銀鳳の副団長   作:マジックテープ財布

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飛翔騎士開発編_飛空船開発の章
97話


 朝。既に銀鳳商騎士団が城を出て行ったにも関わらず、アルが使用していた部屋のベッドではイサドラが未だすやすやと眠っていた。時折、『それ以上は──』と寝言を呟きながらも涎を垂らすその腑抜けた寝顔から恐らく幸せそうな夢を見ているのだろう。だが、その幸福な時間は扉を騒々しく開けた2人の女傑によって強制的に幕が下ろされた。

 

「イサドラ! あなたは何を眠りこけているのです!」

 

「急いで仕度いたします! 早く起きてください!」

 

 マルティナと長くから大公家に仕える侍女長というダブルパンチの襲来に、幸せの夢の後味がすっかり失われてしまったイサドラはげんなりしながらも朝の支度をする。そのやる気が一切感じられない緩慢な動きにマルティナは『間に合わなくなりますよ』と伝えるが、未だ夢心地のイサドラはマルティナが何を言っているのかすら分かっていない表情を浮かべた。

 

「銀鳳騎士団はもうこの地を去るんですよ?」

 

「あっ!!」

 

「ほんっとにこの娘は……」

 

 あまりの呆けっぷりにマルティナは頭を抱える。もちろんその後は先ほどまでの緩慢な動きから一変したイサドラは身支度を整えると、マルティナの手を取りながら廊下を全力疾走。そして、王城前に待たせていた馬車に飛び乗った。

 その騒々しすぎる登場に銀鳳商騎士団が城を出ていく時には既に準備を済ませていたエレオノーラは、いつも以上に溌剌としたイサドラの様子に目を剥きながらも御者に発進するように合図を送る。

 

「えっと、その……イサドラ? アルフォンス様とはその……」

 

 馬車が街中を進む中、エレオノーラは言い辛そうにイサドラに訪ねる。彼女だってお年頃の女子なので、そういった話題は今後のためになると思ったのだ。そして、イサドラの方もエレオノーラの言い辛そうな話題を察して『うん、大成功』と笑顔を送る。

 

「じゃあ!」

 

「うん、文通してくれるんだって!」

 

 その瞬間、馬車内に沈黙が流れる。エレオノーラだけではなく、母親のマルティナまでも黙りこくる様子にイサドラは『あれ?』と彼女達が黙りこくる理由が一切分からずに2人の顔を交互に見ていると、マルティナは頬をひくつかせながら極力優しい口調で話し出した。

 

「イサドラ、あの夜なにがあったのか聞かせなさい」

 

「えっと……。アルと文通するって約束してもらって…………。キスしてもらって、その後はそのまま解散……だけ」

 

「それ以上は?」

 

「なにも」

 

 昨夜のことを思い出しながら語るイサドラ。一部分だけ声をかなり小さくしたが、アレだけの準備をしたのにも拘らず接吻1つで終了。しかも、最低限である文通という縁しか結べていないことに、2人は『はぁ!?』という驚愕の声をハモらせる。

 

「アレだけ準備をしたのにも拘らずですか!?」

 

「だって! 恥ずかしいんだもの! 文通以上の縁ってどうしたら良いか分からなかったし! アルが提案してくれたからそれで良いかなって!」

 

 イサドラの返答にマルティナは再び頭に手を置いた。フリーパスを与えておいてその程度とは情けないと自身の娘を叱責したい気持ちと共に、フリーパスと共に『子供ぐらい、いくらでも隠せる』と言って完全にアルのことを極めに掛かりたかったと後悔の念に苛まれていた。

 

「イサドラ。エムリスの案を成就させるには貴女はまだ卵にすらなっていません。これから血反吐を吐くほどの厳しい勉強の毎日ですが、その調子で耐えられるんですか?」

 

「う"っ!」

 

 マルティナから出た勉強の話にイサドラは血の気が引いた。エムリスの提案する両国共通の騎士団の成立のためにはかなりの障害がある。さらに、騎士団が入る予定の領地には代表者としてイサドラを据えさせる予定なので、イサドラは今から領地の運営やら諸々の勉学付けの毎日を送る手はずとなっている。

 ただ、どちらかというとエムリス寄りのお転婆に育ってしまったイサドラにその地獄とも言えるような勉学漬けが耐えられるのかが、マルティナにとって未知数だった。

 

「耐えてみせるわ! ……アルの手紙があれば」

 

 先行きが不安なマルティナが脳内でイサドラに叩き込む予定の内容を僅かに上方修正する中、デルヴァンクールの城門を出た馬車は橋を渡り、ジルバヴェールが着水している前までたどり着いた。周囲には近衛騎士団やミシリエ、フォンタニエから参戦していた騎士達の姿があり、彼らはツェンドリンブルを使用して陸路からフレメヴィーラ王国に戻るエドガーやディートリヒに挨拶をしていた。

