銀鳳の副団長   作:マジックテープ財布

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お気に入りが2000人超えてめでたいし、せっかくの3連休! というわけで感想にあったウエスタン・グランドストーム(イージーモード)始まります。

これからも、どうか銀鳳の副団長をよろしくお願いいたします。

※ このお話は掲示板形式です。苦手な方は申し訳ありませんが、ブラウザバックをお願いいたします。

これまでのあらすじ:
 転生した当初から備わっていた掲示板を覘ける能力をひたすら暇つぶしで使っていたアルフォンス。しかし、テレスターレ開発で装備安価を死体と言う欲求に負けて掲示板にスレ立てをしてしまう。

 初めてのスレに悪戦苦闘するが、とあるスレ民の疑問によってシルエットナイトは盗難リスクが高いことが露見する。その対応策として鍵の重要性を兄であるエルネスティに話すが、ひょんなところから彼が自身の働いていた会社の教育係だったことが分かり、アルとスレ民を驚愕させる。

 そして、盗難防止として原作よりも少し早く紋章式認証機構が登場。その結果、テレスターレの奪取をしに砦に潜り込んだ銅牙騎士団のほとんどが捕縛。テレスターレをお持ち帰りできなかったことから、ジャロウデクは従来機で西方諸国に喧嘩を吹っかけた。

 だが、同じ世代のシルエットナイトという泥仕合の果てにロカール商業連合を下したところで、ジャロウデクが西方諸国に喧嘩を売りまくった事実やそれを可能にした新兵器、『レビテートシップ』の情報が既に西方を飛び越えてフレメヴィーラ王国にも渡ってしまった。

 事態を重く見たリオタムスは、フレメヴィーラの愚連隊。もとい、銀鳳騎士団に友好国であるクシェペルカ王国の救援に当たるように指示を出す。
 なお、金色の獅子が人知れず銀鳳騎士団の拠点の前で突っ立っていたとかいるなかったとか。


幕間(掲示板形式による大西域戦争イージーモード

136:エチェ公

 ほい、というわけでクシェペルカ王国の国境近くまでやってきました

 既に各方の準備は完了しております

 

 こちらが銀鳳騎士団のロボと、さっき出した設計図出したミサイルくっつけた人馬型

【画像】【画像】

 こっちがクシェペルカ王国のロボット。

【画像】

 ちなみに向こうの王様とのやり取りで既にうちと同じような設計で新型機が王都で作られております

【画像】

 

140:ロボ異世界より

 >>136

 大丈夫? 機密漏えいにならない? 

 

143:ロボ異世界より

 おー、ロボが沢山並んでると壮観だなぁ

 

145:ロボ異世界より

 >>136

 エチェ公、もう色々教えてもらってるからロボのことはシルエットナイトで良いぞ

 既になんスレも立ててるし、新しいスレにするときは>>1で纏めてくれるとなお嬉しい

 

146:ロボ異世界より

 馬型ってシルエットナイト含めた荷運びも出来るし、対空兵器にもなるし、万能選手だな

 隊長さん綺麗だし

 

151:ロボ異世界より

 >>136

 まーた勝手なことして

 それより、クシェペルカとかいう国の王様どんな感じよ。かっこいい? 

 

153:エチェ公

 大丈夫、うちの陛下に許可は取ってます! それどころか、クシェペルカ王国は陛下の身内が嫁入りしてるから出し惜しみはするなって言われちゃった

 えーっと、確か撮ってた記憶。これかな? 

【画像】

 敵……来ないね

【画像】

 

156:ロボ異世界より

 >>146

 あのイケメンと良い空気だし、エチェ公のところの話なんだからさっさと諦めろ

 

161:ロボ異世界より

 >>153

 来るよ、そのうち

 

166:ロボ異世界より

 >>153

 王様じゃなくて女王様じゃねぇかw

 

170:ロボ異世界より

 >>153

 かわええ、たしかにこんな女王様居たら侵攻するわ

 

174:ロボ異世界より

 >>170

 もし本当に彼女が狙いなら敵のジャロウデクだっけ? が最低過ぎるww

 

176:エチェ公

 あ、間違えた。これ王女様のエレオノーラ様ですわ

 こっちが王様、優しげな人だよ。この娘にしてこの父ありっぽい

【画像】

 ちなみに、うちのキッドと良い感じ。やっぱ顔かよ、ksが

【画像】

 

178:ロボ異世界より

 >>176

 記憶から遡って画像貼れるようになったんだなって思ってたら、地が出てきて草なんだわ

 やっぱ、根は隠の者か

 

181:ロボ異世界より

 >>176

 優しそうな人だなぁ

 お義父さん、娘さんをボクに

 

185:ロボ異世界より

 >>181

 いや、俺に! 

 

188:エチェ公

 声がどこかのバインドかけて砲撃する魔王みたいな王女様だけど、よろしいか? 

 

192:ロボ異世界より

 >>188

 え、じゃあその人が即位するとゆかりん王国が誕生する……ってこと!? 

 

197:ロボ異世界より

 >>188

 全然あり! さぁさぁ、紹介してくださいよー! しょーかい! しょーかい! しょーかい! 

 

200:エチェ公

 あ、敵来た。……あ、ミサイル部隊が撃った

【画像】

 

204:ロボ異世界より

 終わったな

 

209:ロボ異世界より

 ああ……

 

211:ロボ異世界より

 >>200

 画像じゃなくて動画とか配信出来ないん? 

