ガンプラバトル。それは、ガンダムシリーズに登場するメカをプラモデル化した通称【ガンプラ】を専用の筐体にスキャンし、そのガンプラでまるで本物のコックピットに乗っているかのように対戦可能な、次世代のアーケードゲーム。最近バンダイ社から発表された物だが、会社のネームバリューやその革新的なゲームシステムから模型店やゲームセンターに大量に配備された……そして、その世界に踏み込もうとする人間がまた一人……
「アムロ。ガンプラバトルと言うものを知っているか?」
彼の名はシャア・アズナブル。あの数々の死線を潜り抜けた赤い彗星ご本人……なのかは分からない。だが彼は現にこの世界に存在し……ガンプラバトルという新たな戦場に足を踏みいれようとしていた。
「……急に何だ? 俺だってそれくらい知ってるが」
「そうか。これを機に私もガンプラを始めようと思ってな」
「それで俺の所に? ……仕方ないな。俺も今からHGν-ジオンガンダムでも買いに行こうと思っていた所だ。来るか?」
「ありがたい」
こうしてアムロ・レイとシャア・アズナブルはお台場へ向かった。これが、後に世間を沸かせる最強のガンプラファイターの誕生とも知らずに……
ガンダムベース東京。それは、ガンプラの聖地。真っ先にバトル用の筐体が設置され、今や大会でさえもが開かれるようになった。
「見ろアムロ。モビルスーツがあるぞ」
「……本物じゃないからな。アレは1/1ユニコーンガンダム。ただのレプリカだ」
そのような会話を交わしながらショップゾーンへ入る。そこで目に飛び込んできたのはありとあらゆるガンプラたち。
「これが全てガンプラだというのか?」
「そうだ。ここには世界最大規模のガンプラの品揃えがある。時間はあるからいくらでも悩め」
棚を凝視するシャア。が、直感からかあるキットを手に取り、アムロに見せる。
「……これにするとしよう」
「HGシャア専用ザク……オリジン版か」
「あぁ。使い慣れていて、私の最初の機体としては上々ではないか?」
「そうだな。キットの難易度も丁度いいだろう」
購入したガンプラをビルダーズゾーンに持ち込む二人。テーブルに付き、箱を開封する。
「それでは早速作るとするか……接着剤は?」
「今回は初めてだからな、合わせ目消しなんてしないだろうし接着剤はいらないだろう」
「なるほど……接着剤を使わなくても組み立てることができるのだな。では早速使ってみるとしよう」
「その前に、俺から一つプレゼントだ」
シャアの前にニッパー、デザインナイフ、ヤスリを置くアムロ。
「……これは……」
「プラモ用のニッパーだ。パーツを切り取る時に使う。デザインナイフはそれで切り損ねたあまりを削ぐのに、ヤスリはその仕上げに使うんだ。説明書をよく読んでその通りに組むんだぞ」
「なるほど……分かった。やってみるとしよう」
1時間ほど経過した後、ポリキャップの入れ忘れやデザインナイフで指を切る、向きを間違え組み間違えるなどのアクシデントは少々あったものの……ザクは完成に近付いていた。
「……なるほど。このバズーカはこうやって……ふむふむ」
「このパーツがここに来るのか……」
チェーン型のザクマシンガン、ヒートホーク、そしてバズーカを装備させ……ついに、ザクは完成したのだった。
「アムロ出来たぞ! ……私のガンプラだ」
「初めてにしては上出来じゃないか。しっかりと俺の教えたことは守っているな」
「関節がこうも動くとは素晴らしいな……ポージングにも幅が出そうだ」
「おいおい、本来の目的を忘れちゃいないか? ガンプラバトル、しに来たんだろ?」
「あぁ、そうだったなアムロ……何処で出来るんだ?」
「バトルゾーンに行けば筐体がある。いつもは野良対戦が出来るからそれに参加するぞ」
バトルゾーン。ガンプラバトル筐体完成と共に増設された新エリアであり、複数の部屋に分かれている。その部屋どれもに、筐体が立ち並んでいる。
「ほう、これが例の……これに乗ってガンプラバトルをするのか」
「そうだ。まずは着替えて、マニュアルを読んで見ろ」
更衣室にはパイロットスーツが用意されており、それの効果によりさらなる臨場感を楽しむことができる。ネオジオン総帥をやっていた頃のノーマルスーツに似たパイロットスーツを選択し、着用するシャア。
「ほう……このような物まであるのか」
「さて、準備は出来たな? この中に入って中にあるハロ型のスキャナーにガンプラを入れるんだ」
