執事が大好きなお嬢様は、どうにかして執事に構ってもらいたい。 作:龍宮院奏
日菜を慰めるために頭を撫で続けて、だいぶ時間がたった。気がした……、感覚的な問題で分からないけど。
「だいぶ落ち着いてきたか?」
抱きつきながら泣いていた日菜に声をかける。
「うん……、落ち着いた……。ごめん、いきなりこんな事……」
突然泣き出して朱那も迷惑だったよね。
「別に構わないぞ、俺はお前の執事なんだから。泣いているお嬢様を慰めるのも、立派な執事の仕事だから」
それを聞いた日菜はクスっと笑った。
「ありがとう、朱那!やっぱり、朱那をここに連行してきてよかった!」
元気を取り戻した日菜は、更に力を入れて抱きついてきた。
てか、元気なのは構わないけど、連行って!本心漏れてるし!それに当たってる…、日菜のが当たってるんですけど…。
「連行は駄目だから!普通に考えて駄目だから」
何とかして引き剥がさそうとするも、
「え〜、でも今は了承してるから良いじゃん!」
引き剥がそうというタイミングで更に接近してくる。
「それは……、はぁもう好きにしてください……」
もうこれ以上抵抗しても離して貰えないようなので、お嬢様の好きされることにしました。
「え!良いの?なら、もう少しだけ〜」
朱那を抱きしめてると、何だか他ものと違ったるんって!来る感じがして来る。ギターを弾いてる時とも、彩ちゃんが面白いことをしてそれを見た時とも、小さい頃お姉ちゃんと遊んで居た時とも。どんな物とも違うるんってするの。すぅ〜…朱那の匂い…幸せ……。
やっぱり朱那は私の、ワタシだけの物にして、独り占めにしたいな……。
抱きつかれて、日菜の当たるものに対してドキドキしながら、後なんか嗅がれてるような?噛じらてるような感覚?もしたけれど、開放されたから良しとしよう。ほんと、後少しで天に召されるとこだったけど。
「じゃあ、遅くなったけど。朝飯食べるか、今温め直すからな」
「わ〜い、朱那のご飯だ!」
さっき迄泣いていたのが嘘のように、元気になっていた。
「何作ったの?」
「まだ日菜の好みが分からないから、万人受けするであろう!」
レンジで再び温めた、
「オムライスだ!卵は今作り直すから待ってろ」
「お〜、良い匂い。美味しそう〜」
「そう言ってくれると嬉しいな、作ったかいがあったな」
「でも、もう卵乗ってるけど?」
「出来立ての方が良いだろ?ほら、出来た」
話しているうちに、お店で出てくるオムレツが完成した。
「ほら、割ってみな」
ケチャップライスの上に乗ったオムレツを半分に切ると、中から半熟の卵が湯気を出しながら蕩け出てきた。
「しゅごい、これ食べていいの…?」
涎が若干零れそうになるのを堪えながら、食べたい衝動と戦う日菜を見ていると、餌を目の前に置かれ待てを食らわされている子犬の様だった。
「良いよ、ほら遠慮なく。お嬢様」
俺が言い悪直後には、手にスプーンを握りしめ、
「いただきます!」
出来立てのオムレツと色々何か具材を入れたケチャップライスを、スプーンにのせて食べ始めた。
「むふぅー!」
食べ始めて、いきなり机をバシバシ叩き始めた。おい、机が泣くぞ…。
そんな事は良いとして、
「どうした?何か変な味したか?」
びっくりして椅子から立ち上がる。
「おいひぃ〜、こぉれおいひぃ〜よ」
溢れんばかりの笑顔を見せる日菜。これには思わずため息をついた、心配して損した。
「何だよ、急に暴れるから不味いのかと思った。びっくりさせるなよ」
「ほぉんはぁこふぉはぃよ」
「いや、何言ってるのか全然わからないし。飲み込んでからにしなさいよ」
口に食べ物を入れながら喋らないの。全く行儀が悪いから、それじゃイメージ良くないから。
「うん…、そんな事ないよ!すごっく美味しい、美味しいよ!」
