ニンジャスレイヤー第一部RTA ネオサイタマの夜明けルート≪参考記録≫ 作:暴力・砂場・エネルギー無視
……仮にも忍殺第一部RTAを名乗っておきながら四部のぽっと出ニンジャのオリジンの話をするな~~~~~ッッッ
◆
スナリマヤ女学院の事をず~~~~~っとスナリヤマ女学院だと思っていました。担当者はシベリアすら生ぬるいもっと冷たい場所に研修し、帰ってきません。それでいいと思います。
ネオサイタマ、荒廃したコッポ・ドーのドージョー。マグロめいた目でカラテの訓練を積む門下生たち。その中央で、二人のニンジャが組み合っていた。
「イヤーッ!」その姿勢から一転!ニンジャらしい超高速の手の返しで、デソレイションはノーティアーの襟を掴み……イポン・ゼオイが炸裂!
「ンアーッ!」受け身を取れずにブザマに叩きつけられるノーティアー!モータルであれば脊髄損傷は免れないレベルの攻撃である!「……マ、マイリマシタ」倒れたまま、ノーティアーは呼吸を整える。
デソレイションはつかつかと近づき……ノーティアーの腹部を蹴り上げる!「ンアーッ!?」「休んでるんじゃねえよ。ここから本番だ」ノーティアーはその衝撃で空中を半回転し、連続側転で距離を取る。その距離、タタミ四枚分!
「オネガイシマス」ノーティアーは決断的にカラテを構え直し、攻撃に備える。実戦形式で、デソレイションのワザを見て盗まんとしているのだ!ニンジャ記憶力とニンジャ耐久力を持つ者にしかできない、きわめて荒々しいカラテトレーニングである!
「一応、言葉でも教えてやる。コッポ・ドーは超接近戦が最も得意なカラテだ。そして殺人技法に特化したカラテでもある」
一瞬の内に、デソレイションの姿が消え、コンマ一秒後にはノーティアーの懐に潜り込んでいる!コッポ・ドーの特殊な足技、スリ・アシだ!
「イヤーッ!」「ンアーッ!」コッポ・掌打!鳩尾に直撃!ニンジャといえども、瞬間的に呼吸を乱される!そしてその隙を縫うように、デソレイションのキックが脛を打ち据える!「ンアーッ!?」なんたる無慈悲!デソレイションはマシーンめいて人体の急所を的確に攻撃していく!
「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ゲボボーッ!」
情け容赦を知らぬ殺し屋の残虐な一撃が、腹部にクリーンヒット!たまらず嘔吐!コロス・ニンジャクランのソウル憑依者は痛みを消すことは出来るが、嘔吐に繋がる不快感を打ち消すことは出来ない!しかし、ここでノーティアーは、カラテを振り絞り、指先に集中させる!「イヤーッ!」「オオッ!?」空中に散った吐瀉物のパーティクルを用いてのサミング!なんたるダーティーファイト!
「イヤーッ!」デソレイションのサイバネ・アイが濁るその一瞬に、ノーティアーはパンチを放つ!ただのパンチではなく、コッポ・掌打を模した一撃!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」そのままラッシュをかける!
しかし、デソレイションはそれらの掌打をすべて受け止める!ワザマエ!「コッポ・ドーに関しちゃまだまだニュービーだな。力みとカタルシスのやりかたがまだなってねえし、急所の狙い方も甘い」
「イヤーッ……!?」ノーティアーの体制が崩れる!デソレイションは瞬発的に姿勢を崩し、ノーティアーの攻撃を寸前でかわす!「イヤーッ!」そして掌打を恥部に向けて放つ!ポール・ブレイカーである!「グワーッ!?」実際、女性にとっても股間部は急所となり得る!恥骨や膀胱に近く、神経が多数交通するこの部位へのダメージは、コロス・ニンジャクランの痛覚切除も破りかねないほどのニューロン負担となる!
