ニンジャスレイヤー第一部RTA ネオサイタマの夜明けルート≪参考記録≫   作:暴力・砂場・エネルギー無視

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biim兄貴リスペクトのRTA小説が流行っているので便乗して初投稿です。禁涙境事件要素はありません(ホモは嘘つき)


禁涙走破忍者活劇・起の巻
#1 ワン・トラジェディ・オブ・ノーティアーランド


”しかしこの雨は天の計らいだ。ニンジャに涙は許されぬのだから。”

  ……【ゼロ・トレラント・サンスイ】より引用

 

 

 

 

 

 赤いな、とモリエは思った。

 視界の全て……床、壁、天井、部屋中が、血によって赤く染まっているのだ。部屋にいたヤクザたちは皆切り刻まれ、ネギトロめいたゴア死体となって壁に塗りたくられていた。オイランであるモリエは、最後のオタノシミとして、四肢をスリケンで破壊された状態で、その時を待たされている。ツキジめいたこの有様を作り出したのは、他ならぬニンジャである。

 

 「アー、案外あっさり終わっちまった。全く最近のヤクザには骨がねえ。そう思わねえか、エッ?」

 彼女の前に立つ、鮮血に濡れたスーツの男が言った。彼の顔には、クロスカタナのエンブレムが付いたメンポが。彼はソウカイヤのニンジャであり、スプラッシャーと名乗っていた。その手には直刃のカタナ。

 彼は元々、この違法オイランネンゴロ宿にジアゲに来ていた。しかし、彼にコブチャを出そうとしたヤクザが、ニンジャへの恐怖のためにすっ転んでチャをこぼしたのだ。それが気に入らなかった彼は、その場にいたモータルを虐殺し、このアビ・インフェルノ・ジゴクを造り出した。

 

 このように、ニンジャがモータルに暴虐を働くことは、マッポーの世たるネオサイタマではさして珍しい事ではない。壁一枚隔てた向こう側では、何時ものように重金属酸性雨が降り注ぎ、暗黒メガコーポのビル群と、その宣伝広告が描かれたネオンが煌々と輝いている。「安い、安い、実際安い」マグロ・ツェッペリン号は、いつも通りに空を漂い、大衆の大量消費を煽る。

 

 泣きたいな、とモリエは思った。けれど、涙は出なかった。ニンジャ・リアリティショックと肉体へのダメージにより、ニューロンまでも壊れてしまったのだろうか。

 

 ……ホシナ・モリエの過去は、ロクなものではなかった。ネオサイタマの中流家庭に生まれた彼女が10歳になった日、父親の勤める会社はメガコーポ、ネコソギ・ファンドの無慈悲なM&Aの結果、倒産してしまったのだ。喰うに困った彼女の家庭を支えるため、父親は過酷なアルバイトから裏社会でのビズまで、なんでもした。

 

 トロ粉末の輸送中に、悪名高きネオサイタマ市警49課のデッカーに父親が射殺されたのは、それから2年後の事であった。マッポから引き渡された遺体は、胴と頭部のほとんどが損壊したムゴイ姿であった。その悲劇に、精神的に弱り切ったモリエの母親は耐えられなかった。彼女は出奔し、程なくしてその水死体がタマ・リバーで発見された。

 

 このような状況下でセンタ試験など受けられるはずもない。モリエは、セックス・ビズに身を沈めることとなった。始めは己よりも幼い妹、サナエのため。彼女だけでも、正しい道に進んでくれればと思っていた。

 

 けれど、親の残した借金の返済のためにサナエが身を売り、音信不通になってからは、彼女はそのビズに……このネオサイタマに、己の存在に、何の意味も価値も感じられないようになっていった。そして数年が経過し……今や、25にもなった。そして今、暴虐なニンジャの手によって、彼女の命は尽きようとしている。ショッギョムッジョであり、ブッダは尚も眠っている。

 

 ニンジャが、ゆっくりと近づいてきた。根源的な恐怖のために彼女は眼を閉じようとしたが、その前にスリケンが腹部に突き刺さった。「アバッ……」致命傷である。ブザマにも前倒れになった彼女の頭部を、スプラッシャーが踏みつけた。モリエのニューロンが、彼女にソーマト・リコールを見せる。

 

