ビルド NEW WORLD~Masked Rider Lyricar Build~ 作:ミノル
龍「俺は筋肉バカじゃねえ…バサッ…プロテインの貴公子、万丈龍我だ!!」
戦「なんだよプロテインの貴公子って、寒いんだよ…」
龍「はぁ!?ふざけんな、お前の天才物理学者の方が寒いんだよ!!」
戦「はいはい、バカはほっといて…万丈がクローズドラゴンの案内されるまま進むと、フェレットのユーノとそのユーノからデバイス、レイジングハートを渡されて魔導師となったなのはと出会う。」
龍「なあ、イタチとフェレットって違うのか?」
戦「はあ!?違うに決まってるだろ!本当にバカだな。」
龍「バカってなんだよ、せめて筋肉つけろ!!」
戦「うるさいよ。大体俺がなにも食わずに公園で一晩過ごしてた時になにお前だけ暖かい飯食って、暖かい布団で寝てんだよ!!」
龍「知るかよそんなこと。お前がはぐれるのが悪いんだろ!?」
戦「あーもう!とにかくそんなこんなで俺と万丈はそれぞれジュエルシードを集めて行くことになったのでした。さあ、どうなる第3話!」
「おはよう、戦兎。」
『
「おはようフェイト、バルディッシュ。朝飯できてるぞ。」
「うん、ありがとう。」
「ふぁ~。おはようフェイト、戦兎。」
「おいアルフ。なんだよその大きなあくび、まだ眠いんなら顔洗って目を覚まして来い。」
「そうするよ。」
フェイト達に協力すると言って3日たった。
俺は食パンと目玉焼き、それに簡単に作ったサラダを食卓に並べた。旧世界での事もあってすっかり食事当番が板についていた。というのも、フェイト達は俺と会うまでインスタントや菓子パンばっかりの食生活だったらしい。俺や万丈みたいにとっくに成人してる大人ならともかく、育ち盛りのフェイトがしてていい生活ではない。けれどフェイトもアルフも料理ができないから必然的に俺が食事当番をする事になった。
「よし、みんな席についたな?それじゃあ、いただきます。」
「「いただきます。」」
全員揃ったところで俺達は朝食をとる。
「フェイトとアルフは今日もジュエルシードの探索か?」
「うん、そうだよ。」
「悪いな。手伝うって言っときながら、任せっきりになって。」
「ううん…元々私達の役目だし、それに戦兎の方もビルドドライバーの調整がまだ終わってないんでしょ?」
「ああ、他のアイテムの整備と平行してやってるからまだ時間がかかるんだ。」
そう、俺は今ビルドドライバーの調整と武装や強化アイテムの修理、整備を行っている。
強化アイテムはエボルトとの戦いで壊れてから、もうライダーシステムは必要ないと思い手付かずだったが今回、フェイトに協力する為に少しずつ修理に取り掛かっている。
武装も最後の戦いから全く整備してなかった。特にフルボトルバスターが酷い、こいつは元々フルフルラビットタンクボトルやフルボトルを4つ装填して使うことを想定してそれだけのエネルギーに耐えれるように設計してある。
しかし、エボルトとの最後の戦いでハザードレベル7によって進化したボトルを2本装填したのがよくなかった。進化したボトル2本分のエネルギーは通常のフルボトル4本分のエネルギーを大きく上回ったようだ。
その結果、エネルギーに耐えきれずに内部構造がイカれてしまったようだ。これの修理はこのジュエルシードの件が終わるまでには間に合わないだろう。
そして次にビルドドライバーの調整、最低でもこれが終われば俺も探索に同行できる。フェイト達に話を聞くとジュエルシードによって起こりうる被害は2つのパターンが考えられるらしい。1つはジュエルシード単体で異相体という物を形成して暴れまわる場合。まあこれはまだいいんだけど問題は2つ目、他の生物を取り込んで暴れる場合。この時にビルドで思いっきり戦ったら取り込まれた生物を死なせてしまう可能性があった。そこで注目したのがフェイトの使う魔法とデバイスのバルディッシュだ。フェイト達魔導師の使う魔法には非殺傷設定という、相手に外傷を与えず、痛覚にだけ作用して相手を無力化し殺さない様にする物があるらしい。この設定の切り替えはデバイスを介して行われることが多い、つまり、デバイスそのものにも非殺傷設定についてのプログラムが組まれている。バルディッシュを解析してこのシステムをビルドドライバーに組み込んでライダーシステムにも非殺傷設定を実装しようとしているのだ。