 

215:ロボ異世界より

 >>211

 配信は他のサイトにいけないから無理。短い動画なら……わからん、調べろ

 

220:ロボ異世界より

 wikiによれば絵を残すって考えから今から何秒残すって考えに切り替えればいけるっぽい

 ただ、PCと同じく残す秒数で負荷かかるからやりすぎ注意ってwikiの注意に書いてた

 

225:ロボ異世界より

 エチェ公のとこの魔法って頭の中にある不思議領域で演算してるんだっけ? 

 余計に負荷かけるのヤバくね? 

 

227:エチェ公

 >>220

 あざっす、とりあえず着弾シーン5秒ほど撮ったけどまだいけそう

【動画】

 なんか向こうから集団来るから狙撃してくる

 

232:ロボ異世界より

 >>220

 どうみても釣瓶打ちです。本当にありがとうございました

 無理すんなよ、俺達にかまけて死なれても困る

 

233:ロボ異世界より

 おう、頑張って来い

 

237:ロボ異世界より

 >>220

 相手の船、半数以上墜ちてね? 

 しかし、ここって他のスレと比べて平穏だよなぁ

 

238:ロボ異世界より

 エチェ公が晩飯のおかずやら武装やら安価とったり、向こうの様子逐一知らせてくるから親戚の子供見てる気分だわ

 

241:ロボ異世界より

 >>238

 たまーに食中毒起こさせようとしたり、不敬罪でしょっぴかれそうなことさせる奴居るけどな

 

244:ロボ異世界より

 狙撃中

【動画】【動画】【動画】

 

247:ロボ異世界より

 >>244

 1発撃ったらちゃんと移動してる。ヨシッ! 

 

249:ロボ異世界より

 クリスタルプレートだっけ? 撃ったやつ回収してないけど大丈夫? 

 

252:ロボ異世界より

 ふぁ!? 3番目の動画の終盤、なんで前の王様の機体がここにあんねん! 

 

253:ロボ異世界より

 >>249

 後で回収するんだろ。回収中が無防備だと思うし

 

255:ロボ異世界より

 >>252

 うわ、まじだ! 何機かなで斬りにしてるぞ、あの機体

 

257:ロボ異世界より

 >>255

 え、ガチの先王の人? あのかっこいいお爺ちゃん

 

260:ロボ異世界より

 >>257

 別の人だろ、エムリス殿下とかいう王族がここに居るのに来る必要性ないじゃん! 

 

263:エチェ公

 ふー、生き延びた。多少の被害はあったけどうちの騎士団は損害無し

 >>252 >>257 >>260

 先王陛下もご満悦である

【画像】

 

265:ロボ異世界より

 >>263

 すっげぇ良い笑顔で笑ってなはる

 

267:ロボ異世界より

 >>263

 なんでここに居るの? いや、まじで

 

269:エチェ公

 なんかね、国の危機だから陛下(先王陛下の息子の人)は動かせないけど、先王ならばそんなしがらみに囚われんって……。

 殿下と一緒についてきちゃった

【画像】

 

271:ロボ異世界より

 >>269

 わー、金銀とそろってかっこいー……じゃねぇわ! 

 

273:ロボ異世界より

 俺達の予想の範疇を軽々と超えてくるエチェ公の国、やばくね? 

 

275:ロボ異世界より

 >>269

 たしかこの人、シェルケースっていう魔獣災害の時も来てたよね? まさか、戦闘狂? 

 

279:エチェ公

 >>275

 さっき、うちの兄貴と『何機落とした』って競ってたから兄貴と波長合うタイプかと

 良い人なんだけどね、そのー僕を何か重要なポストに納めようとする遺志が見え隠れすること以外は

 

284:ロボ異世界より

 >>279

 青田かぁ。がんばれよ

 

288:ロボ異世界より

 >>279

 それはそうと、相手の被害はどんなもんよ。空飛ぶ船に興味あるわ

 

292:ロボ異世界より

 >>288

 カタパルトからシルエットナイト打ち出したいよな

 

293:エチェ公

 >>288

 んー、見た感じシルエットナイトが1個大隊ぐらい吹き飛んでるね。騎士団2つぐらいかも

 船は2隻ぐらい逃げて、3隻のうち2隻は大破。1隻は兄貴が降伏させたから無傷

【画像】【画像】【画像】

 

296:ロボ異世界より

 >>293

 やっぱ兄貴強いなぁ

 

299:ロボ異世界より

 >>293

 空飛べる機体とかあるし、万全に準備してたらこうなるか

 でも、大戦果やん! 

 

300:ロボ異世界より

 >>293

 そのリーコンだっけ? 偵察機器も大概チートだと思うけどな

 

303:エチェ公

 >>300

 最初は気球型だったけど、スレの皆のおかげで作れた傑作だよ! 毎日磨いてるもんね! 

 とりあえず、勝ち鬨の安価する? 

 

304:ロボ異世界より

 情報を制するものは戦場を制すからな

 

307:ロボ異世界より

 >>303

 こういう言い方するからずるいよなぁ

 

308:ロボ異世界より

 安価で作ったものすべからく大事にしてくれるから嬉しいよな(なお、ロケットパンチ)

 

313:ロボ異世界より

 >>308

 ありゃ拠点壊した張本人だからしかたねぇ

 

314:ロボ異世界より

 安価したいな

 

317:ロボ異世界より

 皆の者、出会え出会えー! 

 

321:ロボ異世界より

 ヒャッハー、安価の時間だぁ! 

