銀鳳の副団長   作:マジックテープ財布

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殻獣の災禍編
60話


 フレメヴィーラ王国の大動脈である東西フレメヴィーラ街道を3機のツェンドリンブルが走っていた。今までの形式からかけ離れた最新鋭の幻晶騎士(シルエットナイト)の姿に、街道を往く商人やその商人を守護する商騎士団の幻晶騎士(シルエットナイト)は一様に立ち止まり、戸惑いのままツェンドリンブルを見送った。

 

「3人共、村が近いので常歩に。足元にも気を付けてください」

 

 純白のツェンドリンブルからエルの声が響き、それを聞いた前方のツェンドリンブルが速度を落としながら周囲を見渡す。収穫期に近づいているためか、黄金の麦穂が穏やかな風に撫でられるように揺れている。そんな風景を見ながらキッドとアディは懐かしそうな声を上げた。

 

「なっつかしいなぁ。何年ぶりだっけか」

 

「学園に入ってからは来ることなかったよねぇ」

 

「そうですね。学園に入る前は数か月に1回里帰りとか言って数日は遊べませんでしたからね」

 

 アルも昔のことを懐かしみながらキッド達の言葉に同調する。

 彼らの父親はこのフレメヴィーラ王国の台所である『セラーティ領』を運営する大貴族、『ヨアキム・セラーティ』である。学園に入るまではそんな大物が父親だと知らずに『どこかの騎士団の息子説』といった内容をエルと話していた記憶がアルにはあった。

 

「あれ。……もしかして、里帰りって重要な行事だったりします? お休み取っても良かったんですよ?」

 

「お盆とかお正月も里帰りしないとかやばいですよ。村八されますよ」

 

 そんなことを話していると、エルは唐突に里帰りの重要性が気になり始めた。騎士団やらなんやらで里帰りが出来ない状況になったことをヨアキムに詫びを入れないといけないのではないかと後ろで同じような考えに至ったアルと不安げに相談していたが、帰ってきたのは『気にしなくても良い』という言葉だった。

 

「来てもバルトサールとかに虐められたりしないように屋敷の隅っこで隠れてたしな」

 

「そーそー。ご飯の時も奥方様によく小言言われたもんね」

 

 どうやら相当な扱いを受けていたらしく、エルとアルはとりあえずは大丈夫だと分かって胸を撫で下ろす。今回、セラーティ領に来た理由が理由なので大事にはしたくないのがエル達銀鳳騎士団の総意だった。無論、エル達は出かける前にダーヴィドやエドガーから『なるべく大人しくしているように』とどちらが騎士団長なのかわからない様な指示を受けていたりする。

 

「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」

 

「わっち! わっち!」

 

 金色の麦畑を見て謎の言葉を残しつつもツェンドリンブルは数個の村を抜け、セラーティ領の領都へたどり着いた。幻晶騎士(シルエットナイト)が都の中を通るための先触れを待つため、駐機所でツェンドリンブルから降りたエル達の目の前には祭りのような活気を帯びた光景が映っていた。

 

 持ってきた物資を取引するための店舗や、領地で根付いた商会が人を呼び込もうと客引きを行っており、一山当てようと屋台で取引する人間も多数存在している。そして、そんな商品を買う領地の人間は節制といった言葉を忘れたかのように現場や後々行われる『大イベント』に乗せられて固く絞ったはずの財布の紐を緩めている。

 

「兄さん、これがお祭りです。日ごろシルエットナイトで魔獣と戦うのはお祭りじゃないんですよ。おわかり?」

 

「いえ、僕にとってはあれも命のやり取りといったどったんばったん大騒ぎのお祭りなんです」

 

 お祭りの定義について平行線を辿って結論が出せない2人だが、都の活気の中に馬の蹄鉄が石畳を叩く音が聞こえてくる。そちらの方に全員が目を向けるとナイトランナーの標準装備である皮鎧を着込んだ騎士が息を切らせながら馬を走らせていた。

 

「も、申し訳ありません。通りが我らの予想以上に混んでいたのでぶつからないようにしておりました」

 

「人多いですものねぇ。では、先導お願いします」

 

 アルの目から見ても馬であの人だかりを抜けるのは至難の業である。アルは事故は起こっていないことを信じながら先導を頼み、自らもツェンドリンブルに乗り込む。ただでさえめったにないイベントに加え、ツェンドリンブルといった商人がたまに話す内容のことしか知らない眉唾な幻晶騎士(シルエットナイト)の姿に、領民の会話のレパートリーが増えたことは言うまでもない。

 

「銀鳳騎士団騎士団長殿、ならびに副団長殿 ご到着!」

 