非殺傷設定は絶対ではないが、これができれば仮面ライダーで戦って相手を殺してしまうリスクが格段に下がる。これが、もっと早くあれば俺はあの時…
「完成しそうなの?」
「えっ?ああ…」
フェイトの質問で悪い方向に向かってた思考が中断された。
「バルディッシュの構造は解析が終わって大体理解出来たからな。あとはこれをビルドドライバーに組み込める様に調整するだけだからなんとかなるさ…」
「そうなんだ。」
「にしても、アンタ本当に天才なんだね。アタシ達からしてもデバイスを解析、整備するのは専門の知識がいるのに、それを何も知らない手探り状態でやって構造を理解するなんてね。」
「この天才物理学者に不可能はない。まあ、多少プログラムを構築してる未知の言語に戸惑ったけどな。」
ミッドチルダの文字がアルファベットに酷似してて助かった。なんとか照らしあわせて解読出来た。これが本当にわからない文字だったらもうお手上げだった。
「そろそろ私達は行くね?」
「ああ、頑張れよ。」
「帰ったらうまいもん用意しとくんだよ。」
「お前は肉とドッグフードがあればそれでいいんだろ!?」
やれやれ、俺はフェイトとアルフを見送ると作業に取り掛かった。
「それにしても、この世界に来てから何度か外を出歩いたけどちっとも万丈の奴を見かけないな。全く、どこで何してるんだか。」
この時俺は知らなかった。万丈の奴が俺よりも快適な生活をしていることに…
▼
「万丈君、これ3番テーブルまでお願いね。」
「うっす!」
俺は桃子さんからお盆を受け取ってそれを言われた通りに運ぶ。
「お待たせしました。コーヒーとショートケーキのセットになります。」
それにしても桃子さんも士郎さんもいい人だよな。俺が仕事がなくて行く所がないって行ったらこの翠屋で住み込みで働かせてくれるって言ってくれるんだからな。まあこの仕事覚えるのに必死だったからジュエルシーフードのことはユーノとなのはに任せっきりだったけどな。あれ、なんか違ったか?
それにしても驚いたよな、ユーノとなのはにあった次の日に俺は自分がどういった状況か理解した。どうやら俺は過去に飛んじまったらしい。なのはの家のカレンダーを確認したから間違いねえ。ユーノの探し物の件が終わったら戦兎を見つけて元の時代の帰りかたも探さねえとな。…おっと客だ。
「いらっしゃいませ…って士郎さん。どうでした試合は?」
監督をしてるサッカーチームの試合に行ってた士郎さんが子供達をつれて店に来た。
「勝ったよ。お祝いにこの子達に飯でもごちそうしようと思ってね。なのはとその友達も一緒に来てるから仕事はもういいから少し相手をしてくれないかな?」
「わかった。」
俺はエプロンを外してなのはのとこに行った。なんか二人の子供にユーノの奴が頭を撫でられてる。
「よっ。なのは、そいつらは友達か?」
俺が声をかけるとなのはとユーノ、それと他の二人の子供もこっちに気付いた。
「あっ、龍我さん!」
「ねぇなのは、この人がなのはのとこに来た居候?」
「うん、万丈龍我さん。龍我さん、こっちは私の友達の月村すずかちゃんにアリサ・バニングスちゃん。」
なのはに紹介されて紫色の髪の子供、すずかと金髪のアリサがお辞儀して来た。
「おう、よろしくな。すずか、アリサ。」
俺がそう言うとまたどこからともなくドラゴンの奴が飛んで来てユーノのとなりに降りて来た。
「あっ、ドラゴン!お前またどこ行ってたんだよ!?」
こいつ、この時代に来てからしょっちゅうどっか行くんだよな…ん?なんかすずかの奴が目を輝かしてるな。
「わー。龍我さん何ですかこの子?」
「あー、そいつはクローズドラゴンつって知り合いが作った俺のお目付け役…じゃない。えっと、ペットロボだ。」
「へー、可愛い!!」
「そう?なんかごつくない?」
アリサがドラゴンに向かってそう言うとドラゴンの奴がアリサに向かって火を吐いた。
「あっつ!?今こいつ火、吐いたわよ。」
「ダメだよアリサちゃん。こんなに可愛いのに酷い事言っちゃあ。」
そう言ってすずかはドラゴンを抱き寄せて頭を撫でてる。…なんかこいつ俺よりなついてねえか?
