新生トランドオーケスの歩行およびサブアームのテストから1ヶ月後。
ライヒアラ学園街の分厚い石門の上で大鎧を纏った人間が片手を掲げながら立っていた。
その掲げた手首からは
「仕舞ってー出してー仕舞ってー出してー」
大鎧から発せられるのんきな声と共に手首にくっついている装置に
「お、ご到着ですね」
ふと大鎧が、下げていた視線を上げる。
大鎧の兜が見ている視線の先には、小指の先ほどの人影の集団が居た。居たのだが、距離が遠すぎるので望遠鏡を持ってくるのが普通だが、大鎧は待ち人が来たかのように後片付けの支度をしている。
「いやー、楽しいですね。これ」
大鎧──
そう、この装置は1ヵ月前にアルが設計した『偵察気球』である。
『リーコン』と名付けられたこの装置は、すでに前世で概要や実績が出回っていたので気球部分はそれを流用した。あとは大きめの望遠鏡に眼球水晶を放り込み、
望遠鏡のようにピントを逐次切り替えることは出来ないが、アルはこの1ヶ月間、わずかでも暇があるとこれを使って行列のできる店をチェックなど空からのライヒアラを見物をしていた。
アルが
リーコンの気球部分に使われている
「やっば!」
アルは門の上からダイブすると、
「誰か!」
「待ってください! この子は──」
鎧を着た不審者がいきなり空から落ちてきたので、
「お待ちしておりました。ヨアキム・セラーティ侯爵閣下」
「やはり君か……。もう少しマシな登場はできなかったのか? まぁ良い……その鎧と荷物を預けて馬車に乗りなさい。少し話そう」
暗に『逃げるなよ?』と聞こえた気がするが、
「まずは招待いただきありがとう……と言うべきかね?」
アルが乗り込むと同時にヨアキムは杖で馬車の天井を叩くと、その音を聞いた御者がゆっくりとライヒアラ騎操士学園に向かって馬を進ませる。
「こちらこそご足労いただきありがとうございます」
「なに、カンカネンでの用事を作ったからな。ついでだ。……それより本当に新型機が模擬戦をするのか?」
「はい。1ヶ月前に既に動作確認を行いましたので、この1ヶ月で細かな調整を行いました。本日はライヒアラ騎操士学園の成績最優秀者を相手に模擬戦を行います」
ヨアキムがライヒアラを訪問した理由は『新型機の模擬戦の見学』だった。
1ヶ月前、大まかなテストが終わった後にぶ厚い報告書を悟りを開きかけた表情をしたラウリに提出したアルは、書面だけでは伝え切れないことが多過ぎて若干の消化不良を起こしていた。
(そうだ……書けないのなら直に見て貰えばいいんだ!)
アルに電流走る。そうと決まれば後は行動するのみである。
素早く続きの報告──『新型機の模擬戦見学のお誘い』を認めたアルはステファニアに頼み込んで追加で送ってもらい、翌日それがヨアキムの手に渡る。
それを見たヨアキムは最初はうろたえるが、素早くカンカネンで行う予定を繰り上げ、今回の訪問に至ったのである。
『1年未満で新型機を作り上げた』という実績に信じられないと顔を歪ませるヨアキムに、アルは笑いながら今回の新型機『テレスターレ』についての説明を行う。
「待て……良いからその紙束を下ろしなさい……」
どこから出したのかと疑うぐらいの紙束をアルが取り出した時、ヨアキムは手で制する。
馬車の中が阿鼻叫喚になりかけているが、馬はカポカポと石畳の道を叩きながら馬車を目的地である学園に運んでいた。
***
ライヒアラ騎操士学園の訓練場の中心。そこでは2人の巨人が剣を構えて相対している。
これから行われるのは模擬戦だが、その巨人を操る
そんな空気に包まれている訓練所の観客席では、ダーヴィドとエルが並んで模擬戦の準備が完了するのを待っていた。
「銀色坊主。小僧の方はどこ行ったんだ?」
「アルならほら、あそこで来客の相手をしてますよ」
エルが指差した方向には10人にも満たないが人だかりが出来ており、その中心に小柄の影が見える。