 

322:エチェ公

 >>308 >>313

 ロケットパンチ自体は封印したけど、射出自体の術式や射出後の制御とか参考になるから兄貴のイカルガのこれに吸収されたから決して無駄じゃないよ

【画像】

 じゃあ、勝ち鬨を>>350に任せよう

 

323:ロボ異世界より

 スレミン アンカ スキー

 

325:ロボ異世界より

 ksk

 

326:ロボ異世界より

 ロケットパンチは兄貴の機体の礎になったのか。ほんと、知識は無駄にしないな

 

331:ロボ異世界より

 >>322

 だってよ、ロケットパンチ。おめでとう

 

332:ロボ異世界より

 ksk

 

334:ロボ異世界より

 えい、えい、おー! 

 

337:ロボ異世界より

 シルエットナイトの脚を踏み鳴らす

 

342:ロボ異世界より

 ksk

 

347:ロボ異世界より

 ksk

 

350:ロボ異世界より

 ほら貝を吹く

 

355:ロボ異世界より

 ほwwらwwがwwいwww

 

360:ロボ異世界より

 >>350

 ほーらw無茶な安価来たよw

 

364:エチェ公

 ほら貝? え、今から調達すんの!? 

 

369:ロボ異世界より

 >>350

 責任もってちゃんと説明しろ

 

374:ロボ異世界より

 >>350です。ほら貝なかったら、ラッパとかなんか音でる楽器でお願いします

 

377:ロボ異世界より

 ラッパぐらいならあるよな? 

 

378:エチェ公

 >>374

 ラッパかぁ、某ゴッドな父親のやつしか吹けないんだよなぁ

 ぶおぉーぶおぉーって口真似でも良い? 

 

383:ロボ異世界より

 >>378

 逆になんでそれだけ吹けるんだよ、地味に難易度高いぞあれ

 

384:ロボ異世界より

 ほら貝の口真似するちみっ子とかあざとくない? 

 

388:ロボ異世界より

 >>384

 かーっ! 見んねスレ民! あざとかエチェ公ばい! 

 

391:エチェ公

 兄貴に相談したら撤退中ずっとラッパ吹くことになった。どうして……

 

394:ロボ異世界より

 >>391

 相談しに行ったエチェ公が悪い

 

399:ロボ異世界より

 >>391

 アニキもこっち側なんだろ

 

404:エチェ公

 分かったよ! やりゃ良いんでしょ! 見せてあげますよ! 一世一代のショーってやつを! 

 

407:ロボ異世界より

 >>404

 こいつ、いつも一世一代のショー起こしてんな

 

410:ロボ異世界より

 >>407

 いつものエチェ公だし、実際面白いから

 

 ***

 

 ~♪ 

 

 クシェペルカ王国の国境から引き上げていく幻晶騎士(シルエットナイト)の足跡に混じってラッパの音が周囲に伝播する。ゴッドでファーザーな独特の音程を何度も──何度も繰り返し、たまに飽きたのか暴走族が良く鳴らしているパラリラ音も付け加えると、もはや帰還中の集団はどこかの珍走団に見えてくる。

 

 そんな集団の最前列。ツェンドリンブルの荷馬車(キャリッジ)の上で完全に慣れているかのような流麗な指捌きをもって先の2曲を吹き鳴らす存在にエルはゆっくりと近づく。

 

「アル。それ、スレ民からの安価ですか?」

 

「一世一代のショーっす。動画も撮ってるんで、声撮れますよ?」

 

 常日頃から言っている『一世一代』に関して何も言わずにエルはその奇行とも取れる原因に『またですか』と呆れる。

 掲示板と呼ばれるサイトは前世でもエルは利用しているが、頭の中でそれと繋がっているという現象は見たことがない。聞かされた当初は頭の病気なのかと不安になった時期もあったが、受け答えも日常的生活も問題なく、『安価』と呼ばれる突発的な行動も事前にエルに伝えてから実行に移すのでエルの中での信憑性も深まってきたのだ。

 

 また、安価にも行動から装備の案と多岐に渡り、その中でも装備案はスレ民というその他大勢の意識の介入によって2人で案を相談するよりもはるかに自由度の高い構想を練ることが出来る。王族の前で魔法を用いた『チャ○ラ宙返り』といった謎行動を行うことも多いが、用法要領によっては毒にも薬にもなる存在だとエルは『彼ら』に一定の信頼を置いていた。

 

「何度も言うようですが、自身の命や名誉を脅かしたり、うちに迷惑かかるようなことは断ってくださいね。僕は見えないので注意することしか出来ませんが」

 

「えぇ、そこらへんの線引きはします」

 

「チャク○宙返りや必殺のアッ○ーカットごっこが引っかからない時点で、アルの線引きの基準終わってません?」

 

 嘘や真が乱立する掲示板では、嘘を嘘と見抜く能力がない者は呆気なく情報の波に浚われてしまう。安価スレでもそれは同じことだ。のめり込み過ぎてなんでも安価するという引き際を見逃した行動をしてしまえば、良き隣人だったスレ民は即座に欲望と言う名の人類が生まれてより内包された悪が噴出しだす。

 そうなればもはやアルだけの問題ではないことを再度釘を刺したエルは、息を吐くと同時に荷馬車(キャリッジ)の装甲の上に座り込んだ。

 

「分かれば良いんです。それはそうと、イカルガのことや諸々の装備開発でお世話になりましたし、ここらでご挨拶と装備案募集の告知でもしますか」

 

「なにか装備作るんですか?」

 

