「はやく…逃げなきゃ…」
雪が降る季節の夜、私は必死に逃げていた。
いつもの様に起き、いつもの様に仕事をし、いつもの様に家族とご飯を食べる。そう思っていたのに…こんな事になるとは思っていなかった…
「はやく…きゃ…!?」
足元にあった何かにつまづいてしまった。
「うぅ…あっ…」
痛みに悶えていた時、いつもの様に訪れたであろう幸せを壊した者がいた。
「やっと追いついたぜ、ちょこまか逃げやがって…!」
そこには人間では無い、別の何かがそこにいた。口の周りには血がべっとりとついていた。それはー鬼ー、私の家族を、幸せを壊した鬼。
「いや…こないで…」
恐怖でどうにかなりそうだった。でも心の奥底では怒りがあった。
「そこでじっとしてろよ、今からゆっくりお前を喰うからな」
鬼は少しずつこっちに近づいてくる。そして私に飛びつこうとした瞬間、私は手元にあった棒で鬼を殴った。
「ぐあっ!痛ってぇ!」
鬼は殴られた痛みに悶えていた。私はその隙に逃げた。
「逃げなきゃ…」
しばらく逃げて後ろを振り返るとあの鬼は追いかけてきていませんでした。
「やった…!鬼から逃げれた…はぁぁ…」
と内心ホットしていました。でも次の瞬間、私は吹き飛ばされていました。そして壁にぶつかりました。
「がはっ…ゲホゲホ…」
一瞬何が起きたか分かりませんでした。でも声が聞こえました。そう、私の幸せを壊した鬼の声が。
「さっきは良くもやってくれたな…!」
その鬼はカンカンに怒っていました。さっきみたいにはならないことが私にも分かりました。
(あっ…私も死ぬんだ…ここであの鬼に喰われて…)
私の中で諦めが見え始めていました。
(ごめん…お父さん、お母さん、お姉ちゃん…仇取れなかったよ…)
そう諦めて目を閉じ、自分の最後の時を待ちました。でもその時は一向に訪れませんでした。おそるおそる目を開けると、私を喰おうとしてた鬼は頸を斬られて死んでいました。その後ろに刀を持った人が立っていました。
(あれ…私助かったの…?それならあそこの人が助けてくれたのかな…お礼をいわ…ない…と…)
そう思っていた私の意識はそこで途切れました。次私が目覚めたのは知らないベットの上でした。目が覚めたら知らない人が来てくれたので、私を助けてくれたあの人が連れてきてくれたのでしょう。私は助けてくれた人に恩返ししなければならなくなりました。そして、それと同時にすることがあります。私の家族を奪った鬼の元凶を倒す、それが今、私の生きる理由です………
「…ね……まね………起きてください…雨音!」
「……はっ!」
そう言われて目が覚めたらそこには私が信頼出来る人…胡蝶しのぶちゃんがそこにいました。
「あっ…しのぶちゃん!?ごめん!私もしかしてまた寝てた?」
私は慌てて飛び起き、しのぶちゃんに聞きました。
「えぇ、ぐっすりでしたよ。ヨダレ垂らしてましたし」
そうしのぶちゃんは言いました。…え!?ヨダレ垂らしてたの、私!?
「ごめん、ウトウトしてたらいつの間にか寝てて…」
「まぁ雨音はいつもそんな感じですしね、なんかもう慣れてきました」
「まぁ寝てたことは今は置いといて、そろそろ帰りましょう?皆もう帰られましたし、カナヲ達に心配されてます」
しのぶちゃんに言われて周りを見渡すと、さっきまでいた柱の人達は居なくて、私たち二人だけでした。
「わっ!ホントだ!私たちもそろそろ帰らないとね!」
私はしのぶちゃんの手を取ってしのぶちゃんの家に走って帰りました。帰ってる途中にしのぶちゃんが何か言ってた気がしたけど聞こえなかったからいいかと自分で解決してました。
そう、私は柱のうちの1人、雨柱…その雨は私の悲しみを映し出してくれる。絶対に元凶を倒す。私の命が尽きるとしても……
「ほんっとよく寝ますよね。あなたって人は」
柱会議が終わり、皆ぞろぞろと解散となった今私の横で気持ちよさそうに眠っているーーー
立花雨音を私は起こそうとしていた。
「雨音さんー起きてくださーい」
いくら声をかけても起きる気配がないです。そこまで深い眠りについてるんでしょうか…?
(まぁ雨音がよく眠るのはいつものことですし、もう少しそっとしてあげましょうか)
私は気持ちよく眠っている雨音の横に座り、寝顔を観察し始めました。
(雨音って起きてる時も可愛いけど寝てる時の顔はもっと可愛いですね、女の私でも羨ましがるぐらい美人ですし、、、)
とそんなこと思ってる間もつかの間、鎹鴉が来て手紙を持ってきてくれました。内容を見ると帰りが遅く心配されていたので、雨音を起こして帰ることにしました。
「雨音ー起きてくださーい」
やはりなかなか起きません。だから私は声を少し大きくして再度呼びかけました。
「起きてください、雨音!」
と言うと、雨音はビクッてなって起き上がりました。
「あっしのぶちゃん!?もしかして私寝てた!?」
と聞いてきたので、
「えぇ、ぐっすりでしたよ。ヨダレ垂らすぐらい」と言うと、えぇ!?みたいな反応をしてました。それからカナヲ達が帰りが遅くて心配していると話したら、私の手を引いて走り出したので一生懸命走って一緒に帰りました。
数ヶ月前までは柱は愚か全集中の呼吸すらできなかった雨音がここまで強くなってくれたのは嬉しく感じました。雨音にも私にも鬼に大事な人を奪われた悲しみがある。その鬼に復讐するために鬼殺隊になったのだ。雨音は命を尽くしてでも鬼の元凶を倒すと言っていたと同じく、私も姉を殺した鬼を倒さない限り私の心の中にある怒りは無くならないのだろう。そう感じている。
プロローグ見ていただきありがとうございました!暇がある時に書いて投稿する方針で行こうと思うので投稿していくうちに上手く書けるようになるよう努力するのでよろしくお願いします。