 館にたどり着いたエル達をセラーティ家の使用人が迎える。到着を告げる内容にキッド達が混じっていないのだが、彼らは仮にアルを欠いた場合は『団長補佐』になるのだが、団長を補佐する役職の『副団長』が居る場合は『団員』に戻ってしまうので、先ほど到着宣言を出した騎士は未だにエル達の方向を見ながら間違っていないか確認している。

 

(あの人、初めて先王陛下に会う時のアルに似てますね)

 

(……そっすね)

 

 来賓用の部屋へと案内される道中、ひそひそ声でかなり昔のことを蒸し返されたアルは若干不機嫌になる。1国の王に謁見することになっても動じない子供なぞ、物の分別が付かない赤子や幼子ぐらいなものだ。

 アルも今では第2の祖父のようにアンブロシウスに懐いてはいるが、ファーストコンタクトの酷さはエルの方が異常だと内心文句を言いながら後ろで挙動不審になっているキッド達を確認しながら来賓用の部屋に入っていった。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ、いつもは邪険に扱ってくる使用人も居たんだがな」

 

「居なかったね。それに丁寧に案内してくれるのが、なんだか変なの……」

 

 過去に類を見ない好待遇に困惑しているキッド達。しかし、エルはリラックスした様子で『まぁお茶でも飲んで待ってましょう』とティーポットの紅茶を人数分注ぐ。

 こんなちんちくりんでも国王直下の騎士団である銀鳳騎士団の団長と副団長である。そんなメンツが連れてきた騎士に『妾の子だから!』とぞんざいに扱う使用人が居るとは思えない。仮に居たとしたら、逆に『君、良い度胸してるね。うちの騎士団の第2中隊に入らないかい?』と勧誘コマンドを連打したいとアルが願うほど確率の低い事態である。

 

 そんな緊張しつつも適度にリラックスした感じで過ごすエル達の耳に、騒々しい足音と女性や使用人達の声が聞こえてくる。

 

(あの人か)

 

 騒々しい物音にエルやキッド達が顔を見合わせている間、聞き慣れた声に感づいたアルはそろりそろりとエルの背後に忍び寄る。『あの人』についてはエルよりも詳しいという妙な自信から、アルは『あの人』の性格や使用人の声の大きさ的に嫌な予感がしたので、その直感に素直に従う形でエルの背中をいつでも押せるように準備を行う。

 

 すると、突然ドアが開け放たれ、1人の女性が部屋に乱入してくる。当然、マナーとしては最悪の部類に入るエチェバルリア兄弟でもめったにしない行動なのだが、入ってきた女性がエルやキッド達の見知った人間なので、エルは近場に居た『彼女にとって思い入れのある人物(アルフォンス)』で防御しようと手を伸ばす。

 

「ガードb……居ないっ!」

 

「背中が疎かである。エルネスティ防壁!」

 

 だが、アンブロシウスのようなことを言いながらエルの背後に回っていたアルは軽くエルを突き飛ばし、そのまま勢いを緩めずにこちらに来る彼女──『スフテファニア・セラーティ』がエルを捕まえる。頬ずりしながらエル成分を補充してトリップするステファニアから目を離さないようにしながらアルはゆっくりと後退する。──その様子はもはや猛獣のそれである。

 

「ああこの懐かしい甘い香り! さらさらふわっふわな髪! 会いたかったわぁ!」

 

「キッド、僕達って甘い匂いします?」

 

「……しねぇな。気のせいだろ」

 

 『女性は身体から甘い香りがする』という研究をネットの大海からチラ見した覚えのあったアルは、嫌そうな顔をしているキッドに確認してもらう。そんな確認を取っているとようやくエルを堪能し終えたステファニアは、エルを小脇に抱えたままじりじりとアルを見ながら距離を詰めていく。

 

「アル君も久しぶりね」

 

「ええ、ご無沙汰してます。ステファニアさん、結婚おめでとうございます」

 

 祝いの言葉を贈りながらステファニアから後退し、徐々に窓に近づいていくアル。窓に指をかけながら開け放ち、いつでも戦略的撤退を計れる所でステファニアが開け放った扉からアルも知っている男が困惑しながら声をかけてきた。

 

「……これは、僕は嫉妬に狂った方が良いのかい?」

 

「ケニーも抱きしめてみる? すっぽり具合が良い具合よ。私は……あの子が居るから」

 

 ステファニアが目線でアルをロックオンするが、その前にアルはケニーと呼ばれた男に近づいて片手を差し出す。

 レンナルト・ケルヴィネン。ケルヴィネン伯爵の長男にしてステファニアの婚約者であり、アルよりもステファニアを笑顔にすることが出来る男である。

 

「はじめまして。アルフォンス・エチェバルリアと申します。ステファニア様には学生の折に色々お世話になりました。今回はご結婚、おめでとうございます」

 

「はじめまして。アルフォンス・エチェバルリア殿。会えて光栄だ。私はレンナルト、ケルヴィネン伯爵家の長男だ。君と……そこで捕まっているお兄さんの名は、遠くこの国境の地まで届いているよ。……ティファ、そろそろ離してあげなさい」

 

 レンナルトに言われたステファニアは惜しみながらエルを解放し、エルもレンナルトと握手をする。その真面目な対応にキッドやアディが口々に『姉さんと似合わなさそう』と割と失礼なことを言うが、それを窘めもせずにステファニアは『彼は誠実だし、私も真面目にお付き合いをしている』と胸を張って答えていた。

 

(さっきのあれは真面目と言えるのか?)