「僕と同じく、先王陛下もレビテートシップに目を輝かせましてね。なので、クシェペルカに研究と試作という名目でこっちに預けてみないかと交渉するらしいです」

 

「そっかー、持っちゃったかー」

 

 王都に帰還する集団の横で低空飛行で飛ぶ空飛ぶ船──飛空船(レビテートシップ)の姿を見ながらアルは大まかな事情を理解する。今は藍鷹騎士団やクシェペルカの騎士が監視の下で捕虜に操縦させているが、いずれは操縦方法や運用方法を確立しなければならない。

 どうせ、そんなアンブロシウスの提案に対して『研究という名目で好き勝手できるなら願ったりだ!』とエルも賛同したのだろうと予想したアルは、すぐさまスレッドにそのことを書き込む。

 

 数分前に珍走団のMAD動画のような動画報告で沸いていたスレ民たちは、アルとは異なる別人からのメッセージという次なるネタに湧き出した。そこはかとなく大抵の日本人に搭載されているお祭り好きの血を懐かしみながら、アルはエルに向かって意識を集中させる。

 

「10分はいけますが、20分以上連続は厳しいです。再生も出来ないので、なるべく簡潔にお願いします」

 

「10分あれば十分……なんちゃ……これ、撮れてないですよね?」

 

「早くしろよ」

 

 かなり集中しないといけない作業を前にしょうもないことを言い出すエルに、アルはガチめのトーンで暴言を吐く。その怒気に素直に『ごめんなさい』と謝罪したエルは、改めて自己紹介と企画の概要。そして、注意事項などを語りだした。

 流石は数多のプレゼンをこなしてきたからか、企業案件のような語り口で紡がれる言葉の数々はものの5分で終了する。

 

「大丈夫ですか? 良ければ撮り直しますよ」

 

「全て言い終えたので大丈夫です。そのままやっちゃってください」

 

「うわ、すごいレスの数。でも、ちゃんと先王陛下レビテートシップ取って来れるんですかね」

 

「新型機とレビテートシップ、2足のわらじは厳しいはずですよ。何のために新型機のデータ渡したと思ってるんですか」

 

 どうやらここまでアンブロシウスとエルの手の平の上らしい。趣味人に面白い物好き、2人の悪魔の策略にまんまと引っかかったクシェペルカの国王に対して、アルは『うちの身内と先王がごめんなさい』と謝罪の念をこれから帰る方向に向けて送った。

 スレッドはスレッドで、自身の付けたい装備や設備について書いては別のスレ民の提案に押し潰されるというドッヂボールのようなことになっているのだが、大抵こうした後は案を出しつくしてレスが一時的に止まる『賢者タイム』になることをアルは知っている。

 

「しばらくは晩御飯安価だけやっとこうかなぁ」

 

「今度、とんかつとかご飯のお供になりそうなおかずにチネリ米みたいな物を出して来てみなさい。皿をアルの頭にダンクですよ! 全ての日本国民はご飯に合うお供にはご飯、もしくはおビール様を付ける権利を有するんですよ!」

 

「味噌も米も醤油もねぇよ、フレメヴィーラ人」

 

 小麦粉を練った塊を小さくちぎって米の形に整形をひたすら繰り返す節約レシピ──所謂ショートパスタやクスクスの出来損ないのような物を思い出し、若干錯乱しながらキレるエル。

 どうやら兄の頭はホカホカの白い米粒に支配されたらしい。元日本人からすれば喜ばしい限りだが、そんな彼を慰めれるような食材が都合よく商店に置いているはずなんてない。

 『掲示板よりもコンビニに乗用車突っ込んでこっちに来ないかな』と不謹慎な想像をしつつ、アルはやれやれといった様子でエルの言葉にツッコむと、ラッパを再び口につけて演奏を再開する。

 

 自分は何も詳しい話は聞いていない。言われたとおりにやった自分は悪くない。つまり、悪いのは指示を与えたスレ民だ。そんな他人事のような表情で吹くゴッドでファーザーな愛のテーマは夕闇の中に溶けていった。

 

***

 

624:ロボ異世界より

 エチェ公の兄貴が言ってた時間ってもうすぐだよな

 

627:ロボ異世界より

 せめて船名とかが良かったなぁ

 

630:ロボ異世界より

 >>627

 ライオネル親方で安価取りたい

 

633:ロボ異世界より

 >>630

 じゃあ俺はムッシュヒマワリで

 

636:ロボ異世界より

 >>630

 じゃあ俺、ハボクック

 

638:ロボ異世界より

 >>630 >>633

 お前等は仲間と船旅して来い

 

639:ロボ異世界より

 >>636

 あひる艦載機って良いよね

 

642:エチェ公

 >>636

 冷却魔法がないから氷山空母は無理です

 ということで、もう少しで装備安価始めますぞー! 

 

644:ロボ異世界より

 >>642

 イェア! 

 

645:ロボ異世界より

 え、今日は装備安価していいのか!? 

 

648:ロボ異世界より

 採用されるかは運次第だがな

 

649:ロボ異世界より

 >>645

 遠慮するな 今までの分参加しろ

 

651:ロボ異世界より

 船に積む装備かぁ、メガ○子砲? 

 

653:ロボ異世界より

 ドリル

 

654:ロボ異世界より

 陽電子砲

 

656:ロボ異世界より

 メガレーザー

 

658:ロボ異世界より

 マク○スキャノン

 

659:ロボ異世界より

 イオン砲

 

662:ロボ異世界より

 お前等、エチェ公の世界まっさらにする気か

 

664:ロボ異世界より

 無理やり国を統一させる悪い国ごと『ゼロ』に戻し 次の世代に未来を託そう

 

665:ロボ異世界より

 >>662

 俺らのあずかり知らない世界だし、どうなろうが知ったこっちゃなくね? 

