深海棲艦?ちいさいメロン級   作:Alika

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私が艦これをやっているときにふと思ったことを題材にしました。




第1話

 

 視界が上下に2メートル近く動く。宵闇の大海原にぽつんとただひとり浮かび途方に暮れる。嗚呼、哀れ夕張ちゃん迷子。

 

 

 

 

 

「夜戦バーカ!ファンやめまーす!オットセーイ!どこよー!おいてかないでよー!」

 

 

 いかん、はぐれた。バシー島沖には初めて来たって言うのに、あの野戦バカは突っ走ってばかりで…まったく周りの事を全然考えていないんだから!何で提督は川内を旗艦に選んだかなぁ!

 

 

 

「どうしよう…。わたし、こんなとこに置いていかれても困るんですけど。今夜のアニメは録画してなかったなぁ…。お気に入りのリボンも燃えて髪ほどけちゃうし、ほんとツイてないなぁ…」

 

 

 

 

 バシー島沖に出撃し、深海棲艦と一戦交えたはいいものの、旗艦その他が迷子になったみたい。ええ、例の野戦バカこと川内(せんだい)とその妹の燃2弾4鋼…げふんげふん。那珂(なか)ちゃんと島風ちゃんの3人が勝手にどこかへ行きました。わたしがはぐれたわけじゃないですよ?ほんとよ?ちょっと被弾して(駆逐艦から中破判定)ダメージコントロールしている間に(機関に一発大慌て)どっかに行ったんだから。

 

 

ね?わたしは悪くないでしょ?

 

 

 

 

 

「っと、考え事してる暇ないよね。ん~、とりあえず帰港しましょ。鎮守府はどっちかしら?」

 

 

とりあえず支給された懐中時計型の携行羅針盤を取りだし、北を真上に向け方角を確認する。羅針盤の中はグルグル回っているものの、特に問題はない。わたしは満天の星空を見上げ、進む方向をしっかり確認した後、機関を始動させ左に向かって動き出した。重油専缶が轟音を轟かせ、艦底脚部機関のスクリューを始動させる。

 

 

「ちゃんとおぼえてるんだから!迷ったら北を見て、右が東で左が西だって提督が口を酸っぱくして言ってたもんね~。」

 

 

帰ったら提督にいっぱい文句言わないと!3バカ(野戦バカ、アイドルバカ、速度バカ)と一緒に出撃なんて、もう二度とごめんだわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく進むと島が見えてきた。これ幸いと機関出力をあげ、最大船速で進んでみたものの。

 

 

「ここって、目的地じゃない!!」

 

 

 目の前にあるのはどうみてもボーキサイト採掘施設のある島だった。ここまで偶然にも深海棲艦と一切遭遇しなかったため、鎮守府に近づいてるとしか考えていなかったのだ。少なくとも鎮守府から先ほどの戦闘をおこなった地点までの間にボーキサイト採掘施設はなかったはず。

 誰に言われずとも明らかに方角を間違えたと理解したため、羅針盤を取り出し再度、方角を確認しようと思ったのだが。

 

 

「はぁ…まったく…。あれ?そういえば…羅針盤ってどう使うのかしら?」

 

 

 そうなのだ。わたしは一度も旗艦を務めたことはなく、羅針盤を使ったことはないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピンチだった。迷子だった。完全にボッチだった。いや、わたしは、もともとボッチだった。

 

 

 思わず顔が青ざめる、初めて来た海域であるため周りに一切の見覚えはなく、現在自分のいるボーキサイト採掘場がこの海域のどこに位置しているかもわからない。

 

 

「ボーキサイトなんか食べてもおいしくないしなぁ…赤城さんはよくこんなの大盛り食べるよね。」

 

 

 あはははは…と力なく笑う顔が完全に引きつっているのがわかる。空元気でも出さないとやっていけないのだ。周りは深海棲艦がうようよいる大海原、鎮守府の方角も一切わからない、被害状況はほぼ中破判定。燃料及び弾薬についてはまだ余裕があるものの、中破状況の軽巡洋艦が1隻で進撃できるほどこの海域は甘くはないだろう。