 

 恐らく銀鳳騎士団で最も空気の読める男、アーキッド・オルター。彼は先ほどまでのやり取りを鑑み、数分ほど遅い断言に明確な返事はせず、曖昧に笑いながらお茶を濁すという高度なスキルでその場をやり過ごした。

 

「あ、でも私。結婚する前に心残りがあるのよね」

 

 その瞬間、空気が凍った。

 『心残り』と言うからにはセラーティ側かケルヴィネン側に不満があるのだろうと邪推したレンナルトは恐る恐るその心残りを聞くと、その行動から邪推されたと察したステファニアは手を前に振りながら否定する。

 

「え、いや。ケニーとの結婚に異議があるわけじゃないの。……ごめんなさい。ただ、中等部の時にアル君に騎士になって欲しいって頼んだら卒業まで待って欲しいって返されたから……」

 

「えー、それ今になって言います? 僕もう銀鳳騎士団の一員ですけど」

 

 少しだけ期待の混じった瞳でアルを見るステファニアに、アルは断ろうとした矢先にエルがアルの肩を小さく叩きながらサムズアップをする。そのいかにもいたずら小僧のような顔を見たアルが素早くエルの口を塞ごうとしたが、数秒遅かった。

 

「良いじゃないですか。数日間、ステファニアさんの騎士となってモゴ……」

 

「あら、騎士団長様の許可が下りたのなら良いのよね? さっそくお父様に相談してくるわ!」

 

 そういって部屋を出て行くステファニアを見てレンナルトが申し訳なさそうに謝って来るが、後でトイボックスに銅貨で傷を着けることにしたアルは、『お前の嫁だろ! 何とかしろよ!』と言った視線をレンナルトに向ける。

 ──とはいうものの、アルは本気で嫌がるようなことはしなかった。そういうのも、ヨアキム経由で銀鳳騎士団がツェンドリンブルを贈呈するが、アル個人でも何かをしたかったと思ってた所である。それほどステファニアのことは気に入っていたし、『惚れた女にゃ幸せになってもらいてぇ』という東京に居住経験の無いアルの中に居る謎の江戸っ子が暴れだした結果でもあった。さらにアルの胸中には嫉妬にも似たどす黒い感情もあるのだが、アルは丁寧に心のゴミ箱に封印した。

 

「娘がすまない……」

 

「ほんとですよ。では、行きましょうか。レンナルト様もこちらへ」

 

 数分後、娘であるステファニアに連れられ、ヨアキムが部屋の中へ入ってくる。予想外の人物が登場したことにキッドとアディが信じられないものを見たような表情で硬直するが、アルはヨアキムとレンナルトの背中を押すように部屋から退室した。

 

***

 

「本当に申し訳ない」

 

「いやー、僕だって王家直属の騎士ですよ? 流石に……ねぇ?」

 

「私からも申し訳ない」

 

 数分後、ヨアキムの執務室にアルの粘着質な文句が響く。その言葉にヨアキムとレンナルトは謝ることしかせず、時間は刻一刻と経過していった。

 先ほどもあった通り、アルは別に怒ってはいない。しかし、『王家直属の騎士を公爵令嬢が勧誘した』という事実はどうしても外観が悪いので、文句を垂れ流しながら最終的に断るポーズを取っているのだ。

 

 現にアルやヨアキムは、会話をしながら『筆談』をすることで今回の件をどうすれば実行できるか計画を相談していた。

 

【仮面をかぶるのはどうです?】

 

【めぼしいを探してみる。名前も変えねばならん】

 

【では、セドリックにしましょう】

 

「随分手馴れてますね。セラーティ様と交流でもあるのですか?」

 

「……あの騎士団長よりはまともだからな。一度ネジが緩むと手が付けられないことは変わりないが」

 

 次々と決まっていく事柄にレンナルトは驚愕しながらヨアキムとの関係性を声を最小に落としながら問いかける。それを聞いたヨアキムもひそひそとした声で答え、その返答にアルは大声を出さずに腕を振り回して抗議する。だが、『報告書事件』のことを槍玉に上げるヨアキムに、これ以上は損害が増えると判断したアルは一際大きく声を上げた。

 

「この件については報告はしません。……貸し1ですよ」

 