 

666:ロボ異世界より

 皆好き勝手かいてて笑うww

 

668:ロボ異世界より

 >>664

 紛争地でライフル片手にインタビュー受けてそう

 

669:ロボ異世界より

 >>665

 かわいそうに、数年後書き込みをふと思い出して暴れるんだろうな

 

676:エチェ公

 なんかへんなの居ました? 

 それより、始めます

 >>700 >>710 >>720

 

678:ロボ異世界より

 >>676

 気にすんな。きっとあれだ、最近寒いから

 シドニーは今、雪で真っ白だろうな

 

679:ロボ異世界より

 お、今日は3つか。豪勢だな

 

681:ロボ異世界より

 >>678

 おい、シドニー生まれ! シドニーは今は夏だぞ! 

 

684:ロボ異世界より

 >>678

 嘘が下手だな

 

686:ロボ異世界より

 そろそろ減速しろよ

 

688:ロボ異世界より

 マクロ○キャノン

 

690:ロボ異世界より

 爆雷

 

691:ロボ異世界より

 何かは言わないが、揺れる美人艦長

 

692:ロボ異世界より

 ミサイルパーティ

 

694:ロボ異世界より

 なんかでっかい砲台

 

696:ロボ異世界より

 陽電子リフレクター

 

698:ロボ異世界より

 メガレーザー

 

700:ロボ異世界より

 カタパルト

 

701:ロボ異世界より

 人型に変形

 

702:ロボ異世界より

 メーザー砲

 

703:ロボ異世界より

 変形機能

 

704:ロボ異世界より

 再生する装甲

 

705:ロボ異世界より

 ライオンみたいな船首

 

708:ロボ異世界より

 合体

 

710:ロボ異世界より

 めっちゃ射程長い大砲

 

712:ロボ異世界より

 撃龍槍

 

714:ロボ異世界より

 グラビ○ィブラスト

 

717:ロボ異世界より

 ショックキャノン

 

718:ロボ異世界より

 なぜなにナ○シコ

 

720:ロボ異世界より

 波動砲

 

722:ロボ異世界より

 ワープドライブ

 

725:ロボ異世界より

 オモイカネ

 

726:ロボ異世界より

 えーっと、カタパルトにめっちゃ射程が長い大砲に……波動砲!? 

 

729:ロボ異世界より

 >>720

 最後wwどうすんだこれww

 

730:ロボ異世界より

 安価以外も良く見たらどうやって実現するんだって奴ばっかで草も生えない

 

731:ロボ異世界より

 >>703だけど安価したやつら馬鹿だろww

 

732:エチェ公

 うーん、>>710と>>720は被りそうだから合成して良い? 威力上げると飛距離も伸びるし

 カタパルトは現状使えそうなの1機だけなんだけどなぁ。でもあの人、サ○ビー風の発進したがってるしなぁ

 

735:ロボ異世界より

 >>731

 お前モナー

 

738:ロボ異世界より

 >>732

 え、波動砲できるん? 

 

739:ロボ異世界より

 >>723

 >>720っす。似たようなの出来るんだったら全然OK。波動砲みたいにめっちゃ強い奴希望

743:ロボ異世界より

 兄貴、ケーブル引きちぎる出撃が好みなのか。じゃあカタパルトの意味薄くね? 

 

744:ロボ異世界より

 >>723

 >>710だけど、すごく曖昧に書いたから何でもいいよ。せっかくの祭りだ、派手にいこうや

 

750:エチェ公

 >>739 >>744

 ありがとうございます

 

 カタパルトは今後そういった空戦機体もつくろうって話になったので無駄にはならないかと。一応何度か使ってくれるとの琴なので作ります

 

 後、装備案は全て見せてもらって兄と共有しています。現在、兄の琴線に響いた『エルネスティ賞』は以下の通りです。

 ・合体機能(イカルガと合体すればより出力の高い法撃できますよね)

 ・ミサイルパーティ(空飛ぶ船に対処したあれを何本も用意して撃ちましょう)

 ・オモイカネ(イカルガや操縦席を通して掌握すれば似たようなことがいけるのでは?)

  

754:ロボ異世界より

 >>750

 エルネスティ賞wwどんどん大事になっていくぞw

 

755:ロボ異世界より

 >>750

 そうだった、兄貴の機体も化け物なんだった

 

758:ロボ異世界より

 >>750

 いや、兄貴も化け物だろ。なんだよ、機体を通して船を掌握とかw

  

762:ロボ異世界より

 >>758

 かなーり前だけど、兄貴に安価で模擬戦挑んだとき。生身でエチェ公の機体に触って中枢回路掌握しただかで負けてなかった? 