「まだやるか?」全身への攻撃により、満足に動けずにうずくまるノーティアーに、デソレイションが問いかける。
「もちろん」ノーティアーは、無理やり笑顔を作って答えた。
…………。
「おまえもそんだけヨガれるってことは、アレでもまだまだ大丈夫って事か。全く、ニンジャってのはいいもんだな……次は首でも締めてみるか?」夜のドージョー。デソレイションは、アグラの姿勢を取りながらタバコを吸っている。『少し明るい海』だ。……現在、彼は全ての服をパージしている。
モリエも同様である。青少年の何かに配慮して詳しくは描かないが、また、あったのだ。
「痛くなければ覚えませんから」実際には、ソウルの影響で痛覚遮断が起きているというギャップで、モリエは苦笑した。このような超実践的スパークリングは、古来よりコロス・ニンジャクランで行われてきた。それは、もちろん痛覚切除によるところが大きい。この修行の提案をしたモリエは、知らず知らずのうちに平安時代の習わしをなぞっていたのだ。
「そうかい。ところでおまえ、コッポ・ドーを修めて何を殺す気だ?」
「……」
沈黙。
「ま、組織のニンジャってのも大変なんだな。……続きをやろうぜ、ソウカイヤの女」
モリエは笑ってこれに答え、両手の指で首を撫で、一周させた。
(((暴力!暴力!セックス!なRTAはぁーじまーるよー!
ご覧くださいこの性の乱れ!この辺にィ、七日連続で足しげく堕落殺し屋の元に通っては前後していたニンジャがいるらしいですよォ?ログインボーナス獲得できそう(半ギレ)コッポ・ドーの師範とネンゴロなのに武術を学ばないのは各方面に失礼だよね(忍忍亭)
……実際の所を言うと二日はドージョーを正しく利用しているし、今日もすることと一緒に修行もしてるから、まあ多少はね(寛大)。元よりレッサークラスのソウル憑依者が駆け足跳びにバスバス成長するか?いやしない(断言)。
本気でRTAをやるなら一挙手一投足をも縛り付けて日夜特訓をさせるのがイイ……これは理論上の話です。実際にはニンジャにも自我はありますから、相当上手に運ばないとやってくれないし、ジツなどで動かしていくとカラテ値が弱まってしまうんですね。カラテは外部への抵抗力なので、自我がふわふわだとそれが弱まっていくんです。はークソゲー、成長性に運要素を要求するのクソだな!
実際こんなしょっぺーソウルでスゴイタカイビル戦を切り抜けることなんてそうそうないです。局地的なオリチャーは山ほどあったのですがまあいいし、これからも大最適解行動じゃなくても許してやるよ?オレもよ、思い通りに動かないからって殺すほど悪魔じゃねぇんだよ(KBTIT)パラゴン=サンみたいな強いレッサーソウル憑依者もいますからね。何はともあれカラテ!カラテ!イチバン!ダカラ!カラテがあれば何でもできる!1、2、3、ンアアアアーーーーッ!(野獣の咆哮)
……ここからは
さて、このような謀略に必要なのは精神攻撃系のジツ!だから、ここはソウカイヤの精神攻撃担当ことウォーロック=サンに早めのゲコクジョを持ちかけるのです!欲の皮突っ張ったヤローは動かしやすいから最高だY、このケイトー級の知能プレー、見とけよ見とけよ〜?)))