 家族の団欒。誕生日に食べたケーキ。スナリマヤ女学院初等部の日々。父親の絶望した顔。ヤクザ。01痩せこけた母の手。裏路地から見上げたネオンライ010101ト。銃によって破壊されたゴア死体。カッパめいた外見の水死体。初めて010101の客。サナエとの指切り。全てが0101混ざり合って01結合し010101思い出0101010101010101ニンジャ01010101010101スレイヤーの01010101010101リアル・タイム・アタック010101010101010010101010101010はーじまーるよー01010101010101010101010101010101010101010101010101010110101…………

 

 

 

 

 

 

 

 「ワッザ!?」スプラッシャーは困惑して叫んだ。たった今、頭部を粉砕してから前後しようとしていたオイランが掻き消えたのだ。代わりに、己の後ろから、抑揚のない女の声が響くのが聞こえた。

 

 

 

 

 「涙は禁止よ」

 

 

 

 

 

 ……二人のニンジャが、灰色のビル群の中に立っている。ビルの狭間に位置する十字路(アンカー)にて、二忍は対峙する。そこに温かみは一切存在しない、サツバツとしたサップーケイな空間であった。一人は男、一人は女。オジギの姿勢を取った女、モリエの姿を見て、スプラッシャーは、彼女にニンジャソウルがディセンションしたことを知った。彼女が与えられた傷はいつの間にか癒えているものの、メンポとニンジャ装束の形成は出来ていないようであった。そのバストは平坦でも豊満でもない。

 

 「ドーモ、スプラッシャー=サン。ノーティアーです」無機質に、モリエはアイサツする。「ド、ドーモ、ノーティアー=サン。スプラッシャーです。貴様、どういう腹積もりだ?オレを何らかのゲン・ジツに嵌めたようだが……」

 

 スプラッシャーは間違いを犯していた。この光景はゲン・ジツに非ず、キリングフィールド・ジツである。相手のジツを”殺す”恐るべきジツであり、コロスニンジャ・クランが会得した、どちらかが死ぬまでは脱出することのできない空間を造り出す、文字通りの必殺技である。

 

 「なぜオレにイクサを仕掛ける?半殺しにしたことへの八つ当たりか?いいか、オレの後ろにはソウカイヤがついてるんだぜ?」スプラッシャーの問いに、ノーティアーは首を捻る。

 「えっとォ……経験値稼ぎ?」

 

 「ア?」

 「例えサンシタと云えども、爆発四散せしめれば経験値は実際大きく、トレジャーとしても万札やトロをくれるのでうまテイストだと……ソウルが言ったから、です」

 「アア?」

 

 メンポの下で、スプラッシャーは困惑の表情を浮かべた。経験値?トレジャー?この死に体だったオイランニンジャは現実をゲームか何かだと思っているのか?それにソウルが喋っただと?ニンジャソウルってのはそんなにベラベラ喋るものなのか?

 

 「アッ、スミマセン」虚空に向けて、ノーティアーは謝った。狂人の所業である。「急がないといけないみたいなので、殺します」そして、カラテの構えを取った。スプラッシャーもまた、困惑しながらもカタナを構えた。

 

 「「イヤーッ!」」カラテシャウトが重なる!スプラッシャーの斬撃を紙一重で躱したノーティアーは、カラテチョップをスプラッシャーの右腕に叩き込む!

 

 「グワーッ!」だが浅い!肉体が完全にニンジャ化していない事に加え、カラテを学んだことも無いモリエの型は不完全であったからだ!「ザッケンナコラーッ!」スプラッシャーがカタナを返す!SRAAAASH!「ンアーッ!」咄嗟に左肩で受けるも、カタナはノーティアーの肉を削り取る!

 

 だが、ノーティアーは痛みを感じない!これもまたコロスニンジャ・クランの能力、痛覚切除である!サップーケイはジツを殺す!痛みを殺す!そして…心を殺す!体勢を崩したノーティアーが見たのは、顔のない父と膨れ上がった母の姿!しかし、その光景を誤魔化すかのように、彼女のニューロンに声が響く!

 

 (((ハァーッ、初手からカタナ持ちサンシタとかセンセイ譲りのとんだプリンシパル運*1だな?だが私は諦めぬ!必ずやラオモト=サンを殺し、ニンジャスレイヤー第1部RTAを完走するんだからな!こんなん誤差だよ誤差!)))

