戦姫絶唱シンフォギア 歌姫達の守護天使   作:十六夜翔

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今回は主人公がおやすみです。皆勤賞持たない主人公って新しい?そうでもない?

それでは本編どうぞ!


〜episode06〜

〜side奏〜

 

 

あいつが眠ってから一ヶ月が経った。未だに集中治療室に入ってて、二課も了子さんも立ち合ったのに、未だに面会が許されない。かく言う私もあのライブでの無理が祟り、療養中だ。弦十郎の旦那には暫く安静にしてろとも言われた。同じ病院のはずなのにあいつの病室に入れない。

あいつに私は助けられた。なのに私はあいつに怪我をさせた。謝りたいのに、謝ることすら出来ない。私は、私は……

 

あいつは未だ眠ったままだ

 

 

 

あいつが眠ってから二ヶ月が経った。私は療養を終え、二課のトレーニングルームで訓練していたんだが、未だにあいつがどういう状況なのかが分からないから訓練に身が入らない。

 

 

「奏ちゃん。今時間あるかしら?」

 

 

急に了子さんから声をかけられてびっくりした。

 

 

「了子さん、どうかした?」

 

「ここではあれだから、着替えてから司令室に来なさい。」

 

 

そう言ってから了子さんはどこかに行った。多分司令室なんだろう。私は了子さんに言われた通りにシャワーを浴び着替えてから司令室に向かった。入った瞬間、了子さんだけでなく、弦十郎旦那と翼がいた。

 

 

「全員揃ったわね、何故私たちが集められたのか分かるかしら?」

 

「了子君。ふざけるのも…」

 

「わかってるわよ…そう、真のことよ。」

 

 

何となくわかってた。真と1番関係が深い四人が集まってるんだ。それ以外の話なんて…

 

 

「奏ちゃん、翼ちゃん、顔が硬いわよ。安心して、真の命に別状は無いわ。ただ、顔の左側に傷が残っちゃって…どうしても消えないのよ、それとなぜ起きないのかもさっぱりね」

 

「なぁ、了子さん?了子さんは知ってたんだよな?真がガンダムって…」

 

「……ええ、知ってたわ。」

 

「じゃあ、なんで黙ってたんだよ!」

 

「奏!!」

 

 

翼が抑えてくれたおかげで、何とか思いとどまることが出来た。

 

 

「あの子から黙っててくれって言われたのよ、いつか必ずみんなに言うからって…そりゃ私だって!!」

 

「了子君…」

 

 

了子さんは今にも泣き出しそうな顔をする。それもそうか、了子さんと真は親子なんだから…

 

 

「こうなっては仕方ない。俺が纏めよう。とりあえず、真の命に別状はない。もう一月もすれば面会もできるだろう。」

 

「…なぜ目を覚まさないのかなんだけど、その時の映像を見せてもらったけど、多分…いえ、確実にあの紅い発光が原因でしょうね。あれは私も初めて見たわ。」

 

「どんだけ秘密主義なんだよ、あいつ…」

 

 

あいつは未だ眠ったままだ

 

 

 

 

あいつが眠ってから四ヶ月が経った。漸く面会の許可が降りて、私は急いであいつのいる病院に向かった。

 

病室に入ると、ベッドで眠る真はとても綺麗な寝顔をしている。髪の毛もいつの間にか黒から白に変わっていた。私はもしかして本当は死んじゃってるんじゃないかとか変な勘ぐりをしていた。心拍センサーはちゃんと反応してそんなことあるわけが無いのはわかっているはずなのに。

 

私は咄嗟に真の手を握ると、手から温もりを感じた。この瞬間、真は生きているんだって実感して涙が出た。

 

 

「なぁ、真?私さ、最近おかしいんだ…ツヴァイウイングのレッスンも変なところで凡ミスしたり、ガングニールとの適合率もどんどん落ちてきてるんだよ…なぁ、どうすればいいかな…」

 

 

私は今ある思いを真に伝えた。眠っている真が返してくれる訳でもないのに…

 

 

お前の好きなようにしたらいいさ

 

 

「え?」

 

 

真の声が聞こえた気がした。目を覚ましたのかと思って真の顔を見るがそんなことは無かった。

 

 

「幻聴か…こりゃまずいな。了子さんに診てもらお…」

 

 

でも私の好きなように…か……

 

 

「真、また来るな!!」

 

 

あいつは未だ眠ったままだ

 

 

 

あいつが眠ってから半年が経った。私は今日も真の病室に来て、眠ってるあいつに色んなことを話した。返事をしてくれる訳でもないのに、なんだか聞いてくれてる気がして…

 

 

「なぁ、真。私さ、ツヴァイウイングもガングニールの奏者も辞めたんだ。ガングニールの適合率はどんどん落ちて行ってるし、このまま現場に行っても途中で戦えなくなって翼の邪魔になるかと思ってな。」

 

 

私は話を続ける

 

 