PRRRR!ノーティアーのIRC端末が鳴った。ソニックブームからの連絡だ。
(((お、ミッションですね。今のうちにパパパッとこなして、経験値と万札を稼ぎましょう。ドージョー襲撃まではあと二週間くらいの猶予がありますからね)))
『いよォ、ノーティアー=サン。今度は何処で女と遊んでるんだァ?』
「ドーモ、ソニックブーム=サン。お陰様で、それには困りません。ソウカイヤ様様でございます」
フン!と鼻を鳴らす音。『……テメエ、スナリマヤ女学院とかいう所の出身だそうだな』ソニックブームの声が、ドスの利いたものに変わる。ビズの時の声だ。
「アッハイ、初等部に一時期在籍してましたが……」
『……校長がテメエをご指名だ』
◆
スナリマヤ女学院。大正エラより脈々と続く、歴史と伝統ある、誇り高き女学院である。風流なバイオ松林が広がる敷地には、レンガ壁や生垣、非人道的電流瓦がぐるりと内部を囲い、塀の内側の生徒たちを守り、また閉じ込めている。スナリマヤは全寮制であり、生徒たちは共同生活をしながら、メガコープや上流社会で社会生活を送れるように教育されていくのだ。
ただ一つの正門から入場しながら、モリエは懐かしさと共に辺りを見回した。何もかも変わっていない。瀟洒なデザインの学校建築と綿密な計算に基づき、最も美しく見えるように配置された花壇と植木たち。
フェー。フェェエエーーー。
授業終了の笙リード音が鳴り、校舎からはブレザーを着た女生徒たちが、次々と現れる。恐らくは、折角の晴れた日に、外で友人たちと共にベントーを食べてユウジョウを高める、とか、そのような腹積もりであろうが……正門から現れた二つの異物を前にして、彼女らはサッと遠ざかり、距離を置いた。
一人はノーティアー。スナリマヤ女学院初等部を中退した彼女は、今は紺色のヤクザ・スーツに身を包んでいる。胸にはクロスカタナのエンブレム。実際剣呑だ。
もう一人は、ティピカルな黒のニンジャ装束を纏った、それなりに大柄な男のニンジャだ。メンポをつけ、油断ならない視線を周囲に向ける彼の姿は、ともすれば発狂マニアックとも取られかねない。
「……」この全くもってTPOを弁えていない同僚とツーマンセルを組まされる羽目になった己の不運を、ノーティアーは呪った。その上、彼の処分をどうするかを今回の一件で決めるために、しっかりと監視して組織への忠誠度を測れ、ということも指示されているのだ。
『奴のジツは極めて強力だ。当たったならば、シックスゲイツのニンジャでさえオタッシャしかねないレベルだ。その割には当人の意向もよくわからん。で、その態度がゲコクジョを考えてるのかもしれねぇと、ビホルダー=サンからのお達しがあってな……正直、オレも色々なニンジャをソウカイヤにスカウトしてきたが……ありゃあ中々のモンだぜ。益になるか害になるかは、まだわからんがな……』
ソニックブームの言葉を思い返しながら、ノーティアーは小さくため息をついた。
二人のニンジャは、スナリマヤ女学院高等部の理事長に通された。目の前に座るは、学院の理事長兼校長であり……彼の身体が放つただならぬアトモスフィアから、彼がニンジャであることは、容易に知れた。
「ドーモ、ノーティアー=サン、それにソウカイヤのニンジャの方。ファフニールです」
「ドーモ、ファフニール=サン、ノーティアーです……オヒサシブリデス」
「ドーモ、ファフニール=サン、エヴァポレイターです」
三忍は、それぞれアイサツを交わした。
(((ファフニール=サンですね。マガツ・ニンジャとも呼ばれたリアルニンジャです。二世の頃の超人めいた面倒なギミックを持ち、カラテも異様に強い隠しボスみたいな人です。まぁ本人もおっしゃられてるように引退した善良なニンジャなので、
(((しかし……エヴァポレイター=サンかー。1259周目以来ですね。まあつまりそういう案件な……?)))