 

 

 ……数十秒前。ディセンションを経験したモリエは、己のニューロンのうちにニンジャソウルを見出した。あろうことかそのソウルは、旧時代の電子音声めいた奇妙な声で喋り始めたのだ。

 

 (((ドーモ、ホシナ・モリエ=サン、そしてシチョーシャの皆さん。ハシリニンジャ・クランの者、ビーム・アニキをセンセイと仰ぐ者です。今回はニンジャスレイヤーの第1部RTAを走っていきます。レギュレーションはスゴイタカイビル炎上二ヶ月前スタートとなります。バグ禁止。ラオモト・カン札害によるエンド、【ネオサイタマの夜明け】を目指してガンバルゾー!なぜか先駆者がいなかったので、エンディング後の暗転でタイマーストップとします、俺がルールで世界一位な。あ、淫夢要素はありません(大嘘))))

 

 「アイエエエ……ホ、ホシナ・モリエです。そのぅ、RTAとは何のことでしょう?」困惑しながらも、モリエは目の前のソウル……青いオーラを纏ったヒノタマに見える……に話しかけた。ソウルは答える。

 

 (((ゲーム・ハシリ・モノです。このニンジャスレイヤーゲームはTRPG版を元にしたものであり、プレイッヤーはたやんめいてディセンションしたニンジャに指示を出し、ゲームを攻略していく事になります。誰でもナラク!)))

 

 (((さてこのRTAを走るにあたって、気をつけることがいくつかありますね。キャラクタ・メイクです。ニンジャには、TRPG版の持つカラテ・ワザマエ・ニューロン・体力・精神力・脚力・DKK*2の他に、モータル度とシンクロ度が存在します。モータル度はニンジャがどれだけモータル的な感性を持つかを示し、シンクロ度はどれだけソウルに従うかを示すものです。他のものはTRPG版と大体同じですね)))

 

 (((詳しく知りたければニンジャスレイヤーTRPGを決断的購入だ!エッ!ニンジャスレイヤー+に加入すれば全部読めるの!?これは他のエピソードンやたしゅ多様な+独占コンテンツも見られてお得だぜ!せにゃ!*3)))

 

 (((さてこのモリエちゃんは過酷な過去を持つ事により、ニューロンとシンクロ度が高いですね。ジツをガンガンかけられ、さらに精神攻撃にそれなりに強い構築となっています。だから、コロスニンジャ・クランのソウルを選択することが出来たんですね。シンクロ度も高いのでよく話を聞きます、指示に従います。無軌道大学生めいたあほをやらかしトレホにあっさりやられるなんてこともないでしょう。多分)))

 

 常軌を逸した情報の濁流に、モリエのニューロンはショート寸前の有様であった。この狂ったニンジャソウルは、なんと彼女にラオモト・カン殺害というとんでもないゲコクジョを要求しているのだ!

 

 (((しかしこのRTAでは基本的に善人プレイです。カルマロンダリングは魅力的ですが、しかし赤黒が恐ろしいからですね。勿論、彼ないしは彼女にもラオモト札害に一枚噛んでもらいます)))

 

 (((一方でコロスニンジャ・クランのユニーク・ジツ、キリングフィールド・ジツは強力でありますが、精神を擦り減らすものです。このソウルはまだ1週目状態であるため、メンポも作れぬゲニンのものであり、キリングフィールド・ジツもデソレイション=サンのとかに比べれば笑っちゃうぜ!なくらいクソ雑魚蛞蝓です、よってトコロザワ・ピラーに突撃してサップーケイ、◆余の完全勝利でした◆みたいな真似はできません)))

 

 (((なので、これから暫くはモリエちゃんの精神を介護しながらカラテを鍛えることとなります。鷲の一族スタートとかでもない限り、カラテがないとザイバツやアマクダリを動かすことは出来ませんからね。早解きには彼らの力も使います……というわけでまずはそこのサンシタをやっつけましょう。初回ボーナスでいい経験値が得られる他、トレジャーとして万札やスシが狙えます。基本的にこいつらはラオモト=サンのオキニではないため、頃してもソウカイヤに参入できます。ほないくどー、アンブッシュでキリングフィールド・ジツを使って雑にサツガイしましょう)))

 

 「アッハイ」恐怖に震えながらもモリエは了承した。だが、直ぐにその恐怖感は消えていった。痛覚切除が、感情面にも作用したためである。

 

 (((あっそうだ、おいモリエ、お前さっきニンジャネーム名乗らなかっただろ。だから私が名付け親になろう!君は今日から《ノーティアー》だ!)))声が宣言し、モリエは静かにその名を反復した。そして、キリングフィールド・ジツ発動のためのコトダマを定めた。

 

 「涙は禁止よ」

 

 

 

 「イヤーッ!」ノーティアーはバク転し、姿勢を立て直す!「ザッケンナコラー!」すかさずスプラッシャーは追撃!

