現実でも使えば使うほどドラゴンメイドがミニ征竜にしか思えませんが初投稿です。
なので、純ドラゴンメイドデッキにはほぼ必ず入っている
試験会場は童美野町の海馬ランドにあり、ドーム内にあるデュエル場だった。
受付を済ませた後、俺とハスキーは他の受験生と共にまず観客席まで向かい、そこで試験の流れや、デュエル後には帰宅していいことや、注意点などの説明を受ける。
そして、遂に入試の実技試験は開始され、受験番号1番の俺はすぐにデュエルリングのひとつへと通された。
デュエルリングは隣の受験生のデュエルを見ようとしなければ見えなくなる程度の衝立が立てられており、試験らしさが伺える。
「受験番号1番。私が実技試験の試験官を担当する。よろしく頼む」
「はい、よろしくお願いいたします」
藍に近い青色のアカデミアの教員服を着て、サングラスを掛けて少し口髭を生やした男性と対峙し、互いにデュエルディスクを構えた。
『デュエル!』
古波
LP4000
試験官
LP4000
「では先行は私から! ドロー!」
手札
5→6
「私は魔法カード、"
ビッグ・シールド・ガードナー
星4/地属性/戦士族/攻 100/守2600
(1):裏側表示のこのモンスター1体のみを対象とする魔法カードが発動した時に発動する。このカードを表側守備表示にし、その発動を無効にする。
(2):このカードは攻撃された場合、ダメージステップ終了時に攻撃表示になる。
星4/地属性/機械族/攻 800/守2200
メインフェイズ1でのみ発動する事ができる。800ライフポイントを払う。このターンこのカードは相手プレイヤーに直接攻撃をする事ができる。
大盾を構えた戦士と、如何にも固そうな機械が試験官のフィールドに現れる。
ビッグ・シールド・ガードナー
DEF2600
DEF2200
「更にカードを1枚セットしてターンエンド! さあ、私のデッキは超防御型デッキだ! 最早、ダメージは通さないぞ!」
「そうですか……」
試験官
LP4000
手札2
モンスター2
魔法・罠1
「では俺のターンドロー」
手札
5→6
やっぱりハスキーの方がもっとずっと強いと思いつつ手札から魔法カードを発動した。
「手札から魔法カード、"
「"
一見……いや、聞いただけでも意味のわからないカード名に試験官が困惑を示すだけでなく、会場の者もざわつくのがわかった。
まあ、俺も最初にハスキーから渡された時は目を疑うと共に、幼少時代の俺はいったいどんな気持ちでこれらを描いたのか問い質したい気分になったものだ。
「わかりました。では残りのカードは墓地に送ります。更に手札から魔法カード、"
このデッキに1枚だけ入っている征竜モンスターの
「この瞬間、"
さて、下準備はこんなところ、ようやくここからデュエルの開始だ。
「俺は"ドラゴンメイド・ナサリー"を手札から攻撃表示で召喚します」
ドラゴンメイド・ナサリー
星2/地属性/ドラゴン族/攻 500/守1600
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、「ドラゴンメイド・ナサリー」以外の自分の墓地のレベル4以下の「ドラゴンメイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
(2):自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル7の「ドラゴンメイド」モンスター1体を選んで特殊召喚する。
ナース服のようなメイド服を纏い、白と薄ピンクの髪と角や尻尾をしたドラゴンメイドの少女が現れる。彼女はハウスキーパーの管理下にあり、乳幼児の育児を専門とするウェット・ナースのメイドだ。
ドラゴンメイド・ナサリー
ATK500
『
「ああ」
現れてポーズを取ると同時に俺に向かってナサリーが問い掛けてきたため、周りから妙に映らない程度に軽く返事を返しておく。
「そ、それが……"ドラゴンメイド"なのか……?」
『ふふっ、可愛いからって舐めていると火傷しちゃいますわよぉ?』
ナサリーは軽口を叩いているが、会場にいる者は、アイドルカードが出て来たことで可愛さに沸き立つ声が4割、アイドルカードを自身の試験でまで使ってきたことに難色を示す声が6割といったところか。試験官も後者に見える。
まあ、わからなくもないが、コイツらは綺麗な花には毒があるどころか、食虫植物もいいところなので俺としてはどちらとも思えないと言ったところだ 。