「助かります。娘には今一度厳しく注意をしておきます」

 

 ヨアキムの謝罪の言葉を聞かずに話は終わったとばかりにアルは退室していく。これならば『勧誘未遂』ということで、アンブロシウスや取り巻きの貴族から『戯れ』や、『勧誘に失敗した数多の前例の内の1つ』ということで処理されると判断したヨアキムは、鈴を使って家老を呼び出す。

 

「仮装用の仮面をいくつか頼む」

 

「承知しました」

 

 何も聞かずに退室した家老を見送ったヨアキムは対面で座っていたレンナルトと共にソファに深く座り込んで天井を仰ぐ。彼らの頭の中ではアルの『貸し1』がぐるぐると回っていた。

 

 これが仮に『魔力転換炉(エーテルリアクタ)くださいな』や『あらー、活きの良い結晶筋肉(クリスタルティシュー)があるじゃない。ここからここまで包んでくださる?』だったならまだ対応は出来る。しかし、貸しという実質青天井の報酬に、どんな無理難題が突きつけられるのかと悩んだヨアキムとレンナルトの視線が交差する。

 

 その後、執務室で責任の押し付け合い──もとい、責任の比重の話し合いが行われるが、セラーティ家の使用人達は彼ら独自の処世術をもってこれを鮮やかにスルーした。

 

***

 

 結婚式を間近に控えたステファニアの朝は早い。朝日が領都を照らす前に起床し、そこから身支度を整えるのだが、いつもなら使用人がドアを開けると共に起床するステファニアなのだが、今日はベッドから起き上がる気配はなかった。

 そんな中、使用人を伴って1人の不審者が部屋に入ってくる。目元を隠すような仮面を被り、革鎧を着込んだ騎士が使用人が押すカートと共にベッド脇まで移動してくるが、ステファニアは相変わらず『規則正しすぎる』寝息を立てていた。

 

「お嬢様。起床のお時間です」

 

「うー、抱き枕ぁ」

 

「僕は抱き枕ではありません。本日のお茶はクシェペルカ東部の茶葉を使用しています」

 

 騎士が使用人が押していたカートの上から紅茶を淹れてステファニアに手渡す。それを受け取って飲み始めたのを確認した騎士は、手帳を手に取ると再三隣にいる使用人に『僕が見ても大丈夫なんですか?』と問いかけてからようやく手帳から本日のステファニアの予定を読み始めた。数分後、全ての予定を伝達した騎士はカップを下げると丁寧に礼をして部屋から退室した。

 

「っふー……」

 

「随分手馴れてますね。執事みたいでしたよ」

 

 退室した騎士が近くの壁にもたれて一息ついていると、すぐ横の通路からエルが姿を現す。その声に気付いた騎士は同じぐらいの背格好のエルに対して指で仮面を叩くと、腰を折って礼をした。

 

「エチェバルリア騎士団長殿、お嬢様はまだ身支度の最中です。申し訳ありませんが、後にしていただけないでしょうか?」

 

「ええ、それではあなたの部屋で待たせてもらいます。構いませんよね?」

 

 エルはそれだけ伝えると通路の先に手招きをする。すると、キッドとアディが姿を現してさっさと騎士にあてがわれた部屋と思われる部屋の扉を開けて中へ入ってしまった。その傍若無人ぶりに騎士はぽつりと『他人のようにって頼んだのに』と文句を言うと、先ほどエルが入った部屋の扉に手をかけて入室する。

 

「アルー、お茶菓子どこですか?」

 

「アル君、この茶葉使っていい?」

 

「アル、その仮面似合わねぇぞ」

 

 部屋に入った瞬間、一斉に騎士──アルフォンス・エチェバルリアを呼ぶ声が殺到する。

 ステファニアの騎士を期間限定で行うことになったアルは仮面で顔を隠し、服も銀鳳騎士団とは異なる物を着ることで別人に成りすましている。これは、『銀鳳騎士団の副団長ではなく、姿形が良く似た別人』という知っている人からすれば失笑される対策ではあるが、逆に知らない人からすればバレにくい対策になる。

 

 仮面に至っては『浜で大事な物が死んだような面』や、『仮面と言うよりは頭部をすっぽり覆った鉄仮面』とかなりの数を用意してもらった中でアルが目を閉じて選んだ物なので、アルはキッドの突っ込みにチョップを入れる。

 

「話は戻りますが、どこであんな芸当身に着けたんですか?」

 

「……騎士たるもの、この程度のことが出来なくてどうします」

 

「いや、できねぇよ!」

 

 仮面を脱いだアルが紅茶を乱雑に淹れながらおどけた様子で礼をするが、どこの世界に執事の真似事が出来る騎士が居るかとキッドが突っ込む。その傍らで先ほどの言葉から何かを察したエルは『ああ、()()()()騎士ですからね』と返すと、アルはにっこりと笑った。──つまり、マンガの内容をもろパクリしたのである。