「しかし、まさか。あなたがニンジャになっておられたとは、ホシナ=サン」アイサツを終え、柔らかなソファーに座りながら、ファフニールは言った。「十三年前ですか。いやはや、随分と大きくなられたものだ」
「……今はもう、終わった話です。それよりも……」そもそも、何故ニンジャが学院の長を務めているのかが理解しがたかったが、そんなことは本題ではない。「何故、ソウカイヤに助力を求めるのですか?その……女子高生失踪の調査など」
「ンッフッフッフ……これでもカラテには自信がありますが……この領域の外に出るつもりはないのです。そして、相手方は巧妙に、ソサエティ・ナカヨシの子らを攫って行った」
「ソサエティ・ナカヨシの方々が!?」ノーティアーは驚愕する。ソサエティ・ナカヨシとは、スナリマヤ女学院が創立した大正エラから受け継がれる、選ばれた生徒達によるソサイエティであり、この女学院のヒエラルキアの最上位に位置するグループである。そのメンバーが攫われるというのは極めて危険な事態であり、通常であればセプクをも迫られる……そのようなノーティアーの心配をよそに、ファフニールは続ける。
「高等部のナカヨシメンバーが二人、中等部のナカヨシメンバーが一人。まったくもって、嘆かわしいことです……みな、ニンジャとしてのインストラクションを授けた、グランドマスターとマスターであったのに」
「……エッ!?ニンジャ!?ソサエティ・ナカヨシがニンジャナンデ!?」母校のニンジャ真実を知り、混乱するノーティアーを他所に、エヴァポレイターはファフニールに問いかける。
「つまり……インストラクションを受けた優秀な学生であったがゆえに拐われたと?」
「そうでしょう。私のニンジャ第六感を信じてくださるならば……女子高生収容所に、彼女らは囚われています」
「「……女子高生収容所?」」二忍のセリフがシンクロナイズした。ザンキョウのため息めいた電子音がニューロンに響く。
「女子高生収容所……かつて私が考案し、世に流したミーミーのひとつ……闇カネモチの楽しい遊びの一つですよ。女子高生を人里離れた収容所に閉じ込め、女子高生性を失わせていくのです」
「エット、それは……客を取らせて前後させるとか?」
ノーティアーの一般的な考えを、ファフニールは手を振って否定した。「客を取る、などというのは彼女らに女子高生性的価値を認める事に他なりません。そこで行われるすべては無意味でなければなりません。だから、監視カメラの一つとて取り付ける事は許されないのです……!」
DAMN!ファフニールは机を叩いた!彼の口調は今やポリティシャンめいて雄弁になり、身振り手振りは更に劇的になっていく!
「だからこそ!私はこの誘拐事件の犯人に怒りを抱いています!犯人の選択には明らかな意図が有り!私の作り出した女子高生収容所の一つを乗っ取り、意味を与えようとしている!そのようなことが許されるものですか!どうか、どうか、ノーティアー=サン、エヴァポレイター=サン!あなた方に力を貸してほしい!動けぬ私の代わりに、この悪を討ち果たしてほしい!」
一方で、ノーティアーの脳内は困惑に満たされていた。この恐るべきニンジャの情動が、ただの一つも理解できなかったからだ。
たとえば、フユコ……ニンジャスレイヤーがニンジャを殺すのはわかる。家族を殺されたことは、ニンジャを恨むに足るだろう。
ラオモト・カンが、ニンジャとして、CEOとして辣腕を振るうのもわかる。高い塔で、大量の万札に囲まれ、美しい異性に囲まれながら、スシを二つ食べる。きっと楽しいだろう。
だが、校長は、ファフニールは、何が楽しいのだ?女子高生の青春を、ありえないほど間接的に搾取することが?それに、ニンジャでありながらも、校長の座に座ること自体もおかしな話だ。彼のカラテは相当なものだ。ソウカイヤならば、シックスゲイツ入りも不可能ではないだろう。チグハグというか、何というか……。
「その、ファフニール=サン。何のために、ナカヨシや女子高生収容所を考案したんです?」
「…… 今や、私ごとき死にぞこないの老いぼれの楽しみなど、この程度。哀れなモータルが、私の拵えたミーミーに囚われるのを眺めるのが楽しい、それだけですよ」
心の奥底で、ノーティアーは恐怖した。目の前のニンジャが、自分らとも、モータルとも違う、別種の何かのように思えたからだ。実際、彼女がリアルニンジャと接触したのは初めてのことである。ニンジャとなってから忘れて久しかった、『わからない』恐怖が、彼女を襲い……そして、気づいた。
ずっとふざけた言動を続けていたが。ザンキョウもまた、彼の同類ではないか?『ラオモト・カンの殺害をどれだけ早く達成できるかを競う』など、まさしく彼が編み出したような、理解しがたいミーミーではないか?