「この瞬間、"ドラゴンメイド・ナサリー"のモンスター効果発動。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、"ドラゴンメイド・ナサリー"以外の自分の墓地のレベル4以下の"ドラゴンメイド"モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。俺は墓地にいる"ドラゴンメイド・パルラ"を攻撃表示で特殊召喚」
『お
ドラゴンメイド・パルラ
効果モンスター 星3/風属性/ドラゴン族/攻
500/守1700 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ドラゴンメイド・パルラ」以外の「ドラゴンメイド」カード1枚を墓地へ送る。
(2):自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル8の「ドラゴンメイド」モンスター1体を選んで特殊召喚する。
フィールドに袖が短くミニスカートのメイド服を纏った緑色髪と角や尻尾をしたドラゴンメイドの少女が現れる。彼女はハウスキーパーの管理下にあり、給仕と来客の取次ぎ、接客を専門職とするパーラーメイドだ。
ドラゴンメイド・パルラ
ATK500
『はーい、ボクをご指名どうも
『パルラちゃん! 今日は試験当日ですから頑張らないといけませんわぁ~!』
『そうだねナサっち! 頑張ろうね!』
『えいえいおー!』
『えいえいおー!』
ああ……2体でもう、若干うるさい……。
コイツらは終始こんなノリではあるが、ハスキーと同じく俺の描いたカードであり、つまりはハスキーと共に数多の星々や、種族を滅ぼした存在でもある。彼女らが破滅の光に犯される前からの人格をずっと保ち続けているのは、きっとそれが最後の
だから彼女らもまた俺が背負うべきものだ。
「そして、"ドラゴンメイド・パルラ"の特殊召喚に成功したことで効果発動。デッキから"ドラゴンメイド・パルラ"以外の"ドラゴンメイド"カード1枚を墓地へ送る。俺は"ドラゴンメイドのお
「は、発動効果が多いな……」
「すみません、先生。それが特徴のひとつのカテゴリーなもので」
若干申し訳なく思うが、こちらとしても初見の相手に毎回説明するのもかなり大変なのでこれは仕方ない。
「ですが、そろそろ終わりますので」
「そうか。……なに?」
「手札から魔法カード、"ドラゴンメイドのお
ドラゴンメイド・ハスキー
星9/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2000
「ドラゴンメイド」モンスター+ドラゴン族モンスター
(1):自分・相手のスタンバイフェイズに、このカード以外の自分フィールドの「ドラゴンメイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターよりレベルが1つ高い、またはレベルが1つ低い 「ドラゴンメイド」モンスター1体を自分の手札・墓地から選んで守備表示で特殊召喚する。
(2):このカード以外の自分フィールドの表側表示のドラゴン族モンスターが自分の手札に戻った時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
それは頭に般若面のような黒い角が生え、臀部からは赤と黒と白い色をしたドラゴンのような尻尾が生え、腕にはガントレット状の硬い鱗が並び、腰からは赤と黒の色をした翼のようなものが左右に生えている黒髪で眼鏡を掛けた背の高いドラゴンメイドの女性――忘れもしない俺のドラゴンメイド・ハスキーであった。
ドラゴンメイド・ハスキー
ATK3000
「悪いな……ハスキーも試験中だというのに」
『いえ、いいえ! これこそ私共の本懐でございます。如何様にもお使いくださいませ、マイ・マスター』
そう言ってハスキーはいつも通りの笑顔で、俺と対戦相手に恭しくお辞儀をした。
「そ、その見た目で攻撃力3000のドラゴン族モンスターだと!?」
『男より、怪物よりも、女の方が怖いのは世の常でございます』
『ハスキーちゃん!』
『ハッちゃん!』
『2人とも……見える方がいるかもわからないのですよ? しゃんとしなさい、しゃんと』
『はぁ~い!』
『はーい!』
試験官の言いたいことは痛いほどわかる。ハスキーはその見た目で
観戦している者もハスキーの攻撃力の高さにか、密かにざわつき始めた。
「ではバトルフェイズです。さて、先生。"ドラゴンメイド"というものを知っていますか?」
「どういう意味だ……?」
「そのままの意味ですよ。"ドラゴンメイド"とは竜人の一種で、半竜半人の女性または竜に変身させられた女性を指します。様々な能力を持ち、特に不妊に悩む夫婦の前に現れて彼らから親切にされれば子どもを授け、邪険に扱われれば罰を与えたという神話も残っております」