そのあと、俺達は解散。士郎さんからも今日はもうあがっていいって言われたからなのはの奴を家に送った。
「なあ、あれからジュエルシーフードの件はどうだ?」
「龍我さん…ジュエルシードです。」
「あ?そうだったか?」
「にゃはははは…」
なんか間違ってるような気がしたが、シーフードじゃなくてシードだったか。
「えっと、今5つ集まってるよ。」
「おっ、もう5つか!順調だな。そういえば俺、まだジュエルシードの実物見てないんだよな。ちょっと見せてくれよ。」
「うん、いいよね?」
「危険な物なので気をつけて下さいね。」
「わかってるよ。」
「レイジングハート…」
『
レイジングハートから菱形の宝石が出てくる。あ?
「これ、俺がここに来る前に拾ったぞ?」
「えー!?」
「そ、それは今どこに!?」
「いや、戦兎の奴に渡して…それからそれが光出してここに来たからまだ戦兎が持ってると思うぞ?」
なんかユーノの奴が険しい顔をしてる。
「だとしたらすぐにその戦兎さんからジュエルシードを回収しないと。」
「どうして?」
「ジュエルシードが一番強い力を発揮するのは、人間が強く願って発動させた場合なんだ。」
「マジか!?まあ、戦兎なら大丈夫だと思うけどな…」
そんな事を話していると。
「はっ!?」
「なのは!?」
二人の顔が険しくなる。
「ジュエルシードか!?」
俺達は急いで飛び出してジュエルシードのとこに向かった。
「んだよ、これ…」
町にでかい木が生えてその根っこで大惨事になっていた。
「どうやら人間が発動させたみたい…」
ユーノはその状態を見てそう言いやがった。マジかよ…人が使うとこんな風になるのかよ…
「やっぱり、あの時…」
…?どうしたんだ、なのはの奴。
「レイジングハート…こういう時はどうしたらいいの?」
『
レイジングハートからなんか沢山光の玉が飛んで行った。
『
「うん、わかった。」
そうしてなのはは目を閉じた。
「おい、何してんだよ?」
「エリアサーチ、サーチャーを飛ばしてそのサーチャーが移した映像を見ることで周囲を確認する魔法。だけど、あの数のサーチャーを全部コントロールしてその映像を確認するなんて…」
ユーノの言うことはよくわかんねえけど、相当難しいことをなのはがしてんのはわかった。
「見つけた!」
「マジか!?」
スゲーななのはの奴、魔法ってのを使うようになってまだ3、4日だろ!?