 そして、その人だかりの先には一足先にジルバヴェールでフレメヴィーラ王国へ戻るエル達が、バトソンやダーヴィドと共にジルバヴェールへ最後の荷物を積み込んでいた。

 

「銀色坊主。もうこの船は俺達の物ってことでいいよな? 大旦那には報告してもぜってぇ渡さねぇからな!」

 

「随分気に入ったね。親方」

 

「まぁ、新しいのを作るのも良いですが、逆もまた然りです。なんとでもなるでしょう」

 

「せんせー、僕レビテートシップに投下式の補給設備載せたいでーす」

 

「それがなんだか知らんが! うちが強くなるならヨシ!」

 

 各々が色々な会話をしながらも食料や水といった荷物を次々と船倉に積んでいき、やがて最後の荷物を積み終えると、タイミングを図っていたエレオノーラがエムリスに話しかけた。

 

「戻られてしまうのですね」

 

「ジャロウデク王国の危機は去った。後はヘレナ達、クシェペルカ王国の人間がやるべきことだ。そこには俺達のような傭兵紛いの戦力は必要ない」

 

「傭兵……レイヴン……。アル、これからは黒鴉騎士団(レイヴン)って名乗りません?」

 

「僕は緑山猫騎士団(リンクス)が良いです」

 

 なにやらしんみりしている空気の中、『傭兵』という単語1つで銀鳳騎士団の名前を変えようとしている兄弟の頭部をダーヴィドが叩く。危うく王家直属であることを示す鳥の名すらも無くなるところだったので、隣で聞いていたバトソンはため息をついた。

 そうしていると、エレオノーラはエムリスと会話が終わったらしく、彼女は呆然と壊れたツェンドリンブルを眺めていたキッドと世間話をしていた。

 

「もう! キッドの馬鹿! そんなのじゃあんまりでしょ!」

 

 劇作家が見れば狂喜乱舞しながらストーリー作成装置と化すであろうその様子を近くの木箱に隠れながら覗く数名の人影。その内の1名であるアディが兄のあんまりな態度に腹を立てながら、手元のちょうど良いぬいぐるみ(エルネスティ)に抱きつく。

 

「キッドがシルエットナイトだったらスクリプトを書き換えて、ついでにマギウスエンジンに細工をするところですよ」

 

「エル君も人のこと言えないでしょ?」

 

「はい?」

 

 少しきつめに抱きつくアディから放たれるジト目に、その意図を全く察しない我らが騎士団長の姿にヘルヴィは『うちの騎士団の男達は1人除いて朴念仁ばっかりね』と呆れる。その言葉を横で聞いていたエドガーは、『そうだな』とまるでヘルヴィの言っていた1名が自分だと思っているように同意する。

 だが、その返答を聞いたヘルヴィはムッとしながら自身の足をエドガーのつま先に鋭く落とした。

 

「エドガーもよ!」

 

「痛っ! 酷いぞ、ヘルヴィ!」

 

「君達、それは余所でやってくれ。気付かれる」

 

 犬も食わないような漫才を木箱の陰という狭い空間でやり取りしていたので、ディートリヒは軽くキレながらも視線はキッド達を離さない。

 そうしていると、エレオノーラの表情に陰りが見え始めた。

 

 戴冠式では威厳があった姿も鳴りを潜め、すっかりミシリエで見たことのある気弱な女の子になってしまったエレオノーラに、キッドは別れの言葉を告げる。ただ、その言葉はエレオノーラにとっても聞きたくない言葉だった。俯いた彼女はそのままキッドの手を取り、強がりとも言えるような言葉を紡ぎながら俯いた顔から落ちた滴で地面を濡らす。

 その様子にキッドは騎士の礼を取り、『クシェペルカ王国に危機があれば駆けつける』といった約束を行った。もし、エムリスにでも聞かれていたら『勝手なことを』と怒られるところなのだが、その言葉を聞いたエレオノーラは俯いた状態のままキッドの胸に飛び込んだ。

 エレオノーラの突然の行動に驚いたキッドだが、自身の胸元からエレオノーラの声が漏れた。

 

「すみません。少ししたらちゃんと女王に戻ります。だけど……今だけは!」

 

「……ええ、これからも御身が安らかでありますように」

 

 騎士としても男としても及第点の対応に、ディートリヒは小さく口笛を吹いて影ながら彼らを囃し立てる。だが、そんな対応を行ってもなおアディは不満げな表情を浮かべながら自らの腕の中に納まっているエルに一つの提案を投げかける。

 

「ねぇ、エル君。アル君もだけど、このまま置いて行ったらどうするかな?」

 

「キッドはともかく、アルはツェンドリンブルの荷台に張り付いてでも戻ってきますよ。そして、僕らに然るべき制裁を加えるのでダメです」

 