「……………………ただのアイドルカードではなかったのか」
「ええ、そうですね。まあ……由緒正しきアイドルカードという意味では間違ってないと思います。メイド服着てますし……」
そこを言われると正直、否定は出来ないのである。昔の俺はいつも優しくしてくれて好きだった使用人の方々と、強くてカッコよくて好きだった
「そうか……そうだな。それでその"ドラゴンメイド"とやらは何を見せてくれるんだ?」
「はい、つまり――彼女らは戦闘時に真の姿を見せます」
『やっちゃいますわぁ!』
『ボクらは強いんだからね!』
ドラゴンメイド・ナサリーと、ドラゴンメイド・パルラはそれぞれ白と緑の光に包まれると、急激にその像を巨大化させ、シルエットを人間からドラゴンの姿に変えると光が晴れた。
ドラゴンメイド・エルデ
星7/地属性/ドラゴン族/攻2600/守1600
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。手札からレベル4以下の「ドラゴンメイド」モンスター1体を特殊召喚する。 この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):自分フィールドに融合モンスターが存在する限り、このカードは効果では破壊されない。
(3):自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる。 このカードを持ち主の手札に戻し、手札からレベル2の「ドラゴンメイド」モンスター1体を特殊召喚する。
ドラゴンメイド・ルフト
星8/風属性/ドラゴン族/攻2700/守1700
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から捨て、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。このターン、その表側表示モンスターはフィールドで発動する効果を発動できない。
(2):自分フィールドに融合モンスターが存在する限り、 このカードは効果では破壊されない。
(3):自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる。 このカードを持ち主の手札に戻し、手札からレベル3の「ドラゴンメイド」モンスター1体を特殊召喚する。
ドラゴンメイド・ナサリーは白と薄ピンクの配色をしてつるりとした質感の竜――ドラゴンメイド・エルデに変わり、ドラゴンメイド・パルラは黄と緑と黄緑の配色をして毛量の多い質感をしたドラゴンメイド・ルフトへと姿を変えた。
ドラゴンメイド・エルデ
ATK2600
ドラゴンメイド・ルフト
ATK2700
「バ、バトルフェイズ中に攻撃力2600と2700のドラゴンに変わっただと!?」
会場でドラゴンメイドをアイドルカードとして扱っていた者も、アイドルカードと嘲笑っていた者も一様に唖然とした様子をしていた。
「"ドラゴンメイド・ナサリー"の効果。自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できます。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル7の"ドラゴンメイド"モンスター1体を選んで特殊召喚します。そして、"ドラゴンメイド・パルラ"の効果。自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できます。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル8の"ドラゴンメイド"モンスター1体を選んで特殊召喚します。これにより、"ドラゴンメイド・ナサリー"を手札に戻し、墓地のレベルの7の"ドラゴンメイド・エデル"を。"ドラゴンメイド・パルラ"を手札に戻し、"ドラゴンメイド・ルフト"を特殊召喚しました」
手札
1→3
「そのための"
『では次は私から行かせて頂きます』
「更に"ドラゴンメイド"モンスターが手札に戻ったことで"ドラゴンメイド・ハスキー"の効果が発動します」
ハスキーは黒い両翼を背中から生やし、空高く飛び上がるとその場で停止し、両手に白く輝く閃光とも炎とも似た光球を浮かべた。
