日を改めたエルがシュレベール城へ登城し、リオタムスから銀鳳騎士団の新たな姿について説明が行われている頃。
「──で、あるからして。この機体に詰め込んだ思いは"生存性"であります。そのために些か外れやすいという問題があったオプションワークスの排除。アタッチメント部分は頑強な固定式に入れ替えています。また、マギウスジェットスラスタによる短時間かつ長距離移動の実現。さらに、全身のシルバーナーヴやストランド・クリスタルティシューに2本目を用意することで、過激な操縦から断線を抑制する機構を取り付けております」
「素晴らしいの一言ですね」
説明を聞き終えたアルは、手放しで機体を褒めた。
試作型指揮官機。機体コンセプトは先の説明にもあった通り、『生きて帰ってくる性能を突き詰めた機体』である。
その何が何でも
これらの
「比較的新しめのマギウスジェットスラスタを取り入れることもさることながら、カルディトーレ系統の強みの一端を担うオプションワークスを取り外すのも冒険しましたね」
「はい。我が孫娘ながらそちらの騎士団でなにやら悪いことを覚えこまされたらしく、最初はこれよりもかなり……アレでしたので」
『アレ』と称された内容が若干気になったオルヴァーだが、藪を突いて魔獣が出かねないのでそれ以上の言及を避けると改めて書面に目を通す。
カルディトーレの装備である
ただ、アタッチメント越しに機体と様々な武装が接続する関係上、どうしても整備面や被弾時においての欠落のしやすさといった些細な不満点が出てきていたのも事実で、今までの
しかし、この機体は『ならば種類は不要』とばかりに武装を固定化と非常に潔い。これならば、点検する武装の種類も1種類しかないので整備がしやすいし、しっかりと固定されていることから
「僕としては操縦負荷の分散機構が好感度高いですね」
「ベヘモス事変の際にそちらの中隊長の機体が整備直後であったにも関わらず、クリスタルティシューがパーツ単位で疲労断裂が起こっていたという情報を孫娘から聞きましてな」
「デシレアさん、貴女こっちでなに勉強してきてるんですか」
「あたしはただ、ダーヴィドや他の
銀鳳騎士団が諸悪の根源とばかりにガイスカが言ってくるが、アルも彼女自体の高すぎるやる気が原因だろうと疑問を投げかける。すると、デシレアは
そんな彼らに
今では
「だから少しでも壊れにくいように"予備"を作ったの。例え、あの規格外な騎士団長が乗っても壊れないように。でも、まずは──」
「僕が乗って壊れないかの心配ですね?」
言いたいことをアルが言ったからか、デシレアは『当たり!』と元気良く答える。
そんな
「そういえば、現地に行ったやつらからシルエットナイトと何かを合体させたって話出てたんだが、本当かい?」
「本当ですよ。原理としては──」
その最中、ふとボキューズ大森海から早めに帰還した
またしても新技術の検証と納期の対応に追われそうな予感に、オルヴァーは『またかー』と母国の軍事力が高まる期待と所長ゆえに各方面への対応という悲哀が入り混じった表情で彼らを見つめるが、彼の視界の端を体は老人、頭脳と腕は一線級、そして心は少年といったちぐはぐな存在が非常に喧しく自己主張をしている。
「所長、ワシも……」
「もう、御好きになさってください」
もはや『新技術大好き爺さん』と化したガイスカを放出したオルヴァーは、ひとまずマガツイカルガの合体機構を検証する旨をリオタムスに報告するために部屋を後にする。
度重なる議論と『おれこっちやりたい!』、『あぁ? お前がやれよぉ!』といった興味が出た部分をやりたいという我が侭を押し通す腕力の末、デシレアから試験監督官の任を(強制的)に押し付けられた
ちなみに腕力や就いていた元の権力によって自由を勝ち取った一部の
そんな紆余曲折があったが、次の日から試作型指揮官機の運用試験は幕を開けられた。
***
デュフォール前の広大な草原の前では1機の鉛色をした機体が静かに佇んでいる。その周囲には
「それでは、試作型指揮官機……"ニキチッチ"の稼動試験を開始します」