 地味に酷い提案に、エルは『アルもそうだけど、アディも兄を蔑ろにし過ぎでは?』と少しばかり憤る。さらに置いていくという提案にも銀鳳騎士団的にもアウトだろうと返答しようとエルは口を開けるが、その前に木箱に近づいてきたエムリスが『それは出来ん』とエルの言いたいことを奪った。

 

「銀鳳騎士団は王家直轄。つまり、今は親父付きの騎士団だ。その人員をどうこうする力は持ってないし、俺もキッドをこのまま置いていくのには反対だ。……今はな」

 

「若旦那って常日頃からパワーって言っておきながらそう言ったパワーは無いんですね」

 

 アルの時も国家権力的に無理と言ったこともあってか、エムリスを見るアディの視線は冷たい。その多少どころではない棘を含んだ言葉は正確にエムリスの心を傷つけ、『俺だって傷つくんだぞ』と半泣きにはなるがすぐに立ち直ったエムリスは、キッドとエレオノーラを見ながら自信ありげな表情を浮かべた。

 

「アルの件はほんっとーにどうなるか分からんが、キッドは考えがある。まぁ、任せておけ」

 

「逆を言えば、アル君はどうにもならないんですね」

 

「アディ、言い過ぎですよ」

 

 年頃の娘らしく、恋愛に比重が傾いたアディがそれでもエムリスに突っかかるが、エルの口からストップが掛かる。それ以上は言いすぎだし、エル自身もこれからの活動にはアルの軽いフットワークや培った強固な人脈が必要不可欠だと思っていた。

 

 フレメヴィーラ王国に帰還後、銀鳳騎士団は即座にカンカネンに召集される筈だ。そこで改めて飛空船(レビテートシップ)の説明をすれば、リオタムスは次の手として国立機操開発研究工房(シルエットナイト・ラボラトリ)へ技術提供を指示するだろう。

 だが、このエルネスティ・エチェバルリアという男。極度のロボキチであり、同時に『仕事の割り振り方を心得ている人間』である。そして、エルやアルの中には新しい概念である『飛空船(レビテートシップ)と共に往く幻晶騎士(シルエットナイト)』の構想が浮かび上がり、かつディスカッションによって固められている。それが何を意味するのか──そう、国立機操開発研究工房(シルエットナイト・ラボラトリ)への技術提供の一切をアルに丸投げする予定なのだ。

 ちなみに激しい抵抗が予想されることから、この予定はもちろんアルには一切提供されていない。

 

「そういえば、アルはどこに?」

 

「そんなの決まっているだろ?」

 

「結果はアレだったけど、あの子は安心して見てられるわ」

 

 絶対にやりたくない仕事を任せるためにもアルを置いていきたくはないエルがアルの所在を聞く。すると、エムリスやヘルヴィが自分の口元を指で押さえ、先ほどキッドを出歯亀した時よりも小さい声で会話しながら視線で合図を送る。その視線の先にはイサドラとアルが先ほどのキッドやエレオノーラのように別れの挨拶を行っていた。

 

***

 

「ジャロウデク王国も撤退しましたし、戴冠式も終わりました。なので、帰ります」

 

「……本当に嬉しそうね。私とあんなことした癖に」

 

 なにやら誤解を生みそうな言葉に、急にアルは周囲を何度も観察しながら『時と場所を考えてください』とイサドラに注意する。誰かに聞かれた場合、最悪アルは全員にあらぬ誤解を広める前に下手人の頭をぶん殴って記憶を消す『フリーメイソンごっこ』をしなければならないからだ。

 ちなみにその言葉もばっちり出歯亀組に聞こえるが、事のあらましを聞いていたので特に誤解が生まれることは無かった。

 

「僕も人の子ですからね。国へ帰れるのは嬉しいことです」

 

「本当に……私のことは」

 

「言ったら引き下がらないでしょ。この段階で引き下がらないのは逆にみっともないですよ」

 

 アルがあえてイサドラのことについて言及しなかった理由を告げる。

 イサドラは芯の強い娘だ。だけど、その強さは時に『子供の駄々』へと変貌する。この段階で駄々をこねられてもアルとしては困ってしまうで、アルは余計なことを言わないと決めていたのだ。

 しかしながら、その理由がイサドラにとって拒絶ともいえる致命的な言葉だったのか、イサドラの目元から涙が一筋。その変わりようにぎょっとしたアルは、『めんどくさ可愛い』と真逆の感想を脳内で言いながら表面上では『仕方ないですね』とヤレヤレ系を演じた。──誰だって惚れた女の前では格好付けたいものである。

 

「僕も昨日の契約は少し思うところがありましてね。あんなにしていただいたのにアレっぽっちでは商売人としての沽券に関わるんですよ」

 

「その設定、まだ生きてたんだ」

 

 もうフレメヴィーラ王国に帰るので、商騎士団設定は死んだものだと思っていたイサドラは頬を引きつらせる。そんなツッコミを聞こえない振りをしたアルは、胸ポケットの中から鞘に収まった状態の銀の短剣をイサドラに差し出した。