ダーヴィドの記憶には本日の来客の予定がなかったので、おそらくこの銀髪の悪魔達がなにかやったのだろうと当たりをつけた。
「まぁいい……じゃあそろそろ始めるぞ。それではこれより戦闘を開始する! 模擬戦闘の規定に則り双方、礼!」
***
「ちなみに新型機の命名ですが、テストランナーのヘルヴィ・オーバーリさんが『スーパー・トランドグランドオーケス・ネオ』、アデルトルート・オルターさんが『ウデフエテスゴイトラちゃん』というぶっこんだ命名をしたので、発案者のエルネスティが独断と偏見で名付けました」
「oh……」
エルとは真逆の観客席では、ヨアキム、護衛の
「お? そろそろ始まるみたいですね。長々とお話しましたが、続きは実際に見てもらいましょう」
ダーヴィドの声に反応したアルは説明を中断し、訓練場のほうに向き直ると同時にオルター兄妹が銅鑼を鳴らす。その音を皮切りに2体の巨人が
模擬戦の始まりである。
「ふむ、アルフォンス君だったかな? 君の言うテレスターレはあの背中に2本のシルエットアームズを背負っている機体だろう? なぜ距離の有利を捨てるんだ……」
護衛の
装備した
「まずは挨拶代わり!」
拡声器から出力されるヘルヴィの声に呼応するかのようにテレスターレのサブアームが動き出す。数秒の内に展開が完了した
正面から斬撃を叩き込もうと強く踏み込んだアールカンバーはテレスターレが行った予想外の動きに対応しようと盾を構えるが、咄嗟の出来事だったので法弾の1発を肩に食らってしまう。
「まだまだぁ!」
アールカンバーが体勢を崩したのを見たヘルヴィは
「これがストランドタイプのちk「ダメ押しぃ!」っ!?」
アールカンバーが後方に下がることで舞い上がった砂煙の中から2発の法弾がアールカンバーに襲い掛かる。だが、アールカンバーは1つは盾で受け、2つ目は剣を振ることで法弾を切り裂いた。
その一連の動きを見たアル側の観客席に居るヨアキムを除いたすべての観客は放心していた。
「アルフォンス。あれは君が開発に協力した頭部兵装の親戚のような物かね?」
「厳密には違いますが似たようなものですね。サブアームの方が細かい照準が利きますよ」
放心している人々をそっちのけにヨアキムとアルが装備について話す。アルが開発した頭部兵装は頭部に
そんなことを話していると、重い剣戟の音が鳴り響く。
「また戦況が動いたな」
ヨアキムの言葉にアルが訓練場の方に意識を向けると、テレスターレがアールカンバーを圧倒していた。剣と盾、もしくは剣と剣を打ち鳴らしながら一進一退の攻防が繰り広げられるが、テレスターレの素早い位置取りと強力な斬撃、隙を見せたら放ってくる法撃にアールカンバーはどこか押されているような印象を受ける。
そんなテレスターレの雄姿にエルがいる方の観客席から歓声が聞こえてくるが、ヨアキムがふと『動きがおかしいな』と口にした。
「エチェバルリア教官、テレスターレのテストランナーの……ヘルヴィ・オーバーリという生徒はいつもあのような操縦をしているのですか?」
「え……いえ、彼女は操縦は大雑把ですが、技量を用いた攻防を……あれ?」
「仕事柄、力任せに攻撃する騎士団員の動きをよく見るのだが……彼女の動きは少し大振り過ぎるな」
ヨアキムの言葉にマティアスは返答するが、どう見てもテレスターレは力任せの大振りでアールカンバーを攻め立てていた。
そのままヨアキムとマティアスは不思議そうに戦いの行方を見守るが、やがて剣戟の応酬はピタリと止まり、両者は相手の出方を伺うために足を止める。
「技量を伴った攻撃や防御が出来ないので代わりに膂力で攻めることにしたのでは?」
「あー…」
護衛の
「あ、エドガー先輩が勝負に出た」
アルの言葉に全員が訓練場を見るとアールカンバーがテレスターレに向かって突撃を敢行していた。
恐らく狙いは
「おぉぉっ!」