すると、その機体の拡声器からアルが開始の合図を告げる。ニキチッチというのは、昨日の試験内容を詰める時に『呼び名がないと不便』ということで、またもや雑学オタクが火を噴いた名前である。
元はキエフの三兄弟という前世の物語に出てくる登場人物で、『栄光』といった良い意味の名前を持つというのが1割の理由。その他9割は詳しい話は省くが、『既に朽ちた肉体をなんやかんやして再構築しながら冥府から舞い戻る』や、『心臓はめ込んだら生き返った』という物語があるぐらいに生命力が半端ないという理由からである。
閑話休題。
片手で試験行程に書かれた操縦席内のチェックリストを見ながら、もう片方の手で指差し点検をしていたアルの耳に拡声器越しの
「立ち上がりの確認が取れ次第、駐機体勢と直立体勢を5セットお願いします」
「分かりましたー」
まずは挨拶代わりに基本姿勢である駐機体勢と直立体勢を反復させる。この試験項目だが、仮にNGが出た場合は
しかし、万が一があっては困るという
なお、ちょっとだけ某機動戦士なプラモデルの稼動域の広がりによるポージングの多様化に目を輝かせていた前世の記憶を思い出したのは秘密である。
「続けて3秒間全力疾走、その後急停止。……もちろん"本気"で構いませんよね?」
「はい、そうでないと副団長殿を呼んだ意味がありません」
「ナイトスミスはあらかじめ班毎に集合!」
ある程度基本操作の試験が完了した頃、いよいよ実践的な試験に入る。『本気』という言葉に今一度真剣な面持ちでニキチッチを見た
彼らは全力疾走後の脚部を即座に診断することで、
彼らが見守る中、
「3秒後、足裏のスパイクを忘れずに!」
「了解! …………行きますっ!」
瞬間、まるで陸上競技の選手のような綺麗なフォームでニキチッチは平野を駆ける。カルディトーレよりも速く、力強い加速に全員の目が皿にように見開きながらニキチッチを追いかけていく。
やがて、3秒という短すぎる時間を経たニキチッチの足裏からは機体固定用のスパイクが展開され、地面を削り取りながらも徐々に速度を緩めていき、しだいに停止した。
「状況確認開始! 副団長殿はそのまま待機でお願いします!」
「おら、急げ急げ急げ!」
「装甲外すぞ!」
試験監督官から発せられた拡声器の声を合図に、十数は下らない
時間にして数十分。ようやく
「全部無事だ! 損傷なし!」
「まだ喜ぶなよ! たった3秒の全力走行が成功しただけだ!」
分散目的で取り付けられた『2本目』も含めて劣化は無いという嬉しい結果と相成ったが、たった3秒という短時間では試験の入り口にもなっていないと試験監督官は檄を飛ばす。
結局その後は10秒、30秒、1分と全力疾走をする時間が増えていくが、2本目の存在によって負荷が分散されているからだろうか機体が即時壊れるほどの損傷は見受けられなかった。
ついには1日かけてデュフォールの外周をひたすら回っていたニキチッチからようやく部品の劣化が見受けられ、カルディトーレよりも負荷に強いという輝かしい結果にアルを含めた
そして夜が明け、頑強さが証明されたニキチッチが次に挑むのは本機に取り付けられた固定装備の試験である。
「サロドレア持ってきましたよー!」
「よーし、そこに停めてちょっと来てくれ」
デュフォールの門からウォーハンマーを持ったサロドレアが歩いてくる。
そのまま胸部装甲から地面に降りてきた
「あ、お疲れ様でーす」
「おつかれっす。いきなり骨董品のサロドレアに乗って来いって言われて驚きましたよ。もうこの国はカルディトーレに置き換わっているってのに」
「腕の固定武装がどの程度の攻撃に耐えられて、どのぐらいの質量を引っ張れるか分からんからさ。カルダトアだと怖いから、ひとまずデュフォールにある中で一番旧式のサロドレアで1回試してみよう」
『ウィッス』という軽い返事を残した
しかし、アルはそのまま操縦席に座らず、操縦席周辺に剥き出しの状態で置いていた
「その技術、本にしたら売れそうだね」
「感覚でやってる部分が多いんで、コツが上手く文章化出来ないんですよ」
一方で彼の片割れはホイホイと習得していき、あまつさえその技術を全然使っていないのは腹立たしいが、それを抜きにしても本来は