「でも安心しな!その代わりしっかり翼のサポートはしてるからさ!……ツヴァイウイングは…頃合いだったんじゃないかな…お前が助けに来てくれたあの日、本当だったら私、死んだんじゃないか?だからお前は”有り得たかもしれない明日”なんて行ったんだろ?」

 

「だから私は引退することにしたよ。今は緒川さんからマネージャーの極意を教わってるからさ、翼のマネージャーやろうかなって…それにお前との約束もあるしな!今度はお前のためだけに歌うからさ、早く目を覚ませよな。」

 

 

気がついたら面会時間もそろそろ終わりそうだ

 

 

「またな真。」

 

 

病室から出る瞬間、真の方を見るとあいつが笑った気がした。私は二課に戻って今度は翼とお話しよう。

 

あいつは未だ眠ったままだ

 

 

 

 

 

〜side翼〜

 

 

真お兄ちゃん…いや、真兄様が眠ってから八ヶ月が経った。二ヶ月前に奏が奏者もツヴァイウイングも辞めて、忙しくてお見舞いにも来れなかったけれど…それでも時間を見つけてはこうやって兄様の元に来た。最初の方は何を言えば分からなかったけれど、奏のように喋れるようになった。

 

 

「こんにちは、兄様。今日もいい天気ですね……奏や櫻井女史の助言でお見舞い用のお花も持ってきました……」

 

 

兄様の髪の毛はあの日から白く変わり少し痩せた姿をしている。

 

 

「私、あの時兄様に守られて、己の無力さを知りました。奏がツヴァイウイングの辞めて、己の未熟さを知りました。私は今一度、心を剣とし、防人として…歌女として……」

 

 

兄様が起きた時には防人の名に恥じない女にならなければ…

 

兄様は未だ眠ったままだ

 

 

 

兄様が眠ってから一年が経った。つまり、あの事件から一年だ。兄様の髪の毛は肩に届くまでに伸びた。

 

 

「よう、来たぜ、真。」

 

 

今日は奏と一緒に来た。奏はここに来ると悲しそうな顔をする。今日は奏もいるので話が弾んだと思う。そんなことをしていると…

 

 

「あら、2人とも来てたのね」

 

「了子さん!」

 

「櫻井女史」

 

「元気かな〜?恋する乙女たちよ!!」

 

「「なっ!!」」

 

 

唐突な挨拶に私も奏も顔を真っ赤にして返事してしまった

 

 

「うんうん、恋はいいものよね〜」

 

「櫻井女史!私は別に…それに私と兄様は従兄妹とはいえ、兄妹なんですよ?恋なんて…」

 

「あれ?言ってなかったかしら?真は私とも弦十郎君とも血は繋がってないのよ?」

 

「「えっ!?」」

 

 

衝撃な事実に私は勿論、奏も驚いていた。

 

 

「そうね、あれは今から15年前だったかしら……」

 

 

櫻井女史は真兄様の過去をまるで昔話を聞かせるかのように話し始めた。話の内容に私達は終始驚きっぱなしだった。

 

奏は境遇が似ていたから親近感が湧いたのだろう、私は初めてできた妹だから嬉しくて甘やかしたのだろうと櫻井女史は言っていた。自然と私達の目からは涙が零れていた。

 

 

「あら、もうこんな時間!それじゃ、私は二課に戻るから、後は任せるわ、もしかしたら愛の力で目覚めるかも〜なんてね♪それじゃ、頑張れ、恋する乙女たちよ!」

 

 

そう言って櫻井女史は病室から出ていった。

 

櫻井女史が出ていってから数分、私達は一言も話さなかった。ただ兄様の手を握り、ただ見つめる。

 

 

「なぁ翼?」

 

「どうしたの奏?」

 

「キス…してみないか?」

 

「ふぇぇぇぇえ!?」

 

「了子さんも言ってただろ?愛の力で目覚めるかもって!」

 

「それは櫻井女史の…」

 

「何事もやって見なきゃわかんないだろ?それに眠ったお姫様を起こすのは王子様のキスなんだぜ?」

 

 

そう言って奏は真兄様に近づく、顔と顔が重なりそうになる。

 

 

「ま、待って!!」

 

「どうしたんだ?」

 

「せ、せめて頬に…」

 

「しょうがないなぁ…なら翼もやるんだぞ?」

 

「うう、奏は意地悪だ。」

 

 

そう言いつつも、私は左の頬を奏は右の頬にキスをする。うう、恥ずかしい。暫く待ってみたが兄様は起きる気配を見せない。諦めかけたその時…

 

 

「か……な…で……つ…ばさ?」

 

「「真(兄様!!)」」

 

 

あの事件から一年が経った今日、真(兄様)は目を覚ました。

 

 

 

〜to be continued〜




だいぶ長くなっちゃいました。それでは次回もお楽しみに

それではまた次回!

まだ全然先の話だけどG編の話します

  • キャロルに記憶を取られFISと合流
  • そのままFISと合流

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