翔「っていうか前回僕の台本失くなってたんですけど...閉まっておいたんですけど、誰か知りません?」
零「俺は知らないがこうして続いてるって事は後書きの紹介はいつも通り作者が書いたのか?」
卯「いやどうやら誰かが勝手に紹介したらしいけど...“神”?」
神「私じゃないぞ。え...怖」
麗「私達以外の誰かがこの時空にも存在しているってことか...」
零「話変わるがとうとうこっちも『麗』表記になったんだな」
麗「ん?どうやらそうみたいだな。取り敢えず今度こそ最後だ。よろしく頼む」
「ただいま」
と言って翔を起こすと私はさっき自分が発した言葉の事を思い出した。
(いつか時神に変わるその日まで)
完全に無意識下で言っていた。無論この言葉が何を意味しているのかは知っている。私は文系だから...いやそんなの関係ない。告白とも言える言葉があの状況で出てしまったという恥ずかしさが今になって溢れるように込み上げてきた。
しかもそれを言った相手は実の父親、まるでお付き合いの申し込みをしに実家へ彼氏を連れて言った気分である。
ふと翔の顔を見ると、少し頬を擦り剥き血が流れているのが見えた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。私が戻って来たのを心から喜んでいる感情が私を包み込むほどに伝わってくる。
すると何故だか彼の顔が普段と違うように見えた。怪我をしているからとかそう言う理由ではない。ゆるふわパーマの可愛らしい彼の顔が少し凛々しく見える。何故か心拍数が高まり彼の手を握る強さが徐々に強くなっていく。
私がまだ知らない気持ちが心の中に満ち溢れている。私が過去に欲した物は力と努力に見合った結果だけ、だけどこの感情はどちらでもない。今私が欲しているのは彼だ。
握った手を離すと今度は両手を彼の胸の下に添える。彼は私より身長が少し高いが背伸びをすればあまり変わらない。私は彼の顔をしっかりと見ながら自分の顔をゆっくりと近づけていく。
彼も近づいてくる私を拒む事なく私の顔を見つめていた。そのままお互いに目をそらす事なく、息の掛かる程の距離まで近づくと私は...
「あのさ!早く逃げないとヤバいんじゃないの?」
と言う甲高い声が響き、我に返った私は気まずさのあまり目をそらし俯くと
「怪我...近くで見たけど大丈夫そう...だね」
「えっ...あーこれですか。きっとすぐ治りますよ。心配してくれてありがとうございます」
私がしようとしていた意図に気付いていないのか彼の口調には戸惑いが見られなかった。一方私の心臓は周りに聞こえているのではないか心配になるほどバクバクと鳴っていた。
した事もないのに大胆過ぎる自分の行動を反省しつつも、あまり反応してくれなかった彼にちょっぴり寂しさを感じていると
「盛ってないでさっさと飛ぶ!」
と言う声と共に身体の周りに風が吹いたかと思うと、ロケットで打ち上げられたかの如く空へと急上昇し地面が段々と遠のき、視界に壊れた戦車や海も入ってくる。
飛び上がる直前に甲高い声の主が誰なのかを確かめようとしてウィッチさん達の方を見たが、いつからあったのかバイクの隣に岩のような物と木が生えており、ウィッチさんがそれに手を置いて話し掛けていた。
……疲れてるのか...と言うか私のGod-tellは...