「レイジングハート、最初にジュエルシードを封印した時の砲撃をやるよ。」
『
レイジングハートがまるで大砲みたいになった。その先がスゲー光ってやがる。
「行って!!」
『Divine Buster shoot.』
レイジングハートからスゲービームが出やがった。ビームはまっすぐ飛んででかい木の一つに当たる他の木も跡形もなく消えた。そして光が飛んでった方からジュエルシードが飛んで来てレイジングハートに吸い込まれた。
なんだよ、今回も俺の出番なしかよ…なんてこと言う空気じゃねえな。
「…ありがとう、レイジングハート。」
『
レイジングハートの奴はそれだけ言って元の宝石に戻った。町の方を見ると道路はひび割れてて停めてあった車はボロボロになってた。
▼
色んな人に迷惑をかけちゃった。
「龍我さん、ユーノ君。私、気付いてたんだ…あの子がジュエルシードを持ってるの。なのに私、気のせいだって思って見逃しちゃった…」
「なのは…」
ユーノ君もレイジングハートも何も言わない。
「なあ、なのは…お前はなんの為に魔法使いやってんだ?」
そんな時に龍我さんが聞いて来ました。私が魔法使いをしてる理由…
「…ユーノ君のお手伝い。」
「それだけか?」
「うん…それだけだったんだ。だからユーノ君はジュエルシードがどれだけ危ないのか教えてくれてたのに…私、良くわかってなかった。だからこんなことに!」
気がついたら私は泣きながら声を荒げていました。そうだ、私があの時ちゃんと回収してたらこんな事には…
「それで、お前はこれからどうしたいんだ?」
私がこれからしたいこと?
「…もう、こんな事起こしたくない。色んな人に迷惑をかけないように、もう誰も傷つけないようにジュエルシードを全部集めたい。ユーノ君の手伝いだからじゃなくて、私がそうしたいから!!」
私は龍我さんにそう言うと、龍我さんは私に笑いかけて…
「ちゃんと戦う理由があるならもういい。」
そう言ってくれました。
「俺もな、最初の頃は戦う理由も無しに仮面ライダーやってたんだ。」
龍我さん?
「最初にドラゴンで変身しようとしたときな、俺の気持ちが足んなくて変身できなかったんだ。香澄…死んだ俺の恋人の遺書を読んでそれがきっかけで変身できるようにはなったんだけど、仮面ライダーになって戦い続ける理由が俺にはなかったんだ。そりゃ、力がほしい理由は有ったんだけどよ…それがないと、俺には戦う理由が全くなかったんだよ。」
そうだったんだ。じゃあ龍我さんは今なんの為に戦ってるんだろう?
「けれどある事がきっかけで俺や戦兎以外の仮面ライダーに会ったんだ。戦兎以外のライダー達も、礼を言われる訳でもねえのに見ず知らずの誰かの為に命張ってた…バカだって思うだろ?俺もそう思った。けれどな、同時にスゲーって思ったんだ。俺にはそんな事真似できねえ。俺は自分の為に、自分の信じる物の為に、自分を信じてくれる奴の為に戦う。戦兎は俺の事を信じてくれた、俺の信じる戦兎は…仮面ライダーは、愛と平和の為に戦ってた。なら俺は、愛と平和の為に戦うあいつの為に戦う!それが俺の仮面ライダーをやってく最初の理由だった。」
「万丈さん…」
「ようするに俺の言いてえのはさ、戦い続ける理由がなくてふわふわしてるような奴には何もできねえ。けれど戦う理由がちゃんとある奴はどこまでも強くなってく、戦い続けれる。」
「私も…強くなれますか?こんな事、もう起こさせないくらい…」
私は万丈さんにそう聞いていました。
「当たり前だろ?昨日までのお前ならともかく、戦う理由をちゃんと決めたお前ならきっと俺や戦兎と同じくらい強くなれるぞ。お前が戦う理由を無くさない限りな…」
龍我さんは笑いながらそう言ってくれました。
