ビルド NEW WORLD~Masked Rider Lyricar Build~   作:ミノル

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戦「天っ才物理学者にして仮面ライダービルドこと桐生戦兎は地球滅亡を企む地球外生命体エボルトの野望をその他大勢のライダーと力を合わせて阻止し、新世界を創造する。」
龍「おい!その他大勢のライダーってなんだよ、ちゃんと紹介しろ!」
戦「じゃあ、筋肉バカの万丈龍我とアイドルオタクの猿渡一海と文字T大好き氷室幻徳と力を合わせて…」
龍「おい、筋肉バカはねえだろ…」
戦「うるさいなそんなに言うなら後で自分で考えなさいよ…そんなこんなで新世界で生活する俺達だが、万丈が商売下手の為稼ぎがなく絶賛大ピンチ。」
龍「売れないのはお前の造るもんがガラクタばっかだからだろ!…そんで俺が帰りに売れるかなと思って拾った宝石と壁に掛けてた白いパネルが光だしたんだよな。」
戦「そして、光に包まれた俺は気が付くと全く見知らぬ場所に、そして万丈ともはぐれてしまう。」
龍「俺は今どこにいんだよ!」
戦「それは後々わかるからでしゃばるんじゃないよ…さて、一体どうなる第1話!」


第1話 時空規模のキャスタウェイ

「アルフ、あの人…」

「見たところ管理局じゃなさそうだけど、魔力反応も出さずに転移してきたからただ者じゃないだろうね。アイツがジュエルシードを持ってるならこっちに気付く前に気絶させてジュエルシードを回収しよう。」

「うん、そうだね。いくよ、バルディッシュ。」

『Yes sir.』

 

私は突然現れたあの人に向け、魔力弾をつくる。できるだけ人を傷付けたく無いけど母さんの為だから…

 

「ごめんなさい…」

 

魔力弾を放つ。魔力弾はまっすぐその人に向かって飛んでいき、背中に直撃、その人は前のめりに倒れる。そんなに威力は込めてないけどバリアジャケットなしで生身で受けたら気絶する筈。私達はその人が持ってるジュエルシードを回収する為に近づく…

 

「いってぇ。なんだよ一体?」

 

信じられない、その人は何事もなかったかのように立ち上がりこちらに向き直った。

 

 

 

 

 

 

急に背中からの強い衝撃で前のめりに倒れた俺はすぐに立ち上がり、後ろを振り返った。

そこには犬耳…いやどっちかと言うと狼か?の耳のオレンジ色の髪をした女がこちらを睨んでおり、その隣には金髪のツインテールに黒いマントに機械的な斧型の武器を持った女の子が驚いた表情をしていた。

 

「さっきのは君達の仕業?急に何するんだよ。」

「今ので、気絶しないなんてね…あんた、これ以上痛い目にあいたくないんならジュエルシードを渡しな!!」

 

ジュエルシード?この宝石の事か?

 

「なんでこんな物を欲しいんだ?」

「あなたに言う必要はありません…」

 

黒い女の子がそう言ってこちらに斧を向ける。

 

「それじゃあ渡せない、これは何か危険な物の様に見えるし。そんな物をそう簡単に人に渡すことは出来ない。」

 

俺が今ここにいる要因にこの宝石が関わってるのは状況から明らかだし、いきなり人を攻撃してくる奴に渡したらどうなるかわからない。

 

「それじゃあ痛い目にあってもらうよ!」

 

そういうと女は俺に殴りかかってくる。俺は突き出された拳を受け止めてそのまま応戦する。大体力量は初めてあった頃の万丈っていったところか。前はフルボトルを使わないと対処できなかったけど今の俺ならこれくらいどうということはない。

俺は女の顎に向かって拳を突きだす。女はなんとか直撃は避けたけどかすっただけでも問題ない。

 

「なかなかやるね…あれ?」

 

女はそのまま立って居られなくなり尻もちをついた。

 

「今ので脳を…」

「そのとおり、これで諦めたら?」

「くっ…けれど、準備はできたみたいだね。」

「何!?」

 

俺はすぐにもう一人の少女の方を向くと少女の周辺にはいくつもの光弾が形成されていた。

 

「うそーん…何だよそれ…」

「フォトンランサー、ファイア!」

『Photon Lancer』

 

俺に向かってその光弾が放たれる…

 

 

 

 

 

 

わたしの放ったフォトンランサーが当たり、煙が出ている。良く見えなかったけれど確実にあの人に当たったと思う。

 