 

 もちろん、使用人の人達に聞きながら業務に関しては使用人にやってもらい、幻晶騎士(シルエットナイト)関係やステファニアの護衛的な業務はアルに頼るというスタンスをとっているが、先ほどのように『アル君に起こして貰いたい!』と駄々を捏ねることもあるので、そこらへんは『高度な柔軟性を持って臨機応変に対応する』ことになっている。

 

「僕のことより、アディ達は大丈夫なんですか? 僕達が居ない時に意地悪されたりとかされてませんよね?」

 

「あれ、アル君聞いてなかったっけ?」

 

「あー、わりぃ。伝えるの忘れてた」

 

 キッド達からしてみればこの家は悪しき記憶の舞台である。エルやアルが居ない所で何か嫌がらせを受けることがあれば、エルはもちろんアルも相応の対処を下す必要があるので率直に聞いてみたのだが、それに対してキッドは申し訳なさそうに頬を掻いた。

 どうやら、アルがヨアキム達を別室に引っ張って行った際、ステファニアから『大丈夫』というお墨付きをもらったらしい。それを聞いたアルは頭を掻きながらステファニアは何をしでかしたのか思案するが、一先ずは安心なのだろうと判断した。

 

「どう大丈夫かは別にして。あの人が大丈夫って言うんでしたら安心なんでしょうね」

 

 大方、カンカネンあたりの公爵の別宅の勤務になったり、酷い者は暇を与えたり、本妻に至ってはヨアキムと協力して場所を移動したのかもしれないとアルが邪推いると、扉がノックされる。時計を見ながら『仕事の時間ですね』と呟いたアルは仮面を被りなおすと部屋の中を誰にも見られないように素早く扉を開けて出て行った。

 

「本当、あの子は妙に義理堅くて頼まれ事大好き人間ですよねぇ。……どうせ今回も面倒くさいこと考えて引き受けたんでしょう」

 

 アルが出ていった部屋の中でエルがかなり酷い皮肉を言うが、今回の件の発端は流石にフォローできないとキッドとアディは乾いた笑いしか出てこなかった。

 

***

 

 その後、一時的にステファニアの専属騎士になったアルは『セドリック』という偽名を使ってステファニアの護衛からゲストの出迎えなどといった基本的な業務や、ケルヴィネン領へ異動となったリデア中隊を中心に砦から持ってきたツェンドリンブルの講習や、訓練方法などを教えるなどといった騎士としての業務で数日を過ごすことになった。

 

 そんなセドリックの姿を見た翡犀騎士団の面々は『まーたあの子は変なことしてるよ』と思いながら、セドリックのことを初対面として認識しながらもどこかフランクに接したりしていた。

 

「そういえば誰がこれに乗るんです?」

 

 エルが領都に到着して数日が経ったある日、セドリックは気になったことをその場に居たリデアに問いかける。その問いに初期型の頭部兵装を頭部につけたカルディトーレを見上げながら『俺はこいつが居るからなぁ』とリデアが手を空中に彷徨わせるが、次第に『予定は未定だな』と未来の自分に解答を託した。

 内心、『搭乗割考えるの面倒になったな』といったことは思ったが、それを決して口に出さずに本日の訓練が終了するとセドリックはステファニアやレンナルトと合流するために館に戻った。

 

「もう少しで出発式かぁ。……あ、雇用期間聞くの忘れてた」

 

 セラーティ領で行われる花嫁の出発式に思いを馳せていたセドリックが雇用される上での最大のポカをやらかしたことに気付き、館を走っていた所で通路から伸びてきた謎の手に捕まる。しっかりと抱きすくめられるが、その直後に頭の上から聞こえてくる声にセドリックはじっと我慢の子でいることに決めた。

 

「はぁ~、アル君の方がふわふわ感が上ねぇ。たまに指に当たる仮面が硬いのがマイナスだけど」

 

「お嬢様、私はセドリックです。そういえば僕の雇用期間はいつまでなんです? 銀鳳騎士団の業務あるので一緒に帰りたいんですが」

 

「えー……このまま永久就職とか「また公爵に怒られますよ?」ごめんなさい」

 

 恐らくだらしない表情をしていると予想したセドリックは、埒が明かないと公爵の執務室に向かって歩こうとするが、ステファニアはアルを抱きしめる腕に力を込めながら黙ってとある方向へ指を指した。そこには2階へと続く階段があり、その踊り場でバルトサールが1階に居るキッドに何かを言っている。

 

「私も最初はバルトサールも訓練でセラーティの館から遠ざけようとしたのよ。でも、リデアや翡犀騎士団の方々から太鼓判を押されちゃってね。……バルトも良い顔をするようになったわね」

 