会話をしていながらも
「十分離れたな? ……よしっ、副団長」
「"簡易ラーフフィスト"の耐久性テスト、開始!」
開始の宣言と共にサロドレアはウォーハンマーを振りかぶると、一気にニキチッチの両腕に振り下ろした。金属同士が激しくぶつかり、車と車が衝突したかのような轟音が平野を駆け抜ける。
稼動時の負荷にはかなりの強靭性を見せたニキチッチ。しかし、外部からの攻撃にはどうなのかを試すためにこうしてサロドレアに攻撃してもらったわけ……なのだが、いささか新型
ただ、『これに乗って魔獣を戦う以上はそういった試験もやらなければならないから』という論理武装をすぐさま施した彼らは、サロドレアに乗った
「おいおいおい……。マジかよ」
サロドレアがハンマーを手元に戻すにつれ、ニキチッチの防御していた両腕は顕になる。先ほどものすごい音と共にハンマーが叩きつけられた腕だが、装甲がひしゃげただけで各部位を形成する細かな部品や前腕部に取り付けられた『簡易
攻撃を行った
「このまま稼動チェックに入ります」
「変な挙動をしだしたら、即座に試験中止を告げてください」
「的の用意を! サロドレアも的の横まで移動!」
一見どこも異常がない風貌のニキチッチの操縦席にアルが座り込む。胸部装甲を何度か開閉することで直接的ではないにせよ攻撃を受けても開閉異常がないことを試験項目に記録した彼は、改めて
「簡易ラーフフィスト、発射!」
右前腕部から生えた手首から生えている手とは異なる1本の手。それが炎の尾を生やしながら的へと飛んでいく。その手は遠く離れた的を掴むと、その腕が生えていた右前腕部のリールが激しく回転しながら手と前腕部を繋ぐワイヤーを巻き取っていく。
「このまま、強度を測ります。的を破壊しますがよろしいですか?」
「はい、やっちゃってください」
許可が出たこともあってかワイヤーを巻き取る力がさらに強まるが、巻き取り装置も簡易
すると、ようやく的を固定していた金属製の基部が騒々しい音を立てながら壊れ、固定を失った的は簡易
「すごい出力ですね。ワイヤーも特別製ですか?」
「デシレアさんがいうには、ストランド・クリスタルティシューと同じく綱型にしたシルバーナーヴ。あとは純粋な硬度を求めて鋼線をより合わせたそうです」
「そりゃ、こんな出力出て当然ですね。どうせ、マギウスエンジンにも手を加えてるんですよね? あんなことがあっても未だマナ・プールが8割ですよ」
「そうですね。一応、カラングゥールを素体にはしましたが、素体の部材や術式はほとんど別物に変わっているかと」
ほとんどを入れ替えたのなら、それはそれで素体としているといえるのだろうか。しかし、テレスターレも外見ごと中身をほとんど新技術を用いた部材に入れ替えた記憶から、アルはそれ以上話を追求すると自分のことを棚に上げたような気がしたので口を閉ざした。
「では、続けていきます」
「はい、次は──」
その後も簡易
やがて本日の試験は無事に終わったのだが、結局のところ試験中に数度は巻き取り部品やワイヤーが破損するだろうと身構えていた
アルがデュフォールで試験を開始して早3日。機体や固定武装の性能はアルディラットやグゥエラリンデと比べると流石に専用機に軍配は上がるが、カルディトーレだと二回りほど強くしたような感じに思えた。
だが、これは現状の評価である。最後に待っている
改めて
「アルフォンス様、アルフォンス様。お仕事です」
「ノーラさん、もう寝かせてください。明日に響くんで」
「今、この場で意識を落としてクシェペルカに向かいたいと? ……わかr「起きます!」」
1日目は長旅や移動の疲れもあるだろうと温情を与えていた藍鷹騎士団だが、2日目でついに牙を剥く。ノーラという最大の敵を前に、アルは為す術なく机に向かうと一心不乱にクシェペルカへ送る手紙を書き出した。
気分は夏休みの宿題を忘れて教師監視の下でやらされる学生であろうか。そんなアルの部屋から一晩中、添削を要求する赤○ン先生ばりの声や『意味が伝われば良いでしょうがぁ!』という嫌味ったらしい抗議の声が漏れていたという。
***
「えー、では最後の試験に……寝不足ですか?」