黙り込んだノーティアーとは対称的に、腕組みをして聞いていたエヴァポレイターは口を開いた。
「ニンジャの仕業か?」
「おそらくはそうだろう、しかし私の目を盗んで行動するなど、そのようなニンジャのいるはずもないが……」
「調査の許可をいただきたい」
◆
深夜。
スナリマヤ女学院中等部の生徒であるユマナは、もぞもぞとフートンから起き出した。
「うーっ、トイレトイレ……」
スナリマヤの朝は早い。四時半に起床し、DIY掃除を行うのだ。だから、彼女もさっさとトイレに行って寝よう……そう思っていた。
「アイエッ!?」彼女は、廊下の暗がりでしゃがみ込み、懐中電灯か何かで地面を探っている男を見た!その男の格好は黒のニンジャ装束!コワイ!
「アイエエエ!不審者……いや……ニンジャ!?」
「違う」男は立ち上がると、インローを彼女に見せた。校長のサインが入った入校許可証だ。「俺はディテクティブだ。ここを調査している……わかったか」「アッハイ」「わかったか」「アッハイ」「わかったか!?」「アッハイ!」
ユマナが半ば失禁仕掛けた状態でそこを去っていくと、男……エヴァポレイターは再び中腰の姿勢になった。「イヤーッ!」周囲の環境に配慮した控えめなカラテシャウトと共に、彼の眼が輝く!アナヤ!ヒカリ・ニンジャクランのジツだ!
「……フゥーム」彼のジツは、本来ならば原子分解光線として放ち、敵を粉砕するためのものだ。しかし、カラテを極限まで抑えることによって、紫外線ライトめいて使うことが出来る。そうして、彼は地面に着いた足跡を探していた。ほとんどは女学生のもの。いくつかは先生のもの。そして……。
「これか」エヴァポレイターが見出したのは、大柄な男のものとおぼしき足跡。まるでスモトリのようだ。これは、現在彼が調査している失踪者……ヤヨイ・シンケイドが生活していた寮ばかりでなく、他二人の失踪者の高校寮室付近でも採取されたものだ。
コンコン。窓を叩く音。外には、壁の僅かな凹凸に掴まるノーティアーがいる。
「ノーティアー=サン、なぜそのような場所にいる?」しめやかに窓を開けたエヴァポレイターが問う。学生たちに悪いでしょう、とノーティアーは答えた。「一旦宿舎を出ましょう。電算室から返答があったわ」
……ソウカイヤ電算室に問いただしたことは二つ。『最後の失踪者であるヤヨイ・シンケイドの失踪時刻(三日前)からの、ネオサイタマ郊外の荒野への車両の行き来について』と、『スナリマヤ以外での、アシの付く範囲での女子高生失踪事件』である。スナリマヤ女学院自体の(今回の件とは無関係と思われる)不審な退学件数の多さも気になったが、ソレはいったん脇に置くことにした。
「結局、荒野に行った車両はゼロ。逆に、女子高生失踪事件は多すぎて判別不明……ファフニール=サン曰く、女子高生収容所は荒野に造るのがセオリーらしいけど……多分そのセンはない」
「何故そう言い切れる?ノーティアー=サン」
「荒野へのルートは『シニイソギ・ハイウェイ』ただ一つ。他の道はビークルを使うには狭すぎる。ニンジャなら、その野山を駆け巡ることも可能だろうけど」
「だが、この実行犯はニンジャではない」エヴァポレイターは断言する。
「では……誰が?」
「ニンジャが、モータルを操っているのだ」
ノーティアーは納得したようにうなずきかけ、途中で首を横に振った。「女子高生フリークのニンジャがいたとして……モータルを精神操作のジツか何かで操ってまで、わざわざそのようなことをすると思いますか?エヴァポレイター=サン」