「人が変わるのは3日あれば十分ですが、動機がないと一生変わりませんからね。それほど騎士団で良い経験を積んだのでしょう」

 

 やがて過去のわだかまりが薄れたバルトサールとキッドがその場を去ると、用事を思い出したセドリックはステファニアの手を引きながらヨアキムの執務室に強襲をかける。報酬の貸しについて悩んでいたヨアキムも雇用期間のことを忘れていたみたいで、隣でステファニアが不機嫌そうにしている中で『出発式が終わるまで』と契約内容を改めた。

 

「そもそも、貸し1というのもどうかと思うがね」

 

「金銭だと持ち運びで難儀します。手形にしてもらっても履歴は残りますので、何かの理由につけて食料の援助や物資の補充、僕達が居ない時のライヒアラ等をお願いしたいんです」

 

 セラーティ領やケルヴィネン領でも実現可能な割りかし軽い貸しに、ヨアキムは胸を撫で下ろす。対して仮面を抜いて素顔を晒したセドリック──アルの表情はあまり優れなかった。

 今回の報酬を『貸し』という曖昧な物にしたのも、全てアンブロシウスが退位した日に言われた『西が騒がしい』といったフレーズに起因する。それがなんであれ、銀鳳騎士団に所属しているアルが来るべき日に動くことは確定しているので、その前に出来る限り準備を行っておこうとこうして回りくどいことをして根回しを行っているのである。

 

(これが無かったら『シルエットナイト1機ぃ!』って喜べるんですけどね)

 

 ヨアキムが聞いたら卒倒しながら値引き交渉を行うようなことを思いながらアルはもう1度頭を深く下げて頼み込んだ。

 

「出来るだけ無理難題は言わないと思います! なので、この件に関しては貸しということでお願いします」

 

 端から聞けば身勝手なお願いと笑う者がいるだろうが、身勝手さで言えばステファニアも今回の件を見れば身勝手すぎるとヨアキム自身も思っていた。それと同時に、アルから出ている圧とも言えるような念の押しようによほど頼みにしている事柄なのだろうとヨアキムは二つ返事で了承する。

 

 雇用内容の更新が終わり、再びセドリックとしてステファニアと共に挨拶や散歩といった外出時の護衛を続けていると、気づけばすっかり夜中になっていた。周囲はすっかり暗くなり、『眠くなった』とステファニアが自室に戻って鍵をかけたのを確認したセドリックは自室に戻ろうとした時だった。

 

「アル……じゃなかった。セドリック君。少し話をしたいのだが」

 

 セドリックが後ろを振り返るとサンドイッチの皿を持ったレンナルトが立っていた。黙って指をセドリックにあてがわれた部屋を指したレンナルトに、セドリックは頷いて自室の扉を開ける。

 そのまま中に入ったレンナルトは部屋の中にある小さな机の上にサンドイッチを置くと、近くの椅子に座り込んで『ティファの件だけど、ありがとう』と若干申し訳なさそうに言うとそのまま黙ってしまった。

 

「構いませんよ。……あれ? 話はそれだけですか?」

 

「ん? 僕は感謝を伝えたかっただけだよ。逆に君のほうが僕に何か言いたげだと思ったんだが?」

 

 仮面を脱ぎ、セドリックから元に戻ったアルは飲み物を用意しながらレンナルトの感謝に返事をするが、そのまま黙ってしまったことに不思議に思っていると、レンナルトは逆に聞き返しながらアルに首をかしげた。その勘の良さに『やっぱり敵わないな』と観念したアルは、紅茶をレンナルトの前に出すと、『諦めたはずなんですが、また浮上したというか』とあやふやな思いをレンナルトに伝えた。

 

「やっぱり。セラーティ様の執務室で話を聞いている限り、随分乗り気な姿勢だったから気になってたんだよ」

 

 アルの方を見ながら何かを確信したかのような態度に、アルの胸中にあるゴミ箱の封印がぺりぺりと剥がれていく。数分ほどレンナルトがアルを見つめると、観念した様子でアルがゴミ箱に納めていたどす黒い感情を表に出した。

 

「未練ですね。自分から身を引いて手に入れられなかったくせに、レンナルト様とステファニア様が笑いながら話している姿を見て、本当にあの人を幸せに出来るのかとか、本当に好いているのかという失礼な考えがふつふつと沸いて来たらいつの間にかお試し騎士になると。……浅ましい考えですよね」

 

 恋愛物ならストーカー気質のキャラになってそうな己の心情を吐露したアルは項垂れる。しかし、レンナルトはアルの肩に手を置くと、真剣な瞳で『分かった。こうなったらとことんやろう』と宣言する。

 しかし、宣言するとは言ったの良いがどうするかとレンナルトは思案をする。すると唐突に何かを思いついたレンナルトは『殴りあおうか?』と提案した。

 