「シルエットナイトが楽しみすぎて眠れませんでした」
次の日、集合地点に集まったアルの目の下にはクマが出来ていた。それについて尋ねる試験監督官だが、アルは遠足前夜の小学生さながらの嘘をつく。
なお、未だに赤ペ○先生を従えるボスからの課題は出来ていない。今夜も徹夜確定であった。
「じゃ、まずは軽いのからやってみようか。No.5から10はちょっと重いからNo.1とかで起動と稼動チェックやってから一気に11に飛んでって感じかな」
「了解です」
試験の説明を受けたアルはスルスルとニキチッチの操縦席まで上り、あっという間に機体の起動を果たす。ここからは説明にもあったとおり、まずは肩部や腰部の
(4基ならこれぐらいかな? 音も改めて聞きなおしてみるとこのぐらいだった? 気がする)
「よーし、それじゃあ上下左右にスラスタ位置を変えてくれー」
「よし、OK! ついでに速く変えてくれるかい? ……そうそう、それを何セットか! …………部品欠落なし!」
もはや振り回すような速度で
「じゃ、No.11の走行中にスラスタを使った加速と急停止から」
「分かりました」
本機の目玉である
それぞれの
だが、ここで問題が発生する。圧倒的な推進力を背負ったまま走ることは出来ず、ニキチッチの足は地面から離れて空を走り出したのだ。その様子を見ていた
「ぎゃ……逆! 逆噴射!」
どんどん高度が上がっていくので、アルはすかさず腰部のサブアーム付き
「あー、焦った。ちょっと内部を確認…………。えぇ、これマギウスジェットスラスタの出力調整を忘れてませんか。不安になってきた」
「おーい、大丈夫かい?」
「大丈夫ですけど、ちょっとお話がぁーッとぁ! ちょちょちょい、マナ・プールなんでこんなに減ってんの!?」
慌てて走り寄ってくる
当然、試験は中止。1人を使いに出してから全員は工房に戻ると、発生した問題の根本原因を探す『なぜなぜ分析』が始まった。
「えー、まずは1つ目の問題。マギウスジェットスラスタの出力調整が出来なかった。これについて調査を行いたいと思います」
「じゃあ、ナイトスミスは物理的に精査を パーサーは術式的に精査を始めてくれ」
試験監督官の一言で全員は工房内に散らばる。
「ごめん、遅れた! 今、どうなってる?」
「今回の不具合について物理的なのか、スクリプト的なのか切り分けを行っている最中です」
そこにデシレア一行も混ざったことで調査の速度は加速していく。
いわば、起動したら100%。停止したら0%という極端な仕様だったことに、工房内の全員はそろって『なぜ?』という疑問が頭に浮かんだ。
「まずは欠落していたという事象に"なぜ? "ですが、作業は副数人で行いました。実施後もチェックも前の人間がやったからOKといったように短絡的に行っていません」
「そのチェックはマギウスジェットスラスタの仕様が分かる人でしたか? うちの騎士団でも仕様を完全に把握しているのは一握りなのですが」
「あっ」
アルの言葉に根本の『何故』が確定した。彼らは
その結果、うっかり出力調整の部分が半ば消えた状態になってしまったのだ。いくら
「すみません、これは銀鳳騎士団側の連携不足です」
「いえ、こちらこそ申し訳ない。この問題は、ひとまずトゥエディアーネのものを見ながら再度チェック。後々銀鳳騎士団との合同講習を企画させてもらうということで解消したいのですが」
「はい、調整します。続けますが、2つ目の問題としてかなり魔力消費が高い気がします。この
一つ目の問題の解決が見えたので、アルは続けて二つ目の課題である『魔力消費量』について
「グゥエラリンデの方が良いのかい? トゥエディアーネの方が新しいと思ったんだけど」
「空を飛ぶために着けているトゥエディアーネと移動補助のために着けているグゥエラリンデ。多少、勝手が違いますよ」
「っあー! そっか!」
自身のミスに気付いたデシレアや
言われてみればそうである。主戦場である空から落ちないために吹かし続けるトゥエディアーネと、あくまでも短距離間の高速移動で戦闘を行いやすくするグゥエラリンデは、
そして、両者も内包する
