銀鳳の副団長   作:マジックテープ財布

106 / 200
83話

 激動のミシリエ攻防戦から数日が過ぎた。

 先の戦いによって大勢の人間が亡くなり、本来ならば適当に穴を掘って一ヶ所に纏めるような措置が取られるはずだったが、その措置にアルは待ったをかけた。

 

「亡くなった方の装飾品と共に遺髪を1人ずつ纏めてください。装飾品が無ければ身体的特徴を挙げた紙で纏めてください」

 

 アルの言っていることにほとんどの騎士は意図が分からなかったが、捕虜であるジャロウデクの騎士と共に作業に取り掛かることでなんとか数日中に終わらせることが出来たクシェペルカ陣営は本日、ミシリエの防衛と言う大勝の勢いをそのままに東部護所であるフォンタニエを次の奪還地に決定した。──が、勢いはそこまでだった。

 

「フォンタニエはジャロウデクの東方護府ですよ。簡単に攻略することは厳しいはずです」

 

「イカルガを街に降下させて暴れまわらせるのは被害が大きすぎますもんね」

 

「アルは僕のことを戦略兵器とお思いで?」

 

 ミシリエの会議室では喧々諤々と次の攻略目標であるフォンタニエを制するための作戦会議が繰り広げられている。しかし、かなりの数上げられた作戦は作戦の穴を指摘されて呆気なく廃案になっていく。

 

「あ、アルがえげつないこと考えてそうな顔してる」

 

「いやー、最近疲れて……猫モフりたい。新しい抱き枕買いたい」

 

 『投石器で病原菌を放り込む』、『密偵に潜ませて要人暗殺』、『離間工作』という作戦が頭の中をよぎっていたアルの横からエルが茶々を入れる。そのインターセプトのおかげでそれらの作戦は口に出されることはなかったが、アルの精神状態はここ最近休んでいなかったり、襲撃によって戦友である抱き枕が居なくなったこともあってか碌でもないことをポンポン思いつく程度にガタガタだった。

 頭をグラグラさせながらライヒアラ騎操士学園によく出没していた野良猫に勝手につけた名前を連呼するアルだったが、唐突に扉をノックする音によって現実に帰還した。

 

「アルフォンス様、例の準備が出来ました」

 

「お、グッドタイミング。後は僕が運ぶだけですね」

 

「また俺たちの知らないことやらかしたな。今度はなんだ?」

 

 突然入室してきたノーラからの報告を受けたアルは笑い、対するエムリスは嫌な予感に身を震わせる。

 先の戦いで罠や奇策といった搦め手を多数使って足止め、撤退を行っていたことから最近のアルはイサドラを多少なりとも意識して覚悟を固めたためか、使える搦め手はなんでも利用する節が見られる。

 

 局地的な戦術程度ならまだ良いが、攻城戦のような人が集まっている所に戦を仕掛ける場合はそれなりの作法や留意すべき点も存在するため、アルの行いは時に毒にもなりえる。

 エムリスは戦争終結後にアルが敵味方、そしてアル自身の奉公先であるフレメヴィーラでも後ろ指を指されないようにするため、話を聞いた上で必要があれば鉄拳制裁もやむなしという構えを取るが、そんな若旦那の部下を想う心などまったく知らないアルは『王族の方々や隊長格の方々だけ残ってください』と念入りに指示をした。

 

「後、エレオノーラ様とイサドラ様も別室で待機しててください。この先、ショッキングな物を見せることになるので」

 

 ついでとばかりに発せられたアルの言葉にエレオノーラは少しだけ言葉を詰まらせたが、すぐに力の篭もった目で『いいえ、残ります』と力強い発言をし、イサドラもそれに釣られるように首を上下させて肯定の意思を見せた。

 今まで蝶よ花よと愛でられた王女が1歩ずつではあるが、女王へと変わっていく気配を感じ取ったマルティナやエムリスが涙を滲ませるが、アルはせめてと近くに居たキッドをわざわざエレオノーラの横に立たせる。キッドが近くに来たことでエレオノーラは恥ずかしそうにしながらもキッドに向かって手を差し出し、キッドもそれに答えるようにエレオノーラの手をしっかりと握る。

 

「……アル。私も残るんだけど」

 

「説明役なので嫌です。そもそも自由意志なので知りません」

 

 そんなどこか甘酸っぱい光景を見たイサドラが自身の手を少し見た後にアルの方に目を向けながら抗議するが、アルは拒否の姿勢を一向に崩さずに拒否を示した。そんなやり取りを見たエルは『ツンデレめ』と茶化すが、アルに睨まれたことで下手な口笛を吹きながらそっぽを向く。

 

「これ以上は時間がもったいないので巻きで行きますよ」

 

 これ以上場を乱すのも時間がもったいないとアルが合図を送ると藍鷹騎士団の手によって会議室にちょうど成人男性1人分が収まるサイズの木製の箱が運び込まれてくる。それを見たそれぞれの反応はまさに十人十色だった。

 

「誰が入ってんだ? 俺達の方は全員無事だろ?」

 

