I・IS《イフ・インフィニット・ストラトス》 作:嘘つき魔神
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「……守れない、か……」
あの後、奇跡的に寮長に見つからず戻り、応急手当を済ませた一夏。しかし、その心は未だどしゃ降りであった。
「……そもそも、守るって何なんだ……?」
ここで一夏は、自らが守るということに対し、理解が浅かったことに気づく。そして、守る、ということについて再び考えようとするが……
「……ふわぁあ……」
一夏を唐突に眠気が襲う。今日はゴーレム戦での無断行動の反省文を書かされており、ようやく終わったのが10時47分頃、先に終わり、風呂に入って戻ってきたルームメイトの箒も、睡魔には勝てず眠ってしまった。一夏もさっさとシャワーを浴び、さて寝ようとしたところに春馬がやって来たのだ。殴られ、僅かの間眠気が覚醒していたが、その僅かの時間が今過ぎたらしい。
「……朝早く起きて考えるか……」
考えようにも眠気で上手く頭が働かず、それぐらいなら寝た方がいいと考えた一夏は柔らかいベッドに身を預け、そのまま眠りについた……
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「……ふわぁあ……うーん……もう朝か……?」
朝5時49分頃、まだ早朝といえる時間に一夏は目覚めた。そして、それを認識すると、これ幸いといわんばかりに考え始める。
守るとは何か?それを考え続けた。嬉しいことに、時間はまだまだある。しかし、結論は出ない。一夏の心に刺さった楔が、考えを纏めさせまいとする。次第に、守るとは何かより、自分は何でこんなに弱いのか?という疑問が一夏の頭に浮かぶ。そして、すぐに理解した。
何もかも春馬の言う通りだった。ISに乗れる、そう分かったときからすぐにISに慣れると言う名目で修行でもしておけばよかったのだ。疲れ果てた一夏は、もはやまともに考えることなんてできなかった。そして、しばらくの間、沈んだ様子でベッドに座っているのだった。
くっそどうでもいいし、皆察していると思うが、神風春馬は転生者である。コツコツ鍛えているならまだしも、チートをもらわなきゃ一夏に勝てるかも怪しいやつがよくもまぁああ言えるものである。
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「……うし」
やがて、一夏はある決心をする。千冬姉に稽古をつけてもらう。千冬姉には申し訳ないが、これが考え付く限りは最善なのだ。使っている機体も、葛桜の後継機のようなものだ。そう思い、千冬がいる部屋まで歩いていく。
「ブリュンヒルデに頼るのか?」
そう思って歩きだそうとしたところで、春馬に声をかけられる。
「……何だ?」
「ふっ……いや、お前は人に頼るのか、お前のような弱者に教える気はないと思うがな?織斑センセは」
「何だよいきなり……!」
ふっと一夏を嘲笑うようにしつつ、春馬は去っていく。こうして、一夏は、千冬に頼る気がなくなってしまった。即ち、一夏のパワーアップの機会は失われてしまったのだ……
えーと、何で春馬に言われただけで千冬に頼る気なくしたんだよおかしいだろ!って言われそうですが、うーん、今からやろうとしてても言われるとやる気なくすじゃないですか、多分あんな感じです。