執事が大好きなお嬢様は、どうにかして執事に構ってもらいたい。   作:龍宮院奏

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やっぱり切りが良いように、調節しました。
何だか、日菜ちゃんのヤンデレ回が続くようです。


第7話作家は家に突撃されました。

 黒服さんが車を、何処かの運び屋みたいに凄いハンドル裁きで運転するから、あっという間に着いてしまった。

 人生で初めて、車に乗って酔いそうになった。日菜はそんな中でも、はしゃいで居たけれど…。強すぎ…。

 吐き気を感じながら車を降りて、マンションの自室に向かう。エレベーターが丁度のタイミングでやって来たので、それに乗ってスイスイ上がっていく。数十秒もしない内に、目的の階に着いた。

「それでどの部屋?どの部屋?」

「今教えるから、待って」

余程楽しみなんだろうな。もし日菜に尻尾が生えていたら、凄いぶんぶん振っているんだろうな。

「ほら、ここだよ」

ようやく自室の玄関にたどり着いた。

「じゃぁ、早速上がらせてもらうよ」

玄関の扉のレバーを掴んで、開けようとしていた。

「いや、ちょっと待って!」

「何でよ〜」

むっとされた顔をされても、

「少しだけ待っててくれたら、必ず入れるから」

部屋の掃除もしたいし、見られたら不味い物は……あるな……。

 

「だから、お願いします!」

玄関先で必死に頼み込む。近所の人の視線が少し冷たいような気もしたけれど、これは必要事項なのだ。

「むぅ、分かった…」

「お嬢様〜」

良かった…心がひ、

 

「その代わり、30秒だけだからね!」

全然心広く無かった!悪魔〜!お嬢様の悪徳令嬢!

「もうちょっと!だけ」

お慈悲を、お慈悲を〜。

「い〜ち!」

 

「え、嘘でしょ」

お慈悲すら、許してはくれなかった。

 

「に〜い」

いきなりのカウントダウンに焦りつつも、玄関の鍵を開けて慌てて部屋に入る。靴をほっぽりだし、リビングに一直線で走っていく。

 部屋に入ると、いつもと変わらない整理整頓がされた部屋が広がっていた。編集部のある会社のビルから近場にあるため、打ち合わせも自宅でする事が多い。だから何時も綺麗にするように心がけている。

 

「えと、まずは何をしまえば……」

日菜に見られて不味いものは、

 『その一・アニメキャラで推しのフィギュア』。これは見られた瞬間に壊されるだろから……、何としてでも守り抜かねば。箱からまだ出していなかったから、そのまま別の箱の中にしまって……。

 

 『その二・冗談半分で買ったエロゲ』ネットでネタが無いか探している時に、『あ、この子可愛い』と思って検索したゲームがあり、何も知らないまま買ったらエロゲだったという。

 あ、ストーリも良くて泣けたし、絵も綺麗で良かったけど。これは、夏服のダンボールの奥の方にしまって。

 『その三・げふんげふんな同人誌』別にR1〜な奴じゃないよ……うん。まぁ、内容が……絶対駄目だな。これは…何処に…。もう、取り敢えずリュックの中に押し込んで……。

 

「朱那〜、時間ですよ〜。ねぇ、何してたの?」

押し込んだタイミングで来たよ、何かテレパシー何かか。

 

「い、いいや。な、何にも無いよ〜。ほ、ほら、怪しいものなんて何一つ無いでしょ」

必死に訂正を保ちながら、誤まかす。

「怪しいものね……」

目を細めて、蛇の目のようにじっくりと眺めてくる日菜。蛇に食べられる動物も、きっとこんな気持ちなんだろうな。

「じゃぁ、その手に持った薄い本は何?」

俺の手を指さしながら、日菜は恐ろしく笑顔で問いかけてきた。

「薄い本?……」

声にならない叫びが、口から溢れ出る。手には確かに一冊の同人誌が握られていた。

 その薄い本を奪うと、日菜は再びニマニマと口元を歪ませて、更には目にブラックホールを宿しながら、じっとりと見つめてきた。

「朱那、正座して……。これはご主人様の命令だよ」

今まで考えられない位、冷徹な声で告げられた。

「は、はい……」

怖くなって、そのまま静かに正座した。

「もしかして?朱那がさっき私を部屋に入れなかったのは、コレを隠すためかな?」

奪った同人誌を丸め、バット状にして音を鳴らし始めていた。

「はい……」

ヤバイ、これは完全に殺される……。

 するとペラペラと、奪った同人誌を眺めて一言、

「朱那って、こういう趣味なんだね」

弱みを握った事を楽しそうに、サディステックな笑みを浮かべていた。

「でも〜、これはもう要らないよね。だってこういうのがあったら、朱那に悪影響だもんね」

そう言って同人誌を眺め、

「だから、こういうのは全部処分ね。他にもあるなら今の内に出しておきなよ、じゃないと……」

耳元に顔を近づけて、

「朱那には……、もう二度と外の世界と関われないような事、しちゃうからね」

そっと囁き、息を吹きかけてきた。

 吹きかけられた息に、日菜の口から出てきた言葉に、思わずびっくりして、体をビクン!とさせる。

「わぁ、朱那ってばビビり過ぎだよ〜。あははは」

光を飲み込むような瞳をしながら笑っていた。

 結局、隠したエロゲーと同人誌はすべて回収され、推しのフュギュア全て転売された。

「悪魔……、俺の推しが……うぅ……」

推しが転売されていくの見ることしか出来ずに、そんな無力な自分に絶望していた。

「え〜、だって言ったでしょ?朱那に悪影響だって」

「でも…、推しは…」

推しに関しては、普通に同人誌とか関係ないのに。あまりの辛さに涙を流す。

「あの女の子が、まだそんなに忘れれないのかな?」

そんな何かを考え始めた日菜は、黙り込んでしまった。いきなり黙り込まれてしまうと、一番怖いのだけれど……。

「まぁでも、これから朱那にはたっぷりと教え込んでいくから安心して」

答えが出たようで、笑顔で言ってくる。目は笑ってないけど。それに教え込んでいくって?

「もう、そんな怖がらないの。大丈夫だよ、痛くしないから。最初にも言ったでしょ、殺さないって」

「言ってたな、『殺したら、楽しみが無くなる』って」

「そう…、だから殺さないで…」

思わず息を飲む、

「ゆっくりとワタシ色に染め上げてア・ゲ・ル」

そう言って、最後に頬にキスをして来た。

 この時改めて後悔した、こいつの執事に成るんじゃなかったと。




朱那の趣味が、日菜にバレるという…。
想像しただけで恐怖映像ですよね…、だって秘蔵の物資がバレるなんて…。
それに日菜が『ワタシ色に染め上げる』って、もう恐怖しか無いですよね。
それでは今回もご閲覧ありがとうございました。
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