 

「銀で出来ていますが、切れ味は保証します。懐刀としてお使いください」

 

 銀の短剣が銀鳳騎士団製の幻晶騎士(シルエットナイト)を動かす鍵であることをもちろん知っていたイサドラは、なんの機体の鍵なのか分からなかったのでしげしげと検分する。そして、短剣の柄にある特徴的な傷を見つけるや否や、イサドラは驚きの声を上げながらアルに短剣を突き返す。

 

「これ、パッチワークのじゃない」

 

「ええ、パッチワークの物です。僕の出せる中で実用的かつ、大事な物って言ったらこれぐらいですからね」

 

 突き返された短剣をさらに押し返したアルに、イサドラは短剣をしっかりと保持すると胸の中に押し抱いた。

 現状、パッチワークはもはや何も出来ずに解体を待つスクラップである。ただ、この銀の短剣だけは一応とはいえナイフとして使い物にはなるので、携帯してパッチワークとの思い出に浸ることも考えるとアルにとってはかなり大事な物品である。

 それをいくら文通相手とはいえポンと渡すことに、エルをはじめとした銀鳳騎士団の面々が『あのアルが幻晶騎士(シルエットナイト)の鍵を渡した!?』と驚くが、エムリスは腕を組みながら『国許へ帰ったら親父やじいちゃん巻き込むか』と覚悟を改める。

 

「後、これも」

 

 そう言ってアルがもう一度胸元のポケットを漁り、クシェペルカ王国ですっかり定着しつつあった鉄華を取り出した。

 この鉄華は昨夜、アルとイサドラが文通を行うという契約を結んだ後に作られた物である。

 あの夜、あのまま一緒に居たのでは間違いを犯してしまいそうだったアルは人知れずジルバヴェールの停泊しているこの場所まで戻ってきていた。そこで『なにか贈れないかな』と模索した結果、パッチワークの比較的無事な外装と綱型結晶筋肉(ストランド・クリスタルティシュー)の切れ端を取り外し、2本の鉄華を作り出したのである。

 

「ちょっと色合い悪いですけど、パッチワークの外装で作った鉄華です。機体の一部と鍵、確かにお預けしました」

 

「はい、確かに受け取りました。また……来れる?」

 

「何言ってるんですか。自分の愛機のためならまた来ますよ」

 

 アルもまた重度のロボット愛好家である。自分の愛機の為ならば、いくら忙しくても時間を空けることも訳はない。『あくまでも幻晶騎士(シルエットナイト)のため』というアルらしい言い訳の伏線に、イサドラは笑いながら『パッチワークと待ってるわ』と告げた。

 

「後はもう一つ……。ちょっと失礼」

 

 そう言ったアルは周囲の様子を見出した。どう見ても厳戒態勢なアルに、出歯亀をしていた一同は冷や汗をかきながら木箱の後ろに全員退避する。

 ただ、退避する際に少しだけ物音が響いてしまったので、エルは咄嗟に『ブゥオォォ! ブゥオォォ!』とほら貝の音を声で表現する。

 

「なんだ、野生の家老か。……見られてるんなら仕方ない」

 

 その声をとりあえず『ただの家老』という変なナマモノ扱いしたアルは、銀鳳騎士団の隊服の上着を脱ぎながらそれを自分とイサドラの頭に掛ける。

 突然上着をかけられたことで少しだけ取り乱すイサドラだったが、そのイサドラの唇に何かやわらかい物が触れる。その正体が何なのか分からないまま頭にあった上着が取り外され、クリアになった視界の先には口の端を少しだけ釣り上げたアルが、『おさらばです』と自身の口もとに指先を数回当ててからジルバヴェールに向けて歩き出した。

 

「え……。あっ……アル! 手紙送るからね!」

 

 ようやくやられたことを悟って再起動したイサドラが手を振りながらもアルにもらった物をしっかりと抱きしめる。銀鳳騎士団の隊服からは少しだけアルの香りがした。

 金属と油と汗といったその不快指数が上がる臭いだが、同時にとても安らぐような香りにイサドラは再びいとおしそうな目で去っていくアルの後姿を見つめた。

 

「あれ、副団長。上着どうしたの? 失くしたの?」

 

「上着はクシェペルカとの縁になり申した」

 

 アルが上着を着ていないことに騎操鍛冶師(ナイトスミス)が気づいたが、アルの言葉にひたすら首を傾げていた。

 

***

 

 やがて、それぞれに別れの言葉をかけ終わったと見たエルは長居は無用とばかりに出発を宣言するところでアルが『待った』をかけた。既にジルバヴェールは浮かび始めているのだが、アルは船倉まで駆け下りるとイカルガの執月之手(ラーフフィスト)にその身を固定し始める。

 