「"ドラゴンメイド・ハスキー"以外の自分フィールドの表側表示のドラゴン族モンスターが自分の手札に戻った時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できます。そのモンスターを破壊します。"ドラゴンメイド・ナサリー"と、"ドラゴンメイド・パルラ"が手札に戻ったことで効果を2回使用。よって"ビッグ・シールド・ガードナー"と、"
『これが穢れた私の――破滅の光でございます』
ハスキーの両手から同時に放たれた光球は試験官のフィールドに到達した瞬間、捻れるように混ざり合い、外側に向けて弾けるように爆散した。
それにより一瞬だけ見た者全ての視界を白く塗り潰し、聞いた者全ての感じる音を完全な無音に変え、束の間の静寂が訪れる。
そして、それが晴れると試験官のモンスターは2体とも跡形もなく消えていた。
「くっ……なんという強力な――!?」
「では"ドラゴンメイド・ルフト"でダイレクトアタックです」
『ボクを指名だね! 全部吹き飛ばしちゃうよ!』
俺はドラゴンメイド・ルフトと共に声を合わせて言い放った。
「
『
ドラゴンメイド・ルフトは口に風をエネルギーそのものとして纏め、緑掛かった
「だが、甘い! 罠カード、"
試験官の前に虹色で半透明の扉ほどのサイズの板のような膜が現れ、そこに向かってドラゴンメイド・ルフトのブレスは当たる。
そして、その瞬間、光が刃の雨と化してこちらに逆流した。
「ならば手札から速攻魔法、"
『うふふ、護ってくださらなくても勝てますのに……これも紫呉様の愛なのですね! ああ……!』
ハスキーの手に聖槍が握られ、彼女はそれを愛しそうに抱き締めていた。
ドラゴンメイド・ハスキー
ATK3000→2200
「くっ……しかし、他の"ドラゴンメイド"たちにはミラーフォースが届く!」
「それはどうでしょうか?」
「なんだと……?」
「ドラゴンの姿の"ドラゴンメイド"たちは、フィールドに融合モンスターが存在する限り、効果では破壊されません」
「バカな!?」
ミラーフォースの刃はドラゴンメイドたちの体を一切傷付けず、壁はドラゴンメイド・ルフトのブレスによって遂に貫かれ、試験官へと降り注いだ。
「ぐぅぅぅ!?」
試験官
LP4000→1300
「さあ、これで終わりです。"ドラゴンメイド・ハスキー"でダイレクトアタック――」
ハスキーは再び翼を広げて空へと飛び上がり、試験官を見据えると、今度は歯に竜らしい牙を生やして眼を爬虫類のようなモノへと変え、口を人間が開けれる角度から20~30度ほど更に開く。
すると顎の中心の虚空の1点に光が発生し、それは完全な球体になりつつ徐々に肥大化していき、自身の上顎と下顎に触れるかというところで光球は放たれた。
「
『
通り過ぎたあらゆるものを瞬時に浄化するその光は、試験官のライフを削りきった。
試験官
LP1300→0
◇◇◇
「筆記試験は1位通過……実技試験は後攻ワンターンキル……それも私の全てのカードを処理した上で、君のモンスターには1体も損害はないか……。素晴らしい! 君がダメならば試験は誰も通過することはないだろう。結果は期待していてくれ」
「はい、対戦ありがとうございました」
デュエルを終え、試験官と最後に挨拶を交わしてからデュエルリングの外に出る。
そして、ふとハスキーの方が気になったので、そちらのフィールドを見ると――。
星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または地属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。また、このカードと地属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する。このカードが除外された場合。デッキからドラゴン族・地属性モンスター1体を手札に加える事ができる。「巌征竜-レドックス」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または水属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。また、このカードと水属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、デッキからモンスター1体を墓地へ送る。このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・水属性モンスター1体を手札に加える事ができる。「瀑征竜-タイダル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または炎属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。また、このカードと炎属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。このカードが除外された場合。デッキからドラゴン族・炎属性モンスター1体を手札に加える事ができる。「焔征竜-ブラスター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200