「分かっている。シャア・アズナブル、ザク。出るぞ」
《ゲームスタート。戦果を期待しています》
カタパルトから射出されるシャア専用ザク。そのまま空を舞う。
「コックピットシステムは本物のモビルスーツとほとんど同じか……ならば」
操作を確認するシャアにビームが迫る。それを間一髪で躱すシャア。
「ビーム? 山からか……!」
放ったのはジムスナイパーⅡ。どうやらオリジナルのスナイパーライフルとはまた違うビームスナイパーライフルを装備しているようだ。連続で放たれるビームを避け、ザクマシンガンで攻撃する。ジムスナイパーⅡは攻撃を受けながらも大して破損した様子はない。
「マシンガンでは限界があるか……ならば!」
接近しヒートホークを振り抜くシャア。
「なんだと!? うわぁぁぁっ!!」
一発で胴体を斬り裂き撃破し、再び腰にかけながらジャンプする。空を舞うシャアのザクを見上げる友軍機のドムが突然放たれたビームに片腕を撃ち抜かれる。
「な、なんだよ!?」
「手柄は俺のものだ!」
そのビームを放ったEz-8にジャイアントバズを放つドムだが、一発を躱され、さらにもう一発をシールドで防がれる。
「倍返し、いや四倍返しだ!」
「や、やられちまう!」
爆風の中から現れたEz-8にビームライフルで撃ち抜かれ爆散するドム。その頃空中を舞うシャアのザクは、また新たな敵に捕捉されていた。連続して放たれるビームを躱しながら敵を捕捉するシャア。
「アッシマーだと?」
「その通りだ」
ザクマシンガンの弾幕を掻い潜りながら現れたのは可変型MAアッシマー。強度の高いドラムフレームのアッシマーにはザクマシンガンでは傷をつけることは不可能だ。ましてやこれはガンプラバトル、素組みしただけでは機体性能も下がる。
「空中戦でアッシマーに勝てるものか!」
「ええい!」
空中では思うような動きができないザクに対し、可変し自由自在に空中を飛び回るアッシマー。機動力、運動力の差は歴然だった。背中の給弾機構に直撃を受け、ザクマシンガンを落としてしまう。ビームを避けながら体制を立て直し、バズーカを取ろうとするも……
「させるかぁ!」
「何!?」
変形し急接近したアッシマーに蹴りつけられ、落下。バンダイホビーセンターへ派手に突っ込んでしまう。
『シャア! 何をやってる!』
「アムロ……あのアッシマーは中々に手強いぞ……」
『……だがその調子のままやられるような奴じゃないはずだ、お前は』
その間外ではそのようにカスタマイズしたのか空を飛び回るズゴックとアッシマーが戦闘しており、ビームを避けながら頭部ミサイルで応戦するもののブレーキをかけた一瞬の隙に地上から放たれたEz-8のビームに撃ち抜かれ撃墜される。
「ブラン少佐、このズゴックで終わりですかね?」
「いや、まだ例のザクが……」
と言い終わる前にバズーカがEz-8の左腕を吹き飛ばす。すぐさまビームライフルを構え反撃しようとするも、ホビーセンターの壁を振り払い飛び上がったザクに上空からバズーカを撃たれ、直撃を受け爆散する。
「何? Ez-8がやられた? ……チッ!」
放たれるバズーカを避けビームライフルを放つも、その光線がザクを捉えることはなく、近付いたザクがアッシマーを蹴り飛ばす。さらに蹴り飛ばされた先でネットに絡まってしまい……
「クソッ! 変形して離脱を……」
変形しようとしたアッシマーだが、その為に胸部を開いた瞬間にシャアのザクはヒートホークを叩き込み……
「あ、アッシマーがっ!!」
「……死んだな」
爆散するアッシマー。シャアの所属するAチームが勝利したことを示す表示がモニターには輝いていた。
「……命のやり取りを伴わないモビルスーツ戦と言うのは中々に楽しいものだな、アムロ。……アムロ?」
筐体の外にいるはずのアムロに話しかけるが、返事が返ってこない。さらにそれと同時に試合が終わったはずの筐体のモニターにまたもや風景が映し出され……
「あれは……ガンダム?」
「シャア。ガンプラバトルを楽しんでいて何よりだ」
対面する謎のガンダムからは、聞きなれた声が響く。
「……アムロ? まさかそれに乗っているのはアムロなのか?」
「そうだ、シャア。お前の戦いを見ていたら俺もお前と一戦やってみたくなった」
「いいだろうアムロ。受けて立つ」
「そうか。それなら見せてもらおう、お前の実力。相対するはこの俺の、フォーエバーガンダム」
次回、Bパーツ『フォーエバーガンダム』
君は生き延びる事が出来るか?