「さ、帰るぞ。なんか腹減ってきたし、桃子さんの飯が早く食いてえよ。」
「うん!」
私は、さっきまでの暗い気持ちが嘘みたいに明るい気持ちで龍我さんと一緒に家に帰りました。
▼
ビルドドライバーの調整は思ったよりも時間がかかっていた。魔法とライダーシステムという別々の技術には互換性がない。だから非殺傷設定についてはデバイスのシステムを元にシステムを構築しなければ行けなかったのだが、これがシステムのほとんどがビルドドライバーに適応できず、ほぼ1からシステムを構築せざるを得なかったのだ。まあ、俺は天っ才だから今日1日で5割方システムが完成している。
「ただいま。」
おっとフェイト達が帰ってきたみたいだ。
「お帰り、どうだった?」
「ダメだね、全く収穫無しだよ。というかお腹すいた、戦兎、晩ご飯にしよう。」
「はいはい、わかったよ。すぐ用意するから待ってろ。」
アルフに言われて俺は飯の用意をする。
ちなみに今日の晩飯は焼肉だ。
「それで、詳しく聞かせてくれ。」
俺は晩飯を食べながらフェイト達に話を聞く。
「ジュエルシードの反応を感知して現場に向かったけど、そこにはもう何もなかった。」
「これでもう3件目だよ、反応を関知したのに現場にジュエルシードがなかったのは。」
フェイトとアルフがそう説明してくる。反応が有ったのに現物がなかったとなると…
「誰かが俺達よりも早く回収している?」
「多分そうだろうね。管理局の連中かもしれない。」
「いや、その可能性は少ないと思う。」
俺はアルフが考えてる可能性を否定する。
「どうしてだい?」
「ここは管理外世界だろ?管理外ということは、そこで起こった事については関知してないということだ。だったらその管理局がジュエルシードがこの世界に有ることを把握してるとは思えない。」
だが、そうなると…
「じゃあ管理局以外の魔導師がジュエルシードを回収してるって言うのかい?」
「そうなるだろうな…ジュエルシードは危険な代物だ。もしジュエルシードを集めてるもう一人の魔導師が悪意を持ってそれを手にしようとしてるならなんとしても阻止しないと。」
パンドラボックスの悲劇の二の舞にしない為にも絶対に。
「たとえ…」
フェイトが口を開く。
「たとえ誰が相手でも、母さんの為にジュエルシードを集める邪魔をするなら容赦しない。」
まただ、やっぱりこのフェイトの母親への依存はなんだか不自然だ。
「戦兎の方はどうだったの?」
フェイトがこっちに聞いてくる。
「ああ、大体5割ぐらいはできたな。明日中には完成すると思う。」
「そっか、よかった。」
「あんたには期待してんだからね。」
「わかってるって。まあ、この天っ才物理学者にまかせなさい。」
俺は自信たっぷりにフェイトとアルフに言う。
「さ、飯食ったならもう寝ろ、明日も早いんだろ?」
「うん、そうするね。おやすみ。」
「おやすみ、戦兎」
「おやすみ。」
フェイトとアルフはそう言うと寝室に行った。
「さて、俺も後少し踏ん張りますか。」
俺は作業を再開した。
▼
朝、目が覚めてリビングにいくと戦兎がコーヒーを飲みながらくつろいでた。
「おはよう、フェイト。」
「おはよう…戦兎、昨日は寝たの?」
「あ~…いや、徹夜だな。朝飯を食ったら少し寝るよ。」
「そうなんだ…」
桐生戦兎、ジュエルシードを集める為に襲いかかった私達を手伝ってくれるって言ってくれた不思議な人。今だって私達の力になろうと頑張ってくれてる。正直に言うとどうしてそこまでしてくれるのか、私にはわからない。けれど全部終わったら母さんと一緒になにかお礼をしようと思ってる。
「アルフはまだ寝てるのか…フェイト、起こして来てくれ。」
「うん、わかった。」
私は戦兎に言われてアルフを起こす。