「レトンマキ男爵……は違うわね。距離が遠すぎる」

 

 木製の箱。端的に言えば棺桶から漂ってくる濃密な死の気配にエレオノーラやイサドラの手に余計な力を生み出す最中、慣れているエムリスとマルティナは棺桶の中身の人物が気になっていた。今回の戦闘で銀鳳商騎士団は全員無事でクシェペルカ側も死者は少数だった。その数少ない死者の中にも貴族の人間は居なかったので2人は首を傾げる。

 

「ヒントとしてジャロウデク側のお方です。また、追加ヒントとしてご遺体はジャロウデクに返すべきお方でもあります」

 

「ちょっと待て? この中身ってジャロウデクの人間なのか?」

 

 予想と反した答えにエムリスが声を荒げる。敵にどう見ても上等な棺桶を用意し、あまつさえ遺体を返還するほど重要な人物に心当たりが無かったのだ。そんな中、唯一そんな人間とあの戦いで接触したエルは手を上げる。

 

「ああ、ジャロウデク王国の第2王子ですか? 一戦交えたんですが、アルやエドガーさん達と比べると消化不良なんですよね。後、地位を用意するとか言っておきながら返答したらなぜか愚物扱いされましたし……。あ、でも最後まで幻晶騎士(シルエットナイト)から降りずに自機と運命を共にした覚悟だけは僕的に高評価ですよ」

 

 ペラペラと頭のネジが外れたようなことをのたまうエルから『地位を用意する』という聞き捨てならない言葉が出てきたのでエムリスが詳しい話を聞くと、どうやら今の自分達の地位を話したらしい。

 今のエルやアルの地位は幻晶騎士(シルエットナイト)やベヘモスのような上級の魔獣に関することに限定されると言う条件をつけた場合、国王よりも優先されるケースが存在する。

 

 幻晶騎士(シルエットナイト)はカルディトーレを例にしたら分かりやすいだろう。アンブロシウスやリオタムスの代理として開発や製造といった権限をフルに活用して今まで新型を製作し、エルに至っては国王でさえもオーダーメイドが出来ない魔力転換炉(エーテルリアクタ)を自力とはいえ生産出来るだけの地位にいる。

 魔獣に至ってもシェルケースが山峡間要塞を襲った折、アルがアルヴァンズを一時的に指揮下に入れたように貴族ではなく国に奉仕する銀鳳騎士団は基本的に立場が上である。

 

 例え大国の第2王子でも、たかが個人にこれだけの地位を用意するのは魔獣が居ない西方では難易度は推して知るべしである。そんな考えに至ったエムリスは目の前の棺桶の中にいるであろうクリストバルに、『引き抜こうとする相手を間違えたな』と憐憫の情が湧いた。

 

「それでは失礼して……クリストバル様か確認をお願いします」

 

 日本人特有の手を合わせる動作をしながらアルが棺桶の蓋を開ける。まるで眠った人を起こさない様に慎重に蓋を取り去ると、この場の全員が静かに目を伏せているクリストバルと対面する。

 純白の質の良い服を纏い、顔も少しばかり化粧が入っているのか綺麗で安からかな顔色のクリストバルの姿に本当に眠っているようだと死人を見慣れないエレオノーラとイサドラが小さな声量で会話するが、その横で彼の死因を知っているエルがその綺麗過ぎる外見に疑問の声をあげた。

 

「あれ、高い所から滑落したにしては綺麗過ぎますね」

 

「あー、それは藍鷹騎士団の方々が頑張ってくれたので」

 

 エルの疑問にアルはさらっと答える。密偵集団である藍鷹騎士団は敵地に溶け込むために専門的なスキルを持っていることが多い。特に医者や職人といった一家言があるようなスキルを持つ人間は街や村にとっても貴重なので、怪しい素振りを見せなければ農民や商人といった人間よりも受け入れられやすいのだ。

 彼らの尽力のおかげで裂傷と戦場の汗に塗れていたクリストバルの遺体は見事に修復された。

 

「たしかにクリストバル王子です。ですが、この方をどこに返すというのです? よもやデルヴァンクールまで行くというわけにも行かないでしょ」

 

「そこでフォンタニエです。今の季節は底冷えする寒さですからご遺体が腐敗することは……多分ないです! 後は捕虜も一部を残して返却しちゃいましょう。このまま拘束しても僕達の動きが鈍くなるだけですし」

 

「ちょっと待て! そんなに一気に提案するな!」

 

 先ほどのエルのように矢継ぎ早に出てくる提案にエムリスを含めた全員が『こいつ、作戦を考える時も早口になるな』と達観した表情でアルのことを見ていた。

 

 アルの話す作戦は要約すれば『指揮官が不在の間に拠点取っちゃおうぜ』というちょっとアレな作戦であった。

 作戦の概要は多少アレではあるが、行うことはいたってシンプルである。まず、アルとお目付け役の藍鷹騎士団を捕虜の輸送部隊としてフォンタニエに向かわせる。そして、捕虜と共にクリストバルをフォンタニエの指揮官といった一番偉い人に返還して退散するだけである。

 