エドガーは雄たけびを上げながら先ほどのように盾と斬撃で法弾に対処するが、いくらアールカンバーが他の機体より素直な性能だといっても、振った剣を再び構えられるほどテレスターレとの距離は開いていなかった。
アールカンバーの目の前にはカウンター気味に剣を振り上げるテレスターレの姿。このまま斬られて終了とはあまりにもお粗末な試合展開だろう。
だがエドガーは冷静に鐙と操縦桿を素早く動かすと、アールカンバーは忠実にその命令を実行する。
「うぉっ、シールドバッシュ!」
アルの目がロマンを感じてキラリと光る。アールカンバーの武器は剣と盾だけではない。その『質量』をテレスターレに叩き込んだのだ。
ドゴンッともガキンッとも違うまるで自動車同士がぶつかったような衝撃音が訓練場に響く。両者の盾が衝撃に耐え切れずに歪み、それを支えていた腕もまた衝撃を逃すことがかなわず、
その直後、
『意図的』にぶつかったことで衝撃から素早く立ち直ったエドガーは、腕の1本を犠牲にテレスターレのサブアームを1本壊したのだ。
「やってくれたわね! でもこれ以上は!」
ヘルヴィの怒りがこもった声がアルの耳にまで届くが、アルはテレスターレの手に注目していた。
「シールドバッシュを受けても盾を持ってる?」
「ほう、ストランドタイプという物は耐久力も折り紙付のようだな。アルフォンス、君も予想外だったか?」
「はい、てっきり寿命と膂力の増加だけだと思ってたので嬉しい誤算です」
嬉しそうなアルにヨアキムは頭の中でアンブロシウスに報告する内容を推敲する。『新型機』とは言うが、これは今までの部材や構造を手直ししただけの物ではない。それを学生達が作ったと言うのだから報告は慎重に行うべきである。
(この子達もそうだ)
ヨアキムは目の前にいる銀髪の少年と逆側の観客席を交互に見やる。
同じ歳の子供には見られない理性的な考えを有し、礼儀作法もある程度行える。操縦センスは未知数だが、魔法も一般の騎士以上の実力を持ち、なにより
欠点といえば『
ゆえに他国に付け入られると少々面倒になる。せめてなにか出来ない物かと思考を巡らせるヨアキムはふとある考えに至る。
「アルフォンス君、ちょっと用事があるので中座させてもらう。あとで校門で落ち合おう」
「え? まだ戦闘してますけど……あ、エドガー先輩よろめいた」
攻め込みすぎたアールカンバーがテレスターレの押し返しによって足元をふらつかせているが、ヨアキムはそれすらも見ずにそそくさと観客席を後にした。
その後、テレスターレの魔力切れという呆気ない結果となり、模擬戦はヘルヴィだけお通夜のようなテンションで幕を閉じた。
***
「待っているつもりだったが……抜け出してきても良かったのか?」
「はい。どうせ司会進行は兄さんがやるでしょうし、事情話したら大丈夫でした」
ライヒアラの街が朱色で塗りつぶされている頃、アルはランクを落とした平服に身を包んだヨアキムと街中を歩いていた。
護衛の
「そんな服もあったんですね。貴族の人ってもっと派手な衣装を好むものだと思ってました」
「アルフォンス、それは偏見だよ。今回のライヒアラの訪問はいわゆるお忍びってやつでね。そんな中、護衛を屯させたり派手な格好で街中を歩いていては意味がないだろう」
何気ない雑談を交わしながらヨアキムはとある場所にたどり着く。それはアルからすればなじみ深いというか、勝手知ったるというか、率直に言えばバトソンの親が経営している工房だった。
「剣でも買うんですか?」
「いや、花を買う」
ヨアキムが工房に入店している間、『鍛冶屋で花?』と疑問に思っていたアルだったが、店を出たヨアキムの手にあった『鉄の華』を見てアルは昔のことを思い出した。
「あー、鉄華でしたか」
「ほう、色恋に疎いと思っていたがアルフォンスも知っていたか。うちの領地でも流行っていてな。ここが元祖らしい」
「いや、それ作ったの僕らですし」
「は?」
ヨアキムは持っていた鉄華とアルを見比べる。アルは知らないが、セラーティ領での鉄華の触れ込みが『大切な人へ贈る鉄のように硬い愛の為』である。