「やったねフェイト。」

「アルフ、もう大丈夫なの?」

「あれぐらい平気さ…にしてもなんだったんだろうねアイツ。」

「大丈夫かな?」

「どうだろうね、まあジュエルシードを回収したら簡単な治療魔法ぐらいはかけてやればいいんじゃない?」

「そうだね。」

 

煙が晴れて来た、ジュエルシードを回収しないと。そう思って煙が晴れた先を見ると誰もいなかった。

 

「え!?」

「やられた。まさかあの状況から逃げるなんてね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「危なかった。あとちょっとボトルを使うのが遅かったら当たってたな。」

 

そう言う俺の手にはラビットフルボトルが握られてる。様はあの光弾が当たる直前でラビットフルボトルを振って成分を活性化させてその力で走って逃げた訳だ。

 

「あいつらが狙うこの宝石、ジュエルシードだったか…これについて調べないとな。」

 

俺はそう言いながらビルを出る、どうやら今まで俺がいたのは廃ビルだったようだ。俺は手製のスマホ、ビルドフォンにライオンフルボトルを装填して放り投げる。

 

『ビルドチェンジ』

 

音声の後にビルドフォンは巨大化、変形して俺のバイク、マシンビルダーになる。

俺はバイクに乗り、その場を後にした。

 

 

 

 

 

「最悪だ…結局公園で一晩過ごしちまった。」

 

昨夜、ビルから離れた俺は公園でバイクを停めてベンチに座り、ビルドフォンでインターネットで検索して健在の状況について調べた。結果、ここは俺が作った新世界とは別の世界だという結論となった。

まず、今の西暦、どうも今は2008年つまり旧世界でスカイウォールの惨劇の一年後、俺が新世界を作った10年前という事になっている、さらに氷室泰山という名の政治家がいない事、これが仮にタイムスリップなら当時既に政治家だった彼がいないのはおかしい、他にもいるはずの政治家や旧世界で極プロジェクトに参加した宇宙飛行士、それに父さんもいなかった。難波重工という企業も存在しなかった。更に極めつけは、ここから隣の海鳴市という町。新世界になってからの日本の地理は押さえたが、海鳴という町は存在しなかった。俺がここに来たのには白いパンドラパネルが関わってるからあり得なくない。あのパネルは平行世界にアクセスする為の物なんだから。

 

「そしてこのジュエルシードという宝石についてもわからなかったな…」

 

ビルドフォンで出来る限り調べたが、パンドラボックスの物とはまた違う膨大な未知のエネルギーが込められてる事しかわからなかった。

また、インターネットでこの宝石やあの女の子の力や武器について調べたが情報無し。

 

「この世界の機密事項なのか?それともこの世界でもこれは存在するはずのない異物なのか?」

 

俺はそんな風に考えながら公園の水道で顔を洗う。正直、このジュエルシードを見たときどことなくパンドラボックスに似てる様に感じた。もしかしたら、パンドラボックスと同等の危険物なのかもしれない。だからこそこれの正体を一刻も早く掴まないといけない。しかし、これについての情報源はもう昨夜のあの女の子達しかない…俺がこれを持つ限りあの子達とはまた会うはずだが、昨日の様子だと話を聞いてくれそうにない。となると、一か八かこのジュエルシードを掛けて勝負して、勝利の報酬として情報を聞き出すか。

さて、方針は決まった、まずはこの世界のどこかに飛ばされたはずの万丈と昨夜の女の子達を探す。このジュエルシードの正体を知り、しかるべき場所に届ける。そして、元の世界への帰り方を探す。

方針を決めると俺はその公園を後にした。

 

 

 

 

 

「最悪だ…」

 

宛も無く町を散策していた俺だったが横断歩道の前で信号が変わるのを待っていると向い側に昨夜の女の子がいた。

信号が青に変わると俺も少女もそのまま歩きだし、横断歩道の真ん中で立ち止まり互いに向き合う。

 

「あなたの持っているジュエルシード、今度こそ渡してもらいます。」

「ここでやるのか?ここだと周囲を巻き込む…昨日と同じ場所、そこでこのジュエルシードをかけて勝負しよう。俺が勝ったらこのジュエルシードの事や君達の事を教えてもらう。」

「…わかりました。ついて来て下さい。」

 

そう言って女の子は俺を路地裏まで連れていく。そこで、急に足元が光ったと思ったら一瞬で昨夜の廃ビルの屋上にいた。

 