 これにより、クリストバルというジャロウデク王国の王族の遺体を返還されたフォンタニエの指揮官はどうするだろうか。答えは『可及的速やかに本国か本陣代わりのデルヴァンクールに帰還する』である。

 また、飛空船(レビテートシップ)があると想定すれば陸路という悠長なことは当然考えないので、必然的に飛空船(レビテートシップ)が1隻と指揮官などが防衛戦力から消える。

 また、ジャロウデク側も副官といった指揮官の代わりはいるだろうが、少しばかり指揮能力が落ちるだろうし、捕虜が返還された時のごたごたで防衛時の動きが鈍るだろうとアルは説明する。

 

「あー、安心したぜ。てっきりこの馬鹿王子の遺体をフォンタニエに飛ばすか目の前で傷つけて無血開城するのかと思ったぜ」

 

「殿下が最近、僕をどう思ってるのかよく分かりました。国へ帰ったら大旦那に報告させてもらいますね」

 

「あー、副団長さんよ。ちょっと良いか?」

 

 一安心と共に余計なことを言ったエムリスにアルが食って掛かっていると棺桶を運んできた藍鷹騎士団のまとめ役、親父が声をかけて来る。会話が中断されたので『絶対にチクりますからね!』と捨て台詞を吐きながらアルがそちらの方を向くと、親父はアルに席を外すように頼み込む。

 

「えー、なんでですか?」

 

「副団長さんはなぁ……。平時の演技は完璧なのに隠し事をごまかしたり探り入れるの極端に下手くそだからちょっと退室してほしいんだわ」

 

「え、そんな下手ですかね。個人的に中々良い線行ってるって……ノーラさん、今笑いました?」

 

「笑ってません。少々嘲笑しただけです」

 

 ノーラの珍しい笑いに憤慨するアルだが、実際のところは親父が言ったとおりだった。

 先の戦いの次の日。エルとアルが唐突に『ロボットで焼肉したい』と言いながら断続的に火炎弾丸(ファイアトーチ)を顕現させる紋章術式(エンブレム・グラフ)を長大な銀の板に何枚も書き、それらにイカルガの女皇之冠(クイーンズコロネット)から生成される魔力を使用して簡易的なコンロを作製した。

 その上に鉄板を置いて始まったミシリエ防衛を祝う宴会の席でアルは途中で抜け出し、肉を手土産に収容された捕虜の何グループかと接触したらしい。

 

 さらに要約すれば『早く戦争終わって欲しいよねー。行き場所ないならうちくる?』と下手糞過ぎる勧誘コマンドをぶっぱなし、妙に忠誠心の高い騎士に怒られたり、アルの見た目から近くの子供が遊びに来たと誤解した騎士が『BOY! 大人をからかうんじゃないよ』と笑われたりしている所に、見張りの藍鷹騎士団員というお迎えが来て元の会場へ連れ戻されたといったことがあった。

 迷惑極まりない行いだったのだが、アルの行動によって忠誠心が高い騎士をピックアップするのに大いに役立ったので、藍鷹騎士団側としては怒るべきか褒めるべきか困っていたとか何とか。

 

 閑話休題

 脇に手を入れて持ち上げられたアルはわーぎゃーという反論を撒き散らしながら部屋から強制的に退室させられる。そのなんともいえない小動物感にわずかにほっこりした一同だったが、親父は咳払いを一つして場の空気を変える。

 

「さっき言った通り、そちらの副団長はごまかしとか探りとか調査系の技術が皆無だから何も知らない方が都合が良いと判断しました。そこまではよろしいですか?」

 

「まぁ、騎士ですからね。僕としては演技の素質があったことに驚きなんですが」

 

「いや……まぁ、少々手ほどきをしすぎたのもありますがね。あれほど他人になりきるのは才能としか……っと、横に逸れましたね」

 

 親父が再び咳払いをしてから本題である藍鷹騎士団が考えた作戦を説明する。だが、アルが考えた『捕虜とクリストバルを返還する』という大まかな目的に一切の変更は無かった。

 

「例の新型。ジャロウデク側にわざと漏らします。ですが、編成する数は少なくして未だ量産体制が整っていないと誤認させます」

 

 親父が話す最初の変更点は戦力の情報に差異を与えることである。

 まず、捕虜を輸送する部隊と共に銀鳳商騎士団やクシェペルカ軍で構成された『フォンタニエ攻略部隊』を編成してミシリエを出立する。この時に気をつけるべき点は、クシェペルカの新型機であるレーヴァンティアを少数だけ編成し、ほとんどの機体をレスヴァントにすることである。

 捕虜には目隠しをするが、それでも情報漏洩は避けられないので『どうせなら部隊の構成に差異を与えて混乱させてやろう』というのが親父の言い分であった。

 

「次に進軍ルートですが、フォンタニエ攻略部隊には一時的に中央領への道を進軍してもらいます」

 

 そう言いながら親父は地図を取り出すとミシリエからの進軍ルートに指を這わせた。指は中央領への入り口であるジェデオン要塞とフォンタニエとの分かれ道の辺りに差し掛かると一旦地図から指を離した親父はフォンタニエの方角には馬の駒を置き、ジェデオン要塞の方角には騎士の駒を置いた。