ヨアキムにはどう見ても目の前の少年がそんな洒落た物を作るようなキザな人物に見えなかった。
「えーっと、作ったのはたまたまなんですが──」
「キッドも関係してたのか……」
事の顛末を話すアルの話を聞くと、どうやら自分の
少し歩くと今度はキッド達の家に着く。当然今は反省会の真っ最中なので、キッドとアディは家に居ない。とすると、家にいる人物は限られてくる。
「少し待っていてくれ」
「私は何も見てませんよ」
アルの言葉にヨアキムは少し微笑んで『助かる』と一言だけ言うと家の中に入っていった。
キッド達は父親であるヨアキムを快く思っていない印象を受けたが、先ほどのヨアキムの行動を見たアルは少なくともヨアキム側には愛があるんだろうなと認識を改めた。
(嫉妬って怖いなぁ)
アルはセラーティ家とオルター家に分かれた原因である『嫉妬』を恐ろしく感じ、軽く身震いをしているとヨアキムが戻ってくる。
「お早いお帰りですね」
「君も妻を持つと分かるよ。さて、これでライヒアラに来た目的は完遂できた。後は……」
ヨアキムはちらりと護衛に目配せすると、意図を察した護衛がアルを抱え上げ、連行の態勢を整える。
当然その行動に文句を言うアルだがその文句も聞かずにヨアキムの先導の下、とある場所へ連行された。
***
「さて、今回の新型機の見学を終えて私の中である認識が再浮上した」
「そんなことよりこれをなんとかしてくれませんか?」
「あら、これとは失礼ね」
現在、アルは学生寮のステファニアの部屋に居る。ヨアキム曰く『他の人物が居ないから都合が良い』とのことだったが、現在アルはステファニアの椅子の横に座っている。いや……勘の良い諸兄らにご存知の通り、彼は『捕まっていた』。
ジト目でヨアキムを睨むアルだが、ヨアキムは無視して話を進める。
「それはそれで置いとくとして……アルフォンス。君と君の兄であるエルネスティは今のままだと非常に危ないということは陛下から聴いていると思う」
「はい。他国が僕らの存在を知ったらどうなるか分からないから陛下はこれを僕に渡してくれました」
アルは服をめくってインナー代わりに着ている革鎧を見せる。その革鎧にステファニアは驚くが、アルは続けて口を開く。
「セラーティ侯爵。再浮上というのはやはり僕らの身が危険だからラボに行けということでしょうか?」
「いや、今からラボに行くのはダメだ。関係者が多過ぎる。せめてベヘモス事変の直前だったら良かったのだが……」
ヨアキムは首を振ってアルの言葉を否定する。テレスターレを開発する前ならば、キッド達には悪いがエル達をラボに移動させるなどの手段はあった。
しかし、当時のヨアキムやクヌートは『新型機など出来るはずもない!』と決め付けていたので、その手段は無用な軋轢を生むと考えていた。
だが実際に1年もかからずに新型機の試作機が出来てしまった。これによって発案者であるエルと芋づる式に弟のアルという、
やがて覚悟を決めたヨアキムは渇いた口を紅茶で潤し、言葉を紡いだ。
「エルネスティの事は後で考えるが……アルフォンス! 率直に言うが、ティファの婚約者にならないかね?」
「あ、お断りします」
即答である。あまりの速度にヨアキムとステファニアがぽかんとした表情をしている。
「一応聞くがなぜかね? 君は……こういってはなんだが、ティファに好意を持っているように見えるのだが」
『ずっと頭を撫でられても黙っているのはそういうことなのだろう?』というヨアキムの言葉にやっと撫でられていることを認識したアルは、
「……エホンッ、セラーティ侯爵がわざわざ聞いてきたということは僕の身柄を『セラーティ家のご息女の婚約者』という感じで護ろうとしたということですよね? ですが、僕は平民です。キッド達のように追い出されないでしょうか?」