膝から崩れ落ち、土下座と言わんばかりにうずくまる。視界が涙でぼやけ、もはや地面も見えない。きっとそうなのだ、ここがわたしの終焉だ。

 

 

 

 

「うわーん!詰んだ!わたしの艦生詰んだー!もっとアニメ見たかった!ゲームしたかった!明後日にはドラゴンファンタジーの新作出るのにー!半年前から楽しみにしてたのにー!うぇっうぇっ、おえっ。急に叫んだから気持ち悪い」

 

 

 

 

「おっ!?」

 

 

 大声で叫ぶも誰もいない、聞こえてくるのは自分のえづく声と島に打ち寄せる波の音に、どこかの新規ホイホイの鳴き声だけ。

 

 

…鳴き声?

 

 

 

 

 

「おっ?」

 

 

 肩をつつかれる感覚がある、正面に誰かしゃがんでいるようだ。

 この鳴き声に聞き覚えはないか?わたしはうずくまったまま必死に頭を働かせ、ほどなくして自分の僚艦だったおバカの一人を思いだした。そうだ、この鳴き声は島風が提督につつかれたときに驚いて出す鳴き声じゃないか!!

 

 

 

 

 

 

 

「し、しまかぜぇぇぇ!!!!」

 

 

 思わずわたしは飛びついた。彼女はわたしを支えきれなかったのかそのままひっくり返り、わたしの全力サバ折りから抜け出そうと必死にもがいていた。逃がすものか!まったく心配させておいてこんなところにいるなんて!けしからん娘ですよ。安堵からか涙は引っ込んだ。

 

 

「勝手にどこかに行くなんて悪い娘ねー、しまかぜちゃあああん!!他のおバカはどこかしらあぁぁぁ!!!」

 

 

「お゙っ!!!」

 

 

 わたしは心のおもむくまま、彼女を締め上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、すっきりしたー。ほらさっさと起きなさいよ、川内と那珂ちゃんのいるところ教えてもらわないと困るんだから。あと、頭に乗っかってる連装砲ちゃん、かなり邪魔よ」

 

 

 そういいながら彼女を離し、夕張、大地に立つ。

 

 

 見下ろした足元には島風の姿はなく。

 

 

 深海棲艦のヲ級ちゃんがピクピクしていた。

 

 

「…ヲッ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしは何も見なかったことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おっ=×

 

 ヲッ=○

  

 耳で聞いてもわかんないわよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夜明けて、まるろくまるまる、おはようございます。夕張よ。

 まさか島風じゃないなんて思わなかったわ。まったく、まぎらわしいじゃないの。

 

 

 

 

「ヲッ…?」

 

 水平線から日が出てもう一刻が過ぎる頃、ようやくヲ級ちゃんが目を覚ました。さすがにこの状況で蹴り起こすもとい、一戦交えようとはわたしも思っていなかった。敵であるとはいえ、問答無用でサバ折りを仕掛けたのは少し悪かったと思っているのだ。うん、わたしって良い娘。

 

 

「おはよ。言葉分かる?昨日は悪かったわね、あなたとソックリの鳴き声を出すおバカと勘違いしちゃったわ」

 

 

 

 

 上体を起こしたものの、まだ眠いのか右目をぐしぐししながらこっちを見てくるヲ級ちゃん。なんだか見ていると寝起きの駆逐艦娘たちを思い出してしまい、少しおかしかった。ヲ級ちゃんは周りをきょろきょろと見渡した後、ゆっくり立ち上がりこちらに歩いてきたが、その態度からは敵意は見られなかったため、やはり意思の疎通が可能なのかと思ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深海棲艦   21世紀初頭に突如海に出現し人類を海から追放した。

 

 

 ものの、正体および目的などは正直よくわからない。生物のようだが無機物のようでもあり、たまに海辺の町に上陸してはお菓子をねだって海へ帰っていく。人類に一切危害を加えず、船などにあつまり、船体をかじって穴をあけるなど、どちらかと言えば害獣?のようなものだ。海底鉱脈から自然発生するなどの学説もあり、一種の妖精のようなものだとか、なんてろかんてろと、偉い人は言った。わたしにはわからなかった。

 

 

 艦娘はおバカです!偉い人にしかわからんのですよ!