 

「なるほど。部隊構成だけではなく部隊の行き先も誤認させるのか」

 

 手を叩いたエムリスの解答に親父は頷きながら『そのとおりです』と頷く。いくら情報漏洩しても捕虜が見た情報が誤っていたらほとんど意味を成さない。さらにそれらの情報の真偽が定かではない場合、誤った情報の数だけ相手の今後の動きは鈍くなるだろう。

 

「後は副団長の言うとおり、フォンタニエの代表者にご遺体と捕虜を預けて撤退……と思わせて攻略部隊と合流ですかね。後は俺達、藍鷹騎士団が捕虜の中に混じってこいつを取り付ければ難易度は格段に下がります」

 

 親父はそう言うとノーラに目配せをし、幻晶騎士(シルエットナイト)の操縦桿を机の上に置いた。それは以前にエルとアルが作製してジャロウデク軍を苦しめた『操作をあべこべにする操縦桿』で、エルが『えげつないですね』という感想に親父は『騎士の方々はともかく、密偵にとってそれは褒め言葉ですよ』と笑う。

 

「捕虜は通常、自陣に保護されたら聞き取りの後は再編成になります。そこで捕虜に紛れて何人かが潜入、こいつを取り付けます」

 

「その密偵の命は優先して欲しいんだが……逃げれるのか?」

 

「街に入れば隠れ家も使えますし、私も紛れ込んでサポートします。私共も人数的に余裕が無いので」

 

 幻晶騎士(シルエットナイト)戦力は戦争時におけるパワーバランスの象徴だ。それがわずか数機でも動かなくなるのならばやってみる価値は大いにある。藍鷹騎士団には危険度の高い任務だが、親父の力強い返答に頷いたエムリスは先ほどの親父の意見を取り入れた作戦を実施するために銀鳳商騎士団と藍鷹騎士団に命令を伝達する。

 

 その数日後、イカルガを含めた銀鳳商騎士団の全戦力とクシェペルカ軍のレスヴァントと新型機であるレーヴァンティアが1個中隊分の混成部隊。捕虜の輸送部隊としてレスヴァントが1機と十数台の馬車がミシリエを出発した。

 

 その十数台の馬車の中には仕入れ作業や先の戦いで捕虜になったジャロウデク軍のおよそ8割ほどが乗せられており、その中にはミシリエの攻防戦で地上部隊の大隊を率いていたパヴァンの姿もあった。

 

***

 

「この大軍……どこへ行くのでしょう」

 

「分からん。だが、解放されたらすぐにどこかの部隊へ合流するぞ」

 

 馬車に乗って数時間。緩い拘束を部下と協力しながら解いたパヴァンは馬車にかけられている幌の隙間から行軍するクシェペルカ軍の様子をつぶさに観察していた。部隊を構成する幻晶騎士(シルエットナイト)のほとんどはクシェペルカの案山子。もといレスヴァントなのだが、そのレスヴァントと似た造詣のバックウェポンを備えている幻晶騎士(シルエットナイト)にパヴァンや拘束を解いた他の騎士は『増産されたら厄介だ』という考えを持つ。

 その後も馬車は揺れ続けるが、パヴァン達は小声で同席しているジャロウデクの騎士達に情報を共有する。捕虜と言うものはどこで解放されるかわからないので、現在地や味方がいるであろう拠点の方角が分からなければ容易く全滅するからである。

 そんな時、ふと馬車の動きが止まった。ここで解放されると思ったパヴァンや騎士は怪しまれないように素早く拘束されているように真似事をしてからじっと解放される時を待ったが、一向にその時が来ない。

 

「あれ、その部隊どこに行くんですか? まぁいいか。お気をつけてー」

 

 外から若そうな騎士の声が聞こえ、それから数分もしないうちに再び馬車が動き出す。まるで何かから分かれるような挨拶をしていたことが気になったパヴァンは再び拘束を解くと幌の隙間から外の様子を伺った。

 

「中央領だ。やつら、このまま中央領を攻めるつもりだ」

 

 1機のレスヴァントを残して全ての幻晶騎士(シルエットナイト)が別の方角──中央領へ向かって歩を進めている様子にパヴァンは焦る。間に合わない可能性の方が高いが、知った以上は報告すべきだとパヴァンは焦る。しかし、そんなパヴァンをまるであざ笑うかのように馬車とレスヴァントはゆったりとした足取りで街道を歩いていく。そして──1日、また1日と馬車に揺られる日々が始まった。

 虜囚の身となっているパヴァン達だったが、意外と道中は快適だった。幻晶騎士(シルエットナイト)の大部隊と分かれてすぐの休憩時にパヴァン達は目隠しや拘束を解かれ、見張りはつくが馬車を出て休息を許されたのである。

 

(なにが狙いだ?)

