜とハイタッチをする今井、日菜の行動に驚きを通り越して感心する瀬田。

 

「そうそう、それとね。朱那はね、『叶恋・叶うならこの恋を』シリーズを書いたんだよ」

 

 この日菜の一言に、他所で話をしていたクラスメイト達の会話がぱったりとやんだ。

 

「おっと……、これは……」

 

 そしてクラスメイトの中から、戦が始まる掛け声を掛ける者が現れてしまった。

 

「う、うるはら先生だ……。うるはら アカ月先生だ!」

『キャーーーーーー!』

クラス中の生徒が、一斉に集まってきてしまった。しかも、みんな目がもう怖いんだけど。

 

「あ、あの『叶恋・叶うならこの恋を』シリーズ読んでます!」

 

「先生の大ファンです!サイン下さい!」

 

「ズルい!わ、私も先生のサインが欲しいです!」

と、サインを求めるファンの暴動が生まれ、その波に飲み込まれしまった。

 この後、クラスの生徒全員にサインを書き、更に俺が『うるはら アカ月』という事を広めた生徒の所為で、ほぼ全校生徒にサインを書くはめになってしまった。




日菜と学校でも、何時もどおりに接する朱那。
なんか、ちょっとしたバカップル?みたいな感じになりましたね…。
それにしても、やっぱり朱那は作家としては人気が絶大で、
女子校だから女子にモテモテ!
でも、これって……、日菜ちゃんの反応が……。
今回も閲覧いただきありがとうございました。
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