 

 

 

 ゆえに人類は海に進出しにくくなったものの、そう深刻に繁栄を脅かされている訳ではない。船に近づいてきたらお菓子を与えれば船体をかじらないし、満足したら去っていくらしいし。おもちゃでも可。

 

 

 かく言うわたし達「艦娘」も似たようなものらしい。まずはドックで艦船を作り上げ、こう、わーっとすると艦娘が生まれるらしい。てーとくが言ってた。科学の力ってスゲー!

 

 

 ちなみに艦娘の仕事は増えすぎた深海棲艦の駆逐やタンカーの護衛などが主なお仕事です。こっかこーむいんだぞー、偉いんだぞー、提督は。なんか提督は今、世界で一番人気のお仕事なんだって。狭き門らしいですよ、大変ね。

 

 

 わたし?わたしたち艦娘は備品扱いらしい。ひどいよねー!艦権侵害よ!

 

 

 なお余談だが、艦娘は備品扱いであるため、提督は手続きを踏めば所有することが出来る。そのため、数十年前に大問題がおきた。

 

 我々の大先輩である「前弩級戦艦三笠様」に対して所有権を主張する、醤提督なるものがいたらしいが、彼女は自身が慕っていた提督の元を離れず、最終的に「私は江連提督のもの!」と大暴走を引き起こし、横須賀鎮守府の一部を沈したとか更地にしたとか公園にしたとかしないとか。

そのため、現在は艦娘の同意が必要となっています。

 

 進撃の巨艦ですね、わかります。

 

 

 そのため、わたしたち艦娘は優遇されてます。暴動おこされては困りますからね。

 

 

 

 

 

 っとまあ、ぐだぐだ考え事している間にヲ級ちゃんが目の前に来ました。なんかじーっとこっちを見てくるんだけど何よ、顔に何かついてるかしら?

 

 

 

「ヲッヲッ。」(タ級、旗艦。ヲ級僚艦やる。)

 

 

「いやいや、わたしタ級違うから。夕張だから。」

 

 

「ヲッ?」(タ級?ゆうばり?似てる、違う?)

 

 

 

 

 似てる?ヲ級からその言葉を聞き、とりあえず海を覗いてみる。海面にはっきりと映らないものの、ほどなくして髪をおろした自分が写る。ああ、たしかに言われてみれば戦艦タ級に似ていなくもない自分がいた。

 

 

 

 

「まぁいいわ。とりあえず、わたしは軽巡洋艦、名前は夕張よ。ちょっと道を教えてほしいんだけど、なんだっけ…リンゴ?ミカン泊地?ってどっちかわかる?」(正しくはリンガ)

 

 

「ヲッ、ヲッ?ヲッ。」(ちいさいタ級、ゆうばり…メロン?しってる、名前、ちいさい…メロン級?吾輩はヲ級である、名前はまだない)

 

 

 なんか胸を張ってムフーっとドヤ顔してるヲ級がいたが、その時わたしはそんなことを気にしていなかった。

 

 

「おい。メロンはともかく今なんて言った、どこ見て小さいメロン言ったぁぁ!サバ折りかますぞ!霧島ネキ直伝!マイクチェックの時間だゴルァァァ!」

 

 

「ヺッ!!」

 

 

 

 

 このヲ級、人のコンプレックスをガン見しながら小さい言いやがったな。

 

 

「あんただって小さいのに、あんただって小さいのに!!!!」

 

 

 わたしはこの憎い小娘に対し全力を持って謝罪を要求するため、血の涙を流しながら昨晩以上の力を持ってサバ折りをかました。

 

 

 

 

「わたしの怒りが有頂天に達したぜぇぇぇ!!!」

 

「ヲーーー!!」(ごめんなさぁぁいーーー!!)

 

 

 





初めての方、こんにちは。久しぶりの方、ごめんなさい。

このたびはお目通しいただきありがとうございました。

ゆっくり更新なので長い目で見てあげてください。

では次回お会いしましょう。
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