 

 拘束が解かれても未だに移動を続ける部隊や破格とも言える待遇にパヴァン達は気味が悪そうな表情を浮かべるが、ここで臍を曲げられて待遇がおじゃんになっても困るので一行はそのまま従う。

 ただ、そんな行程が2日も続くと元々閉じていた口のチャックも徐々に緩み、とある1人のジャロウデク軍の会話を皮切りに休憩時は所々で会話が飛び交うようになっていった。

 

 その会話の最中、パヴァンはレスヴァントを降りてきた騎士の元へ歩いていく。騎操士(ナイトランナー)の正装である皮鎧ではなく、まるで重装騎士のような出で立ちだったその騎士は兜を外し、その長い黒髪(ブルネット)を揺らしながら器用に火炎弾丸(ファイアトーチ)を金属に当てて柔らかくなった所を折り曲げてなにやら作っていた。

 

「すみません。つかぬ事をお伺いしますが、どこへ向かってるのでしょうか」

 

「ふぇ!? あ、失礼しました。私達はフォンタニエに向かっております」

 

 話しかけられると思って居なかったのだろうか素っ頓狂な反応を返しながらも騎士は行き先を告げるが、騎士の顔を見たことがあるような気がしたパヴァンは以前どこかで会ったことがあるかと思い切って聞く。しかし、騎士は『初対面ですよ?』と首を傾げたのでパヴァンは他人の空似かと勝手に納得しながら行き先について考察する。

 フォンタニエは元クシェペルカの東部最大の街であり、東部におけるジャロウデク軍の要所である。わざわざそんな所まで捕虜を送るのは送った側が逆に捕まる恐れが大いにありえる。パヴァンは目の前の若そうな騎士はその可能性を留意していない阿呆なのかと心配になったので、敵ではあるが人生の先立として『街まで行かずとも良いですよ』と助言したが、若い騎士は首を振ってその申し出を拒否した。

 

「貴方達の他にとても大事な方もお返ししなければなりませんのでどっちにしてもフォンタニエまで行きます。……まぁ、それを話したら『じゃあ、お前達だけで行けよ。捕まっても知らないからな』って言われてこの有様ですけどね」

 

 自身の失敗に照れながら言う騎士に、パヴァンは『一先ずフォンタニエまで行くことが確定しただけでも御の字だ』と情報収集目的の会話を切り上げて馬車の中へ戻っていく。

 そしてパヴァン達がミシリエを発ってから3日目の早朝。彼らの前にフォンタニエの城壁が姿を現した。

 

***

 

「フォンタニエよ。私は帰ってきた」

 

 レスヴァントの操縦席で汗で少し着色が甘くなった髪を弄りながらアルが今にも核の炎を放ちそうな言葉を発しながらも無用心に城壁に近づく。そんなことをすると当然だが、城壁の上にいる兵に気付かれて城壁に設置された鐘を何度も叩かれることになった。

 

「そこのシルエットナイト! ここは現在ジャロウデクの支配下である! 何用で参った!」

 

 そうしていると城門が耳障りな音を立てながら開門し、中からティラントーの小隊が得物を構えながら形式上の質問をレスヴァントに投げかける。レスヴァントがどう受け答えしようとも逃げられないようにティラントーは得物をレスヴァントに突きつけながら陣形を整えていくが、アルは堂々とした声で返答を行うために拡声器に口元を近づけた。

 

「クシェペルカから非常に大事なお方の返還に参りました。後、ついでに捕虜の方々も連れて参りました。恐れ入りますが、フォンタニエで一番偉い方を連れてきてもらえるでしょうか?」

 

「は、はぁ!? 貴様、自分が何を言っているのかわかっているのか? 出来るわけがないだろう!」

 

 突然の『代表者を出せ』という要求に小隊長と思われるティラントーの騎操士(ナイトランナー)が驚きの声を上げる。そんなやり取りが為されている最中、馬車の中ではパヴァンや騎士が暗殺の危険性もあるのにそんな要求を素直に呑む騎士などジャロウデクに居るはずは無いと突っ込みながら笑っていた。

 

 その後はもはや子供の言い合いのようだった。

 アルが『ほんと返却したいだけなので』というと、ティラントーの騎操士(ナイトランナー)は『間者だろ』と彼らの身元を怪しむ。そんなやり取りにアルはどこかデジャヴ感を感じながらも『わーわー』と形容するのが適切なほどのなんの得にもならない言い合いを続けていると、唐突に城壁の上から『何事だ!』という大声量が響いてきた。

 その声に驚いたティラントーの1機は構えを解きながら城壁に近づく。なにやら話し合っているのかしばらく城壁に釘付けになっていたが、やがてティラントーの手に1人の人物を乗せて戻ってきた。

 

「ジャロウデク王国属クシェペルカ領東方護府指揮官のドロテオだ。そこの騎士、速やかに駐機状態にせよ」

 

「承知しました」

 

 ティラントーの掌に乗ったドロテオという人物──体付きは騎士そのものだが騎士として活躍するにはいささか年老いた男の言葉に、レスヴァントは膝を立てて駐機状態を取る。だが、レスヴァントの手は自身の胸部装甲の左、人間で言う心臓の辺りに添えて頭を垂れるというまるで騎士の礼を取っているような状態で静止した。