「これは、テレポート?トランスチームガンやネビュラスチームガンのそれとも違う、どういった物理法則で…」

「準備はいいですか?」

 

そう言って女の子が話しかけてきたので俺は考察を中断して少女に向き直る。

 

「悪い、もう大丈夫だ。」

「それじゃあ…バルディッシュ、セットアップ…」

『Set Up』

 

女の子が光に包まれたと思ったら昨日と同じ黒い衣装に斧を装備した。

 

「なるほど、その格好は一種の変身だった訳か…ならこっちも…」

 

俺はビルドドライバーを取り出し、腰に押し当てるとアジャストバインドが展開されて装着されて起動音がなる。

そして、更に使い慣れた二本のフルボトルを取り出す。

 

「…さあ、実験を始めようか。」

 

俺はフルボトルを振り成分を活性化させてボトルのキャップを開けると、それをドライバーのツインフルボトルスロットに装填する。

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

ドライバーがボトルを認識したらドライバーの右側にボルテックレバーを回す。すると、ボトルの成分から俺の前後にスナップライドビルダーが形成される。

 

Are you ready?(覚悟はいいか?)

 

ドライバーが問い掛けてくる…。力を手にするにはそれ相応の覚悟がいる…今、俺は一人の少女にライダーシステムの力を振るおうとしている…けれど、相手は俺も知らない未知の技術を使ってくる。彼女に勝たなければジュエルシードの事も何もわからない。かつて、旧世界でパンドラボックスが引き金となった惨劇…もしこのジュエルシードが同様の代物ならば、同じ悲劇を二度と起こさない為にも、俺はこの力を使う!

俺は覚悟を決めてファイティングポーズをとる。

 

「変身!!」

 

『鋼のムーンサルト、ラビットタンク!イェーイ!!』

 

前後のスナップライドビルダーが俺を挟む形で一つになり俺の体に装甲が装着される。

 

「バリアジャケット?…じゃない!?」

 

女の子が目を丸くしている。

 

「俺は仮面ライダービルド、造る、形成すると言う意味のビルドだ。以後お見知り置きを。」

 

俺は右側の複眼から伸びるキャノンフェイスモジュールを指でなぞり、最後に手を開く動作をしながらあの決め台詞を言う。

 

「勝利の法則は、決まった!!」

 

俺はそう言うとビルドの武装、ドリルクラッシャーを取り出して構える。

 

「はぁ!」

 

先に女の子の方から仕掛けてきた。その手に持った斧で攻撃してくるけど俺はドリルクラッシャーでその攻撃を的確にさばいていく。そして、反撃にドリルクラッシャーを回転させないまま彼女に叩きつける。

 

「くっ。バルディッシュ!」

『Scythe Form』

 

彼女の声にあわせて斧が変形し、エネルギーの刃を形成して鎌になる。

 

「その武器も変形するのか…」

「アークセイバー!」

『Arc Saber』

 

彼女が思いきり鎌を振り抜くとエネルギーの刃が回転しながらこちらに飛んでくる。

 

「危な!?」

 

俺はドリルクラッシャーを刃の回転とは逆回転に回しながら受け止める事で刃の軌道をそらした。

 

「だったら…はぁ!」

 

また同じ攻撃がいくつか飛んでくる。俺はそれを先程と同じ用に受け止めようとした…

 

『Saber Blast』

 

エネルギーの刃は俺が受け止める直前で全て爆発した。

 

「刃のエネルギーを爆発させたのか…こんな事も出来るなんてな…」

 

爆発は対したダメージにはならなかった。爆煙が晴れると女の子がいなくなっていた。

俺は左側の複眼、レフトアイラビットの嗅覚センサーとそこから伸びるイヤーフェイスモジュールで強化されたる聴覚で相手の位置を探る。

 

「上か!?」

 

俺が空を見上げるとそこには宙に浮かびながら昨日と同じ光弾を用意してる。昨日と違うのは光弾の数か…昨日よりも多い

 

「羽根の様な機構も無しに空を飛ぶなんてな…どうやっているんだ?」

「ファイア!!」

『Photon Lancer・Full auto fire』

 

光弾が放たれる。俺はドリルクラッシャーをブレードモードからガンモードに変形させてその光弾を撃ち落とす。

 

「結構、数が多いな…うお!?」

 

少し撃ち漏らししてしまいそれが当たり吹っ飛ばされてしまった。

 

「空を飛ぶとなるとこのままだとこっちが不利だな…なら。」

 