 

763:ロボ異世界より

 ミサイルパーティーやったー。カーニバルだよ

 

768:ロボ異世界より

 >>758

 あー、思い出した。そっか、ロボットのメインシステムに侵入できるならいけるのか。つくづくやべぇな、エチェ公の兄貴

 

769:ロボ異世界より

 追加の装備枠があるからエチェ公のスレはやめられねぇぜ

 

770:ロボ異世界より

 >>768

 エチェ公はそれできないっぽいからなぁ。やっぱ2番手はだめかぁ

 

773:ロボ異世界より

 >>768

 その才能マンの出涸らしがエチェ公

 

775:エチェ公

 ワァ……ァ……

 

776:ロボ異世界より

 ちょっと男子ぃ~

 

777:ロボ異世界より

 >>775

 掲示板のみで最新の話題を吸収するエチェ公も大概アンテナ広いよな

 

783:ロボ異世界より

 おやおやおや、泣いてしまうとは。エチェ公は可愛いですね

 

 

 ***

 

「なんっじゃぁこりゃぁ!」

 

 銀鳳騎士団がクシェペルカの王都に戻って数日後。王都の一画にある工房ではダーヴィドの咆哮が聞こえてくる。彼の手には大量の紙束が、その前にはエルとアルが満面な笑みで佇むという銀鳳騎士団にとっての『日常』がそこにあった。

 

「えぇ、ですからレビテートシップの設計図です」

 

「詰め込めるだけ詰め込んでみました」

 

「なんで詰め込んだら鹵獲したやつの3倍ぐらいのでかさになってるんだよ!」

 

 にっこにこの2人に1発ずつ拳骨を見舞ったダーヴィドは改めて設計図を食い入るように見つめる。

 

 まず、なんといってもその大きさだ。鹵獲した飛空船(レビテートシップ)の3倍ぐらい大きくサイズアップした船体の上部甲板には、大きくせり出した『カタパルト』という文字が書かれた部分が自己主張している。

 他にも魔導飛槍(ミッシレジャベリン)を打ち出す射出装置がカタパルトの外側に大量に搭載されていたり、船体の背部に大型魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)を搭載していたりと驚くべき部分は多々あるが、ダーヴィドが一番目を引いたのは船体を貫く巨大な銀の筒の存在であった。

 

「銀色坊主。……いや、装備となると小僧の方か。これはなんだ?」

 

「超射程かつ、超火力の法撃を放つシルエットアームズです」

 

 あっけらかんと答えたアルはダーヴィドの手の中から1枚の紙を抜き出してダーヴィドの前で開く。そこには一見すると規則的だが、細かに書かれすぎてどのような系統の魔法なのかすら追いきれないぐらいの密度にビッシリと魔法術式(スクリプト)が書き込まれていた。

 見ただけで頭が痛くなりそうな魔法術式(スクリプト)の群れに目頭を押さえたダーヴィドは、『はやくそれを仕舞え』と言いながらそっぽをむく。

 

「とりあえず分かったが、それ動かすにはどれだけ魔力がいると思ってやがる」

 

「発射の際にはパッチワークとイカルガさえ居ればどうにかなりません?」

 

「ここに接続用の穴を開けてもらって、イカルガをここにはドッキングさせるんです。船の名前は……そうですね、"キシン・ザ・グレート"で!」

 

 むふーと胸をはるエルの隣でアルがしょんぼりとしていることから、どうやら命名権はエルになったらしい。しかし、構造やサイズアップの作業をするのにかなりの時間がかかることから、ダーヴィドは時間がないことを名目に拒否しようと口を開きかけていた。

 ──その時、ダーヴィドの手から飛空船(レビテートシップ)の設計図が突然ひったくられた。

 

「ほほう、面白そうなことをしておるではないか」

 

「なにしやが……先王陛下!?」

 

 つい乱暴な口調が出てしまったダーヴィドが慌てて口をつぐむが、アンブロシウスは『良い』と笑いながら設計図を読み進める。時には『ここはどういった理由でつけた?』と疑問を口にし、読み進めていくごとに彼の口に笑みがこぼれていく。

 

「中々思い切った設計じゃが…………少々備えが足りんな。このシルエットアームズ。イカルガがなくても放てるようにはできんか?」

 

「うーん、これほどの物を賄うクリスタルプレートは機動性が落ちそうですね」

 

「ちょっと待ってくださいね」

 

 イカルガが近くに居ない場合に撃つ可能性も考え、予備の魔力供給案はないのか尋ねてくるアンブロシウス。当然、イカルガのような超弩級魔力転換炉(エーテルリアクタ)と同じぐらいの魔力転換炉(エーテルリアクタ)などこの国にはないので、アルは再び『彼ら』に助けを呼びかけた。

 

***

 

902:エチェ公

 先王陛下から、波動砲もどきの予備魔力どうするかって聞かれました

 図面をうつしますが、もう船内かっつかつなんですが

【画像】

 

928:ロボ異世界より

 >>902

 うわ、すっげぇみっしり

 

936:ロボ異世界より

 >>902

 エチェ公、シミュレーションゲーで区画整理きっちりしてそう

 

958:ロボ異世界より

 >>902

 エチェ公、逆に考えるんだ。外部に予備バッテリーをつけちゃえば良いさ……と

 

963:エチェ公

 >>958

 えぇー、それだと機動性下がるのでは? 

 

967:ロボ異世界より

 >>963

 いざとなれば下に気をつけて切り離せば良いさ

 

970:ロボ異世界より

 >>967

 溜めた魔力吸い出してポイとか>>783のカートリッジみたいだな

 

974:ロボ異世界より

 >>970

 あれは都合の悪いものを押し付けるものだろ

 そういえば、某魔砲少女の魔力込めた弾丸はカートリッジっていうよね

 

979:エチェ公

 カートリッジかぁ。提案してみます

 あ、そろそろ1000なので立ててきますが、その魔砲少女以外のカートリッジの概要も良ければ教えてください。ネタになりそうなので

 

983:ロボ異世界より

 >>979

 やめろぉ! 