 騎士ゆえにその操縦難易度を察したのか、ドロテオは『器用な真似をする』と感嘆の言葉を漏らすが未だにティラントーの上から力関係は明白だとばかりにそのレスヴァントを見下ろしていた。

 

「改めまして。とある大事なお方と捕虜を輸送してきました」

 

「ほう……。では、貴様を捕らえてからそのお方とやらと捕虜を回収させてもらおうか」

 

 ドロテオの目付きが一際厳しくなり、その声に反応したティラントーが得物を構えながらレスヴァントに対する包囲を狭めていく。

 

「よろしいのですか? そうなるとジャロウデクは捕虜を返還しようとした者に無体を働く蛮族ということになりますよ?」

 

「貴様! 今の立場が分かっているのか!」

 

 アルの返答に数機のティラントーの騎操士(ナイトランナー)が怒りを露にすると同時にティラントーの掌に乗っている男が鋭い声で制止を命令する。その猛禽類を思わせるような切れ味のある命令にティラントーは一瞬で動きを止めると『失礼しました』とすぐさま平静を取り戻した。

 

「たしかにそうだ。だが、戦場では時にそうなることも十分に理解しておくことだな。……長生きしたければの話だが」

 

「金言。ありがたく頂戴いたします。さっそくですが、そのお方を確認していただきたい。失礼ですが、そちらのティラントーをレスヴァントの背中の箱に近づけてください」

 

 アルの指示にドロテオは自身が足場にしているティラントーに命令をし、レスヴァントが背中に接続している珍妙な金属の箱を開くと同時にレスヴァントの背後に回らせる。そして、胸部装甲から外に出たレスヴァントの騎操士(ナイトランナー)がレスヴァントの装甲を足場にしながら移動すると、兜を外しながらティラントーの掌に着地した。

 

「アルフォンスです」

 

「ドロテオだ。……して、どなた……なん……」

 

 早朝という時間帯と金属製ゆえにかなり冷える箱の中に鎮座する棺桶を見たドロテオは最後まで言葉を続けることは出来なかった。警鐘にも似た悪い予感がドロテオの頭をかき乱すが、アルは『失礼します』と手を合わせてから棺桶の蓋を静かに開ける。

 そして、ドロテオの悪い予感が的中して棺桶の中から見知った人物が姿を現した時、ドロテオは素早くアルの首を掴んだ。自らの顔を憤怒の表情に染め上げながらギリギリとアルを絞め殺さんとするドロテオの姿を見たティラントーの騎操士(ナイトランナー)は混乱したように制止の声を上げる。おそらく、その騎操士(ナイトランナー)も棺桶の中身を見た瞬間、アルを瞬時に肉塊にしようとするだろうが、奇跡的にもティラントーの眼球水晶からは棺桶の中身は良く見えなかったので、彼はひたすらにドロテオに制止を呼びかける。

 

「おぢ……おぢづぎ……」

 

「これが落ち着いていられるか! これがぁ! ……おちつ……おちつい……」

 

 激情のままアルを絞め続けるドロテオだったが、徐々に手に込めた力が緩まっていく。そして、完全に落ち着いたのかアルの首から手を離すと自身の顔を手で覆いながら小さく『すまない』と謝罪してきた。

 自分から手を出させないことを命令しておきながら激情に駆られて捕虜返還の使者を害するなぞこの地の指揮官たる者として到底謝ったとしても許されることではない。

 

 しかし、アルは先ほどのドロテオの行いを許した。『あー、ありますあります。納期直前の仕様変更とか分からないって言ってるのに調査時間を無いように言ってくる上司とかそうしたくなりますよね』と、いまいちよく分からないことを言いながらヘラヘラとするアルにドロテオは目を丸くする。

 ただ、いつまでもそうしている時間もないので口早に『重ねて申し訳ない』と改めて謝罪しながら棺桶の蓋を元に戻したドロテオは、一旦金属の箱から出てティラントーに掌をもっと金属の箱に近づけるように指示をした。

 

「ああ、手伝いますよ」

 

「いえ、貴公はクシェペルカの人間ゆえ。手出し無用で」

 

 杖を抜き、恐らく身体強化の魔法を自らに施したドロテオが必死の形相で棺桶をゆっくりと運び出し始めた。ただ、ヒト1人入っている棺桶を元騎士とはいえ切った張ったの一線を退いたドロテオが担ぐには少々苦しかったらしく、顔を真っ赤にして息も絶え絶えになっていた。

 そんな光景につい手を貸そうとしたアルにドロテオは汗だくの顔だが優しい笑みで断った。そしてティラントーの操縦席から飛び出してきた騎操士(ナイトランナー)にも『私がやらねばならんのだ』と手出しを禁じたドロテオが杖をしっかりと持ち直すと再び気合を入れて棺桶をティラントーの掌に乗せた。

 

「アルフォンス殿、此度の件だが本当に感謝する。……だが、1つ聞かせて欲しい。貴公はクシェペルカの騎士であろう? 誰の命令で来られた? 無理に答えなくても良いが、せめて聞かせて欲しい」

 