俺はオレンジ色のフルボトルを取り出してラビットボトルと入れ換えてレバーを回す。

 

『Taka!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ…」

 

ボディのラビットの成分の部分がタカの成分の物に変わってトライアルフォーム、タカタンクにフォームチェンジする。

そして、タカの成分によって背中に装備されたソレスタルウィングを展開して空に飛び立つ。

彼女は再び光弾を放つがタカに変えた事で変化した複眼、レフトアイホークは動体視力に優れた高精度センサー、更に右のライトアイタンクは射撃攻撃時に弾道計算を瞬時に行い命中制度を上げる事が可能。この二つのセンサーが合わさった今、もう撃ち漏らしはしない…この組み合わせは初めてやったけどベストマッチを除けば結構相性がいいんじゃないか?そんな風に考えながらも空中戦は続く。互いに一歩も退かない撃ち合い。この拮抗状態に焦り始めたのは…

 

「だったら…バルディッシュ、マルチショットやるよ。」

『Yes sir.Photon Lancer get set,Multishot fire』

 

彼女の方だった。新しく光弾を生成して、今までは連射してたそれを今度は一斉総射してきた。

 

「ならこっちも、付き合うさ。」

 

俺は灰色のボトルを取り出してガンモードのドリルクラッシャーのフルボトルスロットに装填した。

 

『Gatling!』

『Ready go!』

『ボルテックブレイク!』

 

ドリルクラッシャーの銃口からいくつもの弾丸が一斉に放たれる。それを彼女の光弾を全て撃ち落とすだけに留まらず、残りの弾丸が彼女に向かっていく。

 

「はっ!?」

『Defensor』

 

彼女の前にまるで魔法陣の様な壁が現れて弾丸を受け止めるが、俺はその好きに間合いを詰めてブレードモードにしたドリルクラッシャーを回転させてその壁を切りつける。壁はあっさり切り裂かれ、そこに追撃で蹴りを入れて彼女を叩き落とす。

 

「きゃぁぁっ!」

 

彼女はそのまま落ちて、地面に叩きつけられる。

俺もすぐに降りる。彼女はまだ立ち上がり戦おうとする。

 

「なかなか根性あるじゃねえか…けれど、これで終わりだ。」

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

「ビルドアップ!」

 

『鋼のムーンサルト、ラビットタンク!イェーイ!!』

 

俺は再びラビットタンクフォームに戻ると、更にレバーを回す。

 

『Ready go!』

『ボルテックフィニッシュ!』

 

音声と共に彼女の左右か巨大なグラフが出現。グラフはそのまま一つに合体し、彼女は曲線とX軸に挟まれて身動きがとれない。

俺はY軸を跳び越えて曲線をレールにしてすべりながらライダーキックを放つ。そして…

 

「え…?」

 

彼女にキックが当たる直前でレールから外れてキックは不発、俺は彼女の横に着地した。必殺技の不発によって出現していたグラフは消滅、彼女が自由になる。

 

「どうして?」

 

彼女から疑問の声があがる。

 

「もう勝負は着いた。あの状況から君に俺の攻撃に対処するのは不可能だ、そしてあの攻撃が当たっていれば確実に俺が勝っていた。だったらこれ以上続ける理由はないだろ?それとも何か異論はあるか?」

 

彼女は頭を左右に振る。

 

「だったら約束通り、いろいろ教えて貰おうか…」

 

 

 

 

 

 

話をするなら落ち着ける場所ということで俺は彼女の住むマンションに案内された。

 

「おかえり、フェイト…なっ!?あんたは!!」

「お、落ち着いてアルフ。」

 

来て早々一悶着あったが…俺と彼女達はリビングの椅子に腰掛けて向かい会う。

 

「…話はわかったよ。まあ、フェイトが言うならあたしは何も言わないけどさあ…」

 

オレンジ髪の女が不貞腐れながら言う。

 

「とりあえず、お前達の話を聞かせてくれ。」

「えっと…何から話せばいいのかな?」

「全てだ…」

「わかったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

あたしが生まれたのは今から大体3、4年くらい前だったかな?それ以前の私は死病にかかって群れを追放されてね、そんな中でフェイトに出会ったんだ。リニスに見守られながらフェイトと契約して使い魔として生まれ変わって…

 