 見た目に反してフレメヴィーラスピリッツ漂うなんとも脳筋的な考えに、サンドイッチをもっしゃもっしゃと詰め込んでいたアルは『あ、不敬罪かなんかで僕を亡き者にする気だな』と変なことを考えるが、その反応を見たレンナルトは表情を暗くさせた。

 

「劇でそういうのはよく拳で解決させるんだがなぁ」

 

「あー、友情を深めるってあれですよね。でも夜ですよ? それに、出発式前に新郎に怪我させたりとかやばそうなんですが」

 

「まぁ、その辺は何とかする。物は試しだ」

 

 そう言いながらアルを引っ張っていくレンナルト。その腕に引かれながら『もしもの場合はレンナルトのせいにしよう』と固く誓ったアルは、密かに胸に宿る感情を思い出して固く拳を握りこんだ。

 

***

 

「では、構いませんね?」

 

「もう何度も言ったよ。君も案外面倒な子だね」

 

 領都に併設する翡犀騎士団の訓練所でレンナルトとアルは相対する。一応雇用主の夫を殴ることになるのでそこらへんの線引きをちゃんとしないといけないと豪語するアルに対し、レンナルトは誓約書まで持ち出してもなお確認を取ってくるアルに若干嫌な思いをしていた。

 

「じゃあ、行きますよ」

 

 そう言ったアルは一気に加速し、レンナルトに飛び込む形で顔面に向かって拳を放った。だが、その拳はレンナルトの手にすっぽりと納まり、そのままレンナルトがアルの腕を持ちながら強く引っ張ると踏ん張りが利かない空中にいたアルの身体はたやすく遠くへ投げ飛ばされた。

 

「どうした? そんな物かい?」

 

「涼しい顔して……腹が立ちますね」

 

 挑発するような言葉を買い叩くようにアルは再びレンナルトへ拳を見舞う。しかし、再びアルの拳がレンナルトの手に納まり、先ほどの焼き直しのように投げ飛ばされる直前、アルは自らの両足をレンナルトの首に巻きつけて投げ飛ばされることを回避する。

 

 当然この殴り合いは魔法を使用しない形式である。力や体重的にアルが圧倒的に不利なのだが、今回は『相手の打倒』は目的ではないので、両者は比較的マジになっていった。レンナルトは力に物を言わせながら体重の軽いアルを投げ飛ばし、対するアルは小さな身体を活かして痛打を与えていく。

 

「大体! いかに王室直轄である銀鳳騎士団所属の君でも、一度諦めたのに花嫁になったステファニアに情が沸くなんて些か節操が無いぞ?」

 

「好きだったんだから仕方ないでしょうが!」

 

「貴族の婚約は領地の発展と同義だよ! 色恋で判断するのはいささか短絡過ぎる!」

 

「じゃあ、貴方はステファニアさんのことが好きではないのですか!」

 

 荒々しい言葉を交わしながら戦闘はいつの間にか乱打戦になっており、周囲には肉を叩く音と叫び声が響く。比較的理性的にアルを責めるレンナルトの言葉を短絡的な言葉でアルは反撃する。そんな格闘戦を繰り広げている傍ら──演習場の物陰からキッドとエル、それとステファニアが隠れていた。

 

「いやー、やっちゃいましたねー」

 

「姉様、これマズい?」

 

「誓約書も書いてるみたいだし、階段から転んだってことにしておけば問題ないわよ。……でも、レニーがあんなに私のことを思ってくれてたなんて」

 

 身体をくねらせながらきゃいきゃいと一人でストロベリー空間を生み出しているステファニアを他所に、キッドは『アディ連れて来なくて良かったな』と独り言を呟きながら観戦する。

 ステファニアに全て聞かれていることなど知らない2人は、今もなお思いの丈をぶつけながら殴り合いをしている。そんな様子をエルは静かに見守りながら、『今回でアルはステファニアさんを諦めれますね』と呟いた。

 

「区切りって感じか?」

 

「えぇ、倫理的に人妻……っていうか花嫁狙うとかアウトですからねー」

 

 しみじみと『円卓割れなくて良かった』と零すエルの視線の先では、殴りあうのを飽きたのか2人は立ち止まって口論をしていた。比較的理性的だったレンナルトの言葉もいつしか熱され続けた鉄のように熱くなり、元々熱を帯びていたアルの言動も丁寧に話すヤンキーのような口調になっている。

 

「はぁ!? ステファニアさんは優しいし笑顔が素敵だし! それで欠点が目に付くとか貴方めんたま腐ってんじゃねぇんですか! あぁっ?」

 

「包容力があるのは素敵だし、それに彼女は気配りも上手だよ! それに僕は欠点があるけどそれもひっくるめて愛しいと言ったんだよ! 君こそ耳と頭はついてるのかね!」

 