 アルの方を振り返りながら汗だくのドロテオが感謝を述べるが、同時に『なぜここまでしてくれるのか』が気になっていた。

 戦場で貴人の遺体という物は時に政治的な刃にも使用され、敵を畏怖させる盾にも用いられる。それを綺麗に修繕し、なおかつ敵の支配下である街に護衛の幻晶騎士(シルエットナイト)もつけずに返還するのは豪胆を通り越して蛮勇そのものだ。

 それこそ、仮に『銅牙騎士団の者です』とアルが返答しようものならドロテオは涙を流しながら抱擁し、すぐさま銅牙騎士団の団長であるケルヒルトに土下座する勢いで頼み込み、義理の息子と同じ扱いで自身の部隊に引き入れるほどの皮算用をドロテオは考えていた。

 

「いいえ、僕は誰の頼みも聞いていません。……まぁ、独断ですね。捕まっても知らないぞって匙を投げられましたから」

 

 ドロテオの質問にアルは全うに答える。なにせ、本当に遺体の処遇について会議すらもなかったのでアルが勝手に修繕してこうして輸送している。捕まる云々も出掛けにエムリスが冗談交じりで煽ってきたので何1つ嘘は言っていない。

 

「そうか……クシェペルカにもこのような高潔な騎士が居たのだな」

 

 その返答に涙を流しながら感動に打ち震えたドロテオだったが、アルはただ『仏様だし。あと、やり手の指揮官を遠くに移動させたい』という、八百万と外国から来た神+宇宙的な邪神が同居しても適度に融和する日本スピリッツとデバフ効果を与えたいと腹の中の暗黒面が囁いただけなのだ。

 ただ、それを今ぶちまけると目の前の如何にも忠義に厚そうな人物に斬られかねないので、アルはお為ごかしの返答を頭の中でシミュレートする。

 

「いえ、人間には適切な居場所という物があります。それは生きてても亡くなっていても変わりません。クリストバル王子はクシェペルカの地ではなく、本国こそ休まれるのに適切と思ったまでです」

 

「おぉ……おぉ……。かたじけない!」

 

 なんとか誤魔化せたとアルは胸を撫で下ろしながら撤退の指示を出した。そのままレスヴァントに再び搭乗しようとしたが、アルはふと思い出したかのようにティラントーの掌に飛び移ると棺桶の上に移動中ずっと作っていた金色の金属で出来た花と遺髪を纏めた木箱を数個置いた。

 

「先の戦いで亡くなった方達です。遺体は無理だったので出来る限り身に着けていた物と遺髪だけを持ってきました。良ければこの花も手向けとしてご笑納ください。クリストバル様の搭乗しておられたシルエットナイトの外装で作製しました」

 

「息子にも見習わせたいものだ」

 

 あまりにも綺麗過ぎる精神にドロテオは脳裏でいつも剣をジャラジャラとつける義理の息子について思いを馳せる。騎操士(ナイトランナー)としては超がつくほど一流の戦力なのだが、騎士としての品格に欠ける言葉遣いやファッションをしている息子に目の前に居るアルの両手分の爪の垢を貰えないかと少しだけ実行しようと思案していた。

 

「それでは、失礼します」

 

「ああ、我が名に誓って追撃しないことを約束しよう」

 

 ドロテオの言葉に強く頷いたアルはレスヴァントに搭乗して空になった馬車と共にフォンタニエから離れていく。その姿が完全に消えた後、ドロテオは捕虜達を回収すると手始めにこの町を支配する折に犠牲になったクシェペルカの兵やフェルナンド大公の遺体が眠る地に石碑を建てるように命令を飛ばした。

 

***

 

 アルがクリストバルや捕虜を返還して僅か1日。捕虜の証言からクシェペルカが新型幻晶騎士(シルエットナイト)を試験的に運用していることやミシリエ近郊の戦いの勝利からそのまま中央領へ侵攻しているという報告を受け取ったドロテオは即座に飛空船(レビテートシップ)の用意をするように指示をする。

 しかし、この情報が嘘──クシェペルカによる情報操作の可能性があった時の場合を考えたドロテオは万が一のことを考えて目の前に立っていたパヴァンに提案をした。

 

「パヴァン殿、もし良ければ私に与えられたシルエットナイト、ズーティルゴでこの街の守護を任せてもよろしいか?」

 

「ズーティルゴですか?」

 

「ティラントーよりはじゃじゃ馬だが、性能は高い……そうだ」

 

 聞き慣れない名前の幻晶騎士(シルエットナイト)にパヴァンは首を傾げる。

 

 『ズーティルゴ』

 ティラントーを更なる発展・強化を名目に製作され、その結果として王族専用機であるアルケローリクスが誕生した所謂プロトタイプのアルケローリクスである。重装甲かつ大出力を持つティラントーをさらに機動性を良くさせようとした結果、当初期待していた予想値をどれも越えないといった中途半端な出来となってしまったため、計画は中止。数機あった内の1機を『ティラントーよりは少しだけ性能が高い』という理由で実力者のドロテオに与えられた。

 

