I・IS《イフ・インフィニット・ストラトス》 作:嘘つき魔神
第1話:夢、否定されて
「……」
IS学園自室のベッドに座りながら何かを考え続ける少年、
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クラス代表対抗戦にゴーレムが乱入してきた日の夜、一夏は春馬に誰の目にもつかないような場所に呼び出された。11時という、本来寮を出てはいけない時間だが、春馬の放つ切羽詰まった雰囲気が一夏に断るという選択肢を与えなかった。
「なぁ、神風……?」
連れ込まれた場所の暗さとおどろおどろしさにさすがの一夏も恐怖心を煽られる。
「……」
やっと春馬は足を止め、一夏に向き直る。そして、こう切り出した。
「……おい織斑、お前、何であの時逃げなかった?」
「え?それは……」
「守りたいから、か?はん……」
一夏が言うだろう答えを先に言い、それを嘲笑う。
「……そうだけど」
「あぁ……イラつくんだよ!その腑抜けの考えが!」
そう言い、春馬は思い切り一夏を殴り付ける。そして、倒れ込んだところを胸ぐらを掴みあげ、手を頭に添え、再び思い切り壁に叩きつける。
「ごっ……!」
「痛いか?だろうな!だけどなぁ……鈴や織斑センセの方が痛いだろうな、お前があんな愚か者なせいでな……」
その言葉と共に一夏から手を離す。そのまま壁にもたれ、座り込んだ一夏を見下ろしながら、こう言い放った。
「お前は弱い、どうしようもなくな……だが、それは戦闘経験だどうだという話じゃない……お前は、本質的な弱者だ、俺の物語を引き立たせる、な……」
「何言ってるんだよ……神風……?」
「気軽に俺の名を呼ぶなよ敗北者、なぁ、言ってみろよ?あの時俺があのゴー……ISを倒さなかったらどうなってた?」
「それは……」
「はぁ……これだからカスは……失敗の可能性ぐらい考えて行動しろよ!間抜けぇ!」
そう言って一夏を怒鳴り付ける。普段見せている姿と全く違う側面に、一夏は気圧されてしまった。
「いいか?聞くぞ?何でお前は受験勉強なんぞしてた?」
「それは、千冬姉に少しでも楽に……」
「はぁ……これだから分かってねぇ!一般高校卒業なんぞ、織斑センセの顔に泥を塗る気か?」
「は……?」
「……ふん、もう何も言う気はねぇ……だがなぁ……これだけ言っておいてやるよ……」
そして、一夏の耳元に顔を寄せ、こう言った……
「お前みたいな弱者には誰も守れない、そして、お前は屑だ、自分の立場なんぞわきまえない、な……」
後半の言葉はもはや耳に入らなかった。春馬は一夏のその様子を見て、満足そうに鼻を鳴らし、立ち去っていく。そして、メンタルがズタボロになった一夏は、疲れたわけでもないのに重くなった体を引きずりながら部屋に戻ったのだった……
自分の夢や目標を頭ごなしに否定されるとイラつきますよね。