鬼遊戯(ごっこ)   作:月日火

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 前回のあらすじ

面白いのめっけ


実験

 

 ーー。お前は選ばれた人間なのだ。…わかるな。

 

そう、あなたは特別。さぁ、お稽古の時間よ。準備なさい。

 

 

かけられた言葉に、少女は頷く。

疑うなんて感情は無い。そんなものはそもそも少女の感情には無い。存在しない。

自分は特別、自分は選ばれた存在。だから知らない事があってはならない。

 

 

……場面が切り替わる。

 

 

ーー。これで全過程は修了だ。…これからは我らが国家の為その命尽きるまでその叡智を使え。

 

少女は和やかに頷く。明日からは私も日の本の為に身を粉にして働くのを今かと今かと待ちきれない気持ちが抑えられず、布団から起き上がり外の満天の星空へその目を向ける。

 

この知識は私だけのものでは無い。明日へ、そして未来へ繋げる大事なもの。

まだ見ぬ誰か、私の知識を受け継ぎ、そしてこの国がより良いものへと繋がる誰かに渡すもの。私の夢に絶対必要なもの。

 

そう、私の夢は……。

 

 

……場面がキリカワル。

 

 

少女は窓越しに夕焼けを見つめる。

帰り際に家庭教師から渡された課題は至って簡単なものだった為、直ぐに終わらせ彼女はふとそこに目を向けた。

 

彼女の屋敷の近くには小さな公園がある。

夕焼けに照らされた公園には笑顔で追いかけっこをしている同じ年頃の子ども達の姿。

声は届かずとも楽しいそうな笑い声が聞こえてくるようなその姿を…

 

少女は、何故か夕焼けよりも眩しく感じて。

 

ーーそっと、目を逸らした。

 

 

…バメンガ、キリカワル。

 

 

それは満月の夜。

 

その下に立つのは1組の男女。

逢引に見えるようなソレは酷く歪んでいて。

 

ーー少女の白き首に爪が食い込み、雪を、血が染めた。

 

 

 

そして、鬼はそこで目を覚ました。

 

 

♠︎

 

太陽を克服してから、もう3回目の冬を迎えた。

 

金を集めて、人を喰い、季節を越えた。

 

だが、そんな血染にとって忌々しいのが先程の(雑音)だ。

最初にこれを味わったのは2度目の冬。

頭が割れそうな痛みと共に流れる聴くに耐えない雑音が脳を揺らして、その日の食事も大して喉を通らない程に悪影響を及ぼすソレは冬が終わり雪が溶けるまで続いた。

 

原因が分かっているがそれこそ脳に直結する夢という性質故に血染はストレスによる苛立ちを冬の間ずっと抱え続けており、その苛立ちが更にその雑音を強くするという悪循環。

 

これでは進めたい研究がどうしても怠慢になってしまい、その為に必要になる人間が足りなくなってしまう。

 

 

が、それもこの冬を過ぎれば終わりを迎える。

 

 

今、血染がいる場所の名は藤襲山。

 

そう、鬼滅隊の新入隊士が最終選抜を受ける試験会場である。

藤の花が咲き誇るそこは正に血染にとっては実験材料の宝庫。

最終選抜以外には人間が手に入らないがそこは別の場所に作った研究所に保管してある材料でまた別の研究をするだけ。

 

侵入は監視は殆ど存在しないざるそのもの。

出る時は、適当に頂上辺りから跳躍して人目のつかない所に着地すれば問題は無い。

己にとって絶好の隠れ場所であるここを探し当てたのは、今年の夏の狩の時。

 

ふと鬼滅隊の隊員は何処で出来上がるのか疑問に思ったので別の鬼を狩り、疲弊した鬼滅隊士を潜んでいる隠、鴉を皆殺しにしてから捕らえ、拷問を加えながら尋ねてみた。

 

指を引きちぎっては食べ、次に睾丸を引きちぎって捨てる。

そして、耳を喰い千切った辺りでようやくその場所を吐いた。

 

まぁ、その後は美味しく頂いたが。

 

そんなこんながあり、藤襲山へ到着した血染が最初にした事は雑魚鬼の捕獲。

目的は自身の血鬼術の更なる開発。

 

「血鬼術・壊血」

 

手首の血管を手刀で切り裂き、その鬼へと垂らす。

血はみるみる内に鬼の体内に侵入し、体を汚す。

 

「ギャァァァァ!!!???」

 

汚された体はやがてその血によって崩壊を始め、やがてそこには鬼だった塵が残った。

 

「んー、実験は前回と変わり無し……これは打ち止めですかねェ」

 

実験結果を書類に纏め、次は藤の毒の実験。

藤の毒を主にしてから他の毒物を混ぜ込み凝縮、更に前回とは違い調合の手順を変えた上で鬼に投薬する。

 

以前なら自身に打ち込んだそれは度重なる免疫の生成により、殆ど耐性がついてしまい十分な結果が生まれなくなってしまい実験が停滞していたのだ。

 

なんせ、昔ならば他の下弦の鬼の処分でそれは解決していたが今となってはそうもいかない。

 

ならば上弦の鬼…とは言わない。

下弦と上弦とでは大きな差があるのはそれこそ知っている。

特に上弦の参である猗窩座を含めた弐と壱は別格。

一度だけ上弦の弐、そして壱の戦いを観察したからこそ分かるあの違いは…

 

研究者として絶頂にも等しいほどの未知。

 

あの氷はなんだ、原理は?能力は?範囲は?弱点は?

あの呼吸は?型はいくつまであるのだ?他に種は?その技術は一体何処で?

知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて知りたくて。

 

けれど、今の自分では彼らを解剖して知る事など不可能で。

だからこうやって何百、何千と実験と実証を繰り返し、そして冬を越えてようやく新しい策のための実験体が来た。

 

「嫌だぁぁ!!助けてぇぇぇ!!!」

 

「ほらほら〜逃げないと死にますよォ?ま、そこは…」

 

「ぎっ!!?あ、足ぃぃ!!?」

 

「私の仕掛けたものがあるので無駄ですがねェ。はい、捕まえたァ」

 

今日は選抜から3日目の夜。

今捕まえた人は、確か炎の呼吸だったか。

水、風、土に雷。

これら5種類がいわゆる一般的な呼吸。

とはいっても、私が戦った最大の敵だった柱はまた別の呼吸だったし上弦の壱もまた異質な呼吸だったのでやはり基本とは違う派生の呼吸というのも存在するのだろう。

 

だが、あの柱との戦いも半分が運で勝った自分にとってもう一度それを別の柱とやるのは少々賭けの場が悪い。

だから、自身に5年の研究期間を設けた。

 

5年の年月をかけて、自身に合った呼吸を把握し特訓して使いこなせるようにする。

試し斬りの対象はそれこそごまんといるし、なんなら十分な実力さえ整えば柱と戦う事も考慮しよう。

 

そんな事を考えながら血染は今日も新たな隊士を観察、解剖し、実験を行う。

 

今年の合格者もまた0で幕を下ろすだろう。

 

何故ならば、そこには鬼斬の技術を持った鬼が今日もその刃を新たな隊士の首へと振り下ろすのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 大正こそこそ話

血染はいつも何かに飢えているぞ!
今回もその飢えが暴走した結果なんだ!
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