「あと、4つだと出力ありすぎますね。急制動をかけた時、操縦しやすかったんで肩のは外して腰の2基のみにしません?」
「うーん、テストの結果見せてもらったけどマギウスジェットスラスタ以外は全部満点なんだよねぇ」
「いえいえ、満点以上ですよ。なので、先ほどのトゥエディアーネのスラスタを診るのは一旦中止にして、銀鳳騎士団から
アルの提案にデシレアは少々思案するが、じきに納得して首を縦に振る。
「そうだね。合体機構の物にもマギウスジェットスラスタを取り付ける予定だし…………あ、そうだ。どうせならニキチッチと合体できるようにすれば良くないかい?」
どうやらデシレアもただでは転ばない性格らしい。『どうせだから』という新たな概念の機体作りの気配に、アルもうっかりその話に飛びつく──前に工房の隅から覗いてくるノーラや藍鷹騎士団員の顔に『まずは機体の方でお願いします』と弱腰な回答を発した。
「そうかい。ま、私も正式に銀鳳騎士団として出向することになったから、あっちで暇になったら送ってもらうように言っておくよ」
「アー、ハイ。ソッスネー」
「なんだい、その気の抜ける返事は。嬉しくないのかい?」
「イエイエー シルエットナイトニ サワラセテ モラエナインジャ ナイカナー」
だが、その片言に対してデシレアは『なんだい? いまさら入団試験でもあるのかい?』と待ったく別ベクトルの話をしだすので、なにかあった時はその時に解決する理論で『デシレアサン ナラ ダイジョブッス』と無理やり会話を終わらせた。
なお、アルの本当に言いたかったことが分かるのはもう少し──ほんの数日後であった。
結局、
腰部の2基のみとなった
この結果をカンカネンに送った彼らは、『量産のしやすさ』もテストしようとデシレア達が居ない中でニキチッチの予備機を作っていく。
こうなってしまえば、もはやテストは必要ないだろう。アルもそう考え、テストが終わったからお役御免とオルヴァーの下に
「え、副団長殿が抜けたら誰が量産機が1号機と同じ性能って証明するんです? それに、まだ機体性能の保証がされただけで、実際に戦闘に耐えれるかの試験はしていませんよ」
「デシレア君が作りかけてる空飛ぶ追加装備も君の管轄じゃないのかい?」
「アルフォンス様。先王陛下からの頼まれ事、お忘れではないでしょうね?」
デシレアが居ない中で1号機の性能に近づけているかや実践を交えた試験を行いたい
そして、どうせならとアル本人もそれらの仕事とは別に新人を拉致して試作装備を作り出している間、どうやら銀鳳騎士団側にもかなりの動きがあったらしい。毎日送られてくる報告書という名の手紙を流し読むには──。
曰く、巨人を引き連れた銀鳳騎士団が各地を観光した。曰く、観光時にアンブロシウスが混じって問いを行っていた。曰く、デシレアから『巨人の鎧を仕立てるとか聞いてない! あの時にはっきり言ってほしかった!』という文句。曰く、『エドガーの騎士団に入ることになったと』ヘルヴィからの惚気。曰く……曰く……曰く。
そんな感じの内容バンバン届いていたある日のこと。
「アディから?」
珍しく銀鳳騎士団からの外面だけきっちりした封筒ではなく、友達に送るような私的な封筒の存在に奇異な目でアルは封筒を開ける。中に入っていた手紙を一読した彼は、その内容に少々わざとらしいため息を吐いた。
「未来の義姉……妹? のために頑張るかぁ」
まずは有給休暇の取得からだろうか。アルは取得理由について考えながらオルヴァーの執務室へと足を運んだ。
***
時を同じくし、シュレベール城の謁見の間では血相を変えて城に飛び込んできたとある騎士団の団長と雇い主である貴族の対応が行われていた。
「それは真か?」
「ハッ! 確かにこの目で見ました」
騎士団長から語られる言葉の数々は一見信じがたいことだが、同時に本当ならばこのまま何もせずに居ると国の大部分が麻痺するような大事件であった。
やはり、開発パートは良い。他にもご当地シルエットナイトや新しい機能も色々考えております。
ジャンプユニットでピョンピョンしたい・・・。リフティングウインチで壁登りしたい・・・。