「兄さん。ラーフフィストを降ろしてください」

 

「また面白そうなことするつもりですね?」

 

 一旦源素浮揚器(エーテリックレビテータ)へのエーテルの流入を止め、その場に留まったジルバヴェールの甲板にイカルガが出て来る。騎士団長の突然の行動に、陸路で帰還しようとする銀鳳騎士団員の面々も何をするのかとその光景をじっとしていたが、ふいに後ろを向いたイカルガは執月之手(ラーフフィスト)を固定している強化魔法を解除した。

 ガキンッという金属同士の接続が切れるけたたましい音と共に、執月之手(ラーフフィスト)の手の部分が銀線神経(シルバーナーヴ)で出来たケーブルをくっつけたまま地上に垂れ下ってきた。その執月之手(ラーフフィスト)の中にはアルが収まっており、やがて執月之手(ラーフフィスト)が完全に地上に降り立つ。

 

 そして、アルは執月之手(ラーフフィスト)からひょいと降りるとそのままクシェペルカ王国の見送りの集団まで歩き始めた。心配そうにアルを見つめるイサドラを抜け、声をかけようか思案するエレオノーラを抜け、説明を求めたそうな表情で見るマルティナを抜けていく。そこでようやくアルの足が止める。彼の目の前にはクシェペルカ王国の近衛騎士団の騎士団長が立っていた。

 

「あ、アルフォンス殿。いかがしました?」

 

「いえ、忘れ物をしたので」

 

 そう言ったアルは首に下げていた紅玉をあしらったネックレスを外してから騎士団長を屈ませる。屈めてもなお騎士団長の方がいささか高いのだが、アルは騎士団長のごつい首に手を回すと先ほど外したネックレスを取り付けてやる。そして、再び立ち上がった騎士団長の手に昨夜作ったもう1本の鉄華を握らせながら握手を求めた。

 

「鉄華の騎士はクシェペルカ王国所属の騎士なので、継いでもらっても良いですか?」

 

「謹んでお受け致します」

 

 騎士団長がその握手に応えた時、割れんばかりの拍手が巻き起こった。

 

 こうして鉄華の騎士となった近衛騎士団の騎士団長はクシェペルカ王国の復興に尽力し、後にジャロウデク王国のカタリーナとの協力を経て、大西域戦争(ウエスタン・グランドストーム)の戦没者を出来る限り故郷に返そうと尽力することになる。だが、後に鉄華の騎士を正式な役職にする際、本人は頑なに『初代』を名乗るようなことはしなかった理由については、度々後の歴史家の論争の種となっていた。

 

 閑話休題

 

 要件を済ませたアルは改めて執月之手(ラーフフィスト)の手に収まると、上空のイカルガがゆっくりと執月之手(ラーフフィスト)を上に持ち上げていく。

 

(あ、シルエットナイトにワイヤーで掴まる方式の昇降機実装したら乗り降りしやすくね?)

 

 幻晶騎士(シルエットナイト)に新しく取りつけられそうな装備の案を考えながらもアルはジルバヴェールの甲板に戻っていった。

 

「お前ら、本当に忘れ物はないな? 行くぞ?」

 

「ないです」

 

「船の出発を宣言しろ、磯野! 全速前進だ!」

 

 もう忘れ物はないらしく、銃の撃鉄をカード1枚挟み込んで無力化しそうなセリフを吐くアル。その言葉にエル以外は『イソノって誰?』と謎の人物について思いながらも魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)を作動させてデルヴァンクールから一気に離脱する。

 

「あ、兄さん。とりあえず、出歯亀とか諸々の罰は借りにしておきますので。エムリス殿下とキッドとアディは、ラボに提出するレビテートシップ指南書の誤字脱字の確認をしてください。間違えてたら殿下の責任にするので」

 

 再びイカルガを船倉に戻した際、アルは先ほどの出歯亀や諸々の外堀を埋めてくれたことによる制裁を加えはじめる。

 エルは後で作るであろう飛行型幻晶騎士(シルエットナイト)の試作品でも強奪(星の屑作戦)するとして、キッドは──本人の性格から巻き込まれた形だろうし、アディもしばらくエルと離してやればそれが十分に罰になるだろう。そう考えたアルは、エムリスと共に国立機操開発研究工房(シルエットナイト・ラボラトリ)に提出する飛空船(レビテートシップ)の構造や運用方法を記した指南書のレビューを命じる。エドガー達については後から思い出したかのように話して追い込んであげれば面白……ゲフン、罰になるだろう。

 

 案の定、その沙汰についてエムリスをはじめとした面々から非難が上がるが、アルは無視してキッドのところへ向かう。

 

「おい、アル。流石にそれはねぇんじゃ……なんかあんのか?」

 

 アルの真剣な目つきに今まで笑いながら『確認作業は嫌だ』と駄々をこねていたキッドは表情を整える。

 