最初の一口目から駆け込むように食べ勧めていく、その様子を見ていると作ったこっちまで嬉しくなってきた。
「いただきます」
うん、まぁ普通だな。少し濃い目に味を付けたケチャップライスに、具材で入れた挽肉やコーンが合わさって美味しい。卵は固まってるけど、これはこれで美味しいからな。
「ねぇ、朱那?おかわりある?」
自分も食べ勧めていると、いつの間にか日菜の皿からはオムライスが跡形もなく綺麗に消えていた。
「まだ、ケチャップライスは残ってて、オムレツは作れば……」
「そっか……、じゃあ食べる!」
お皿を目の前に突き出してきた。何か、犬の尻尾が見えた気がした。
「そんなにか、じゃあ今からオムレツ作るから待ってろ。こんなに気に入られるだなんて思ってなかったな」
冷蔵庫から卵を取り出して三度オムレツを作り始める。
朱那作ったオムライスすっごく美味しいな。あーあ、早くお代わり食べたいな〜。でもまだ、時間は掛かりそうだし……。
目の前を見ると朱那が食べていた食べかけのオムライスがあった。朱那が使ってたスプーンもある……。今とってもるんってくる事を思いついちゃった。でも、朱那にバレたら大変かな?
「でも、るんって来たし」
結局、衝動に勝てませんでした。もうこの際食べちゃおう、朱那の使ってたスプーンで、朱那の食べかけのオムライスを……。朱那の唾液を含んだスプーン、朱那の唾液が混じったケチャップライス……。
「ふふ……」
不敵な笑みを口元に携え、まずはスプーンを手に取りそのまま口の中に持っていく。
ケチャップライスのケチャップの薄紅色に染まった銀色のスプーン。そこに纏わり付いた朱那の唾液を、舌で舐めあげていく。ゆっくりと舌先から、まるで棒付きキャンディーを舐めるかのように。じっくり舐めていくと、私の口の中でヌチュリと音を立て私の唾液と混ざり合っていく。今私のと朱那のが混ざり合って、私の中に入ってる……。
これだけでもかなり幸せに満たされたけど、まだ足りない……。
今度は食べかけのオムライスへとスプーンを向ける。チュパと口から出すと透明な唾液がスプーンに纏わり付いて、糸を引いていた。朱那が食べていた部分を、少しずつ削っていき再び口の中に持っていく。
「はぁうぅ……」
オムライスは美味しいし、それに重なって朱那が食べていたことを考えると更にるんって来て美味しいし。次の一口を食べるために、食べたことがバレないように再び削っていって口に運ぶ。
「お〜い、お代わりの分出来たぞ〜って。日菜、俺の食べかけを盗み食いするなよ」
お代わりの分が出来て戻ってきたら、俺のを食べていた。
「ちゃんと作ってきたから、こっち食べろよな」
「だって〜、美味しいから食べたかったんだもん」
笑顔を見せる日菜。本当にこのお嬢様は手におえないな。そう思いながら、残りの食べかけを食べるのであった。
びっくりした…、二口目を食べるタイミングで来るなんて。でも、私は沢山るんって出来たし!それに…、
「うん?どうかしたか?」
朱那が不思議そうに尋ねてくる。
「何でもないよ〜、美味しい〜!」
本当に美味しいよ、だって今も朱那が使っていたスプーンで私が食べているんだもん。
だから、朱那が今使っているスプーンは私の唾液を含んだスプーンんだよ。これで、朱那の中に私の唾液が混ざり合っていく。私は朱那のを、朱那は私のを、これって間接キスかな?
どうしよう、そう考えてくると。今最高に、最高にるんってくる。しかも、朱那はこの事を知らないんだから、ワタシだけのヒ・ミ・ツ……。
本当にお久しぶりです。
他の連載もやっていたら、頭が回らなくなっちゃって。
でも、これからはどんどん出していきますので。
今回はヤンデレ回?ヤンデレってあんな感じかな?
自分の妄想癖と、趣味前回で書きました…。
今回もご閲覧ありがとうございました。