 しかし、ドロテオはクシェペルカの王族を取り逃したゆえに謹慎していたのでミシリエでの戦いには参加できず、日ごろの職務もあるのでどの程度性能が向上しているのか一切搭乗していないドロテオには分からなかった。

 

「いえ、私にはミシリエのことを報告する責務があります。罰は受けるでしょうが、私も同行したく」

 

「分かった。パヴァン殿、だがこれで終わりではない。どんな窮地でも挽回の機会は必ず存在する。『機に敏くあれ』……だぞ」

 

 ドロテオ・マルドネス。最初はただの騎士だったが、そのどんな窮地でも諦めずに機会を捕まえ続けたことで数々の勝利と戦功により、一線を引いた今でもジャロウデク王国で五指に入るほどの実力者と噂されるほどの男の言葉にパヴァンは強く惹かれた。

 

 その後、パヴァンの代わりにドロテオの部下がこの街の守護を任され、仮に中央領で衝突があった時のことに備えてティラントーから性能は幾分か落ちるが、その分はるかに軽量な『ヴォラキーロ』と呼ばれる機体を飛空船(レビテートシップ)に積み込むとドロテオは乗員とクリストバル、そしてパヴァンを含めた黒顎騎士団と鋼翼騎士団の生き残りを乗せると王都のデルヴァンクールを目指して飛空船(レビテートシップ)を発進させる。

 

「では、私を部下にしていただけますか?」

 

「さっそく機を読みましたな? これから科せられる罰にも負けずに機を掴み続けていれば果たされるでしょうな」

 

 パヴァンの熱意にドロテオは少しだけ笑みを零しながら正面の空を見据える。あの時見た鬼神の姿が脳裏をちらつき、『本当にこの戦いに勝てるのか』といったドロテオらしからぬ疑問を噴出させる。

 そんなドロテオの悩みと共に飛び去っていく飛空船(レビテートシップ)を森の中から紫銀の髪の子供──エルが満足げに眺めていた。

 

「よしよし。アルの作戦通りですね」

 

「もー、アル君考えなしに墨塗りたくるのやめなよー」

 

 エルのすぐ後ろで墨を塗ったことで黒くなった髪を洗い流したアルの濡れた髪をアディが布で拭いているというなんともほんわかする空気が漂う光景が展開されているが、その周囲を銀鳳商騎士団の幻晶騎士(シルエットナイト)が待機していた。その中にはパッチワークの姿もあるが、パッチワークの指先から何本もの銀線神経(シルバーナーヴ)が延びており、その銀線の先には軽く見積もっても2個中隊ほどのレスヴァント達だった。

 

「いやぁ、レスヴァントの使い道考えてたんですが、アルが居て助かりましたよ」

 

「イカルガ動かしたいのは分かりますが、こっちのことも手伝ってくださいよ」

 

「えー、イカルガに乗る系のお仕事以外に大切なことはないですよ」

 

 エルの我侭に眉をへの字にするアル。実は、この捕虜輸送作戦の裏で動いていた『中央領に移動するふりをする』という作戦には大きな落とし穴があったのだ。

 アル達がフォンタニエに進路を取り、待機していた攻略部隊がレスヴァントからレーヴァンティアに乗り換えたのだが、ここで搭乗者が居なくなったレスヴァントの扱いをどうするか決めてなかったのだ。

 

 このまま放置するのも奪われるし、なおかつミシリエに戻して自ら戦力を減らすのもお笑い草である。そこで、エルは『アルにでも任せましょう。ムリなら隊の中に混ぜて嵩まし要員にしましょう』と現在居ない人間に無茶振りをしたのだ。これには捕虜の返還を済ませて帰還していたアルが事の顛末を聞いて大激怒。数時間に及ぶ長考の末にアルはパッチワークに先ほどの現地改修を施したのである。

 

「月からマイクロウェーブが来そうですね」

 

「パッチワークの動きをトレースするのみですからそんな器用な真似できませんよ」

 

 2人にのみ分かるネタを話していると、突如ピィィという甲高い音が聞こえてくる。それを聞いたエルは『合図です』と言うとイカルガに乗り込み、少し反応が遅れてアルもパッチワークに搭乗するといつもは操縦桿などを使用して操縦を行うのだが、今回は使用せずに両手のアガートラームに操縦席から延びた銀線神経(シルバーナーヴ)を巻きつけると直接制御(フルコントロール)を使用する。

 

 その命令を受け取ったパッチワーク。そして、同様の命令をパッチワークから延びた銀線神経(シルバーナーヴ)によって受信したレスヴァントはパッチワークと寸分たがわぬ動きをしながら森を抜け出した。

 途中、銀線神経(シルバーナーヴ)やレスヴァントが木々に引っかかったりしてかなり時間を要したのだが、それは近くで見ていたエドガーと操縦していたアルしか知らない出来事である。




綺麗なアル君でした。
最近、Hello!My World!!聞いてるとアル君とのギャップに風邪をひきそうになる。

スパロボ30・・・何が来るか楽しみですね。ナイツマこないかなぁ・・・。
魔獣だしアニメ限定だとイカルガしか飛べないからなぁ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。