 

987:ロボ異世界より

 >>979

 ならないから止めて? まじでやめろ? 

 

991:ロボ異世界より

 >>979

 えーっとね……~ネタバレ防止~

 

995:ロボ異世界より

 >>991

 まじで言いやがったよ

 

1000:ロボ異世界より

 >>991

 人の心ないんか? 

 

1001:ロボ異世界より

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 ***

 

 数十分後、ようやく長考の構えを解いたアルは設計図の一部を変更する。船体の左右に鳥の翼のように広げた巨大な板状結晶筋肉(クリスタルプレート)を増設する設計に、エルは『これぐらいなら1発分は貯まりそうですね』と話すとアルは頷きながら口を開いた。

 

「機構名はカートリッジ。主砲1発分の魔力を貯蓄する大型の板状結晶筋肉(クリスタルプレート)です。一応、直線的な機動は邪魔にならないように翼にしていますが、固定翼なので方向転換の際には邪魔になります。なので、魔法術式(スクリプト)でいつでも切り離せるようにします」

 

「なるほどのぉ。イカルガが戻ってくるまでに1発、戻ってきてから2発か。机上の理論だが、こんなスクリプトの化け物を2発も放てば、大抵は焼け野原よ。……、良いことを思いついたぞ」

 

 掲示板で言われていた『カートリッジ』。アルが知っているネタと知らないネタの2パターンがあったが、両方とも『何かを留めておく』ことに着目した機能だ。アルはそれをこちらの世界に馴染むように咀嚼し、魔力を貯蓄する板状結晶筋肉(クリスタルプレート)を外部に取り付けることで船体の一部を巨大なマガジンに仕立てる構想を説明する。

 その説明に満足したのか、アンブロシウスはニヤリと楽しそうな笑みを浮かべ始めた。

 

「凄まじいほどいやな予感がしますが、何でございましょう」

 

「なぁーに。ジャロウデク王国の王都にこの船で向かい、あちらの王に停戦協定を結ばせるだけのこと」

 

 快活に笑いながらえげつない行動方針を立てるアンブロシウスに、ダーヴィドの顔が一気に真顔になる。

 だが、確かに停戦協定を結べばこれ以上の侵攻が亡くなり、西方全体を巻き込む前に戦いは終結する。後は旧ロカール諸国連合の復興などをすれば、建前上はめでたく元通りと良いこと尽くめな案だ。

 ただ、口で言うことは簡単なこの案。『飛空船(レビテートシップ)の開発元であるジャロウデク本国に鹵獲した1隻で王都まで赴く』というベリーハードミッションが立ちはだかっている。

 

 普通の飛空船(レビテートシップ)なら数に物を言わされて呆気なく拿捕される可能性が大いにあるこのミッション。当然、撃沈される危険性や乗り気なアンブロシウスの身の安全的になんとか抑えようとするダーヴィドだったが、当の本人はこのミッションの勝算は十分にあると思っているらしい。

 

「ナイトスミス殿がそういっておるが?」

 

「勝算は十分かと。偵察機器としてアルのリーコンを増設すれば、位置や数を把握できるので先制攻撃は容易です。それに、わざわざ敵に近づかずともイカルガを発進させてくれれば足止めは可能ですよ」

 

 アンブロシウスからのアイコンタクトに気付いたエルは、自分たちに勝算が十分にあることをダーヴィドに話す。特段長いリーコンを用いれば数キロ先の配置などは一目瞭然となるし、飛空船(レビテートシップ)に内蔵した魔導飛槍(ミッシレジャベリン)魔導兵装(シルエットアームズ)を用いなくとも、イカルガを発進させてしまえば対空防御の概念すら薄い飛空船(レビテートシップ)は良い的である。

 そして、無理に撃沈させずに推進装置である帆を狙えば通りがかった船に曳航してもらうか、地上に降りて近くの砦に避難するぐらいしかできなくなるし、燃料である源素晶石(エーテライト)が不足していれば無理やり接舷して奪い取るという海賊行為(空だが)を行うことも可能だ。

 

「なぁ、俺達騎士団だよな? 盗賊じゃないよな?」

 

「親方、軍事目的の致し方ない犠牲ですよ」

 

 ジャロウデク軍人が聞いたら『じゃあこれも致し方ない犠牲だ!』と暴れまわりそうなことを言いながらダーヴィドに飛空船(レビテートシップ)建造を頼むエルだったが、先ほどからアルが黙っているのが気がかりだった。

 

「アル、先ほどから黙ってどうしました?」

 

「あぁ、いえ……。ちょっとカートリッジでとある考えがありまして」

 

 そう言ったアルが自身の考えていたことを話し出す。

 掲示板のスレ民の提案からアルが設計したこのカートリッジ。魔力を大量に貯蓄することは出来るが、それは幻晶騎士(シルエットナイト)魔力転換炉(エーテルリアクタ)からの余剰魔力で賄っている。

 ただ、それだと幻晶騎士(シルエットナイト)の稼働率が100%の場合、魔力を貯蓄する暇がなくてカートリッジの恩恵が受けられないという問題に直面してしまう。

 

「そうですね。常に余剰魔力があるわけではないですからね。それがなにか?」

 

「魔獣って、魔法使えるわけですから……魔力がありますよね」

 

「…………っ!」

 

 アルの一言に長年魔獣と血で血を洗う闘争を行ってきたアンブロシウスは気付いた。──気付いてしまった。

 彼は──目の前の少年は『魔獣自体をカートリッジ内に封じ、その魔力を様々な動力にしようとしている』のだ。

 