「キッド、本当に良いんですか? 僕が言うのもなんですが、1人ぐらい行方を眩ませても、もみ消しますよ?」

 

「いや、十分だよ。それに、俺があそこに留まっても何の役にも立てないだろうし。……まーなんだ、今度会う時は俺も立派になってなきゃなって思ってさ」

 

 照れくさそうに頭を掻くキッド。だが、その『今度会う時は立派になっている』という男の覚悟が果たされることはなかったのだが、それはもう少し後の話である。

 

 その後は、鍛冶仕事が無いことで割かし暇になったダーヴィドが厨房でポトフを作るという家庭的な瞬間を垣間見たアルが、『いつでもどこかの婿になれますね』と言った後、ジルバヴェールの舳先に吊るされるという事件や、ジャロウデク王国の敗残兵に襲われている村を幻晶甲冑(シルエットギア)を纏ったエルとアルだけで制圧して後処理を近くの砦に任せたりと様々なことを上空で経験しながらジルバヴェールはいよいよフレメヴィーラ王国の領空へ侵入する。

 

「銀色坊主、銀色小僧。フレメヴィーラの空に着いたぞ」

 

「ここからは魔獣にも気を付けないといけませんね。機銃班を編成し、見張り台に人の追加をお願いします」

 

「じゃあ僕はイカルガに「過剰戦力です」……うぇー」

 

 フレメヴィーラ王国の領空に入ったことで今までのほほんとしていた艦橋の空気は一瞬でフレメヴィーラ魂一色に染まっていく。何時、飛行型の魔獣に襲われても良いように見張りの数は倍増され、機銃班も編成されると即座に各充座に取り付いていく。

 そんな臨戦態勢の状態でイカルガを出すなど『警戒』を通り越して、もはや『撃滅』である。アルの指摘にエルは口を尖らせながら伝声管へ近づいた。

 

「御三方、フレメヴィーラ王国の領空です」

 

「うえぇぇ!?」

 

「ウッソだろ!? まだ半分も終わってねぇよ!」

 

「ウッソじゃないです。エルネスティです」

 

 伝声管から聞こえてくる大声に艦橋に詰めるダーヴィドを含めた騎操鍛冶師(ナイトスミス)達は『やっぱり間に合わなかったか』と苦笑する。

 この飛空船(レビテートシップ)に関する指南書。大勢の騎操鍛冶師(ナイトスミス)の合作であり、それぞれ分かったことを手当たり次第詰め込んだ雑記帳と化していた。それをアルやダーヴィドが編纂し、たまに2人が『こんなこともあったな。書いとけ』とさらに内容を厚くさせる物だから、その総量は膨大である。

 

 そうしていると、騒々しい足音と共にエムリスが艦橋の扉を開いて中へ入ってきた。

 

「な、なぁ! このままゆっくり進まねぇか!? 王城は逃げねぇよ!」

 

「これから増速をかけますよ? 空の魔獣が寄って来ない保証はないので駆け抜けます」

 

「増速しまーす」

 

「ぎゃぁ"あぁ!」

 

 これ見よがしに増速をかける騎操鍛冶師(ナイトスミス)に、コラージュされたマーモットのようなエムリスの絶叫が艦橋に響く。

 しかしながら、ここはフレメヴィーラ王国である。いくらフランベルジュやら田舎と罵られようが、魔獣と呼ばれる存在と日夜切った張ったを繰り返している修羅の国だ。そして、その魔獣の生息域は地上のみではないことから一気に駆け抜けるのが上策であることはエムリスもよく分かっている。

 

 だが、それ以上にエムリスは父親と祖父が怖かった。『お前はクシェペルカで何を教わってきたんだ』と言われながら延々と説教され、何度も何度も頭を小突かれる。もしかしたら近衛との鍛錬や身体を動かすことは最低限に、後はイサドラと同じく1日の大半を勉学に費やすことになるかもしれない。それはどうしても避けねばならなかった。

 小癪なことに目の前の小さい悪魔の片割れは、やると言ったら必ずやる性質である。恐らく、例の指南書を渡す際にそれとなく責任を押し付けようとするだろうと推測したエムリスは頭を悩ませる。

 

「そ、そうだ! 魔力! こんだけぶっ飛ばせば魔力があれだろ? もっとゆっくり……」

 

「ツェンちゃん達が居るから大丈夫でーす」

 

「イカルガも居るのでこの3倍は余裕でいけますよ」

 

 久方ぶりにエルに抱き着けてご満悦なアディとアディの相手にはもはや慣れっこなエルからの発言により、燃費問題を盾にジルバヴェールの速度を落とす作戦が瓦解する。そうしている間にもアルが『このままだと森に行きますが、近いんでさらに速度上げましょうか』と悪夢のような提案をしていた。

 だが、エムリスは何とか時間を稼ごうと諦めなかった。

 