 (((右な)))「イヤーッ!」声に従いノーティアーはカタナを回避!

 (((左な)))「イヤーッ!」声に従いノーティアーはカラテチョップを回避!

 (((上な)))「イヤーッ!」声に従いノーティアーは足狙いの斬撃をジャンプ回避!

 (((下な)))「イヤーッ!」声に従いノーティアーはカラテ・ツキを空中ブリッジ回避…出来ず!「ンアーッ!」脇腹を抉られたノーティアーは、ブザマに地面に転がる!

 

 「ヘッ、所詮はニュービー!とっとと死ね!イヤーッ!」「ンアーッ!」スプラッシャーのキックが炸裂!ノーティアーの左腕を蹴り飛ばす!

 「イヤーッ!」「ンアーッ!」スプラッシャーがカタナを突き立てる!ノーティアーの右アキレス腱断絶!

 「イヤーッ!」「ンアーッ!」スプラッシャーがカタナを動かし、ノーティアーの左大腿骨に突き刺さる!

 「カイシャクしてやる!」カタナを戻したスプラッシャーはノーティアーの首筋に刃を突きつけ……ここで背後を見ながらノーティアーが叫んだ!「アイエエエ!?ソニックブーム=サン!?」

 

 「何ィッ!?」突然のシックスゲイツへの言及に驚き、咄嗟にスプラッシャーは振り向くが……そこには誰もいない!その僅かな隙をノーティアーは見逃さない!

 「イヤーッ!」「グワーッ!?」コッポー・ドーの秘儀、ボールブレイカーめいた股間を狙った蹴りを放つ!そしてその反動を利用して地面を転がり、タタミ十枚分ほどの距離を取ったノーティアーは無理やり立ち上がる!

 

 (((メタ知識利用のしょーもない策で距離を取りましたが、このままではジリー・プアー(徐々に不利)どころの話ではありません。今ので足がほぼオシャカになってますからね!おい誰だよ最初のサンシタならキリングフィールド・ジツのおやつとか言ってた奴は!……私じゃない!)))

 

 (どうすればいい?)ニューロンの中で、ノーティアーはソウルに訊ねた。痛みこそ感じないものの、身体の各処が上手く動かなくなっていることはわかる。(((ノーカラテ・ノーニンジャ。カラテを信じてスリケンを出しましょう)))

 

 (出来るのか?)ノーティアーは自問する。(いいや、やらねば死ぬのだ!こんなところで無意味に死にたくなんかない!)

 

 ノーティアーの傷口から、鮮血が噴き出る!「イィヤーッ!」ゴウランガ!彼女はそれらを固め、血中カラテによってスリケンを生成したのだ!「ザッケンナコ……グワーッ!」一方のスプラッシャーもスリケン生成をしたが……ジツの効果により半端なものしか出来ぬ!当然飛来するスリケンを撃ち落とすことは出来ない!

 

 「イヤーッ!」更にスリケン投擲!足に、腕に、胴体に血のスリケンが突き刺さる!「グワーッ!グワーッ!グワーッ!ザ、ザッケンナコラー!」スプラッシャーは……見よ!ミッドレンジでの不利を悟り、カタナを構えて突撃する!二者の距離は瞬く間に近づき……!

 

 (((そこです!(名軍師)))

 

 「イヤーッ!」サツバツ!下からの抉るようなカラテチョップが、スプラッシャーの腹に突き刺さる!出血多量で満身創痍のノーティアーは、あえて体勢を崩す事により、スプラッシャーの攻撃を避けるとともにカウンターを差し込んだのだ!「アバーッ!」

 

 そのままノーティアーは崩れ落ちる!しかしそのチョップは、スプラッシャーの上半身に大きな裂け目を与えていた!攻撃の勢いのため、名前通りに血を撒き散らしながら吹き飛んでいくスプラッシャー!「サ、サヨナラ!」爆発四散!