「誰が生い立ちから話せって言ったよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何するんだい!!」

「誰が生い立ちから話せって言ったよ…」

「全部話せって言ったのはあんただろ!?」

「普通、話の流れで大体わかるだろ。万丈並の馬鹿か。」

「馬鹿ってなんだい!!」

「まあまあ、二人共落ち着いて。」

 

女の子に言われて落ち着くために少し深呼吸する。

 

「お前達が何者で、このジュエルシードがなんなのか話せばいいんだよ。」

「ああ…って人の事を聞く前にまず名のったらどうだい?あたし達はあんたの名前もまだ知らないよ。」

「そういえばそうだな…」

 

俺としたことがすっかり失念してた…

 

「俺は天っ才物理学者の桐生戦兎だ!」

 

決まったな。

 

「自分で天才とか言うんだね…」

「天っ才だからな。」

「えっと…私はフェイト・テスタロッサ…って言います。この子は私のデバイスのバルディッシュ。」

Nice to meet you.(よろしくお願いします)

 

少女、フェイトはそう言って三角形のアクセサリーを取り出すと、そのアクセサリーが話しかけてきた。

 

「スゲー、これさっきの武器だよな?普段はこんな形状で持ち運べるのか。それに結構高度なAIを積んでるな、どんな構造なんだろう?」

「落ち着きなよ…あたしはフェイトの使い魔のアルフだよ。」

 

互いに自己紹介が終わる。それにしても…

 

「なあ?さっきもちらっと聞いて気になったんだが…使い魔ってなんだ?」

「何ってそのまんまさ。あたしはフェイトと契約した使い魔。ご主人様であるフェイトのサポートをしたりして助けるのが役目さ。」

「まるで魔法使いだな。」

「まるでじゃなくて、フェイトは正真正銘魔法使いだよ?」

「は?」

 

何を言ってるんだこいつは?俺は確認するように女の子、フェイトの方を見る。

 

「うん、正確には魔導師ですが…ミッドから来た魔導師です。」

「マジか…ミッドって言うのは?」

「正式名称はミッドチルダ、時空管理局の管理する第1管理世界です。」

「時空管理局?」

「次元世界の治安の管理、維持を行い、犯罪の取り締まりやロストロギアの回収、管理を行っている組織です。ちなみにこの地球は存在は認知してるけど管理局が管理していない世界で第97管理外世界と区分されてます。」

「ロストロギアというのは?」

「次元世界の中には何らかの原因で滅んでしまった物とかもあって、そんな世界の技術で造られた遺物の総称です。中には世界が滅ぶ原因となった様な危険な物もあります。」

「世界を滅ぼす…」

 

そう言うことなら俺達の世界のパンドラボックスもまさしくほどそのロストロギアになるんだろうな…

 

「ちなみにあなたの持ってるそのジュエルシードもロストロギアの一種です。」

「何!?」

「このジュエルシードは全部で21個あって、一つ一つが強大な魔力の結晶体で、周辺の生物の願いを叶えることができます。私は母さんに言われてこの世界に散らばったジュエルシードを集めてます。」

「ロストロギアを回収管理するのは管理局の仕事って言ったよな?ならお前達も管理局に所属してるのか?」

 

俺の質問に二人はばつが悪そうにする。

 

「いえ…私達は管理局員じゃありません。」

「ちょっとまてよ、ロストロギアは管理局が管理しなきゃいけない物なら、それ以外が回収、所持するのは違法なんじゃ…」

「そうだよ。だから、あたし達は管理局に見つからない様にやってるんだ。まあここは管理外世界だから管理局が出てくることはないだろうけどね。」

 

管理外世界だから管理局が来ない…たしかフェイトは母親に頼まれて回収してると言ったな…管理局が出てこないから代わりに回収しようって言う善意からの行動か?いや、けれど管理外の場所にそれがある事をどうしてフェイトの母親はわかったんだ?

 

「なあ、そもそもなんでそのジュエルシードはこの世界に散らばったんだ?」

「なんでも、ジュエルシードを発掘した連中の渡航船が事故にあったらしいよ。」

「私達も母さんに聞いただけだから詳しくは知りません。」

「フェイトの母さんはジュエルシードを集めてどうしようって?」

「それは…わかりません。」

 

なんだかきな臭いな。

 

「なあ、仮にフェイトのお母さんが間違ってることにジュエルシードを使おうとしてたらどうするんだ?」

「それでも、母さんが望んでることだから…」

「お前…」

 

なんだこの違和感?これくらい子供が親の言うことを聞こうとするのはわからない事じゃないけど、フェイトは母親に依存しすぎてるような…

 