「そ、そうだ! 今、夜中だし城の者も迷惑するだろう? 数日かけてからの方が良いって!」

 

「殿下ー、この速度で行っても朝にはカンカネンに着くので安心してください」

 

 時間を盾にもう少しゆっくり行くことを提案するが、見張りから方向と距離を聞いてカンカネンへの到達時刻を計算していた騎操鍛冶師(ナイトスミス)がサムズアップを送る。正直に言えば、彼らはいかにフレンドリーな殿下であっても王族の一員には変わりはなく、結構ストレスも溜まっていた。つまり、早く帰宅したかったのである。

 

「しかし、もうカンカネンですか。道が渋滞しない分を見ると、この機動性は脅威ですね」

 

 そんな中、エルとアルは実際にフレメヴィーラ王国を飛空船(レビテートシップ)で駆けてみた感想を漏らす。

 おそらく飛空船(レビテートシップ)を初めて見た町や村では大騒ぎが起こっているだろうが、その騒ぎに幻晶騎士(シルエットナイト)が出てきたような報告は受けていない。仮にクシェペルカ王国が滅んだ状態でフレメヴィーラ王国に攻めてきた場合、関所周辺の村々が橋頭保として占領された状態での戦闘になっていただろう。

 

「砦とかに対空陣地でも作っておいた方が良いですかね。先んじて砦にでも作ってみます?」

 

「それはアルにでも任せますよ。僕は飛行型のシルエットナイトで遊ぶので」

 

 今後増えてくる飛空船(レビテートシップ)やそれを使用した侵略行為に先んじてアルが対空陣地の提案をする。しかし、エルはその提案を自分の一番やりたいこと(開発)に差し障ると判断したのか、アルに丸投げをする。

 

「お、あともうちょっとでカンカネンだ」

 

 そんな問答を繰り返している間にジルバヴェールはようやくカンカネンの街並みが小さく捉えるが、船を減速しようとした際にエムリスはアディを引き剥がすとエルを勢いよく持ち上げた。

 

「ぎ、銀の長! 家に帰りたいだろう! そうだよな! 帰りたいよな! よし、ライヒアラへ向かおう」

 

「エムッ……ちょっ……」

 

 そのまま腕をぐわんぐわんと揺らすことで何も言えないエルに周囲にどよめきが起こる。その騒動にアルは『ちょっと罰が過酷すぎたかな?』と反省し、慌ててエムリスに『僕もフォローするんで帰りましょう』と宥める。

 

「ほんとだな?」

 

「はい」

 

 威圧するような目でアルのことを睨みつけたエムリスだが、力強く返答したアルに一瞬で雰囲気が変わり、『じゃあ降りるか』となんとも早い変わり身で指示を出す。

 だが、無情にもジルバヴェールは止まらなかった。各所からの報告を纏めたダーヴィドから『魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)を最大まで吹かせた飛空船(レビテートシップ)は急に止まれない』という教訓を得た一同は一瞬だけ『そっかぁ』と納得するが、すぐにどうするべきかを話し出した。

 

「だ、誰か飛び降りて報告してこい! このままだと不敬罪だぞ!」

 

「誰が飛び降りるんだよ! あ、そうだ! イカルガ! 騎士団長!」

 

「あ、アルに行かせます。もうシルエットギア取りに行かせましたし」

 

 喧々諤々と行われていた協議はエルの言葉によって静まり返る。その間もジルバヴェールは進み、王城であるシュレベール城の真上を通過したその時、扉を開いたは良いがドアの大きさ的に室内に入れずに佇む1機の幻晶甲冑(シルエットギア)が静寂を打ち破った。

 幻晶甲冑(シルエットギア)は最初どうやって中に入ろうか右往左往していたが、バトソンが『それ脱げば?』という指摘に動きをピタリと止めると、中から鞄を持ったアルが飛び出してきた。

 

「兄さん、準備に入るので降下指示の方をお願いします。陛下にはヒューマンエラーとかあの手この手でお咎め無いようにしておきますね」

 

「お願いします。僕達は一旦ライヒアラに帰って1晩待ってから通常速度で出発するので、3日後ぐらいに合流予定です」

 

 テキパキと伝達事項が連携され、最後にエムリスを連れて行ったアルの後姿に『これほど報告が出来る上役が1人居て良かったと思ったことはない』と全員が心の涙を流していた。

 

***

 

 船倉の開閉部分の前には1機の幻晶甲冑(シルエットギア)が立っていた。背部にはイカルガから抜き出した板状結晶筋肉(クリスタルプレート)の束を背負い、幻晶甲冑(シルエットギア)の下部にはこれもイカルガの予備パーツから拝借した魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)紋章術式(エンブレム・グラフ)部分が溶接されている。

 

「船倉開きます」

 