心地よい風を感じながら私は重かった瞼を閉じた。
※ ※ ※ ※ ※
「さて...説明してもらおうか時神君。犯罪者の娘をあろうことか警察の幹部とでも言えるべき人間が匿っていた理由を」
各部署のトップが最重要機密について話す際にしか使用しない会議室に呼ばれた俺は就職面接のような長机に座った部長から問い掛けられる。
横には怪我を負った管理局局長の代理人と他の部署のトップが十人程ずらっと並んでおり、さながら圧迫面接のようである。
何故こんな状況になっているか。それは先日地球管理局の警備をした際に族の侵入を許した際、俺は監視カメラの制御室にて機動隊に指示を出していた。
しかし踏み入って来た族に拘束され身体の自由を奪われた。それは周りにいた部下達も同じだった。やがて一時間程経った後で急に俺らを見張っていた族が撤退して行った。
この時掛かって来た電話を部屋から出てから応答していたらこんな状況には陥っていなかっただろう、首謀者だったレオンの自首により事態は終着したかに思われたが、作戦の指揮を執っていた者の個人の携帯に首謀者から連絡があったという事実は不審がられてしまった。
それと関連付けて警備の日以前に俺が族に拐われた女子高校生を管理局外でたまたま発見したという事も怪しまれ実は族のスパイだったのではという有らぬ噂まで飛び交う羽目に。
加えレオンが管理局内の電話を使って家に掛けて来た内容が解析され、レオンの娘が一週間程我が家に居候していたという事実が露見した。レオンが霊香ちゃんとの血縁関係は無いと主張していたらしいが恐らく揉み消されたのだろう。
そもそも彼女の改名の際の手続きの中に血縁者は不明となっていたことと、拐われたレイカと言う事実を結びつければ普通にバレるのも時間の問題だったが。それゆえに、もはや俺の立場は危ういなんてレベルの話ではなくなっていた。
「黙秘するつもりか?」
黙秘を貫いた所で証拠が挙がっている以上ほぼ認めている事と大差ない。誤魔化そうにもそう易々と言い訳が浮かぶはずもない。
更に言えば俺の直属の上司は俺を煙たがっている為、下手な誤魔化しをしようものならすぐに矛盾を責め、失脚に追い込む事だろう。やはり頼んでおいて正解だった。
「お勤めぇご苦労様で~すッ!」
突如ノックもなしに会議室のドアが開きふざけたような口調の女性警察官が入って来た。その人物はさながらアメリカンポリスのように腰の辺りまで伸びた銀髪をたなびかせ、片手を警察帽のつばに添えている。
幹部達はそのコスプレのような格好に一旦フリーズするも、すぐにどこの部署の者だ、ここにはお前のような立場の人間が入っていい場所じゃないだのと叱責するも、当の本人は気にも止めずに喋り続ける。
「いや~大変でしたよ、通話履歴とか重要書類だとか色々改ざんしましたからね~」
「お前何を言って...」
「もう、うるさいな~」
部長が彼女に質問するも立場を全くわきまえない発言で帽子に添えた手を顔の横まで移動しパチンと鳴らした。直後、まるで瞬間移動したかの如く俺の後ろから声が掛けられる。
「取り敢えず、巻き込まれた子とあの犯罪者は無関係。拐われた事のトラウマから特例措置による改名を希望してるみたいな感じにしておきましたよ~。それにその子を匿っていたのもあの連中の記憶から消しておきました~」
その報告を聞きながら幹部達の方を見るとまるで生気を失ったように虚ろな顔をしていた。以前にも同じような状態になるのを見た事があるのでどうやら記憶を改ざんされるとこのような状態になるらしい。その見た目はさながら薬物中毒者のようである。
「まぁまだ催眠がかかっているようなので、続けてお金のお話しをしますね~」
語尾を伸ばしながら気の抜けるような声で彼女は喋り続ける。この声を初めて聞いたのはもう三年程前になるだろうか。ある事件を追っていた際に知り合った彼女は『記憶屋』と名乗り、俺以外の捜査関係者からその事件に関する記憶を消した。いや正確に言えば書き換えた。
年齢もわからない彼女は今のように捜査関係者が虚ろになっている間に唯一記憶を書き換えなかった俺に語尾を伸ばしながら話し掛けた。
(あなたには~消したい記憶があるんですよね~、多分あなたの家族も同じみたい。勿論娘さんの事ではないですよ~、死んだ人間を忘れさせる程非道じゃないので~)