「女子高生性。カギはそこにあるだろう」エヴァポレイターは真顔で言い放った。声を出して笑おうとするのを懸命にこらえるノーティアーをよそに、彼は決断的な足取りで、スナリマヤ女学院中央にある礼拝堂の方に歩いていく。
(……変なヤツ)一通りの忍び笑いをすませたところで、ノーティアーはひっそりと評価ボタンを押す。(『エゴがはっきりしていて好き嫌いが強い』『事を荒立てるのは好まない』?うーん……ニンジャ評価としては正しくないような……『単独行動を好む』……ムームムム……)
数分後。
「アイエエエエーーーッ!?!?」
礼拝堂地下。エヴァポレイターはミベダを片腕で捻り上げる。ミベダは校長に雇われたスモトリ崩れであり、地下神殿での『死にぞこない』の処理を担当していた。その彼は、今や地下玄室の中で、ニンジャによりインタビューを受けているのだ。彼の相棒であるセデムシは、ノーティアーによって寝かされていた。
「お前、誰に操られた?」
「し、知らない、助けグワーッ!?」エヴァポレイターは無表情に彼の左小指を粉砕する。
「寮に侵入していたのはわかっているぞ。その巨体にしては随分なステルス能力だな」
「ほ、本当にわからねえ!オレはただいつも通りに儀式の手助けをしてた!校長も認めている!第一オレが生徒を攫って何になる!?」
さてなあ、と言いながらエヴァポレイターは彼の右小指を粉砕した。ミベダは恐怖のあまり失禁し気絶した。「リー先生のラボで、頭を開いてもらって、ジツの痕跡を探るというのは……」カルマ善とは言い難いセリフを発したノーティアーは、気絶した彼の顎を無理やり開かせ、口腔を探った。
「これは」ピンク色の粉めいたものが、舌の付け根に付着している。わずかながらも、そのパーティクルからはカラテが感じられる……。「ニンジャ……」
(ザンキョウ=サン、わかる?)(((んまあそう……心当たりはある、な)))
(教えてほしい。実際このような探偵行為はロスなのでは?)
(((ロスでもガバでもないですゥー。実際、今回の案件は思った以上の敵が、で、出ますよ……という感じなので、念には念を入れるべきであるな、と思い、オリチャーを入れた次第で……ガバなどできますまい、このように腕も……)))
(答えて)
(((……タナカ・ニンジャクランの傍流に、このようなジツを使う輩が……)))
◆
「ハハハハハ!」エンマめいた邪悪な装飾の付いた回転椅子に腰かけながら、ダストナーヴは笑い、ワインを口にした。彼の座る椅子があるのは、塔の最上部である。この地下空間は、その塔を囲うようにして、ガラス張りの収容室がぐるりと一周している構造が、五層に渡って積み重なったものである。つまり、地下パノプティコンだ。
元々この場所は、スガモ・プリズンと呼ばれた旧トウキョウの牢獄である。収容室からは、隣の収容室も塔の内部も角度的に見ることはできないが、塔からは全ての部屋を見ることが出来る。極めて効率的な囚人監視システムである。
しかしながら、今この牢獄に入れられているのは囚人などではない。みな、女子高生だ。……厳密には、一人だけ女子中学生が混ざっているが。
この遺物を発見したニンジャであるダストナーヴは、大きくこの牢獄を改造した。ニンジャ膂力を以て壁を取り払い、レクリエーションルームや食堂、小規模な図書館などを造り出した。ナムアミダブツ!彼は、このパノプティコンを水槽にしたのだ!