 近くでその幻晶甲冑(シルエットギア)のチェックを行っていた騎操鍛冶師(ナイトスミス)の言葉と共に船倉の下部が開き、そこからカンカネンの街並みが一望出来る。しかし、カンカネン内に降りるはずがずいぶん遠くになってしまったので、アルは近くの騎操鍛冶師(ナイトスミス)に頼んで森に降下しないようジルバヴェールの航行ルートを艦橋へ指示してもらう。

 

「なぁ、アルフォンス。本当にやるのか? ゴルドリーオの方が安全じゃないか?」

 

「碌な減速装置もないのに安全ってことはないですよ。それに、今から動かしたんじゃ到底間に合いません」

 

 現在、エムリスは幻晶甲冑(シルエットギア)に横抱きにされ、さらにそこから幻晶甲冑(シルエットギア)の腕に完全に固定されるように縄で縛りあげられた状態であった。その状態でこれから行われることに、流石のエムリスも怖いのか船倉に格納されているゴルドリーオを見ながら幻晶甲冑(シルエットギア)に乗っているアルに疑問を零すが、アルはその疑問に冷静な口調で返す。

 すると、伝声管を伝って船倉内にエルの大きな声が響き渡った。

 

「ジルバヴェール。コースよし。コースよし。よーうい、よーうい、よーうい」

 

 風切り音でも聞こえるように何度も伝えられる降下タイミングに、アルはエムリスに声をかける。やがて、『降下! 降下! 降下!』と3回繰り返される降下指示を聞き、アルは『お世話になりましたー』と言いながら船倉に開けられた穴から空に身を投げ出した。

 

「姿勢制御開始」

 

 滅茶苦茶に吹き荒れる風圧によって足を用いた姿勢制御が覚束ない中、アルは小刻みに魔導大気推進器(マギウスエアスラスタ)を吹かし始める。

 魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)は大出力だが、姿勢制御という細かな動作をするには生体魔導演算機(マギウスエンジン)──エルのような演算能力が無ければその出力に振り回されてしまう。その点、出力が小さい魔導大気推進器(マギウスエアスラスタ)の方はそういった細かな調整には最適であった。

 空気の流れに時には身を任せ、流されるようなら魔導大気推進器(マギウスエアスラスタ)で宥めてやるような調整を行い、ようやくアルは地面と垂直になることに成功する。

 

「着地行きます」

 

「任せたぞ」

 

 ここまで来るともう安心である。アルは背部の板状結晶筋肉(クリスタルプレート)に取り付けられた銀線神経(シルバーナーヴ)幻晶甲冑(シルエットギア)に接続し、魔力経路を変更する。すると、幻晶甲冑(シルエットギア)の下部に増設した紋章術式(エンブレム・グラフ)が爆炎を噴出すことで落下の速度が急激に落ち込んだ。

 500──400──300と地面までのカウントダウンが近づいていくと、アルは魔力経路を再び戻した後に背部の板状結晶筋肉(クリスタルプレート)をパージして身軽になった状態で着地地点に範囲を広げた大気衝撃吸収(エア・サスペンション)を展開。見事にフレメヴィーラの地に降り立つことに成功した。

 

「おい! そこの鎧! 動くなよ!? ……いや、誰かは分かっているが一応動かないでくれ」

 

 ただ、とても目立つ謎の空飛ぶ船から何かが落ちてくるといった未曽有の事態に真っ先に対応したのは近衛騎士団であった。空飛ぶ船を見た瞬間に幻晶騎士(シルエットナイト)に搭乗し、その船を追いかけていた彼らは突如落ちてくる『物体』にターゲットを変える。

 歩を進めるごとにその物体は大きな鎧だと判断した騎士は、拡声器の出力を上げながら接近。大鎧の腕に収まっている人物や、見覚えのある造形が所々にある幻晶甲冑(シルエットギア)と呼ばれているフレメヴィーラ王国の一部で使われている装備を見た騎士は、威圧するような言葉を徐々に頼み込むような言葉へと変えていった。

 そして、その不審者の前で止まった彼は機体の胸部装甲を開けながら地上に降りると、彼の姿を見た不審者──この国の王子の姿に『後ろのやつはきっとあいつなんだろうな』と予想する。

 

「お久しぶりです」

 

「よぉっ、団長。久しいな」

 

 素顔を見せるアルとその腕の中でニカリと笑うエムリスに、降りてきた騎士──騎士団長は『やっぱりか』とため息をつく。とりあえずはシュレベール城に報告を出した後、後ろで『固っ! あいつらどんだけ厳重に縛ったんだ!』と悪戦苦闘する2人に携帯しているナイフを貸すのが急務と騎士団長は周囲に展開しているカルディトーレ達に指示を送った。

 

 -大西域戦争(ウエスタン・グランドストーム)編 完-




ようやくウエスタン・グランドストーム編終了となります。

ナガカッタ。

師走ということなので、1~2週間に1話のペースとなりますが出来る限りは続けようと思っておりますので、これからもよろしくお願いします。
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