そう言って後日俺の家に来た後、俺と薫と翔からある記憶を消したらしい。どうやらそれは奏の事とは関係ないらしいが何を消したかは明かさず、あなた方が消したかったものを無かった事にしたとだけ言われた。
「今回は高いですよ~先日の女子高生達の記憶も変えてあげましたからね~管理局内ではなく外の別の場所で見つかった事にして、迎えに来た部下さん達の記憶もすり替えてあげたんですから~。被害者がPTSDにならないように記憶を書き換えてあげるなんて、法はともかく警察官の鑑ですね~」
彼女の言う通り、管理局内から女子高校生達を脱出させた後で捜査によって管理局の失態がバレた際に口封じとして彼女達が被害を受けないように元々管理局外にいたというようなるように頼んだのだ。
「そんな時神さんにちなんで今回の料金は格安の百万円に抑えておきます。安過ぎますね~、赤字ギリギリですよ私、アハハ~」
勿論自分がやっている事が正しいなんて思ってはいない。PTSDを防ぐ為に記憶を書き換える警察官の鑑だ?やっている事はただの自己満足に過ぎない。しかも結局は自分の保身の為にもなってしまう。警察官の風上にも置けないような偽善者だ。
それを重々承知している上、ここ二年程は彼女に頼る事はしていなかった。もう頼る気もなかった。しかし、我が家に増えた新しい家族の為に頼らざるを得なかった、そんな言い訳をすれば自分は救われるのか。
「ま、ここまでしてあげるのも翔君の為ですからね~、あ、今回私が関わった事は彼には内緒でお願いしま~す」
しかしこの事を誰かに話そうとしても俺自身の記憶を改ざんされて終わりだろう。しかも彼女は毎回翔の為という台詞を言う。翔に何らかの執着心を持っているのは明らかであるが、俺達の記憶を改ざんした後は全く会っていないはず。もしかしたらその記憶も既に改ざんされたものかもしれないが。
逆らったが最後、記憶を一度弄られれば俺は家族の事すら忘れてしまう。そうならないように今は彼女を刺激しないように心掛けてはいる。
「それじゃ指定の口座に振り込んでおいてくださいね~、では!」
再び指をパチンと鳴らすと既にそこには彼女の姿は見えなかった。幹部達が息を吹き返したかのように次々と我に返っていく。その後の会議は身寄りのない子供を養い、また女子高校生発見に尽力したとただただ誉められて終わった。
※ ※ ※ ※ ※
「霊香ちゃんお帰り~!!」
時神家の玄関のドアを開けた瞬間に薫さんに飛び付かれるように抱き締められる。後ろに仰け反りながらも上体で彼女を受け止めながら体勢を元に戻した。
「無事で良かった。翔も偉いぞ!」
一度解放してもらったかと思えば今度は翔と一緒に頭の後ろに手を掛けられ今度は二人同時に顔を胸に押し付けられる。そのまま二人とも頭を撫でられた後でようやく解放された。
「お父さん仕事で遅くなるから料理冷めないうちに食べましょ!母さん今日は張り切ったからね」
針太郎さんはどうやら残業らしい。十中八九私達が原因なので何だかとても気の毒だ。本当に感謝してもしきれない程の愛情をこの家族は私に注いでくれる。それはきっと当たり前なんかではない。掛け替えのない大切なものだ。
「改めまして、お帰りなさい」
胸に手を当てながらこの幸せを噛み締めていると先に靴を脱いで上がった翔から声を掛けられる。彼の顔の傷はすっかり治っていたがやはり凛々しく見えたままだ。
……いつの日か...本当に家族になれた時は...お父さんに知らせたいな
あるかもしれない未来を想像しながら私は土で汚れたゴスロリの服をはたき靴を脱いで上がる。そして自然と笑顔が零れるように返事をした。
「ただいま」
神の概念を破壊し霊子香る者としての私の名前は明日から神が掛けた虹の元に生きる華麗な者となる。
私は
?「後愛読ありがとうございました~、引き続き本編である≪俺達と神達と空想神話物語≫よろしくお願いしますね~。ん?感想募集中をもっと前面に出して...だそうで~す。陣を陳と打ち間違える作者が図々しいこと言ってますけど批判コメントでも良いのでよろしくお願いします~。これ前書きのガキどもに言わせるべきだと思うんですけど、大体私まだ本編に出て...おっと、これ以上喋ると画面が見辛いようなのでここでお開きにしましょう~」
?「言い忘れてました~皆さんも記憶に関する悩み事があったら私、≪記憶屋≫にご依頼ください~。何もかも
消して差し上げますから。
んフフ~それでは~」