アルフを起こしてリビングに戻ると戦兎がご飯をテーブルに並べてた。今日の朝ご飯は白いご飯に海苔、それと卵焼きに漬物といったこの世界のこの国特有の物だった。
「おっ、来たな。早く座れよ。」
戦兎に促されて私達は椅子に座る。
「今日の卵焼きはお袋の味って奴を再現しようとしてみたんだ。」
「お袋の味?」
「ああ、俺の母さんがよく作ってくれたんだよ。その味を再現しようとしたんだ、まあ母さんの卵焼きには全然届かないんだけど食べてみてくれ。」
「へー。それじゃあいただくよ。」
そう言ったアルフは卵焼きを一口食べる。
「うっわ…なんだいこれ!?甘過ぎだよ」
「そうか?母さんのはもっと甘かったんだけどな…」
「それは絶対あんたの舌がおかしい!」
「アルフ、そんなに言うと失礼だよ。」
アルフにそう言うと私も卵焼きを一口食べる。
「…美味しい、すごく美味しいよ戦兎!」
「ウソだろ!?」
「本当か!?気にいってくれて良かった。」
美味しい、これが戦兎の母さんの味なんだ…そういえば最近母さんのご飯食べてないな。昔はどんなに忙しくても作ってくれたのに。
そんな風に思いながら私は戦兎の作ってくれた卵焼きを口に頬張った。
「それじゃ、言ってくるね戦兎。」
「ああ、頑張ってこいよ。」
私達は朝ご飯の後すぐにジュエルシードを探しに出掛けた。町外れにいくとすぐに探知魔法を使ってジュエルシードを探す。
「どうだい、フェイト?」
「うん、なんとか見つけたよ。」
「よし、それじゃあ今度は盗られないうちにこっちで回収するよ。」
「うん。」
私達はジュエルシードの反応がする場所に向かうとそこはどこかの屋敷の裏庭だった。
私達がそこに着くと同時に結界が張られる。
「どうやら、私達以外のジュエルシードを集めてる奴も気付いたみたいだね。」
「急ごう、アルフ。」
ジュエルシードのところに急いで行くと大きな猫がいた。
「あの猫だね。大方大きくなりたいとでも願ってああなったんだろうね。」
「早く封印しよう、バルディッシュ。」
『Photon Lancer』
私は猫に向かってフォトンランサーを発射した。
「バルディッシュ、今度は連続で…」
『Photon Lancer・Full auto fire』
私は連続でフォトンランサーを放った。けれどそれはバリア系の防御魔法で防がれる。
「魔導師?なら。」
今度は猫ではなくてその足元にフォトンランサーを撃つ、すると猫はその場で転んだ。猫が転ぶのを確認したら、私は相手の魔導師との距離を詰めてその姿を確認する。
栗色の髪でツインテールの女の子、白いバリアジャケット。側にはフェレットの使い魔。私と同形の魔導師、戦兎の言ってた私達以外のロストロギアの探索者。デバイスである杖はバルディッシュと同じインテリジェントデバイス。
「バルディッシュ」
『Scythe Form』
私はバルディッシュをサイズフォームに変えて構える。
「ロストロギア、ジュエルシード。申し訳ないけど、いただいて行きます。」
私はその白い女の子に斬りかかる。けれど…
『ビートクローザー!』
私の攻撃は防がれた。けれど、防いだのはあの白い女の子でもあの子の使い魔でもなかった。
「おい!いきなり何すんだよ!?」
腰にはつい最近見た戦兎と同じビルドドライバー、全身を覆うフルスキンの装甲。デバイスとは違う機械的な武器。そう、その姿は…
「仮面…ライダー?」
戦兎が変身するのと同じ、仮面ライダーだった。
次回予告
「出来たー!!」
完成するビルドドライバー
「もう一人のジュエルシードを集めてる奴の所に万丈がね…」
ついに発覚する万丈の行方
「や、やめて…」
「試したい…試したい…」
第4話 探索者達とのエンカウント
「アイツは自分から悪人に力を貸す様な奴じゃない…」