 

 

 

 血のぬかるみの中で、ノーティアーは目覚めた。身体の各部が、痛みにならない悲鳴を叫んでいる。風景は、元の真っ赤な部屋に戻っていた。

 (((実際ヤバイ。スシがなければリセットですねクォレハ……死体漁りをしてみよう)))

 声に従い、焼け焦げたスプラッシャーの死体をまさぐる。……おぉ、ブッダ!そこには携帯用タッパーに入ったオーガニック・トロ・スシが!スシはニンジャにとって完全食である。貪るようにして、ノーティアーは瞬く間に寿司を平らげた。「ウ……ウマーイ……」忽然と呟く。今までのどんなものよりも、あの日のケーキよりも遥かに美味い。涙が出そうなほど、美味い。

 

 (((さて、あとはソウカイヤのスカウトを待つばかりですね。アグラ・メディティエーションでもしながら滅多に待ちましょう。……タイムより安定!このズタボロモードでヨタモノにでもやられた日にはニンジャの恥ですよ!)))

 

 右腕で身体を壁につかせながら、ノーティアーはゆっくりと瞑想を初め……いつの間にか、泥のような眠りに落ちた。ただただ、疲れていた。

 

【#1 ワン・トラジェディ・オブ・ノーティアーランド】 おわり

*1
クズ運のこと。クズ肉=サンのことプリンシパルって言うの、やめろ!

*2
ダーク・カラテ・カルマ・ポイント。残虐行為により加算され、高いとニンジャスレイヤーが出現しやすくなる。

*3
私はダイハードテイルズとは一切無関係であり、たまたまハーメルンで忍殺二次創作をDIYしている。わかったか!




 ……ガタンゴトン……ガタンゴトン……ガタンゴトン……。
 電車の音だ。
 しかし、これはいかなる暗黒メガコーポの所有する電車でもない。ローカルコトダマ空間が、電車の形を取っているのだ。

 ……ガタンゴトン……ガタンゴトン……ガタンゴトン……。
 9の文字が描かれた枕木が並ぶ線路を、列車は走る。その旅客車に、二人の人影あり。
 一人は小柄な男だ。ハーミットめいた灰色のローブを身に纏い、顔を覆い隠している。異様に丸い目と口だけが、その暗黒の中から伺えた。彼こそが、この空間の主……アルカディアである。彼は、古代ギリシャや近世イギリスに足跡を残すリアルニンジャだ。彼はやや狂っており、エメツ・ニンジャに対する多少の理解を持っていた。

 「ご足労いただけて幸いだよ……次元旅行者を捕まえるのだって中々簡単ではないね。ウエスギ卿やピンク装束の彼にも来てもらいたかったのだけど……」アルカディアは語る。どことなく人をバカにしたような声色だ。
 「世の中には科学で解決できない謎が沢山ある。それをかいけつするのが私だ……一人でも何の問題もない」もう一人の男は言う。

 「頼もしい限りだ。そう、君のような“明かす者“に来てもらったのはね……この次元を脅かすミーミーめいた何かを調査してもらいたいんだ。正直、その脅威度はミーミーを上回るものとなるだろう。これを放置することは、この次元の危機となる、そう言えるだろうね……アル(これはアルカディアの一人称である)にはドラゴン・ニンジャとの契約があるからね、ウカツには動けないんだ」
 「……調査?討伐ではなく?」
 
 男の問いに、アルカディアは笑って返した。
 「アッアッハッハッハッ。君が解決するとなると、それは“首を斬ろうとして髭を斬る”ような事態になってしまうから、ダメなんだ。メタ汚染がひどいことになってしまう。
 竜(ドラゴン)には騎士(ナイト)が必要だ。物語の主人公として……竜を討ち果たす存在が、この世界のどこかにいるはずさ。物語は正しく語られなければならないからね。……その騎士をも、君には見いだしてほしいんだ」

 「了解した」男は立ち上がった。その顔はドクロめいていて、内なる光に輝き……その瞳は、ダイヤモンドで出来ていた。
 「それで、今回は何と呼べばいいのかな?」
 アルカディアの問いに、男は山高帽を被り、炎のようなマントをはためかせながら答えた。
 「RTA探偵ザザ」

 【ザ・トゥルース・オブ・コズミック・ジョーカーリィ・カーニバリック・リアル・タイム・アタック・ランナー】 つづく
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