それ故に、水槽の中に放り込まれるモータルはみな服を剥ぎ取られ、全裸でいることを強要された。当然だ。ペットが自発的に服を着ることなどない。水槽の中で生きるものならなおの事。モータルは、己のフドウノリウツリ・ジツを用いて集めた。一匹だけだった女子高生が二匹になり、三匹になり、増えていく。逃げ出そうとしたものはフドウノリウツリ・ジツで精神を破壊し、幼児退行させて子飼いにしておく。まだまだキャパシティは十分にあった。
女子高生同士では交配が出来ないというのが残念ではあったが……仕方のない事。これでもなお、十分な眺めである。「ンー」ダストナーヴは双眼鏡を用いて、旧部屋番号173を覗いた。あてがわれた居室の隅では、ただ一人の女子中学生……ヤヨイ・シンケイドが、屈辱と恐怖に震えながら、体育座りで縮こまっていた。
こんなはずではなかった。彼女は既に、ソサエティ・ナカヨシでマスターの位階にいた。今年の春からは、高校生として、グランドマスターの座を継ぐはずであったのだ。スナリマヤ女学院のカースト最上位。それが、今は……なんだ?衣を剥ぎ取られ、食も住も与えられたものに従わなければならない。水槽の中を泳ぐグッピーめいて、ジロジロと見物される……これほどの屈辱が他にあるだろうか?彼女の美しい黒髪はしなび、茨めいた強く厳しい瞳には影が指していた。
(マスター……私は、ソサエティ・ナカヨシのマスターで、次期グランドマスターなのに……)
ガゴンプシュー。扉が開かれ、誰かが入ってきた。「ヒィッ!?」反射的にヤヨイは後ずさり、壁にぶつかる!ここに入れられた初日に、フラストレーションの溜まっていた女子高生に襲われかけたことがあったのだ。しかもその女子高生は首を絞めるタイプの前後を望んでいた。なんたる退廃!その時は監視ニンジャの介入と女子高生の精神破壊によって事なきを得たが、他者に暴力的に迫られる恐怖、そして遠隔的にヒトの精神を破壊するニンジャの恐ろしさにより、彼女は完全に心折れていたのだ!
「わ……私だよ、ヤヨイ=サン。ジェラートだよ」ピンク髪の女子高生は、おずおずと彼女に食器トレーを差し出した。「食べないと死んじゃうよ」
「い……いらないッ!そ、そんなマケグミが食べるような……私はマスターなのに!ソサエティ・ナカヨシの……」
「じゃあ、このまま死ぬ?」ジェラートは、トレイを置き……ヤヨイの眼をじいっと見た。
「ええそうよ!このまま餓死してやる!このまま……」ぐう、という腹の音がした。
……泣きながらヤヨイは食事を口に運ぶ。寮に帰りたい、寮に帰りたい、センセイに会いたい、センセイに慰めてもらいたい。そんなことを言っているが、嗚咽交じりのためによく聞き取れない。
「ンフフ、そうなのね。あなた、センセイに会いたいのね……どんな名前なの?」背中をさすりながら、ジェラートは優しく問いかける。
「……ううっ、ふぐぅ、ファ、フゥ、ニール、うぐっ……」
手の位置を動かし、よしよし、と頭を撫でながら、ジェラートは思案する。(ファフニール。どんな人なのかな。まるでドラゴンみたいだけど……どうだろうな。カワイイかな?)
【#6 ニンジャ・アット・ザ・パノプティコン ①】おわり。②に続く。
クォレワ……『殻都市の夢』の『造物主の檻』じゃな?(元ネタバラシ)
次回投稿は9/25あたりになると思います。曖昧に 更新するから 不定期に休むのよ I know your heavenly feeling(更新明けの喜び) 愛だけ残ればいい……