「あら? アル君だってお祖父様が国王陛下の相談役だったから位置的には貴族のはずよ?」
部屋に静寂が生まれた。内心『こいつで決まりだ☆』とキメ台詞を吐いていたアルは数秒間フリーズしたが、帰ってから兄と相談する案件としてメモを残して次の手を打った。
「……では、今の婚約者であるケルヴィネン氏を差し置いて、僕を無理矢理ねじ込むというのは親としてどうかと思いますがねぇ」
「あら、別にケニーとも結婚するわよ? お父様だって一夫多妻だもの。普通でしょ?」
『あ、そうなんだ で? それが何か問題?』とばかりに首を傾げるステファニアに、アルは内心で『貴族ぱねぇ』と冷や汗を流すが、とうとう最後になってしまった手札を切る。
「僕は騎士にn「アル君が卒業したら騎士にもしてあげるし、なんなら領地はケニーに任せて、アル君はケニーの領地を拠点とした騎士団を率いても良いのよ? アル君がいつも言っている改造も、修理も出来るし。なんなら専用機だって作ってあげられるわ」」
言葉に被さる形で退路が断たれる。『本当に出来るのか?』という反論はセラーティ家の長女である彼女とアルの前で静かに頷いているセラーティ領の現当主の前では木っ端も同然だろう。
(言うしかないのか)
アルがこうまでして婚約を拒む理由は初等部時代のとある出来事に起因する。だがこれはあまりにも自分が情けなさすぎる記憶なので出来ればアルも話したくはなかったが、こうなってしまっては背に腹は変えられない。
『これでも引かなければ首を縦に振ろう』と半ば諦めてアルは口を開いた。
「先輩、僕が初等部の頃にケルヴィネン氏が学園にいらっしゃった時の事は覚えていますか?」
「えぇ、生徒会のお手伝いをしてくれてた時よね? あの日、アル君が来ると思ったのに来なかったんだもの……慌てたわよ?」
「はい。実はあの時、現場に居ました。僕の見たことないような笑顔で話してる先輩を見て、『あー、勝てないわ』と思ったんです」
アルが紅茶を自棄酒のように煽る。お高い紅茶のはずなのに味が一向に分からないまま飲み干すと、飲んだ直後なのに酷く乾く口で続きを話す。
「『それでも』と言って迫れたら良かったんですがね。あの笑顔を見て『僕では先輩にあの笑顔をさせてあげることも出来ない』って諦めちゃったんです。僕に出来ない事が……あの人には出来て……そんな自分が酷くダメに思えて……諦めたんです。情けない話ですよね」
「アルk「ティファ、そこまでだ」」
自分に言い聞かせるように目を伏せて語るアルにステファニアが手を置こうとするが、ヨアキムが制する。
そのまま『帰りたまえ』と一言言うと、アルはその言葉に従って席を立つ。
「すまなかったなアルフォンス。陛下には新型機のことについては話しておく。それと……卒業までくれぐれも無茶をするな。婚約を抜きにしても君やエルネスティの力はフレメヴィーラに必要だからな」
「分かりました。兄にも言っておきます」
軽い挨拶をしてアルが扉に手をかけたが、待ったがかかる。
「最後に一つ教えておこう。フレメヴィーラの女性は執念深いぞ?」
「ハハッ、アディや先輩で知ってますよ」
無表情のまま口で笑いながらアルは部屋を出るとすぐにステファニアがヨアキムに尋ねた。
「お父様、なぜお止めになったのです?」
「私やティファに彼は初めて自分の情けない姿を晒したんだ。大目にも見るさ……私も彼も不器用な人間なのさ」
本妻の嫉妬を上手く制御できなかった故に家族が分かれてしまった男が窓の側に寄る。窓の外には戦わずして簡単に諦めてしまった色恋に関しては情けない少年がトボトボと歩いていた。
大目に見たと上から目線で言っていたヨアキムだったが、数年後には『アルフォンスよく断った!』と土下座する勢いで感謝することになるのだが、ヨアキムやステファニアはまだ知らない。
はい、今回の半分ぐらいは感想であった物の自分なりの答えです。
期待していた方は申し訳ないです。
ヒロイン・・・まぁなるようになります