「畜生! 最高の笑顔を向けられてる贅沢貴族め……」

 

「ハハハッ、君こそ過分にスキンシップをしてもらってるからお互い様だろ」

 

 ステファニアの良い所の言い合いから始まり、煽りなのかお互いの嫉妬なのか分からない言葉を吐くと2人は示し合わせたかのように『やんのかおらぁ!』と言いながらお互いの顔面に拳を見舞う。その衝撃に飛び掛ったアルは後ろに吹っ飛ばされ、アルの拳を受けたレンナルトも後ろ向きに倒れこむと両者はそのまま動かずに大声で笑った。

 

「あー、すっきりしました。レンナルト、もう大丈夫です」

 

「ああ、私も楽しかった。アルフォンス、君の思いは十分に分かったよ」

 

 殴られながらも『楽しかった』という感想を漏らすレンナルトの懐の大きさに、ステファニアが言う『誠実さ』を感じ取ったアルは破顔する。おそらく、エルや銀鳳騎士団が居なければこの一幕でアルはレンナルトについて行っただろう。──いや、確実についていっていたとアルは断言する。それほどまでにレンナルトは真面目にアルを理解しようとしたし、同じくアルもレンナルトも理解した。行っていることは殴り合いだったが、ある種の『対話』の結果としてお互いのことを理解した2人は痛む身体を引き摺りながら館に戻っていく。

 

「俺達も戻るか……あ、姉様止まってる」

 

「言い合いの途中でフリーズしてましたよ。こんなことならアディを連れて来たら良かったですね」

 

 アル達が戻る様子をじっと見ていたエルとキッドは、言い合いの最中に行われた『良い所の言い合い』ですっかり動きを止めてしまったステファニアが再起動を果たすまで若干暇を持て余しながらこの場で待機していた。

 

***

 

 ステファニアがセラーティ領からケルヴィネン領へ向かう『出発式』が行われた後、エル達は引き出物のツェンドリンブルの銀の短剣をレンナルトに手渡すと砦への帰路についた。本当ならケルヴィネン領の『到着式』にも参加したいところだが、エル達はセラーティ側の賓客のために出発式だけ見てそのまま帰ることになったのだ。

 

「姉さん綺麗だったなぁ……。ああいうドレスは一度は着せてほしいなぁ」

 

「そうですねぇ」

 

 ステファニアの着ていたセラーティ領の名産品である麦穂のような淡い金色の布を重ねた絢爛なドレスを思い出したアディが何度も同じような感想を言うが、アディのツェンドリンブルに同乗する形になっているエルは聞き飽きたのか適当に相槌を打っていた。

 

「エルがドレス着るとか、相変わらずアディは変だなぁ」

 

「兄さん大好きっ子ですからね。キッドはあっちでなにか良いことありましたか?」

 

 アディの駆るツェンドリンブルに並走する形でキッドはツェンドリンブルの操縦席でアディの言動について呆れていたが、同乗しているアルの言葉に少し視線を上に上げると、軽く笑いながら『ちょっとな』と曖昧な返事を返した。

 

「キッドが居る場所が君の場所ですよ。もし、居場所が変わっても僕達は友達ですからね。いつでも駆けつけますよ」

 

「なんだ、バルトのやつと話してるの聞いてたのか。趣味悪いぞ」

 

「ステファニア様が悪いんですー」

 

 ツェンドリンブルを走らせながら口を尖らせながら自身の潔白を宣言するアルの顔を一瞬振り返って見たキッドは笑いを堪える。アルの顔は所々腫れており、目元に青痣がつくような酷い物だった。それに対してアルの表情は、憑き物が取れたかのように晴れ晴れとしており顔の様子と表情のギャップに、とうとうキッドは笑い声を上げた。

 

「いきなりなんですか。僕の顔見て」

 

「悪かったって。ずいぶんすっきりした顔したなって思ってさ。……姉様のことはもう良いのか?」

 

「ええ、もう大丈夫です。……なんだ、キッド見てたんですか。趣味悪いですよ」

 

 キッドの口ぶりから殴り合いを見られていたと察したアルは先ほどキッドと同じようなことを言うと、キッドは『お互い様だ』と笑うとそのまま砦に向けて加速した。

 

(ステファニア様、レンナルト。お幸せに)

 

 こうして、アルの長い長い初恋はアルの黒星という結果で幕が閉じられる。しかし、アルはこの黒星を決して恥じることは無く、ただただ白星を挙げた親友(レンナルト)の未来をひたすらに祝福していた。




本当は2話構成にしたかったですが、恋愛文章書くの難しいので断念しました。
あと、レンナルトVSアルフォンスVSダークライという謎の単語を書き終わった後に思い浮かびました。(あまり意味が分からない)

ようやく・・・あの事件が・・・
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