誘われし幻想の吸血鬼   作:☆さくらもち♪

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導入部分の難しさ。
スカーレット姉妹にもし生き別れの次女がいたら?という考えでやってみました。
のんびり書いていきたいと思います。


プロローグ

天高くそびえ立つビルが並ぶ世界。

自動車と呼ばれる鉄の箱が走り、整備された道だけがある日本という国。

そんな国のとある家の一室にて絶世の美少女とも言える美しい少女が座っていた。

長い白銀の髪は光に照らされて輝き、少女の瞳はとても紅い。

アルビノと呼ばれる先天的なものではなく、生まれつきそういう容姿を持っていた。

 

「それで、今日はどうしたのですか」

 

苦笑するように虚空に向かって喋りかける彼女。

傍から見れば変な人として扱われるだろう。

しかしこの場においてはそうではない。

 

「あら。ばれちゃってる」

 

「当たり前です。そんなに妖力を垂れ流してたら嫌でも分かります」

 

「私の妖力を感知できる時点でおかしいのだけれどね?」

 

何も無い空間が裂けるように割れると中からはこれまた美しい女性が現れた。

流れるような金髪に中華風なフリルドレスもまた女性の魅力を引き立たせていた。

 

「それはいいのですけれど……今日はどんな?」

 

「ええ。今日は貴女に1つ私から提案をと思って」

 

少女と女性は見た目で言えば親子ほどにも離れたように見えるが対等な関係として会話していた。

それはお互いがお互いを認め合い、そしてかけがえのない親友だからだろう。

だからこそ少女は女性が持ってきた提案に対して強い興味を持った。

 

「私が以前から管理している世界については覚えているでしょう?」

 

「それはもちろん。たっくさん聞かされました」

 

「今回の提案はその世界……()()()に来ないかと思って」

 

「幻想郷……ですか」

 

だいぶ前から聞かされていた件の幻想郷と呼ばれる世界に興味がなかったわけではなかった。

どちらかと言えば強い興味があり、行ってみたくはあったが行く為の条件も相応に厳しいものがあった。

 

「紫?」

 

(ゆかり)……そう呼ばれた女性は少しビクッとしながらも少女を見ていた。

その様子を見てしまった少女はクスッと笑う。

 

「未練がない、と言えば嘘にはなります。人間というのは日々進化し続ける生き物です」

 

「……そうね」

 

「なので私はそれを傍観するのが好きでしたが……それらを見続けるより親友の願いを聞き入れる方が私にとっては大事とも言えます」

 

その言葉を聞いていた紫は本当に良いのかと思いながら少女の次なる言葉を待った。

 

「八雲紫。私を誘って下さいまし。幻想の世界へと」

 

「……ええ!分かったわ!誘いましょう。幻想郷は全てを受けいれますわ」

 

紫は手をかざすとスキマと呼ばれる空間の裂け目を作り出す。

そして少女が手を差し出すとその手を握って共にスキマの中へと入り込んだ。

 

「クーリア、ここからはもう擬さなくても良いのよ」

 

「……そう、ですね」

 

少女……クーリアは自身の胸に手を当てて己の中で封じていたモノをゆっくりと解いていく。

一つ、また一つと。

厳重に封されていたそれを解放仕切る。

 

「んっ……ぅ、ふぅぅ……」

 

抑圧されていた力が溢れ出し、彼女の存在をより一層高めていく。

それは紫と同じく妖力と呼ばれる力の一種。

クーリアもまた紫と同じ存在とも言える。

 

「……く、クーリア?久々なのは分かるのだけれどね?その……魅了とかを無意識に垂れ流さないで貰えるかしら?」

 

「ん……あ、ほんとです」

 

無意識とはいえとても強力な魅了を出さないように調整しながら自身の妖力も制御し終える。

 

「ふぅ……この状態は色んなものが解放されていて良いですね」

 

バサッとクーリアの背中で広げられる翼。

人間ではなく異なる人だという象徴にもなるそれはあまりにも異質だった。

 

「ある意味クーリアの翼は綺麗よねぇ……」

 

「危ないですから触っちゃダメですよ」

 

クーリアの翼は金属のような輝きと共に尖ってもいた。

翼膜には剣の先端のようなものが膜として成しており、その鋭さは見ただけでも分かるほどに。

剣翼と言える翼がクーリアの背中にはあった。

 

「一先ず私の屋敷で過ごすのかしら?」

 

「紫達のお邪魔でなければ、そうさせてもらいます。生憎と私は朝昼は出歩きにくいですし、案内もしてくれると嬉しいですね」

 

「誘った以上は案内は当然しますわ。私の幻想郷を見て欲しいのだもの。藍と橙に関しては貴女が来ると知れば喜ぶでしょうから」

 

「ふふ、なら良いのですけど」

 

スキマの内部を歩きながらそのような会話を続けていると紫が立ち止まる。

クーリアもそれに倣い止まると紫が手をかざして新たなるスキマを開いた。

 

「さて、この先が幻想郷ですわ」

 

「なら行きましょう」

 

クーリアの決断を表すように開かれたスキマへと足を動かしていく。

向こう側の世界へと向かった瞬間に外の世界からはクーリアという少女の存在は忘れ去られた。

幻想となりし忘却された存在達が集いし理想郷。

また一人、鄉へと誘われていった。

 

 

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