「あたしもあんな奴の言うこと、聞く必要ないって言ってるんだけど、フェイトがまげてくれなくてね。」

 

アルフはフェイトの母親を良く思ってないようだけど、そのアルフの言うことも聞かないなら、俺が言っても聞かないだろうし…

 

「さて、こっちの事は話したんだから今度はそっちのことも話してもらうよ。」

「ん?ああ、さっきも言ったけど俺は桐生戦兎、天っ才物理学者にして仮面ライダービルドでもある。」

「私と戦ったときのあれだよね?」

「そのとおり。」

 

そう言うと俺はビルドドライバーとフルボトルを取り出してテーブルの上に置く。

 

「このビルドドライバーにこの様々な特殊な成分の入ったフルボトルを振って中の成分を活性化させてボトルを刺して、このレバーを回すとその成分から装甲を形成して装着、変身するんだ。こんな風に…」

 

俺はボトルを振ってドライバーに刺す。

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

「こんな感じだな、ちなみにボトルの成分は大きく別けて有機物と無機物の二種類があって、変身には有機物と無機物の組み合わせを使うんだ。」

「さっきベストマッチって言ってたけど、それはなんなんだい?」

「ボトルの組み合わせの中で相性のいい組み合わせのことだ、元々は変身機能だけだったんだけど後からベストマッチを識別できる様にしたんだ。ちなみにビルドドライバーとそれを使うライダーシステムもこの俺の発・明・品。すごいでしょ!サイコーでしょ!天っ才でしょ!」

「う、うん。」

 

俺は自分の発明品を自慢できてテンションが上がってきた。

 

「わかった、わかったから!少し落ち着きなって。それで、あんたはあの時何の魔力反応もなくあの場所に現れたけど、それは一体どういうことだい?」

「ああ、それはな、俺は仲間と二人暮らしなんだけど、そいつがこのジュエルシードを拾って来てな。それを見てたら急に光出して、気が付くとこの世界のあの場所にいたんだ。」

 

俺はパンドラパネルについては伏せて説明した。

 

「ジュエルシードのせいで…あれ?この世界?」

「ああ、昨日の夜調べたけどここは俺がいたのとは違う世界みたいだ。地球には変わりないけど、年代が違ったり、いるはずの有名人がいなかったり、ないはずの町があったりしたからな。」

「てことは戦兎って…」

「次元漂流者ってこと?」

 

二人が確認するように聞いて来る。

 

「次元漂流者か…字の通りの意味ならそう言う事になるな。」

「そうだったんだ…」

「まあ、これで互いの事情はわかったな。」

 

俺はそう言うと持っていたジュエルシードを差し出す。

 

「え?」

「やるよ。いるんだろ?」

「いいのかい!?」

「ただし、条件がある。」

「条件…」

 

俺の言葉に二人が緊張したような表情になる。

 

「俺にも手伝わせろよ、ジュエルシードを集めるの。」

「え!?」

「子供には荷が思いだろ?だから俺も手伝う。」

「けれど、戦兎さんには仲間が…」

「ああ、たしかにあのとき近くにいたからあいつもこの世界にいるだろうな。」

「だったらそっちを探した方がいいんじゃないかい?」

「たしかにあいつの事も探すさ。けれどあいつはほっといてもくたばる奴じゃない。それよりも今、ほっとけないのはお前達の方だよ。」

「どうするんだい、フェイト?」

「えっと…それじゃあ、よろしくお願いします。戦兎さん。」

「呼び捨てでいいぞ?あと敬語も無し。仲間になるんだからな。」

「あっ…わかったよ、戦兎。」

 

少し照れながらも俺を呼び捨てにするフェイト。子供だからほっとけれないというのは嘘じゃない。けれどもう一つ、フェイトの母親の目的について探らないといけない。もしも良くない事を企んでたら阻止しないと。そんな風に考えてると俺の腹からぐぅ~っと大きな音が、万丈じゃないんだから少しは空気読みなさいよ俺の腹…

 

「…悪い。そういえば昨日の夜から何も食ってなかった。」

「フフ、ご飯にしようか。カップ麺でもいい?」

「ああ、悪いな。」

 

フェイトはそう言うと台所に向かっていった。




次回予告

「クソ、どこだよここ!?」

万丈の行方

「何?どうなってるの?」

少女との出会い

「まあ見てろよ、俺の変身を…」
『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!』

第2話 不屈の心のウェイクアップ

『Stand by ready,Set Up.』

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