このカード名の(1)~(4)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):手札からこのカードと風属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。デッキからドラゴン族モンスター1体を手札に加える。
(2):ドラゴン族か風属性のモンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
(3):このカードが特殊召喚されている場合、相手エンドフェイズに発動する。このカードを手札に戻す。
(4):このカードが除外された場合に発動できる。デッキからドラゴン族・風属性モンスター1体を手札に加える。
なにやらとんでもないことになっていた。
大岩のような竜、滝がそのまま具現化したような竜、火山の噴火が形になったような竜、嵐の化身のような竜。それぞれ、地・水・風・火の巨大なドラゴン達がハスキーのフィールドにところ狭しと並んでいる。衝立のせいでフィールドは寿司詰め状態のため、ちょっと征竜の方が可哀想にさえ見えた。
ATK1600
ATK2600
ATK2800
ATK2400
対する試験官の場には魔法・罠カードは全て割られた後なのか、攻撃力が1900の通常モンスターが1体だけ攻撃表示でいるのみ。勝敗は火を見るより明らかだろう。
しかし、よくもまあ、このようにオールスターズとでも言うべきほど無駄な地獄絵図を作り上げられたものだ。絶対に入学するという意気込みからドローがとんでもないことになったのであろうか。
ハスキーはこの征竜というカードたちで、破滅の光に属していた最強のデュエリストまで登り詰めたらしい。真偽のほどは確認のしようがないが、彼女がそう言うならば事実と思う他はない。それに実際、彼女は俺よりもデュエルが強いからな。
「行ってください。レドックス、タイダル、ブラスター、テンペスト。総攻撃を敢行させて頂きます」
「うわぁぁぁ!?」
試験官
LP4000→0
そして、ハスキーの方も決着がついたようだ。その場でハスキーがデュエルリングから出て来るのを少し待っていると、デュエルリングから出て来たハスキーは真っ先に俺を見つけ、小走りで近づいてくると、手を広げて正面から抱き着いてきたため、彼女を抱き止める。
「やれるだけのことは致して来ました!」
「そうか、よかったな。もう帰るか……?」
俺たちはすぐに離れ、並んで歩くと試験会場である室内デュエル場を後にするため、出口を目指した。
「はい、私たちの家に帰りましょう。お夕飯で何か食べたいものがあれば、途中で買ってお作り致しますよ」
「任せるよ……」
そして、そんな他愛もない会話をしつつ、試験会場を後にしようとした丁度そのとき――。
「待って! あなた……! コナミくんでしょう!?」
そんなことを背後からどこか聞き覚えのある声で言われ、俺は思わず足を止めた。
俺の古波という苗字のことを、"ふるなみ"ではなく、あえて"こなみ"と呼ぶ人間はそうはいない。なぜならそれはハスキーが来る前――まだ純粋に何も考えずにデュエルが出来ていた頃に一部の仲間うちだけで呼んでいた俺の愛称のようなものだからだ。
自然に首を後ろに向けて振り返る。するとそこには、デュエルアカデミア本校のオベリスクブルー女子の制服を着て、長い金髪をし、意思の真っ直ぐ通った目をした者――。
ハスキーと出会う直前まで俺が自転車でデュエルディスクを持っていき、一緒にデュエルを楽しんでいた少女――天上院明日香だった。
あの頃は不思議なもので、互いに男女の境界なんてどこにもなく、ただ好みの事を男女問わずに遊んでいた。そして、偶々俺がハスキーに会うまで通っていた学校で、同じクラスで、同じ趣味を持ち、同じだけの熱意を持っていたため、波長のあった気の置けない友人。
語るほどでもないのに、何故か思い出にはいつまでも鮮明に残っている……そんな間柄だ。そして、これが思い出が再び現実になった瞬間でもあった。
「どうして……?」
明日香は怪訝な顔で俺に問い掛ける。
