ハイカラさんが通る【完結】   作:代理投稿者サクマ

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†破滅† 2

 それから、私と正邪の、ミサイル隠匿の日々が始まった。とはいえ、世間に私の部屋を怪しむ者なんていないから、それはただ、久しぶりの二人暮らしというだけだ。ミサイル盗難のニュースが流れてから、里はお通夜のような静けさに支配されていたが、彗星直撃三日前ともなると、里は常世の、祭りの国と相成った。人間とは、よくできた生き物である。

 そんな中、正邪はやはり悩み続けていて、時折ぼんやりとしては不意に叫んで頭を抱えてみたり、ぼんやりとしたままに、ちくしょう、ちくしょう、なんて嘯き続ける次第だった。どうにも見ていてじれったいので、私はこいつを、連日大繁盛の居酒屋に連れて行ってやることした。

 その居酒屋は、以前私と正邪が出入り禁止になったのを皮切りに、妖怪と思しき者の入店が全面禁止となった店だったが、世界が終わるともなれば、店に人妖入り乱れたとしても、誰も気にする者はなく、店主にしても、それはおんなじだったようだ。

 酒にめっぽう弱い正邪に飲ませれば、ほんとのところを聞き出せる、そう考えたのだが、そう上手くはいかなかった。結局のところどうなのさ、という私の言葉に、逃げ出したり、反発して、誤魔化すようなことはなかったが、正邪はどうも、なにも聞こえていない様子で、一人でぶつぶつと、なにかを呟き続けた。

 まあ、これはこれで。と酒をやっていたら、不意に、ああ! と声を張り上げ、正邪は店のテーブルを手のひらで思い切り叩き、立ち上がっては、口を切った。

「よく聞け酔っ払いども! わたしはな、或るチャンスを手にしたんだ! そしてわたしは、そのチャンスをモノにしてやる! おいそこの、そこの狼女! なにが言いたいのかさっぱりって顔をしているおまえだよ。いいか、よく聞けよ。チャンスっていうのはそう何度も訪れるもんじゃない、それがいつ、最後のチャンスになるかなんて、誰にもわからない。わたしが手に入れたのは、そういう類の、またとないやつなんだ! つまりなにが言いたいかと言えばだな、その、欲しいものがあるならその手で摑み取れ、というか、手にした幸福は絶対に手放すな、というか、ええと……」

 ちくしょうと吐き捨てて、正邪はそのまま逃げるように居酒屋を後にした。急に訳のわからないことを叫び出したやつと同じ席についていた私に向かって、きっと、世界の終わりに気が立っているのだろう、店主が恐ろしい表情を浮かべて近付いてきた。あのわけのわからない女はあんたのツレか、とか、そんなことを聞いてきた。

 正直に答えればおそらく店を追い出されるだろうけれど、終末に嘘をついたところで意味もない。うん、と頷けば、店主はやにわに私を店の外へと放り出した。まさか、世界の終わりに出禁を食らうとは。

 

 

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