「アルフォンス、それは……フレメヴィーラ王国の先王として許可出きん。魔獣はおぬしが思っておる通りの行動をするような存在ではないのだ。時にはなにをしてくるか分からん」

 

「ならば、動けないようにして詰めれば抵抗は出来ないかと。魔力を奪い取る方法はこれから検証ですが、これが出来たら魔力だけいただいて投棄すれば二重でお得かと」

 

「そういうことですか。アル! それ以上はやっちゃいけません! やったらもう戻れませんし、行き着く先は"人間"になってしまいますよ!」

 

 エルが声を荒げながらアルの肩を揺さぶると、アルは『行きつく先は人間』という言葉でようやく我に返る。最初は敵対する生物だからといっても自分の利のために他者の命を弄ぶ行為には変わりはない。

 『お得』と言ってしまったアルは自身が言ったことに大層ショックを受け、エルにこの場のことを任せて部屋に引き篭もってしまった。

 

(掲示板のせいでしょうか? ……いや、大方掲示板のネタを基にあの短時間で独りよがりで考えて、特に推敲もせずに発したんでしょうね。大したものと褒めるべきか、もっと考えろと叱るべきか……)

 

 その落ち込みようからエルは大方の原因を察したが、結局の所アレだけ落ち込んでいるので叱るのは止めておこうと飛空船(レビテートシップ)の建造に注力する。

 こうして前線は硬直状態のまま数ヶ月が経ち、クシェペルカ王国の仮設飛行場に『キシン・ザ・グレート』が鎮座した。

 

***

 アルが引き篭もった当日の掲示板の様子

 

5:エチェ公

 叱られた……

 

9:ロボ異世界より

 >>5

 スレ立てとテンプレ更新乙

 どした? なんか設計に不備でもあったか? 

 

17:ロボ異世界より

 >>5

 前スレの最後のほうの図面だよな? 素人目では何もおかしいところなかったけど? 

 

27:ロボ異世界より

 いえ、図面ではなくてですね。ネタをマジでやって自爆しただけなので、僕が100%悪いです

 

32:ロボ異世界より

 >>27

 ぐだぐだ言わずに経緯話せ。うじうじめんどくせぇ

 

37:ロボ異世界より

 >>27

 ネタでマジでやって? 経緯話してくれ。分からん

 

46:エチェ公

 余剰魔力を充填するカートリッジを提案。承認される。

 ↓

 余剰魔力ない時はシステムの意味がないことに気付く。

 ↓

 なら、魔力を持つ自分達の国の大敵である【魔獣】を閉じ込めて、魔力を充填すれば良いじゃんと考える。

(貯蓄したら高高度から投棄して止めを刺す)

 ↓

 それ以上行ったら行き着く先は【人間】になるから止めろと兄から怒られる

 ↓

 ここでようやく気付いて落ち込む ←いまここ

 

55:ロボ異世界より

 >>46

 エチェ公がマッドになりかけてて草枯れる。いや、兄貴ファインプレーだな

 

56:ロボ異世界より

 >>46

 うん、このまま行ったらガチボ卿ルート行ってただろ

 誰だよ、エチェ公は可愛いですねって言った奴。皮剥いだらボ卿だったじゃねぇか

 

59:ロボ異世界より

 >>46

 やっちゃったもんは仕方ねぇよ。切り替えていこ

 でも、前スレで余計なこといった奴は土下座しとけ

 

61:エチェ公

 いや、僕が暴走しただけだから良いんですよ。あー、駄目だ。自分がとんでもないことしようとしてたって自覚がじわじわ来て気分が沈む

 とりあえず、なんか敵国の王都に単艦突撃するみたいだから何とか気分戻せるようにがんばる。しばらくは更新停止するわ

 

66:ロボ異世界より

 >>61

 ちょっwなんかすっごいこと言い残して去って行ったぞあいつ

 

72:ロボ異世界より

 >>61

 ふぁっ!? 

 

77:ロボ異世界より

 >>61

 敵国の王都に単艦突撃ってなんだよww

 




製作カロリーが高いからやりたくない? 逆に考えるんだ。製作時間は捻出するものだとって貴族のおっちゃんが言ってた。

キシン・ザ・グレート
 鹵獲したレビテートシップをジルバヴェールよりも大きくサイズアップしたもの。
 装備のほとんどはジルバヴェールと同じだが、主砲である超火力かつ超射程のシルエットアームズのエンブレム・グラフが刻まれた銀の筒が魚の串焼きのように船の中心に通っているので、格納庫といったあまり使わない区画のスペースが極端に狭くなった。
 左右には翼の形状をしたクリスタルプレートが配され、イカルガと合体中に貯蓄した魔力でイカルガが居なくても1発は主砲を放てる。
 また、マギウスエンジンのスクリプトをエルやアルが使いやすいように再設定。結果的に機体や艦橋からフル・コントロールで船の操作を横取りすることが可能となった。

銀鳳の副団長との相違点
 掲示板の空気に洗脳・・・もしくは毒されて倫理観がちょっとやばくなっている。ただ、一線は越えていないところから見るとまだまだ良識ある若者である。
 料理関係に関しては、スレ民からのアドバイス染みたレスによってソースっぽい何かが完成。さらには飯のおかず安価でとんかつやメンチカツといった揚げ物の頻度が多くなる。ただ、エルがその度にご飯を要求してくるのでチネリ米(詳しくはWEBで)を安価で作ったら激しくキレられる。
 だれだってそうする。私だってキレる。
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