きっとそれは、ハスキーに会ってから、俺が1日も学校に行かず、別人のように塞ぎ込み続けたため、心配した親が転校を進め、されるがままに転校してしまったため、別れの挨拶もなかった俺への怒りだろう。
そう考え、明日香はそれを言うだけの権利があると感じ――。
「どうしてあなた……ずっとあんなに"つまらなそうにデュエルをしていた"の!? 昔はあんなに……あんなに楽しそうにデュエルをしていたじゃない!?」
全く予想だにしていなかったその言葉に全てを見透かされたような気分にされた。
明日香は一言も俺を責める事を言わないどころか、心配する言葉だけを述べたのである。それに激しい申し訳なさが込み上げるのと同時に、彼女の変わらなさにどこか安堵してしまう自分がいた。
そして、そのような俺の感情のブレは――。
『あの女は紫呉様のなんでしょうか……?』
長い付き合いになるハスキーにとってはお見通しであり、俺だけに聞こえるように呟かれた全く抑揚のない声によって現実へと引き戻された。
そして、既に俺には引き返すどころか、立ち止まることも振り返ることも許されないことを思い出す。
すぐにハスキーを引き連れて踵を返すと、そのまま立ち止まらずに外へと足を進める。
「待って! 答えを……答えを聞いていないわ!」
きっと振り向けば明日香らしくない不安げな顔を目にするのだろう。それに心が痛んだ。申し訳なさに押し潰されそうにもなった。足を止めてしまおうとも考えた。
だが、それでも俺はこれ以上誰かをハスキーに傷つけさせるわけにはいかないのだ。だから、ふと思い付いたことをそのまま口にした
「忘れちまったよ……デュエルの楽しさなんてさ……」
そして、明日香を突き放す為に言ったその言葉は、紛れもない俺の本心であり、ハスキーを連れて逃げるようにその場を後にすることしか出来なかった。
リックくんがあまりにダークサイドなので、今度はぴかぴかなライトサイドです。よ か れ と 思 っ て! 遊戯王GXのライトというライトをしゃぶり尽くしてみました! 光あれ! 闇が一切ない! また、この小説の愛の形は折角ですから皆から愛されるように超有名どころの型月仕様に致しました! これで正統派で清純派で誰もが安心して読めて登場人物の誰もが幸せになれるような王道小説間違いなしですね!(作者←吐き気を催す邪悪)
~QAコーナー~
Q:なんでこんな小説作った! 言え!
A:どうせみんな二次創作書かない。
それはそれとして、最近、じゃしんに愛され過ぎて夜しか眠れないの投稿頻度が増えた結果、反動で私の心の闇が具現化したモノが、たぶんこの小説です。私のペルソナです。
後、私が投稿したり、感想で時々遊戯王二次が全然増えないとぼやいても、遊戯王の二次創作が一向に増えないので、読むものがありませんから、仕方なく読み専の私がまたひとつ遊戯王の二次創作を増やしました(矛盾)
Q:また、GXか。
A:5D'sでやりたいのも山々なんですが、5D'sって牛尾くんは闇遊戯にトランプで負けた本人でして、トランプで負けた時からだいたい、20年ぐらい後の話なそうですので、時系列が近過ぎて話作るの難しいんですよね。逆にGXから主人公を地繋ぎで続投させるには最高だと思います(そこまで行けるとは言っていない)。
Q:コナミくんなの?
A:どこかの世界の英雄のあだ名の付けられたデュエル脳の常人です。コナミくん本人ならきっと、ありのままのハスキーさんを受け入れて一緒に世界滅ぼしてます。ちなみに紫呉くんは鬼柳さんぐらいはデュエル脳です(デュエル脳の暗黒面)
Q:この設定だと海馬社長もといKC社はなんでドラゴンメイドをこんなイカれた性能にしたんだ……。
A:ドラゴン族だからじゃないですかね?(適当)
Q:ハスキーさんの愛って例えるとどれぐらい?
A:ユベルくんちゃんと同じぐらい純愛。また、互いにどちらがより愛しているか張り合いだしたら愛で世界が沈むぐらいは大きな愛。
Q:なんでハスキーさんこんな精霊として強いん?
A:真の姿のハスキーさんはレベル27以上、攻撃力15000以上のチートモンスターだからだゾ。
~解説~
他のドラゴンメイドモンスターは、メイドからドラゴンになると――。
・レベル
2→7=3.5倍
3→8=2.666……倍
・攻撃力
500→2600(2700)=5倍以上
――となります。これをレベル9・攻撃力3000のハスキーさんに当てはめると――つまり、ハスキーさんは神のカードだったんだよ!(ぐるぐる目)
~蛇足~
尚、この小説は明日香さんのヒロイン力と男前度を天元突破させる予定なので楽しみにしていてください(ぐるぐる目)。次回は明日香さんの回想から始まると思います。